• 東京都に関連のある仕事人
  • 出身地 愛知県

テコンドー選手

山田やまだ 美諭みゆ

  • 仕事内容

    信用金庫の職員(しょくいん)として働きながら,選手としてオリンピックを目指す。

  • 自己紹介

    ショッピングや映画館へ出かけることが好き。マイペースですが,どんなことにも負けず嫌いな性格。試合のときは目つきが変わると言われる。

  • 出身高校

    私立聖霊中学・高等学校

  • 出身大学・専門学校

    大東文化大学 文学部 英米文学科

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2016年11月17日)時点のものです】

山田 美諭


仕事人記事

空手からの転身

空手からの転身

(わたし)の実家は空手の道場だったので,3(さい)から父のもとで空手を習っていました。初めは面白かったのですが,小学校高学年ぐらいになって体格(たいかく)個人差(こじんさ)が出てくると,(わたし)は思うように戦えなくなりました。そんなとき,兄がテコンドーを習い始めました。テコンドーは,体重別に階級が細かく分かれていて,小柄(こがら)でも不利にならないという特徴(とくちょう)があり,父の(すす)めもあって,(わたし)も中学1年生のときにテコンドーを始めました。父も興味(きょうみ)を持つようになり,空手と並行(へいこう)してテコンドーの道場も開くことになったのです。 最初は趣味(しゅみ)のような感覚だったので,週に1回程度(ていど)の練習でしたが,続けていくうちに,もっと強くなって試合に勝ちたいと思うようになり,毎日練習するようになりました。中学3年生のときには全日本ジュニア選手権(せんしゅけん)初優勝(はつゆうしょう)し,「オリンピックに行ってみたい」という気持ちが()いてきました。目標というよりは,まだ(あこが)れのほうが強かったですね。

「頭を使う」格闘技(かくとうぎ)

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テコンドーにはいろいろなタイプの選手がいます。攻撃(こうげき)中心の人もいれば,カウンターを得意とする人もいて,試合ではそういった相手の戦法を瞬時(しゅんじ)に見極め,それに合わせた戦い方をする必要があります。たとえば,相手の体の上段を()ると見せかけて中段をねらうなど,相手の(うら)をかくこともあります。同じ戦い方では,すぐに分析(ぶんせき)され対策(たいさく)を練られてしまうので,(つね)に進化し相手の上をいかなければ勝てません。技術(ぎじゅつ)だけでなく,(たく)みな戦術(せんじゅつ)を競い合えることもテコンドーの大きな魅力(みりょく)です。 また,得点の付け方にも特徴(とくちょう)があります。空手は自分が劣勢(れっせい)のときでも,顔を2回()ると逆転(ぎゃくてん)で一本勝ちになります。一方,テコンドーはポイント(せい)で,(わざ)難度(なんど)によってポイントが決められていて,(わざ)が決まるごとに加点され,その合計で勝敗が決まります。(わざ)を積み重ねて勝利をつかむゲーム(せい)の面白さも,テコンドーに引かれた理由の一つです。

オリンピック出場への決意

オリンピック出場への決意

高校卒業後は,テコンドーが強い大東文化大学に入学し,日本代表として国際(こくさい)大会に出るようになりました。海外には,家族の生活をかけて必死で戦っている選手がたくさんいて,日本という(めぐ)まれた国で競技(きょうぎ)をしてきた(わたし)は,そういった選手の気迫(きはく)にただただ圧倒(あっとう)されました。普段(ふだん)は物静かな選手でも,試合で向かい合った瞬間(しゅんかん)に殺気にも近い気合いが伝わってくるんですよ。試合でも力の差は歴然で1,2回戦で敗退(はいたい)。オリンピックという舞台(ぶたい)に立つには,彼女(かのじょ)らと同等の心構(こころがま)えで取り組まなければ通用しません。自分の意識(いしき)(あま)さを()きつけられた(わたし)は,(くや)しい思いを()()め,「絶対(ぜったい)にオリンピックに出る。気持ちでは負けない。」と心に(ちか)ったのです。そのとき,オリンピックが,単なる(あこが)れから現実(げんじつ)の目標へと変わったんです。その後は,とにかくがむしゃらに練習し,全日本選手権(せんしゅけん)では5連覇(れんぱ)を達成することができました。 しかし,昨シーズンの試合中に大きな怪我(けが)をしてしまったのです。今()(かえ)ると,少し油断(ゆだん)があったように思います。どんなに順調でも初心を(わす)れてはいけないことを痛感(つうかん)し,同時に(ささ)えてくれる方への感謝(かんしゃ)の気持ち,そして競技(きょうぎ)に対する謙虚(けんきょ)姿勢(しせい)をいっそう意識(いしき)するようになりました。

怪我(けが)を乗り()えて

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テコンドーが大好きな(わたし)にとって,高い目標を持っている選手と切磋(せっさ)琢磨(たくま)できる環境(かんきょう)(めぐ)まれていることほど幸せなことはありません。練習がつらくてやめたいと思ったことなど,これまで一度もありません。(ぎゃく)にいえば,競技(きょうぎ)のできない状況(じょうきょう)になることが一番つらいです。昨シーズンの怪我(けが)競技(きょうぎ)中断(ちゅうだん)せざるを得なくなったことで,テコンドーがどれほど好きであるか,改めて気づかされました。 テコンドーは,体幹(たいかん)を強く(きた)えることが重要なので,筋力(きんりょく)トレーニングが欠かせません。日々(ひび)のトレーニングは決して楽なものではありませんが,しっかり(きた)えれば,(わざ)のキレも良くなり,確実(かくじつ)に試合の結果につながるので,コツコツと続けています。 今年は怪我(けが)手術(しゅじゅつ)をしたことで筋力(きんりょく)が落ちたので,まずは元の筋力(きんりょく)(もど)すため,リハビリとして筋力(きんりょく)トレーニングに力を入れてきました。そのおかげで,復帰(ふっき)が着実に近づいたと実感しています。努力は必ず実を結ぶと信じて,自分の力をさらに(みが)くつもりです。怪我(けが)をしたことで,精神(せいしん)的にも肉体的にも強くなり,たいていのことは乗り()えられると思えるようになりました。

社会人選手としての仕事

社会人選手としての仕事

大学を卒業した2016年の春から城北(じょうほく)信用金庫に入り,選手としての活動を続けています。職場(しょくば)にはテコンドー以外にもフェンシングや陸上など,さまざまなフィールドで活躍(かつやく)する選手が集まったアスリートチームが(もう)けられています。スポーツを通じて地域(ちいき)発展(はってん)(ささ)えるために,地元のアスリートとしても頑張(がんば)っています。 普段(ふだん)は,(わたし)の活動拠点(きょてん)である稽古(けいこ)場でテコンドーの練習をしていますが,職員(しょくいん)として出勤(しゅっきん)する日も週に1度あり,練習の報告書(ほうこくしょ)を作成したり,地域の方々との接点(せってん)作りについて企画を()ったりしています。また最近は,学校から講演会(こうえんかい)依頼(いらい)されることも()えてきました。先日も小学校低学年の児童たちに向けて,(わたし)がこれまでの競技(きょうぎ)生活で得た経験(けいけん)を話しました。未来を(にな)う子どもたちに向けて話ができることは,(わたし)にとっても良い刺激(しげき)になります。これからもいろいろな方と積極的にふれあう機会を持っていきたいです。

いろいろな人に(ささ)えられて

いろいろな人に<ruby><rb>支</rb><rp>(</rp><rt>ささ</rt><rp>)</rp></ruby>えられて

大学時代の監督(かんとく)には大きな影響(えいきょう)を受けました。人一倍ストイックで熱く,選手のために本気でぶつかってくる方なので,(わたし)もそれに(こた)えようと必死でした。ある国際(こくさい)試合に出たとき,(わたし)の気持ちに(あま)さがあることを監督(かんとく)見抜(みぬ)き,「本当にオリンピックに行きたいのか」と問いつめられました。「そんなことはない!」と反発することもあったのですが,監督(かんとく)(ささ)えてくれたからこそ,今の自分があると言えます。 そして,何よりも両親には感謝(かんしゃ)しています。高校のときまで毎日指導(しどう)してくれた父と,(わたし)の話をいつも聞いてくれて応援(おうえん)してくれる母は,かけがえのない存在(そんざい)です。特に試合で怪我(けが)をして不安でいっぱいだったときに「美諭が健康ならそれでいいから,したいようにしなさい」と言って,心から(はげ)ましてくれました。いつもそばで(ささ)えてくれる両親にオリンピックの舞台(ぶたい)を見せてあげたいです。

2020年へのカウントダウン

2020年へのカウントダウン

今の最大の目標は,東京オリンピックで金メダルを取ることです。オリンピックまでの4年間は決して長くなく,日本代表を決める選考会までは,あと3年しかありません。2016年12月の復帰戦(ふっきせん)()て,(よく)1月に行われる全日本テコンドー選手権(せんしゅけん)大会で優勝(ゆうしょう)して日本代表に(もど)り,オリンピックに向けて,どんどんランキングを上げていきたいと考えています。 (わたし)のように怪我(けが)をして一線から退(しりぞ)き,復帰(ふっき)できるのかと(なや)む人は多いと思います。(わたし)怪我(けが)をする前より,さらに成長した姿(すがた)復帰(ふっき)し,国際(こくさい)大会でメダルを取ることで,同じ(なや)みを持つ人たちを勇気づけることができたらと思っています。また,(わたし)の戦う姿(すがた)を見て,子どもたちが(ゆめ)を追いかけたいという気持ちになってもらえたら(うれ)しいです。そのためにも,とにかく(だれ)よりも練習して,オリンピックへの切符(きっぷ)を手に入れます。

夢中(むちゅう)になれることを(さが)そう

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テコンドーに出会ってからというもの,(わたし)はその魅力(みりょく)に引かれ,テコンドー一筋(ひとすじ)でやってきました。怪我(けが)競技(きょうぎ)ができない時期もありましたが,ここまで一心に続けることができた一番の理由は,テコンドーが好きで仕方がなかったからだと思います。4年後のオリンピックでは必ず金メダルを取るので,ぜひ見ていてください。 みなさんにも夢中(むちゅう)になれるものがあるでしょうか。勉強でもスポーツでも,何でもいいので自分が大好きなことを見つけてほしいと思います。そして,大好きなことが見つかったなら,一生懸命(いっしょうけんめい)やってみてください。たとえ良い結果を出せず,将来(しょうらい)その道に進めなかったとしても,何かに全力で取り組んだ経験(けいけん)は,いつか必ず役に立ちます。大人になって,苦しいことやつらいことにぶつかっても,「あのときあんなに頑張(がんば)ったのだから,自分にはできる」と乗り()えていけるはずです。未来の自分がどんな困難(こんなん)にも立ち向かえるよう,好きなことに精一杯(せいいっぱい)向き合って,自信を持って歩んでください。

  • 取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫

私のおすすめ本

  • 100万回生きたねこ

    佐野洋子

    子どもの頃に読んだ絵本。死についての描写があるのに最後は良かったと思える。子どもながらに魅かれて何度も読み返した。大人になって読んでも面白い。

  • ハリー・ポッター

    J. K. ローリング

    ハラハラするストリーだけでなく世界観が魅力的。ファンタジーなので全てが非日常だけど,学校生活も描かれて身近に感じる作品です。映画を観た人にもおすすめします。