仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1970年 生まれ 出身地 東京都
山本やまもと 邦明くにあき
子供の頃の夢: 自動車のエンジニア
クラブ活動(中学校): 水泳部
仕事内容
工場やごみしょせつかんきょうをよくするためのしゅうじんだっしゅうせつの、計画・せっけいこう・メンテナンスまでをいっかんして行うほか、きんぞくふんまつを作る「遠心ふんまつせいぞうそう」の新じゅつ開発を行う。
自己紹介
新しいことにチャレンジし、今までできなかったことを少しでもできるようにすることが好きです。わりとポジティブなタイプです。休みの日は、ゴルフやジムでのトレーニングなど、体を動かしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年10月26日)時点のものです

工場やごみしょせつかんきょうかいぜんする仕事

工場やごみ処理施設の環境を改善する仕事

わたしは、東京都だち区で「かぶしきがいしゃデュコル」という会社をけいえいしています。わたしたちの会社には大きく「かんきょうせつに関する事業」と「遠心ふんまつせいぞうそう事業」という2つの事業があります。
1つ目の「かんきょうせつに関する事業」は、工場やごみしょじょうなどに、空気をじょうするせつせっする仕事です。「大きな空気せいじょうせっする仕事」というとイメージしやすいでしょうか。工場やごみしょじょうでは作業の中で、人の体に有害なふんじんが出てしまったり、あくしゅうが出てしまったりすることがあります。そのままでは働いている人たちの健康がそこなわれますし、工場やしょじょうの周辺かんきょうも悪化してしまいます。そういった場合に空気をきれいにするそうを取り付け、安全でかいてきな労働かんきょうをつくるとともに、周辺のかんきょうも守るのがわたしたちのやくわりです。
例えば、コンビニエンスストアではんばいするおべんとうに炭火焼きの肉を入れたい、でも工場で炭火を使うと他の場所にもけむりにおいが流れてしまい、お肉以外の食べ物ににおいがついてしまう……という相談を受けたことがあります。そこでわたしたちは、炭火焼きの機械のところに、けむりふせぐことができるせつを取り付けることをごていあんしました。今では全国のそのコンビニエンスストアの工場で、わたしたちがていきょうしたせつかつやくしています。

さいせんたんじゅつささえる「きんぞくふんまつ」を作り出す機械をせいぞうはんばい

最先端技術を支える「金属の粉末」を作り出す機械を製造・販売

もう1つの「遠心ふんまつせいぞうそう事業」というのは、遠心力を使ってじょうに小さなきんぞくこなを作り出す機械をせいぞうはんばいする事業です。わたしたちがせいぞうはんばいしている機械では、かみの細さよりももっと小さなきんぞくこなを作り出すことができます。このきんぞくこなは今、さまざまなさいせんたんじゅつに欠かせないものになっています。
例えばスマートフォンをはじめ、わたしたちがにちじょうてきに使っている電子機器はがたが進んでいるので、配線のさいに、きんぞくどうせっちゃくしたり、電子部品をばんに固定したりするための「はんだ付け」もじょうに細かな作業になります。そのため、「はんだ(スズとなまりの合金)」をとても細かいこなにしたものを用いて「はんだ付け」を行い、せいみつな部品を作り出しているのです。
また、機械などの開発分野では「3Dプリンター」を使ってきんぞくの部品を作り、研究開発に生かすということがげんざいにちじょうてきに行われています。これまでは、きんぞくの部品を1つ作ろうと思うとそのためにかながたを作らねばならず、こうていがいくつも必要でした。しかし3Dプリンターを使うと、パソコンと3Dプリンターだけできんぞく部品の試作品を作ることができます。このさいふんまつじょうにしたきんぞくこなが必要になり、どんなきんぞくのどんな大きさのこなを使うかが、仕上がりを左右することになります。そのため、大きなぎょうではわたしたちのはんばいする遠心ふんまつせいぞうそうこうにゅうし、必要なきんぞくこなを自分たちで開発・生産しています。
日本ではこの遠心ふんまつせいぞうそうせいぞうはんばいしているのはわたしたちの会社だけで、他社ではできないことをしているのがまんです。

日本全国からのらいこたえ、他の人たちが休む時期がはんぼう

日本全国からの依頼に応え、他の人たちが休む時期が繁忙期

かんきょうせつに関する事業は日本全国から問い合わせがあり、じっさいげんを見ないとどういうせつを入れればかいけつするかがわからないので、わたし自身はしゅっちょうで全国を飛び回っています。会社にいるのは月の半分くらいでしょうか。じっさいげんを見ておおわくを決めてから、あとは社員にぐという形で仕事を進めています。
時代や法令の変化もあり、「労働者の働くかんきょうをよくしたい」という事業者からの要望がえています。工場を新しく建てるときに相談を受けることもあれば、すでどうしている工場に新たにせつどうにゅうするという場合もあるのですが、後者の場合はどうしても工場がどうしていないときにわたしたちが作業をすることになります。そのため、年末年始やおおがた連休、おぼんといった、他の人たちが休んでいる時期がはんぼうになります。また、そうなると、とても暑いときか、とても寒いときの作業が多くなるので、それが大変なところです。
また、遠心ふんまつせいぞうそう事業に関しては、機械の開発だけでなく、へいしゃにある機械をお客さまにじっさいに見ていただき、ご説明するのもわたしの仕事です。最近では海外、特に中国やたいわんなどからも、この機械がしいという要望が多く、国外から足を運んでくださる方々も多くなっています。

こまりごとをかいけつし、よろこんでいただける仕事

困りごとを解決し、喜んでいただける仕事

仕事で苦労していることは人手不足です。工業の分野はどうしても今のわかい人たちには人気がなく、なり手が不足しています。その分、一人一人のたんがどうしてもえてしまいます。そのため、なるべく社員みんなにかいてきに働いてもらうことができるよう、残業をらすなど、いろいろとふうをしています。地方しゅっちょうが多いという点で苦労をすることもありますが、なかにはしゅっちょうさきでおいしいものを見つけることを楽しみにしている社員もいるようです。
苦労も多いですが、やりがいも大きな仕事です。特にかんきょうせつかいぜんに関する仕事は、ほんてきには「今、労働かんきょうが悪化してこまっている」というお客さまが相手となります。わたしたちのごていあんかんきょうかいぜんすることで、そこで働いている方にも、けいえいしゃの方にもよろこんでいただけます。そういったよろこびの声を聞かせていただけるのが、何よりもうれしいです。また、わたし自身がエンジニアでもありますから、他社がかいけつできなかった問題をわたしたちの会社がかいけつできた、という場合にも、大きなよろこびを感じます。

よいせつていあんするためには、お客さまとのしんらい関係が大事

よい設備を提案するためには、お客さまとの信頼関係が大事

会社として大切にしていることに、「じゅつでお客さまにこうけんし、共に成長し合う」という理念があります。例えば、お客さまのところにうかがったときに、実はわたしたちのせつどうにゅうしなくても、ふうだいで問題がかいけつできる場合があります。そういう場合には、無理にせつを売ろうとするのではなく、かいけつ方法をごていあんするようにしています。なぜなら、そういったお客さまは、また何かこまったことがあれば、次回もわたしたちに相談してくれるからです。
わたしたちの仕事では、お客さまにしんらいしてもらうことがとても重要です。なぜなら、お客さまがしんらいしてくれないと、本当にこまっていることを話してもらえないことがあるからです。例えばふんじんあくしゅうが出てしまっている、すいれているなど、かんきょうが悪いというじょうきょうは、多くのお客さまにとって、あまり話したくないことです。しかし、げんじょうの問題点をきちんと話してもらわないと、わたしたちも本当に必要なせつをごていあんすることができません。よいせつせっしてかんきょうかいぜんするためにも、お客さまにどれだけ最初からしんらいしていただけるか、がカギになります。

研究者から機械せっけいのエンジニアへ

研究者から機械設計のエンジニアへ

大学卒業後は、大きな会社にしょぞくして、ペットボトルの材料になるじゅに関する研究をしていました。しかしバブルがはじけて不景気になり、わたしのいた事業所がなくなってしまいました。その後、今の仕事にもつながるかんきょうせつの会社にてんしょくし、機械せっけいのエンジニアになりました。今の会社で役に立っているしきは全てそこで学んだのですが、社長がだいわりしたことをきっかけにいろいろとじょうきょうが変わったので、めて自分で会社を立ち上げることにしました。最初の会社で、会社にしょぞくしていると、会社の決定でいろいろとまわされてしまうことを実感したのも大きな理由です。ぜんしょくの会社でいっしょだった人たちをさそい、3人で立ち上げたのがデュコルです。
わたし自身は大学で機械工学を学んだエンジニアですが、社員は全員がけい出身というわけではありません。へいしゃせっけいたんとうしている社員にも、ぶんけい学部を卒業した後に「やはり機械が好きだから」という理由でしゅうしょくしてきた社員もいます。

進む道を決定づけた、高校時代の物理のレポート

進む道を決定づけた、高校時代の物理のレポート

小・中学生のころから車が大好きで、モーターショー(自動車の最新じゅつやデザインの見本市)に毎年、通うような子どもでした。ばくぜんと「車を作る人になりたい」という思いがあり、高校は工業大学のぞく高校に進学しました。勉強はあまり好きではなかったのですが、高校生のときに物理の先生が「何でもいいから自分で実験をしてレポートを出しなさい」という課題を出したことがありました。わたしは、当時、通っていた学校のグラウンドの水はけが悪く、雨がった後に水がひかないため運動会が何度も中止になっていたので、「なぜこのグラウンドはこんなに水はけが悪いんだろう」というのを調べることにしたんです。土を調べたり、「この土だと水が何分で流れるか」ということを実験したりしてレポートをていしゅつしたところ、先生がとてもめてくれ、「君は研究に向いている」と言ってくれました。この言葉とレポートでの体験がきっかけで、何かげんしょうを見て、どうやったらしょうめいできるか、ということを考えるのが好きなんだなと気がつき、研究者を目指すことにしました。

「人間にしかできない仕事」を見つけ、楽しんでほしい

「人間にしかできない仕事」を見つけ、楽しんでほしい

わたしは、仕事は好きなことをした方がいいと思っています。何となくお金をかせぐためとか、生活のためと思って働くのは、結果的につらくなってしまう。もちろん、好きなことであってもつらいときはあると思いますが、それでも楽しんで仕事をしてほしいです。今、人工のうやAIといったじゅつがどんどん進化して、人間ができる仕事というのが、この先は少なくなってくると思います。しかし、その中でも「人間にしかできない仕事」は必ずあるはずなので、そういった仕事を、ぜひ楽しみながらやってもらえればと思っています。

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坂本光司
日本にある素晴らしい会社を紹介している本です。会社がいちばん大切にしなければならないのは、顧客だけではなく、社員とその家族です。目先の利益にとらわれず、継続することを心がけることが大事です。迷いがあるとき、悩んでいるときに読み返すと、元気が出てくる本です。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫