• 神奈川県に関連のある仕事人
  • 1990年 生まれ

    出身地 大阪府

かいじょうほあんかん海上保安官

山崎さんやまざきさん

  • 子供の頃の夢

    警察官,消防士

  • クラブ活動(中学校)

    水泳部

  • 仕事内容

    機関科職員(しょくいん)として巡視艇(じゅんしてい)整備(せいび)を行ったり,事件(じけん)事故(じこ)が起きれば捜査(そうさ)・救助に(たずさ)わります。

  • 自己紹介

    温厚(おんこう)性格(せいかく)だと思います。しかし,勝負事になると熱くなる,負けず(ぎら)いな一面も持っています。

  • 出身高校

    日本大学豊山高等学校

  • 出身大学・専門学校

    日本大学 生物資源科学部 生命化学科

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2016年12月06日)時点のものです】

山崎さん


仕事人記事

海の警察(けいさつ),海の消防(しょうぼう)

海の<ruby><rb>警察</rb><rp>(</rp><rt>けいさつ</rt><rp>)</rp></ruby>,海の<ruby><rb>消防</rb><rp>(</rp><rt>しょうぼう</rt><rp>)</rp></ruby>

(わたし)は海上保安(ほあん)官として働き始めて2年目になります。海上保安(ほあん)官の役割(やくわり)は,陸上でいえば警察(けいさつ)消防(しょうぼう)です。海上を巡回(じゅんかい)し,船同士の衝突(しょうとつ)事故(じこ)などがあった場合はただちに現場(げんば)()けつけます。
(わたし)横須賀(よこすか)海上保安(ほあん)部というところに所属(しょぞく)しており,横須賀(よこすか)海上保安(ほあん)部は,海上保安(ほあん)(ちょう)第三管区海上保安(ほあん)本部に(ぞく)しています。この第三管区海上保安(ほあん)本部は,茨城(いばらき)県から静岡(しずおか)県までの関東圏(かんとうけん)担当(たんとう)する,もっとも人口規模(きぼ)の大きい区域(くいき)です。湘南(しょうなん)をはじめとした地域(ちいき)では,夏にはマリンレジャーの事故(じこ)が特に多くなります。水上バイクやシュノーケリングなどの事故(じこ)で,けが人が出たときに救助するのも(わたし)たちの役目です。
また,密漁(みつりょう)などの海の犯罪(はんざい)()()まりも行っています。神奈川(かながわ)三浦(みうら)半島は,岩場が多くサザエやアワビなどが豊富(ほうふ)()れますが,漁をする権利(けんり)はその地域(ちいき)漁師(りょうし)の人に(かぎ)られ,無断(むだん)()るのは法律(ほうりつ)違反(いはん)です。密漁(みつりょう)は,漁業で生計を立てている方々(かたがた)にとって大きな痛手(いたで)となります。(わたし)たちは周辺の漁業協同組合とも連携(れんけい)を取りながら,定期的に海沿(うみぞ)いを見回り,密漁(みつりょう)()()まっています。

職場(しょくば)は船の上

<ruby><rb>職場</rb><rp>(</rp><rt>しょくば</rt><rp>)</rp></ruby>は船の上

海上保安(ほあん)官には,船に乗って勤務(きんむ)する船艇(せんてい)職員(しょくいん)と,事務所(じむしょ)などで勤務(きんむ)する陸上職員(しょくいん)がいます。船艇(せんてい)職員(しょくいん)である(わたし)は,基地(きち)停泊(ていはく)している自分の船に出勤(しゅっきん)します。朝の8時から翌日(よくじつ)の16時まで,1(ぱく)2日の()まり()勤務(きんむ)のほか,日中のみ勤務(きんむ)する日もあります。
(わたし)所属(しょぞく)する横須賀(よこすか)海上保安(ほあん)部には,全部で9(せき)船艇(せんてい)が配置されています。(わたし)が乗り組んでいる巡視艇(じゅんしてい)「すがなみ」は,10人に満たない少人数の乗組員で運航しており,各乗組員は交代で任務(にんむ)にあたります。
他にも,「航路哨戒(しょうかい)」という,東京湾(とうきょうわん)内のパトロール任務(にんむ)があります。管轄(かんかつ)内の東京湾(とうきょうわん)には,船舶(せんぱく)が通航する道「航路」があり,1日に約520(せき)船舶(せんぱく)が行き交っています。このため,(わん)の北と南に,それぞれ1(せき)ずつの巡視艇(じゅんしてい)が,24時間体制(たいせい)配備(はいび)されています。この任務(にんむ)も,一度任務(にんむ)に入ったら丸一日続くもので,たくさんの船が安全かつ円滑(えんかつ)湾内(わんない)を通行できるよう,双眼鏡(そうがんきょう)やレーダーを使いながら湾内(わんない)見張(みは)ります。スピード違反(いはん)()()まりや航路にある障害(しょうがい)物の除去(じょきょ)なども行い,事件(じけん)事故(じこ)が発生したときはすぐに()けつけます。(わたし)は船のエンジンを(あつか)う「機関科」として採用(さいよう)されたので,海上パトロールの(さい)は,船のエンジンを動かす役割(やくわり)をしながら,監視(かんし)などの業務(ぎょうむ)を行います。ちなみに,海上のブイや灯台の保守(ほしゅ)・管理,海図(海の地図)の作成も海上保安(ほあん)(ちょう)の仕事です。海上保安(ほあん)官の業務(ぎょうむ)は,意外と(はば)が広いのです。

緊張感(きんちょうかん)が求められる仕事

<ruby><rb>緊張感</rb><rp>(</rp><rt>きんちょうかん</rt><rp>)</rp></ruby>が求められる仕事

海の上を走る船は,陸を走る車とは大きく性質(せいしつ)(こと)なります。船体は非常(ひじょう)に大きく,ブレーキを()んで止まるしくみではないので,大規模(だいきぼ)事故(じこ)が起こりやすいのです。事故(じこ)が起きたときの救助だけでなく,未然に(ふせ)ぐことができるよう監視(かんし)することも(わたし)たちの重要な役割(やくわり)です。
()まり()みの勤務(きんむ)は,睡眠(すいみん)が浅くなり体力的につらいだけでなく,(つね)緊張(きんちょう)状態(じょうたい)が続くため,気力も消耗(しょうもう)します。海上では,自分たちの船も事故(じこ)()()まれる可能(かのう)(せい)があるので,レーダーや双眼鏡(そうがんきょう)()えず周辺を警戒(けいかい)しなければいけません。ひとたび海に出たら,心構(こころがま)えを陸にいるときよりさらに(きび)しいものに変え,緊張(きんちょう)の糸を切らさずに任務(にんむ)にあたる必要があります。
東京湾(とうきょうわん)は特に船が多く,夜でも遊漁船などが走っています。そんな中で事故(じこ)が起きて人命救助を行う場合は,あらゆる危険(きけん)を想定し,通常(つうじょう)の何倍も気を付けて行動しなければいけません。(わたし)はまだ命にかかわる救助の経験(けいけん)はありませんが,いつ起こっても冷静に対応(たいおう)できるよう,普段(ふだん)から緊張(きんちょう)を切らさないようにして,業務(ぎょうむ)に取り組んでいます。

人に安心してもらえるように

人に安心してもらえるように

以前,夏に女性(じょせい)が海で骨折(こっせつ)する事故(じこ)がありました。水上バイクに牽引(けんいん)されながらバナナボートに乗っていたところ,転覆(てんぷく)し飛ばされてしまったようです。けが人を病院へ搬送(はんそう)するというケースは初めてでしたが,最後に何度もお礼を言っていただきました。海で(こわ)い思いをした方に,安心してもらえるような存在(そんざい)になれることは,この仕事のやりがいの一つです。
密漁(みつりょう)のパトロールの(さい)は,周辺の漁業協同組合の支部(しぶ)に立ち()ることもあります。ある支部(しぶ)漁師(りょうし)さんは,(わたし)たちが行くと「お,来てくれたか!」といつも笑顔で出迎(でむか)えてくれます。「むこうのほうも見回ってきてほしい」とその場で依頼(いらい)をいただくこともあり,(わたし)たちもそれに(こた)えようと,気持ちが引き()まります。(たよ)りにしていただいていると思うと,仕事への意欲(いよく)一段(いちだん)と強まります。普段(ふだん)のパトロールがみなさんの役に立っていると実感できることも,(わたし)にとって大きな(はげ)みです。

心がけるのは「安全第一」

心がけるのは「安全第一」

海の上は陸地と(ちが)い,刻々(こっこく)と変化する気象条件(じょうけん)(しお)の満ち引きに対応(たいおう)しなければならず,少しのミスも命取りにつながる特殊(とくしゅ)環境(かんきょう)です。そんな状況(じょうきょう)の下,船内の(かぎ)られた人数で仕事をするので,けがなどで一人でも欠けると,すぐに業務(ぎょうむ)支障(ししょう)が出てしまうのです。
(わたし)は以前,骨折(こっせつ)をして,1か月,船に乗れない期間がありました。その間,(わたし)担当(たんとう)していた仕事は先輩(せんぱい)に代わっていただくことになり,迷惑(めいわく)をかけてしまいました。まずは海を守る(わたし)たち自身が,安全第一で船を動かさなければならないと痛感(つうかん)させられた経験(けいけん)です。
救助活動でも「自分の覚悟(かくご)ができていないなら現場(げんば)に行くな」とよく上司から言われます。海の上では自分たち自身も危険(きけん)にさらされるので,十分な覚悟(かくご)がなければ他人を救うことなどできません。まだ大きな現場(げんば)経験(けいけん)したことはありませんが,無理な危険(きけん)(おか)さないよう(きも)(めい)じて,これからも努力を重ねていきたいと思います。

(ゆめ)をあきらめずに海上保安(ほあん)官の道へ

<ruby><rb>夢</rb><rp>(</rp><rt>ゆめ</rt><rp>)</rp></ruby>をあきらめずに海上<ruby><rb>保安</rb><rp>(</rp><rt>ほあん</rt><rp>)</rp></ruby>官の道へ

(おさな)いころから水泳をやっていて,中学・高校は水泳の強豪(きょうごう)校に進みました。大学に入ってからは,水泳を仕事につなげたいと思うようになり,いろいろな職業(しょくぎょう)検討(けんとう)しました。
海上保安(ほあん)(ちょう)では,(きび)しい選抜(せんばつ)・研修訓練を経て「潜水士(せんすいし)」という道へ進むことができます。水中に(もぐ)る作業は潜水士(せんすいし)しか行えず,その任務(にんむ)遭難者(そうなんしゃ)の救出から事件(じけん)捜査(そうさ),オリンピックの警備(けいび)までと多岐(たき)にわたります。自分の泳力を最大限(さいだいげん)に生かせるのはこの職種(しょくしゅ)だと思い,大学4年のときに海上保安(ほあん)(ちょう)を受けました。結果は残念ながら不合格(ふごうかく)で,別に試験を受けた警視庁(けいしちょう)に入ったんです。警視庁(けいしちょう)では貴重(きちょう)経験(けいけん)を得ることができたものの,潜水士(せんすいし)になりたいという思いをどうしても()て切れず,(ふたた)び海上保安(ほあん)(ちょう)採用(さいよう)試験を受験し,合格(ごうかく)することができました。
潜水士(せんすいし)になるための選考会は年に一度あり,今年の本番まであと1か月を切りました。(わたし)は今回,横須賀(よこすか)海上保安(ほあん)部の代表として参加する予定です。仕事が終わった後にジムへ通い,泳ぎや走り()み,(きん)トレなど,日々(ひび)訓練しています。自分の目標を果たすために,最後まで全力で頑張(がんば)り,合格(ごうかく)を勝ち取りたいです。

水泳に明け()れた子ども時代

水泳に明け<ruby><rb>暮</rb><rp>(</rp><rt>く</rt><rp>)</rp></ruby>れた子ども時代

水泳は4(さい)から始めました。小学校のときは,スイミングスクールの育成チームに入り,放課後は毎日のように通っていました。中学・高校は一貫(いっかん)校で,水泳部に入りましたが,オリンピック選手を輩出(はいしゅつ)するほどの学校で,(きび)しい練習が続く日々(ひび)でした。専門(せんもん)の種目は個人(こじん)メドレーで,ジュニアオリンピックや都大会に出場しましたが,校内には実力のある選手がたくさんいたので,たった0.1秒の差で大会に出られなくなることも当たり前でした。
スイミングスクールのときは仲間と和気あいあいとした雰囲気(ふんいき)でやっていましたが,中学の部活からは一転して上下関係が(きび)しくなりました。きちんと挨拶(あいさつ)ができずにとても(おこ)られたのを今でも覚えています。10代のころは,水泳の技術(ぎじゅつ)的な面だけではなく,精神(せいしん)的にも(きた)えられ,その後の自分の土台になった重要な時期でしたね。

得意なものを持っておこう!

得意なものを持っておこう!

海上保安(ほあん)庁に採用(さいよう)されると,必要な知識(ちしき)を学ぶために,まず海上保安(ほあん)大学校または海上保安(ほあん)学校に入校します。学校では体力検定(けんてい)というものが行われ,さまざまな身体能力(のうりょく)(はか)ります。懸垂(けんすい)などの筋力(きんりょく)(はか)項目(こうもく)はあまりよい結果を出せませんでしたが,持久力(じきゅうりょく)があったので走るのは得意でしたし,何より水泳ではトップに近い成績(せいせき)を出せました。水泳を長くやってきて,「これだけは負けない」というものを得られたことは,(わたし)にとって大きな(かて)になっています。運動に(かぎ)らず,何か一つ,一生懸命(いっしょうけんめい)やり続けていることを持っておくと,きっと将来(しょうらい)みなさんの自信につながると思います。
(わたし)はここまで少し回り道をしましたが,最終的にはずっと目指していた海上保安(ほあん)官になることができました。目標が決まったら気合いを入れて,自分を(ふる)い立たせてください。確実(かくじつ)に目標に近づくことができると思います。みなさんにも,自分の(ゆめ)を決してあきらめることなくチャレンジし続けてほしいです。

  • 取材・原稿作成:東京書籍株式会社

私のおすすめ本

  • 聖の青春

    大崎善生

    大崎善生さんの作品の中でも特に気に入っています。難病に苦しみながらも,将棋一筋に生きる姿に感動します。映画化もされているので,ぜひ見てほしいです。

  • フェルマーの最終定理

    サイモン・シン

    大学在学中に読んだ本で,数多くの数学者が難問に挑む姿が克明に描かれていて、数学的な内容よりも,数学者の数学に対する熱い想いなどに焦点が当てられています。難問の解説書というよりは,熱い人間ドラマが感じられる作品です。