仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1971年 生まれ 出身地 東京都
小林こばやし 彩子さいこ
子供の頃の夢: 医師
クラブ活動(中学校): 地理班(旅行クラブ)
仕事内容
オフィスビルのかく・開発をする。げんざいは本社ビルえプロジェクトのプロジェクトマネジメントをたんとうしている。
自己紹介
じゅよう力があり,ねばづよせいかく。目立つことは苦手です。日本文化や所作を学び,生活に取り入れることが好きで,大学できゅうどうに入り,今はどうを習いながら,着物を着る機会を楽しんでいます。自然の中にいることも好きなので,休日は登山ととうの宿めぐりで体力と気持ちのリフレッシュをしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2019年01月16日)時点のものです

どんな建物をつくるかを考え,開発を進める

どんな建物をつくるかを考え,開発を進める

わたしけんせつかぶしきがいしゃというけんせつ会社で,不動産かく・開発の仕事をしています。不動産かく・開発とは,土地を買って,その土地にどんな建物やせつをつくったらよい街になるか考えたり,すでに持っている不動産をどう活用したらよいかを考えたりして,開発を進めていく仕事です。
わたしげんざいたんとうしているのは,自社であるけんせつ本社ビルのえ計画です。東京駅の東側にあるきょうばしという街にあり,このえ工事をふくむ開発プロジェクトは「きょうばしプロジェクト」とばれています。この「きょうばしプロジェクト」は,わたしたちの会社の本社ビルと,となりに建つながさか産業という会社のビル,そしてその周辺の道路せいなどをふくめたかいはつ計画です。ながさか産業さんのビルは2019年7月に,けんせつの本社ビルは2024年に完成する予定で,わたしはプロジェクトを取りまとめる「プロジェクトマネージャー」をしています。
社内でこのプロジェクトに関わっているのは約50人で,せっけいや工事,お金のことを考えるしょえいぎょうしょなど,さまざまな人が関わっています。また,それ以外にも工事に関するたくさんの会社にも協力してもらっています。さらに,新しく建つビルには文化せつも入る予定なので,文化やげいじゅつせんもんとする,さまざまな外部の協力会社や専門家ともれんけいしています。社内外の人たちとプロジェクトをいっしょに進めていくのが,わたしの仕事です。

さまざまな人と会いながら,物事を決めていく

さまざまな人と会いながら,物事を決めていく

わたしはプロジェクトマネージャーとして,さまざまな人と会って話をしながら,「どんなビルにしていくか」や,「どこにどれだけお金をかけるか」といったことを決めていきます。
今回のかいはつプロジェクトの場合,まずは全体こうそうえがき,ビルけんせつに必要な土地を買うために,その土地の持ち主の方たちと売買のこうしょうをするところから仕事が始まります。そして,何階建てでどんなせつのあるビルにするか,ビルを建てた後にどのようにしてうんえいしていくかといった計画を立てていきます。さらに道路のつくり方などについても役所とこうしょうをします。いろいろ決まったら,工事をて完成,という流れになります。
今回,新しく建てる地上28階,地下3階の本社ビルは,上部はオフィスになりますが,下部にはイベントホールやミュージアム,そして,わかげいじゅつやクリエイターをえんするためのせつなどの文化せつが入ります。わたしたちの会社はけんせつ会社ですし,アートに関してはくわしくなく,ギャラリーをうんえいしたこともありません。まったくつながりがなかったところから,アーティストやギャラリストといったせんもんの方たちにたくさんお会いして,この「きょうばしプロジェクト」にきょうをもって,かくうんえいに協力してくれる人をずっとさがしてきました。2年くらいかけて,ようやく協力してくれる方が見つかりそうです。
オフィスの一部にけんせつの本社が入り,それ以外はほかの会社にオフィスとしておしすることになります。このオフィスも,どんなふうにつくればテナントの会社さんが使いやすいかなど,考えながらせっけいしていきます。できるだけ,わたしたちが進めている文化事業や社会こうけん活動に共感していただけるような会社さんにおしできればと思っています。

相手の立場をそうぞうして希望を伝える

相手の立場を想像して希望を伝える

たくさんの人といっしょに話し合いながら仕事をするのは,大変なこともあります。相手の方にも立場があるので,それをそうぞうできないままに,こちらの希望だけを伝えるとうまくいきません。相手の立場を考えて,そのうえでこちらの希望を伝えることが必要です。
また,今回のプロジェクトには,さまざまな外部のせんもんも関わっていますが,せんもんの方にまかせるだけではなく,自分たちも考えしゅたいせいを持って動かないと,プロジェクトは進みません。特に大事な話し合いのときには,必ずプロジェクトマネージャーのわたしいっしょに行って,お話しするようにしています。
また,いっぱんてきな工事では,発注者,せっけいをする会社,じっさいに工事をする会社はそれぞれちがいます。でも,今回のプロジェクトは,自分たちの会社のビルを建てるので,これらをすべてけんせつで行うことになります。発注者はけんせつですが,せっけいや工事を行うのも,けんせつの中のしょです。同じ社内なのでスムーズに運ぶ面もありますし,同じ会社の身内だからこそ,話をまとめるのがむずかしい面もあります。例えば,今回,せっけいとしても,せっかく新しくできる本社だからりっなものにしたいという思いがありますが,りっなものにしすぎると,予算がふくらんでしまいます。ちょうどいいところをさぐるのですが,おたがいにしゅちょうがあり,おたがいに同じ会社の中の人間なので,みんながなっとくするけつろんを見つけるのに苦労することもありますね。

いきの人たちといっしょに街をつくる

地域の人たちと一緒に街をつくる

わたしげんざい,手がけているプロジェクトは,が大きく,やりがいを感じています。建物が建ったあとも,いきれんけいして,この場所を文化げいじゅつきょてんとしてげていくつもりです。建物をつくるというよりは,ひとつの街をつくっているような感覚です。
きょうばしは,時代から続く歴史のある街で,せん代々,ずっと長く住んでいる方もいます。そういった方たちといっしょに街のにぎわいをつくっていきたいなと思っています。けんせつでは,もともと地元の方々との交流は大切にしていて,地元のお祭りである「さんのうまつり」には,毎回,会社ぐるみで参加をしています。わたしはこのプロジェクトに関わることで,よりいっそう,いきのつながりの大切さを実感しました。さんのうまつりではわたしもハチマキをいて,会社のみんなといっしょにおみこしをかついでがっていますよ。
また,わたしは会社に入って最初の2年間はげんかんとくとして,げんで働いていました。だから,けんせつげんに出て,じっさいに工事をしている人たちと打ち合わせをするのは今でも楽しい時間です。作業を進めるスピード感や,いいものをつくろうとがんっている感覚が合うんですね。

まずは自分で体験することで,説得力が生まれる

まずは自分で体験することで,説得力が生まれる

だんから,「必要とされる人」に,さらに,「いっしょに仕事をしてよかったと言ってもらえるような人」になりたいと思ってきたので,とにかくいっしょけんめいに取り組むことをモットーにして,いっしょに仕事をする上司やどうりょうへのけいかんしゃわすれないようにしています。自分にできることは何かをつねに考え,じょうきょうはんだんしてりんおうへんに行動することも心がけています。
また,どんなことも自分で動いて,けいけんすることで初めて,ほかの人への説得力やむ力が生まれます。そのため,まず自分で動いてみる,けいけんしてみるということを大切にしています。作業のどんなところが大変なのか,じっさいに自分でやったことがあれば,人にするときにも,ちゃんと伝えることができます。今のプロジェクトでも,外部の人との話し合いを部下や外部の会社にまかせきりにせず,最初はまずわたしが自分で動くなど,「まず自分でやってみる」ことを心がけています。

都市計画の仕事をしたいとけんせつ会社へ

都市計画の仕事をしたいと建設会社へ

高校生ぐらいのころから古い民家けんちくや寺社ぶっかくへのきょうき,さらにヨーロッパ旅行で目にした中世の街の美しさにかれて,大学はけんちく学科に進みました。街に愛着を持って大切にしている人がいるという文化や歴史を,ヨーロッパ旅行で感じることができました。
学生時代は,しょうらいは都市計画やけんちくせっけいたずさわれたらと思っていました。街や建物といった大きなものづくりで,だれかの役に立ちたかったのです。けんせつさいようされて,まずは,げんかんとくを2年けいけんし,それからせっけいの仕事を約10年けいけんしたあと,けいえいてんから人や事業のマネジメントができるようになれたらと思い,会社のせいを利用して,大学で改めてけいえいの勉強をしました。その後,管理本部という,会社のけいえいを考えるしょに入り,そこで「不動産事業部」というしょの立ち上げをたんとうしました。それまでは,けんちくや土木で別々にそんざいしていた不動産の事業をまとめて,ちゃんとお金をかせぐためのしょとしてどくりつさせました。しばらくして,その自分で作った不動産事業部にうつることになり,げんざい,手がけているきょうばしプロジェクトにたずさわるようになりました。

小さいころから自分で手を動かすのが好き

小さいころから自分で手を動かすのが好き

小学生のときは特に目立たない子でした。ぜんそくもあって運動はあまりできなかったのですが,勉強だけはがんばって中学受験をしました。受験が終わるまでは遊ぶのをまんしていたので,そのけいけんのおかげでねばづよせいかくになったと思います。また,小学生のときから父の日曜大工を手伝っていたためか,ものづくりや,自分で手を動かすことが好きになりました。
実はわたしが今住んでいる家は,自分でせっけいしました。たくのメンテナンスもほんてきに何でも自分でやります。ベランダのデッキを直したり,へいえたり。家を建てるときは最初から100%を目指すのではなく,8わりぐらいの完成度を目指して,あとは住みながら,100%,120%の空間になるよう,自分でどんどん住みやすくなるようなふうをするのがいいんです。建てて終わりではなくて,その後もどうすればより住みやすくなるかを考えるというのは,今,たずさわっているプロジェクトでも同じかもしれません。今のプロジェクトでも,建てた後にどういきげていくかが大事になりますから。

いろんな“初めて”にちょうせんしてみよう

いろんな“初めて”に挑戦してみよう

だれにでも“初めて”があります。“初めて”に直面してもわずぎらいをせずにちょうせんして,たとえ小さくても,できたときの喜びを知ってもらいたいです。わたしも大学に入ったときにきゅうどうを始めてみたり,着物の着付けができるようになったり,新しいことにちょうせんすることが好きです。
また,どんなことからも学びや気づきは得られます。一見,意味がなさそうな作業をするように言われたとしても,それをやることの意味や目的,ふうの仕方などを自分なりに考えながら取り組むと,思ってもみなかった楽しさが見つかると思います。
けんせつ業界は,きれいな仕事ばかりではないし,暑かったり寒かったり大変ですが,こんなに大きなモノを作ることができる仕事はほかにありません。また,そのビルを建てるためにおおぜいの人やお金を管理して,ものを調達して,順調に進むようにする「プロジェクトマネジメント」のぎょうについては,けんせつ業界が一番,やりがいがあると思います。スーパーマンになりたい人は,ぜひけんせつ業界を目指してみてください!

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ヴィクトール・E・フランクル
心理学者である著者が,自身のナチス強制収容所での体験を書いた本です。絶望的な状況にあっても生きる目標を見出し,好奇心で自らを支えながら耐え抜いた著者の精神力に驚きます。他人が決して壊すことのできない“人が持ち得る力”があることや,好奇心や探究心が常に人を前向きにさせることを知り,勇気をもらいました。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:一般社団法人 日本建設業連合会,戸田建設株式会社