仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1970年 生まれ 出身地 東京都
小口おぐち 美奈みな
子供の頃の夢: 保育士
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
犬とぬしとがストレスなくがおで生活できるためのお手伝いをする。
自己紹介
るのが大好きです。休みの日はゴロゴロして愛犬とごしています。野球シーズンは高校野球から社会人野球まで見るほど大好きです。「Don’t worry, be happy!(心配しないで、楽しくやろう!)」をモットーにしています。
出身大学・専門学校
なし

※このページに書いてある内容は取材日(2023年01月13日)時点のものです

犬が「家族の一員」となるためのお手伝い

犬が「家族の一員」となるためのお手伝い

わたしは、東京都あらかわにある「Doggy Heart(ドギーハート)」というお店をけいえいし、家庭犬をたいしょうとしたドッグトレーナーをしています。犬を家族として家庭にむかれる方はとてもえていますが、その一方で「犬との生活がうまくいかない」「コミュニケーションがうまくとれない」「みぐせなどの問題行動が直らない」というなやみをかかえる方もいます。特にしんがたコロナウイルスの流行こう、新たに犬をい始める方が多いのですが、犬をったけいけんがないためにまどう方や、い始めてしばらくするとざいたくきんから出社きんになってしまい「犬だけでおばんがうまくできない」というなやみが出てくる方もいます。また、他の犬とコミュニケーションがうまくとれず、散歩中やドッグランなど、他の犬がいる場面でトラブルを起こしてしまうケースもえています。
そのようななやみを持つ方々がうまく犬と生活できるよう、ほんてきなしつけなどのお手伝いをするのが、わたしのような家庭犬トレーナーのやくわりです。ドギーハートではてんに連れてきていただき、日中に犬をおあずかりして、おこまりごとに対してのしつけやトレーニング、遊びながら犬どうの交流にれてもらう「犬のいくえん」を行っています。また、いくえん利用者の方がたいしょうとなりますが、しゅっちょうかんこんそうさい、旅行などでざいにするときに犬をおあずかりする「犬のホテル」や、ごたくにうかがってしつけやトレーニングを行う「しゅっちょうトレーナー」も行っています。

人間と犬、そうほうが不幸にならないためのトレーニングを

人間と犬、双方が不幸にならないためのトレーニングを

ドギーハートは、平日は9時から18時までのえいぎょうで、そのえいぎょう時間内にぬしの方が「いくえん」に犬を連れてきておあずかりする形です。午前中にその日、おあずかりする犬がそろうと、しばらく遊ばせてからいったんクレート(キャリーカート)で待機してもらい、1頭ずつ順番にトレーニングをしていきます。また、「いくえん」で練習したことを家庭でも練習していただきたいので、ぬしの方にアドバイスなども行います。
わたしがトレーニングで犬に必ず教えるのは「おすわり」と「待て」、そして「アイコンタクト」です。特に「待て」ができるようになれば、犬自身がこうふんしていても、しきつうじょうたいもどすことができます。こうふんしたままだと、かくしたり、んだりという行動に出てしまうこともあります。人間と犬、そうほうにとって不幸なじょうきょうにならないためにも、これはしっかりと教えていきます。
犬のトレーニングにもいろいろな考え方があり、「きびしく、たくさんの訓練をしてほしい」と求める方もいらっしゃいますが、わたしは家庭犬に関してはこれらさいていげんのしつけができていて、ぬしの方との生活にしょうがないのであればいいのではないか、という考え方です。きびしい訓練を求める方には、けいさつけんなどを育成する「訓練所」をごていあんすることもあります。

犬だけでなく、ぬしの方とのコミュニケーションも重要

犬だけでなく、飼い主の方とのコミュニケーションも重要

「犬と関わる仕事がしたい」と思って始めた仕事なので、大変だなと思うことは少ないです。しつけがうまくいかない犬や、コミュニケーションがむずかしい犬がいたとしても、ぎゃくに「犬から学ばせてもらっている」という気持ちが大きいです。
ただ、年末年始やゴールデンウイーク、シルバーウイークなどおおがた連休やきゅうのときには「ホテル」がはんぼうになります。犬はかんきょうの変化にびんかんで、「ホテル」だとどうしてもストレスをかかえてしまいますから、夜も目がはなせません。そういう点では大変な時期はありますね。
また、いくら「問題行動をなくしたい、きちんとしつけを身につけてもらいたい」と思っていても、ぬしの方にその気持ちがないと、うまくいかないこともあります。大半のぬしの方は、家庭に帰ってからもアドバイス通りにじっせんしてくれますが、その時間がなかなかつくれずに、こちらに「すべておまかせしたい」という方もいます。家庭でのトレーニングの大切さをどうわかっていただくか、ぬしの方とのコミュニケーションも仕事の中では重要なポイントですね。

犬の変化やぬしの方がよろこ姿すがたは何よりもうれしい

犬の変化や飼い主の方が喜ぶ姿は何よりもうれしい

あずかりしている犬が変わっていくしゅんかんのあたりにできる、それがドッグトレーナーという仕事の何よりのりょくです。人間が苦手な子が近づいてくれて、手からおやつを食べてくれるようになったとき、できなかったことができるようになったとき……。そういうときのよろこびは、何物にも代えがたいです。
わたしの行っているトレーニングは、うまくできたらおやつなどの「ほうしゅう」をあたえ、ほめてばしていくタイプのものなので、どうしても時間はかかります。でもそうやって時間をかけてトレーニングをしていく中で変化が見えてきたとき、ぬしの方から「先生、うちの子が変わりました」「家でまなくなりました、問題行動がりました」など、かんしゃの声をいただいたときは「この仕事をやっていてよかったな」と心から思います。ぬしの方の中には、そういった感想をSNSなどにとう稿こうしてくださる方もいらっしゃるので、そういうものを読むときも、すごくうれしいです。

犬とのしんらい関係をしっかりつくり、うららないこと

犬との信頼関係をしっかりつくり、裏切らないこと

仕事をするうえで何よりも大切にしているのは「犬をうららない」ということです。具体的には、犬の気持ちを第一に考えて、無理をさせないことを心がけています。人間も同じだと思うのですが、「やりたくない」というときもありますよね?今日はつかれ気味なんだな、トレーニングをやりたくないんだな、というのが見えたときは、無理をさせません。ぬしの方が結果を求める気持ちもわかりますが、無理をさせることで、いくえんきらいになってほしくない、というのが第一です。犬とのしんらい関係をつくるためには、「やってほしくないことを無理やりやる/やらせる」というのは一番よくないと思います。例えば体にさわられるのが苦手な子もいますから、そういう犬を無理やりっこしてしまうのはよくありません。もしもっこできるようにしたいなら、時間をかけてしんらい関係をこうちくしてからです。
そのためにも、この仕事に必要なのはあきらめない根気強さと、犬をしっかりと観察することです。犬は人間の言葉を話すことはできませんが、こわいなと思ったら顔をそらす、ストレスを感じたりこうふんを静めたりするときはあくびをする、など、「カーミングシグナル」という、かんじょうを表すサインを出しています。そういったものを学び、犬が今どう思っているのかきわめていくことが重要です。

「犬のために何ができるか」という思いからトレーナーの道に

「犬のために何ができるか」という思いからトレーナーの道に

もともと犬は大好きで、けっこん・出産後に念願かなってい始めましたが、病気で早く死んでしまいました。それがトラウマになっていたのですが、ひょんなことから9年前に犬をむかれることになりました。今は2頭の犬といっしょらしているのですが、先代の犬の思い出もあり、自分はこの子たちに何をしてあげられるだろう、長生きさせるためにはどうしたらいいだろう、と考える中で「犬のことをもっとよく知りたい」という気持ちが芽生え、ドッグトレーナーのアカデミーに通うことにしました。
出産後は今の仕事とは全く関連がない仕事をしていたので、ドッグトレーナーをしょくぎょうにしようとは考えていませんでした。しかしアカデミーの実習でトレーニングを行っていると、犬のなおさやじゃさ、目の前で犬が変わっていく姿すがた、そしてぬしの方がよろこんでくれる体験から「ドッグトレーナーって楽しい!」と思うようになりました。半年でアカデミーを卒業した後はしゅっちょうトレーナーとして活動していたのですが、夫や子どもたちもおうえんしてくれたことから、犬のいくえんやトリミングサロン、犬のホテルなどをけているせつしゅうしょくしました。そこで6年間、働いてけいけんを積み、2021年にげんざいのお店をオープンしました。
ドッグトレーナーはわたしのように、けいけんでも、あるていねんれいていてもちょうせんできるしょくぎょうです。わかい方だと、せんもん学校で学んでからわたしが以前つとめていたようなせつしゅうしょくするという道がいっぱんてきだと思います。また、けいさつけんもうどうけんなどの「くんれん」になりたい方の場合は、けいさつかんとして国家こういん試験を受ける方のほか、民間の訓練所などにしゅうしょくする方もいます。

人と関わるのが好きで、ゆめは「いく

人と関わるのが好きで、夢は「保育士」

とにかく友達が多く、活発な子どもだったと思います。生まれたのも育ったのもあらかわで、「あらかわゆうえん」は庭のようなものでした。学校が終わると友達と遊びに行ったり、夏はプールに行ったりしていました。動物も好きでしたが、小さい子どもたちといっしょに遊ぶのも好きだったので、中学生のときのゆめは「いく」でした。わたしたちの世代は、いくぼうしゃくらべてさいよう人数が少なく、しゅうしょくむずかしい時代でしたので、そのゆめはあきらめてしまいましたが。人と関わることが好きだということ、お話をするのが好きだということは、今の仕事に役立っていると思います。前にもお話をしたように、ドッグトレーナーは犬とだけせっしていればいいというわけではなく、ぬしの方とのコミュニケーションも大切なようの一つですから。

「動物と関わる仕事」にはたくさんのせんたく

「動物と関わる仕事」にはたくさんの選択肢が

今、「動物に関わる仕事がしたい」と思っている人にお伝えしたいのは、「いろいろなせんたくがあるよ」ということです。わたしのようなトレーナーはもちろん、じゅうや動物かん、動物園のしょくいん、ブリーダーやペットショップの店員、ペットホテルスタッフや動物関連ぎょうなど。ほかにペットフードやペットのためのグッズ開発なども「動物と関わる仕事」ですよね。いろいろな形で動物に関わることができます。だからまずは自分がどういう形で動物と関わりたいのかを考えて、おうちの方としっかり相談して進路を決めてください。
そして、今やりたいことがしょうらいてきに変わっていってもだいじょうだと、わたしは思います。わたしのように、子育てをしながらドッグトレーナーとしてどくりつした人間もいますから、なんさいになっても「やりたいこと」は見つけられるし、かなえられると思います。だからこそ、「動物に関わる仕事をしたい」という気持ちがあるなら、そのゆめをあきらめないでほしいなと思います。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫