• 東京都に関連のある仕事人
  • 出身地 東京都

シューズブランドディレクター

宮部みやべ 修平しゅうへい

  • 子供の頃の夢

    弁護士

  • クラブ活動(中学校)

    映画研究部

  • 仕事内容

    自社ブランドに関するものなら何でもつくる。

  • 自己紹介

    ものすごく好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)です。スポーツ観戦は好きですが、運動は苦手です。

  • 出身大学・専門学校

    桑沢デザイン研究所

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2017年02月09日)時点のものです】

宮部 修平


仕事人記事

“運転を楽しむための(くつ)”をつくる

“運転を楽しむための<ruby><rb>靴</rb><rp>(</rp><rt>くつ</rt><rp>)</rp></ruby>”をつくる

(わたし)の実家は,祖父(そふ)の代から紳士(しんし)(ぐつ)などを製造(せいぞう)する会社を(いとな)んでいました。車好きだった(わたし)の父の代からは,自動車の運転用に特化した「ドライビングシューズ」の製造(せいぞう)を始めました。(わたし)はその(あと)()いで「NEGRONI(ネグローニ)」というドライビングシューズ・ブランドを立ち上げ,経営(けいえい)しています。
ドライビングシューズは,アクセルやブレーキを()むときの感覚を足でしっかりとつかめるよう,一般(いっぱん)的な(くつ)(くら)べて底が(うす)いのが特徴(とくちょう)です。また,運転時はかかとを支点(してん)にして足を左右に動かすので,かかとの部分は特に丈夫(じょうぶ)につくられ,動かしやすいように丸くカーブしています。ネグローニのドライビングシューズは,こういった機能(きのう)(せい)徹底(てってい)的に追求する一方で,街歩きにも最適(さいてき)なスタイリッシュさを(そな)えています。ドライビングシューズでありながら洗練(せんれん)されたルックスを持ち,いざ運転するときには抜群(ばつぐん)機能(きのう)(せい)発揮(はっき)するところが,このブランドの一番のこだわりです。

ブランドのすべてに関わる仕事

ブランドのすべてに関わる仕事

(わたし)役職(やくしょく)は「ブランドディレクター」という名前ですが,仕事の内容(ないよう)が細かく決まっているわけではありません。(くつ)のデザインや製作(せいさく)にとどまらず,できあがった製品(せいひん)展開(てんかい)の仕方や,ブランド全体の将来像(しょうらいぞう)にいたるまで,ブランド経営(けいえい)に関わるあらゆることに(たずさ)わります。会社のスタッフが(こま)ったときにサポートするのも,(わたし)役割(やくわり)です。さまざまな業務(ぎょうむ)を何でもこなす器用さが求められる仕事ともいえます。
ネグローニでは,(かわ)の加工を自分たちで行うことが多いのも特徴(とくちょう)です。(わたし)は,どんな(かわ)を使ってどんな製品(せいひん)に仕上げようかという企画(きかく)も行っています。そして,できあがった製品(せいひん)のプロモーションを手がけ,百貨店に出展(しゅってん)し,お客さまに直接(ちょくせつ)販売(はんばい)することもあります。この仕事を始める前は,グラフィックデザインや編集(へんしゅう)の仕事をしていたこともあり,ネグローニのウェブサイトも自分で制作(せいさく)しています。できることは何でも自分でやってしまうのが,(わたし)のやり方です。

ドライビングシューズ一色の毎日

ドライビングシューズ一色の毎日

(わたし)(たずさ)わっている業務(ぎょうむ)多岐(たき)にわたるので,何かをやり(わす)れているのではないかと心配になることがあります。うちのスタッフはいつも,(わたし)が何かを(わす)れているんじゃないかと不安なようで,何かにつけて「あの(けん)(わす)れていないですよね?」などと念を()されます。やることがたくさんありすぎて時間がないのも(こま)ったものです。
車の運転に特化した(くつ)をつくっているのに,普段(ふだん)はなかなか時間がなく,車で出かけることは少なくなってしまいました。でも,たまに友人と車で遠出をすると,やはりとても楽しいです。そんなときも,つい足の感覚に意識(いしき)を集中させて,(くつ)の具合を(たし)かめてしまいます。
もともと写真を()ったり文章を書いたりするのが好きでしたが,今はそれがすべて仕事に生かされていますね。最近は映像(えいぞう)の勉強もしていて,それもいずれ,この仕事に役立つことになりそうです。

一からものをつくり上げる魅力(みりょく)とは

一からものをつくり上げる<ruby><rb>魅力</rb><rp>(</rp><rt>みりょく</rt><rp>)</rp></ruby>とは

新しい(くつ)をつくるとき,まず,頭の中に完成イメージを思い(えが)きます。それをもとに色々(いろいろ)素材(そざい)製法(せいほう)を試していくのですが,最終的に自分のイメージ通りのものができあがった瞬間(しゅんかん)は最高に気持ちがいいですね。あまりの(うれ)しさに,サンプルの(くつ)を家に持ち帰って,一晩中(ひとばんじゅう)(なが)めてしまうことがあります。実際(じっさい)製品(せいひん)だけではなく,ウェブサイトをつくるときも同じ高揚感(こうようかん)があります。イメージに合った写真を()り,魅力(みりょく)あるコピーを考えるのは至難(しなん)の業ですが,「こんな風に見せたい」というビジョンを形にできると本当に(うれ)しいですね。
自分がつくりたいと思ったものを実現(じつげん)させるまでの道のりは,長くつらいものです。でも,決してあきらめることなく努力を続けていくと,どこかで一気に飛躍(ひやく)できることがあります。そして,その先に待っている喜びは何物にも代えがたく,この仕事の一番の醍醐味(だいごみ)です。
ものをつくるとき,(わたし)が大切にしている基準(きじゅん)は「自分が本気でいいと思えるものかどうか」です。「あまりよくないな」と思っているものをお客さまに(すす)めても,全く説得力がありませんし,まず売れません。自分が心からいいと思えるものを日々(ひび),追求しています。

ものづくりは,観察・実験・検証(けんしょう)の積み重ね

ものづくりは,観察・実験・<ruby><rb>検証</rb><rp>(</rp><rt>けんしょう</rt><rp>)</rp></ruby>の積み重ね

子どもの(ころ)から,目に(うつ)色々(いろいろ)なものを細かく観察する習慣(しゅうかん)があり,興味(きょうみ)の対象が際限(さいげん)なく広がっていくタイプでした。一方で,ひとつのものに集中して取り組むことはあまりありませんでした。そんな性格(せいかく)のせいか,この仕事を始めた(ころ)は,「ドライビングシューズ」というのがあまりに(せま)いジャンルだと感じられて抵抗(ていこう)もありましたが,あるとき「ドライビングシューズにつながるなら何に挑戦(ちょうせん)してもいいんだ」と気がついたのです。
例えば,“チャッカブーツ(デザートブーツ)”という種類の(くつ)がありますが,もともと砂漠(さばく)用で,(すな)が入らないよう()き口にガードがあります。歩きやすいものの,車に乗ってペダルを()むと,かかとの部分が足に食い()んでしまい,運転には向かない。そこで,ぎりぎりまでかかとを低くしてみれば運転しやすい(くつ)になるのではと考えたんです。そこでシンプルにかかとの部分を低くしたものをドライビングシューズとしてデザインし,つくったところ,大好評(こうひょう)で,海を()えて,イギリスの雑誌(ざっし)にも取り上げていただきました。
ものづくりにあたっては,観察・実験・検証(けんしょう)のサイクルを一番大切にしています。さまざまなものを日頃(ひごろ)から観察し,自分で動いて実験し,出た結果を検証(けんしょう)します。なかでも観察は重要で,ここで間違(まちが)えると実験・検証(けんしょう)でよい結果は望めません。(しつ)の高い観察に始まって,観察・実験・検証(けんしょう)のサイクルをいかにスピーディーにやっていくかが自分の仕事だと思っています。

家業を()いで初めて分かったこと

家業を<ruby><rb>継</rb><rp>(</rp><rt>つ</rt><rp>)</rp></ruby>いで初めて分かったこと

専門(せんもん)学校を卒業した後,接客業(せっきゃくぎょう)()いたり,写真家の事務(じむ)所に所属(しょぞく)したり,雑誌(ざっし)編集(へんしゅう)したりと,色々(いろいろ)職業(しょくぎょう)経験(けいけん)しました。でも,「靴屋(くつや)の息子」でしたから,いつかは(あと)()がなければいけないという気持ちもあり,紆余曲折(うよきょくせつ)()て,今から6,7年ほど前に家業を()ぐことになりました。
いざ実家の会社に入ってみると,意外なことがたくさんありました。中でも大きな発見は,父の姿(すがた)です。(わたし)はこれまで父のことを,能率(のうりつ)ばかり重視(じゅうし)する人だと思っていたのですが,本当は,遊び心にあふれたものづくりをしていることに気が付いたんです。(わたし)たちがつくっている(くつ)は,車に乗って思い切り羽を()ばす休日を,もっともっと楽しむためのもの。大人を楽しませるためには,こちらも熱い気持ちを持っていないといけません。(わたし)は今でも,父のように純粋(じゅんすい)好奇心(こうきしん)を持ってものづくりをしようと心がけています。
(わたし)のように,将来(しょうらい)的に家業を()境遇(きょうぐう)にある人は少なくないと思います。()げたくなるかもしれませんが,「あえてやってみる」のもひとつの手です。もしうまくいかなくても,その後どうするかは自分で決められますし,()げずにやってみたら案外面白いことに出会えるかもしれません。

好奇心(こうきしん)いっぱいの少年

<ruby><rb>好奇心</rb><rp>(</rp><rt>こうきしん</rt><rp>)</rp></ruby>いっぱいの少年

(おさな)いころはとても物静かでしたが,好奇心(こうきしん)だけは人一倍強い子どもでした。学校が家から遠かったので,色々(いろいろ)な虫を(つか)まえたりしながら,毎日長い距離(きょり)を歩いていました。目的を定めずに歩き回るのも好きで,カメラを手に,路地の(うら)などの気に入った風景をたくさん()ったりもしていました。大きくなってからは,電車に乗って,何の用事もない駅で()りてみることもありました。好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)性格(せいかく)は子どもの(ころ)から変わっていませんね。
手先を動かすことも小さいときから好きでした。当時はプラモデルがはやっていて,自動車や飛行機のプラモデルを組み立てて,細かく色を()って仕上げていましたね。こういった作業はとても楽しかったですし,ち(みつ)なメカニズムを追求して物をつくる,今の仕事にも通じているように思います。

今の学びが自分の将来(しょうらい)をつくる

今の学びが自分の<ruby><rb>将来</rb><rp>(</rp><rt>しょうらい</rt><rp>)</rp></ruby>をつくる

今,みなさんが勉強していることは,大人になったらきっと役に立つときが来ます。たとえば,国語の力。最近はどんな職業(しょくぎょう)でも,メールや対面でコミュニケーションを取るシーンがどんどん()えています。商品紹介(しょうかい)のコピーを書くときにも,文章で表現(ひょうげん)する力が役立ちますね。
また,(わたし)必需品(ひつじゅひん)に,精密(せいみつ)カッターとキリを合わせたような道具があります。型紙を切り取ったり,(くつ)のスエードを整えたり,色々(いろいろ)用途(ようと)に使いますが,道具の(あつか)い方自体は,子どもの(ころ)に手先を動かすことで自然と身に付いたものです。これからの時代,コンピューターなどのデジタル機器がますます重要になる一方で,このような一見地味でアナログな手作業も大切にしなければいけないと思います。
そして,みなさんの目の前にあるものは,何だってつくることができるのを(わす)れないでください。どんなものでも,それをつくった人が必ず存在(そんざい)するんです。例えば大きなビルだって,人がつくりあげたものです。途方(とほう)もないように思えても,決してあきらめずに挑戦(ちょうせん)してください。
何のためにやっているのか分からないと,続けていくのが大変だと思いますが,「こうなりたい」というビジョンを(えが)きながら,色々(いろいろ)なことに挑戦(ちょうせん)し,自分の得意なことを見つけてほしいと思います。

  • 取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫

私のおすすめ本

  • 怪人二十面相シリーズ

    江戸川 乱歩

    小学校の図書室に並んでいて,表紙が不気味で気になっていました。借りて読んでみたらハマってしまい,次から次へと読み進めた思い出があります。

  • 江戸の天才発明家 平賀源内

    ムロタニ ツネ象

    平賀源内は江戸時代の天才発明家ですが,とにかくすごい人です。広告システムを初めてつくってしまった人で,土用の丑の日を始めたのもこの人と言われています。小説も書くし画も描くマルチな才人で,クリエイティブな面において,とても尊敬しています。