仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
出身地 山梨県
八田はった しげる
子供の頃の夢: テレビ番組プロデューサー
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
オリンピック選手の進路指導の先生
自己紹介
つねに新しいことにチャレンジし、失敗をおそれない

※このページに書いてある内容は取材日(2015年03月08日)時点のものです

選手たちの就職しゅうしょく支援しえんする「アスナビ」

選手たちの就職を支援する「アスナビ」

JOCはオリンピックを目指す選手の強化事業として,2008年から「キャリアアカデミー事業」を,そして2010年からは,トップアスリートの就職しゅうしょく支援しえんする「アスナビ」事業をスタートさせました。高校や大学を卒業しても競技きょうぎを続けたいと願う選手にとって,毎日のトレーニングや海外へ遠征えんせいするための活動費や生活費を得ながら競技きょうぎを続けるのは大変なことなのです。「アスナビ」では,そんな選手たちのために就職しゅうしょく支援しえんしています。そこで,わたしの仕事は,競技きょうぎ活動に理解りかいしめしてくれる会社を見つけたり,就職しゅうしょくを希望する選手の相談に乗ったり,会社への説明会を開いて選手が競技きょうぎ生活に集中できるようにサポートをすることです。

選手たちのなやみ相談から支援しえんが始まる

選手たちの悩み相談から支援が始まる

「大学を卒業しても競技きょうぎを続けたい」「就職しゅうしょく活動はどうすればいいのか」「支援しえんしてくれる会社をどうやってさがせば良いのか」選手たちのそんななやみを聞いて相談に乗るのが「キャリアカウンセリング」です。毎月10~15人ほどの選手の相談に乗っています。次に,自分のことを会社にどのようにアピールするか,会社の支援しえんはどのようにすれば獲得かくとくできるのか,といった研修けんしゅうに参加してもらいます。このような研修けんしゅうは年中実施じっししています。そして,地方行政ぎょうせい経済けいざい団体だんたいの協力のもと,地域ちいきの会社に声をかけて,説明会を開催かいさいします。そこでは,選手たちに自己じこアピールをしてもらい,会社と選手を結びつけていきます。2020年の東京オリンピックが決まってからは,沢山たくさんの会社からの問い合わせがありますね。特にパラリンピック選手への問い合わせがえました。多くの人に協力してもらっていますから,わたしは年中外出することが多いです。選手の研修けんしゅうがある日は,帰宅きたくするのが夜の12時をぎることもあります。

就職しゅうしょく活動は苦手という選手が多い

就職活動は苦手という選手が多い

選手は長い間,競技きょうぎに集中して生活しています。ですから就職しゅうしょく活動で,どのように自己じこアピールすれば良いのか分からず苦手だという選手が沢山たくさんいます。そういう意味で,社会人として基本きほん的な事から選手へ指導しどうを始めますので,とても大変ですし,むずかしい面もあります。さらに,このような内容ないようは,競技きょうぎについて日頃ひごろから指導しどうしているコーチも知らなかったり,指導しどうできなかったりという事が多く,選手の戸惑とまどいも大きいと思います。また,就職しゅうしょくさせてくれる会社には,その選手を採用さいようした場合にどのようなメリットがあるのか,その選手はどのような貢献こうけんができるのか,説明をすることも大変ですし,理解りかいしていただくのは簡単かんたんなことではありません。

選手の活躍かつやくで会社や地域ちいき活性かっせい

選手の活躍で会社や地域が活性化

オリンピックを目指す選手は一流のアスリートです。競技きょうぎへの自信や勇気,行動力があります。そんな人たちと親密しんみつにコミュニケーションをとり,進路指導しどう就職しゅうしょく支援しえんをしていると,私自身わたしじしんも大きな刺激しげきをもらえます。気持ちがわかくなりますね。さらに,選手が活躍かつやくすることで,就職しゅうしょく先の会社のみなさんが喜び,それをきっかけに,社内ががったり,新しい事への挑戦ちょうせんが始まったりという話を聞くと,とても満たされた気持ちになります。選手を採用さいようしたことで,オリンピックを通じて社員が一丸となって応援おうえんできたとか,お客様や地域ちいききこんで一体感が生まれたといった感想をもらうと,この仕事をしていて本当に良かったとしみじみ思います。JOCのスタッフとして,このような形でオリンピックやスポーツの素晴すばらしさをみなさんに知っていただけるのは,とてもうれしいことなのです。

失敗をおそれない,それがわたしのポリシー

失敗を恐れない,それが私のポリシー

オリンピックは世界が注目する華々はなばなしいイベントです。ですが,目立つのはごく一部の有名選手たちです。中には全く注目されない無名の選手もいますし,競技きょうぎ自体があまり知られていない事もあります。プロ選手への道が無い競技きょうぎもあります。そんな選手たちの将来しょうらいへだてなくサポートするのが,わたしたちの仕事です。裏方うらかたですし,地味な仕事です。仕事をする中で,わたしつねに思っていることがあります。それは新しい仕事をするときは,その仕事にふさわしい新しい仕組みを考え,失敗をおそれずに進めていくことです。わたしは,オリンピック選手,パラリンピック選手の就職しゅうしょく支援しえんする仕組みづくりをしてきました。もちろん新しい仕事や仕組みづくりには失敗はつきものです。でも失敗してもめげないし,おそれない。それがわたしのポリシーです。

自然の流れで転職てんしょく。Jリーグが運命の出会い

自然の流れで転職。Jリーグが運命の出会い

大学を卒業してリクルートという会社に入社し,就職しゅうしょくをサポートする仕事をしていました。その関係で2001年に引退いんたいするJリーガーの就職しゅうしょく支援しえんする仕事にたずさわったのです。ヨーロッパなどでは,引退後いんたいごの選手を支援しえんするしっかりとした仕組みがあり,長い歴史があります。日本よりもずっと進んだ内容ないようです。その仕組みを参考に,Jリーグでも同様のことができないかと相談されたのです。当時のJリーグの代表だった川淵かわぶちチェアマンから「日本のスポーツをゆたかにするためには必要な取り組みだ」という熱い説得を受け,引退いんたいしたJリーガーの就職しゅうしょく支援しえんを必死になって頑張がんばりました。その後,今度はJOCからオリンピック選手のために同じような取り組みができないか,協力してほしいという話が来て,現在げんざいの仕事をすることになったのです。

子どものころは世界中へ行く事がゆめ

子どものころは世界中へ行く事が夢

小さなころはやんちゃな子どもでした。幼稚園ようちえんに行っても先生の言うことは聞かないし,小・中学生のときは,おしゃべりばかりで授業じゅぎょうを聞かず,よく注意されました。そのころ,テレビでは,海外の紹介しょうかいや世界を冒険ぼうけんする番組が多く,わくわくしながら見ているうちに,他の国へ行って何かしたいなあと漠然ばくぜんと思うようになりました。すると友人から,テレビ番組の制作者せいさくしゃになれば,世界各国に行けるかもしれないと聞かされ,海外を取材する番組制作せいさく者になりたいと思うようになったのです。結局,そのゆめは大学生の時に消えてしまいましたが,そんなボクのゆめを二人のむすめかなえて,現在げんざい二人とも海外に住んでいます。

もっと世界に目を向けよう!

もっと世界に目を向けよう!

これまで,進路指導しどう就職しゅうしょく指導しどうを通して,その会社がどのような人を採用さいようし,どのような仕事をしているのか,30数年間ずっと見てきました。その間にさまざまな社会の変化がありました。そして,これからの10年から20年後は,さらに世界は大きく変化します。ぼく経験けいけんから言えるのは,わかい人にはもっと世界に目を向けてほしいということです。実際じっさいに海外へ行き,見たりれたりすると世界観が大きく変わると思うのです。世界に出て,いろいろな国に友人を作ってください。特にオリンピック,パラリンピックは世界規模きぼで行います。2020年はすぐ近くまで来ています。「Think global, Act local(シンクグローバル,アクトローカル)」という言葉があります。みなさんにはむずかしい言葉かもしれませんが,ぜひ調べて行動してみてください。

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取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫