仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1989年 生まれ 出身地 東京都
佐藤さとう 正太郎しょうたろう
子供の頃の夢: サッカー選手
クラブ活動(中学校): サッカー部
仕事内容
じゅうぎょういんのみんなをまとめて、おいしいかいせんどんを作る。
自己紹介
勉強も遊びもゲームも、けいぞくすることがとくです。休日は子どもと出かけるのが楽しみです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年09月26日)時点のものです

つきじょうがいじょうで、せんが命のかいせんどん屋をけいえい

築地場外市場で、鮮度が命の海鮮丼屋を経営

わたしは、「かぶしきがいしゃ しょうろう」という会社の代表をつとめています。東京都中央区にあるつき場外市場で「つきろう」というお店を開いており、わたしけいえいをしながら、料理人としても働いています。
つきろう」では主にかいせんどんていきょうしていて、およそ20種類、かいせんどんのメニューがあります。例えば、大トロやエビ、ウニなどがのった「ろうどん」、サーモンとイクラがのった「おやどん」などがあります。中でもマグロの入ったものが一番人気です。他のお店でよく使われるのは、一度、れいとうされたマグロですが、うちは生のマグロを使っているので、あじに自信があります。もちろん、マグロ以外の魚のせんにも自信を持っています。
わたしは三兄弟の長男なのですが、次男と三男もいっしょに店をやっています。じゅうぎょういんは全部で13名、お店を回しているのは多いときで5名です。水曜日の定休日をのぞいて、朝8時から15時までえいぎょうしています。また、予約が入ったときのみ、一組げんていで夜もえいぎょうしています。夜は近くの会社の方などじょうれんのお客さまが利用することが多かったのですが、最近は口コミで広げていただいているのか、いろいろな方が来られます。夜のメニューはかいせんどんではなく、ねぎまなべ(ねぎとまぐろを使ったなべ料理)やさしわせなどをていきょうしています。

三兄弟でやくわりぶんたん

三兄弟で役割分担

わたしは、朝5時にしょうし、天気やニュースを見てから、6時半ごろに店に行きます。天気やニュースをチェックするのは、仕入れじょうきょうかくそくするのに必要なためです。7時ごろになると、せんぎょや貝などを、それぞれせんもんなかおろし業者(りなど取引で買った商品を飲食店などにはんばいする業者)がお店に持ってきてくれるので、その中からいいものを選び、悪いものはへんきゃくします。5社ほどの業者から仕入れています。
そこから8時のえいぎょう開始に向けてスピード勝負でじゅんをして、15時までえいぎょうします。かいせんどんは平日でも1日250食くらいていきょうしているので、こうりつよくていきょうするためにみんなで協力しています。例えば、わたしがさばいた魚を次男がさしにして、三男がかいせんどんける、といったやくわりぶんたんをしています。
わたしは、「つきろう」を始める前まで魚をさばいたけいけんはなく、さばくこともできませんでした。そのため、お店を始めるときに、赤坂にある老舗しにせの高級日本料理店で調理をしていた料理人の方をやとい、その方から教えてもらって、半年くらいで一通り、魚をさばけるようになりました。
昼のえいぎょうが終わった15時こうは、残りのざいを見たり、週間天気ほうかくにんしたりしながら、よくじつ、仕入れる魚を業者に注文します。このときも、せんぎょわたし、貝類は次男、れいとうのものは三男とやくわりが決まっています。注文を入れると、30分後くらいに返事が来るので、この時点でよくじつ仕入れる魚が決まり、夜のえいぎょうがない日は17時ごろにたくします。

仕入れのためにじょうほうしゅうしゅうが欠かせない

仕入れのために情報収集が欠かせない

毎日、魚のとれるじょうきょうだんが変わるため、仕入れには苦労します。例えば、台風がせっきんしているいきでは、海に出て魚をとることがむずかしいですよね。そういうときは、台風のえいきょうがない別のいきから魚を仕入れる必要がありますし、台風のえいきょうで魚がとれないと、市場に出回る魚の量もってしまうので、魚のかくが上がります。ぎゃくに、かくが下がることもあります。例えば、コロナでは外食がったことで魚が求められなくなり、かくが下がりました。仕入れは、だんが1キロあたり何千円と変わる世界なので、天気やニュースを毎日かくにんして、じょうきょうそくすることが欠かせません。
毎日、じょうきょうが変化して大変な仕入れですが、わたしはお客さまにていきょうする魚にこだわりを持っているので、きょうぜったいにしません。わたしかいせんどん屋をけいえいしていますが、実は魚があまりとくではありません。そのため、なまぐさい魚はすぐにわかるんですね。これが仕入れのときに生かされています。魚のネタはせんがよくないと、わたし自身がなっとくできません。また、仕入れた魚はおいしくなるまで何日かかせる必要があるものもあり、そういった魚を店に出すタイミングの管理もわたしが行っています。

かいせんどんのヒットをかくしんして、「つきろう」をオープン

海鮮丼のヒットを確信して、「築次郎」をオープン

つきろう」は2017年に開店しました。「つきろう」を始める前は、今の「つきろう」の近くにある実家のぎょらん屋(いくらやめんたいなど、ぎょらんはんばいてん)の手伝いをしていました。「つきろう」を始めるときには、つき市場がとよてんすることがすでに決まっていましたが、わたしは小学校も中学校もつきにある学校に通っていてつきで育ったため、なじみのあるつき以外でお店を開くことは考えていませんでした。そんなつきで何のお店を始めるか考えたとき、やはりつきといえば「しんせんな魚」なので、かいせんどん屋を始めることにしました。しんせんな魚をていきょうする店は寿もありますが、実家が立ち食いそばのお店をしていたとき、かいてんりつを上げることが商売として大切だと気がついたので、寿ではなくかいせんどん屋にしました。また、地元であるゆえに、なかおろし業者に昔からの知り合いも多いので、しつのいいものを仕入れやすいのも、つきかいせんどん屋を開こうと思ったきっかけの一つです。
実はお店を始める前から、「つきろう」が人気になることが予想できていました。今、「つきろう」があるお店の場所には当時、別のかいせんどん屋が入っていたのですが、そのときに人の流れを見て、かいせんどん屋がこの場所でヒットするとかくしんしました。次男は魚屋にしゅうしょくしていたのですが、めてもらい、いっしょに「つきろう」を始めました。三男は、プロサッカー選手をしていたので、ちゅうから加わってもらいました。

海外からのリピーターも

海外からのリピーターも

つきろう」を開店してからおよそ6年がちましたが、うれしいこともたくさんありました。例えば、お店でかいせんどんを食べた外国の方が、友達を連れて1年後にまた来てくれたのです。その方は、自分の国のお土産みやげも持ってきてくれました。つきは観光地ということもあって、一度かぎりのお客さまが多く、何度もお店に足を運んでくれるリピーターの方はそもそも少ないので、とてもうれしかったです。そのほかにもチェコから来て、日本に用があるたびにお店に来てくれるのうの方もいます。日本にたいざいしている期間、毎日お店に来てくれたこともあり、とても気に入ってくれたようです。また、日本の有名ホテルで副料理長をしている外国の方が、やはり気に入って何度か食べに来てくれたのですが、そのときはプロの方にみとめてもらえたようで、とてもうれしかったです。
つきろう」は、もちろんあじに自信はありますが、お店のふんじゅうぎょういんひとがらのおかげもあって、お店に何度も来てくれる方がいるのだと思います。つきにはわかけいえいしゃが少ないのですが、うちはけいえいしゃ・スタッフともわかいため、わかい世代の方も来店しやすいのかもしれません。

兄弟げんか中でも、お客さまの前ではがお

兄弟げんか中でも、お客さまの前では笑顔に

わたしはお店をうんえいする上で、店内のふんがよくなるよう心がけています。じゅうぎょういんが暗いふんのお店はごこがよくないですよね?いっしょにやっているのが兄弟ですから、時には兄弟どうでけんかをすることもありますが、お客さまがお店に来たらすぐにがおたいおうできるよう心がけています。その他にも「いらっしゃいませ」など、気持ちのよいあいさつしきしています。「つきろう」には、もともと明るいじゅうぎょういんが多いので、わたしせっきゃくどうをすることもさほどなく、みんな自然とじっせんしてくれました。
また、けいえいしゃとして、じゅうぎょういんのみんなが働きやすいかんきょうづくりをすることも欠かせません。例えば、仕事が終わった後やお昼きゅうけいに、いっしょに食事をしながらいろいろ話します。そうすることで、働くときもコミュニケーションがえんかつになりますし、働くモチベーションを上げることもできると思います。

サッカーチームのキャプテンでつちかったリーダーシップ

サッカーチームのキャプテンで培ったリーダーシップ

わたしは子どものころ、サッカーが好きで、サッカー選手になることがゆめでした。そのため、おさないころからサッカーチームにしょぞくしていて、キャプテンをつとめていました。当時のことをかえると、そのときから人をまとめるのが好きで、とくだったのだと思います。チームがいいふんになるようまとめていたけいけんは、お店のけいえいをする上で生かされていると思います。ただ、サッカーについては、小学校5年生のときに、「上には上がいるな、勝てないな……」と感じて、あきらめてしまいました。今は、あきらめるのが早すぎたのかなと、こうかいしています。
また、わたしは内気で、引っこみ思案な子だったと思います。明るかったのですが、新しいことにどんどんちょうせんしていくタイプではありませんでした。そのため、つねしんちょうに物事を行う、石橋をたたいてわたせいかくで、サッカーでも、勝てる試合ばかりしていました。入念なじゅんをして、かいせんどん屋がヒットするとかくしんできてから「つきろう」を開店して、じっさいに売り上げも好調なのには、そんなわたしせいかくが生かされていると思います。

自分のやりたいことをいろいろやってみて、さまざまなけいけんをしてほしい

自分のやりたいことをいろいろやってみて、さまざまな経験をしてほしい

みなさんには、自分のやりたいことをいろいろやってみて、さまざまなけいけんをしてほしいです。わたし自身、楽しそうだなと思ったことは、すぐ行動にうつしています。例えば、バイクがかっこいいと思ったら、バイクのめんきょを取りに行きましたし、ゴルフやきんトレにきょうを持ったら、すぐ始めました。いろいろと行動にうつしたことは、続かなくてもいいと思います。けいぞくをすることが大切ということもよく耳にしますが、わたしは気が乗らない習い事はやめてもいいと思いますし、必ずしも何かに熱中する必要はないと思います。とりあえず、まずは行動して、続かないと思ったら、やめてみるのもいいと思います。
つきで店をやっている者としては、みなさんにつきに来てみてほしいです。東京に住んでいる方は近いと思うのですが、じっさいつきに来られる方は、地方や海外からの方が多いです。東京に住んでいる方で、つきに来たことがない方もいると思いますので、そういう方はぜひ足を運んでみてください。もちろん、東京の方以外もみなさん、どんどんつきに来てほしいですし、せんのいい魚をじっさいに食べてみてほしいです。おいしいですよ。

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沢木耕太郎
この本はもともと私の祖父が好きな本で、私が小さいころに薦めてもらいました。この本を読むと、旅をしたくなります。新しい何かを発見したり、新しいものと出会ったり……。地球の広さを感じ、悩みや考え事を忘れることができます。普段、旅をするのはなかなか難しいので、この本を読んで旅をした気になって楽しんでいます。自分も新しいものと出会うのが楽しみになる、そんな一冊です。
取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫