仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

長野県に関連のある仕事人
1974年 生まれ 出身地 長野県
のうか農家
久保田くぼた ゆずる
子供の頃の夢: シェフ・調理師
クラブ活動(中学校): 吹奏楽部
仕事内容
野菜や果物を栽培(さいばい)し,食品加工を行う
自己紹介
専業(せんぎょう)農家をしている人の中でも(わたし)(わか)い方に入ります。周りの農家の方々(かたがた)から「期待の星」と言われています。現在(げんざい)はリンゴ栽培(さいばい)が中心ですが,いずれは(わたし)の農園で収穫(しゅうかく)したリンゴや野菜を使って,お店を出すことが(ゆめ)です。日々(ひび),研究を続けています。

※このページに書いてある内容は取材日(2016年10月02日)時点のものです

リンゴを使ったドレッシングの製造(せいぞう)

リンゴを使ったドレッシングの製造も

(わたし)は,主にリンゴとアスパラガスの栽培(さいばい)と,食品の加工を行っています。中でもリンゴは「ふじ」や「シナノスイート」など,約10種類の品種を栽培(さいばい)しています。(つま)の実家が農業をやっていたことがきっかけで,今は義理(ぎり)の母とともに農業を行っています。食品加工では,リンゴを使ったドレッシングを企画(きかく)・開発し,販売(はんばい)を行っています。

自然に左右される

自然に左右される

現在(げんざい)は,朝の8時半から夕方まで仕事をしています。昼間は暑いので,できれば午前5時から10時,午後2時から夕方という形で働きたいのですが,なかなかそうもいきません。
(わたし)のところは贈答(ぞうとう)用のリンゴが主なので冬場,特に12月はとても(いそが)しいです。雪がリンゴのヘタに()まるとリンゴが(いた)んでしまう可能(かのう)(せい)があるので,近隣(きんりん)の農家さんには,雪の中で収穫(しゅうかく)をする人もいます。また,3月や4月はいっせいにさまざまな種をまくので,どこに何を植えたのかを管理することが大変です。自然が相手の仕事で,当然,動物たちもやってきます。カラスがリンゴを上からつついてしまったりもしますし,少し前にも,育てていた作物をすべて,ハクビシンに食べられてしまいました。こうした動物たちからリンゴやその他の作物を守るのも,仕事の一部です。

科学的な面もある

科学的な面もある

リンゴを作るというと,「自然との(たたか)い」というイメージが強いかもしれません。(たし)かに1年を通して,自然と向き合いながら作っていますが,実はすごく科学的な面もあります。日照時間や,土の中のアミノ(さん)の量はどうか,ということを考えながらやっています。リンゴ作りは日々(ひび)勉強ですね。人間が口に入れるものを作るためには,たくさんの学びや対策(たいさく)が必要なんです。作物を作るうえでは大変なこともたくさんありますが,とても面白いので,もっと多くの人に農業の素晴(すば)らしさを知ってもらいたいと思っています。

これからの農業は…

これからの農業は…

(わたし)は,家族単位で行うのが,日本の農業には向いていると思います。自分の畑で()れたものを出荷してお金をいただくという循環(じゅんかん)の中に,自分たちの()らしの流れがあります。「晴耕雨読(せいこううどく)」という言葉がありますが,まさにそんな感じです。
一軒(いっけん)で100億円を売り上げる企業(きぎょう)を作るのは大変かもしれませんが,町の農家,一軒(いっけん)一軒(いっけん)が売り上げを出していくことで,大きな企業体(きぎょうたい)になれると思っています。「農業」「農家」と聞くと,作物を作ることが主であるように感じてしまうかもしれませんが,仕事は決して土いじりだけではありません。一軒(いっけん)の農家であっても,()れたものを加工したり,加工商品のデザインやラベルを考えたりするなど,作物を作ること以外の仕事も作ることができます。これからの農業は,ますます総合(そうごう)的な職業(しょくぎょう)になっていくのではないかと感じています。

自分が楽しむのが大事

自分が楽しむのが大事

仕事をするうえで一番大切なことは「自分が楽しむこと」だと思います。農業は,面倒(めんどう)な作業であっても,そうする理由があってその作業をしていくので,納得(なっとく)して作業を進めていくことができます。そういうところがあるので,(わたし)は楽しむことができています。
仕事をしている中で,自分にとってつらいことと楽しいことを合わせて100()挙げて,つらいことが49(),楽しいことが51()なら,納得(なっとく)して進めることができると思います。そのため,(わたし)(つね)に楽しいことの数がつらいことの数を上回るように,することを選んでいます。

もともとリンゴが(きら)いだった

もともとリンゴが嫌いだった

(わたし)は,もともとリンゴが(きら)いでした。でも,前にやっていた会社をたたんだ後で,(つま)の実家の,飯綱(いいづな)のリンゴを食べて(おどろ)いたんです。「こんなにおいしいリンゴがあるんだ!」と。同時に,自分が住んでいた地域(ちいき)のリンゴとの(ちが)いに興味(きょうみ)を持ちました。
実際(じっさい)に農業に(たずさ)わるようになると,科学的な仕事である点にも興味(きょうみ)がわきました。自然にはわかっていないことも多く,作業の一つひとつが,やりがいと面白みになります。リンゴの木にもそれぞれ特性(とくせい)があり,(えだ)がすごく()びるものや,ごちゃごちゃに実がなるものなどがあるので,その木の個性(こせい)にあった育て方をしています。

理屈(りくつ)っぽい子どもだった

理屈っぽい子どもだった

子どものころから,素直(すなお)でかわいい子どもではありませんでした。昔から理屈(りくつ)っぽく,これは今でもあまり変わっていません。
小学校のころは,よく外で遊んでいました。部屋にこもってゲームをするのがあまり好きではなかったので,()りや,カブトムシを()りに行っていました。中学校時代は,吹奏楽(すいそうがく)の部活が中心で,仲間と一緒(いっしょ)にいる時間が何よりも好きでした。
そして,子どものころから「明日死なない保証(ほしょう)はない」と思っています。悲観的なわけではなく,(かり)に明日死んでも,後悔(こうかい)することのない人生にしたいと思っています。今は,リンゴを作ったり,新しい商品を考えたり,加工したり,好きな人に出会ったりして()ごしていますが,できるうちにできることをやるようにしています。待っているとタイミングを(のが)してしまいますから。子どものころから,こういう考え方は変わっていませんね。

興味(きょうみ)をもったらやってみよう!

興味をもったらやってみよう!

みなさんに伝えたいのは,「興味(きょうみ)があって,気になったことがあれば,(そん)か得かを考えずにやってみよう」ということです。思いついたことに挑戦(ちょうせん)してみることで,知らなかったことがどんどん出てきます。そこからいろんな人に聞いて情報(じょうほう)を得ることで,知識(ちしき)()えるだけでなく,人と人とのつながりも広がります。ですから,「これをやると(そん)をする,得をする」というのは考えずに,まずは挑戦(ちょうせん)してみてください。「自分が興味(きょうみ)を持っていること」は自分にしか思いつけません。周りの人が何を言っても,自分自身の意思で挑戦(ちょうせん)してみましょう。
必ずしも成功するとは(かぎ)りません。失敗するときもあるでしょう。でも,失敗があるからこそ,いろんな世界が見えてくるのではないでしょうか。失敗したらネタになると思えばいいですし,人生は失敗だらけなんです。失敗しても,時間が()てば笑い話になります。楽しんだものが「勝ち」です。興味(きょうみ)を持ったことに挑戦(ちょうせん)して,新しい発見をたくさんしてください。

ファンすべてを見る

(埼玉県 中1)
(千葉県 小6)
(大阪府 小4)
(沖縄県 小6)
(沖縄県 小6)
(東京都 小6)
※ファン登録時の学年を表示しています

私のおすすめ本

ミルトン・メイヤロフ
仕事の師匠にあたる方から紹介された本です。「ケア」についての本で,⼀筋縄ではいかない内容ですが,どんな立場であっても壁にぶつかった時ほどヒントが得られる良書です。

もっと知りたいこの仕事人

わたしたちの飯綱町
わたしたちの飯綱町
取材・原稿作成:清泉女学院大学 学生