おいしい寿司を握る

私は『菊寿司』で板前として寿司を握っています。1日のスケジュールは,朝6時30分から7時に起きてご飯を一升から三升,炊きます。ご飯が炊けたら酢飯をつくります。8時には,魚が届きます。お昼は,午前10時には店を開いて,午後2時までやっています。1日にお客さんは15人くらい来ますが,多い時は30人くらいになります。午後4時には夕食時になるのでお店を開いて,午後10時まで店をやっています。
魚にも季節ごとに,おいしい時期の「旬」があります。春はサザエなどの貝類。夏は,鯛などの白身魚。秋は,イクラなどの魚卵。冬は,ぶりなどの脂ののった魚。季節によって旬があるので,季節ごとに,出す魚を選んでいます。旬によって扱う魚がちがうので,毎日魚をさばくことによって,魚をさばく技能,寿司をにぎる技能を落とさないように心がけています。
店では天然の魚貝類を使っていますが,昔は捕れていた魚が,今では捕れなくなってきています。そのため,今と昔ではネタの種類が少し違っています。食材は変わっていますが,味を落とさずにおいしい寿司を握る方法を工夫しています。
板前になるまで

『菊寿司』では,魚や貝など自然の食べ物にこだわって料理を出しています。私は子どもの頃から両親の姿を見て育ちました。中学の頃,父が亡くなり,その時は母が一生懸命にやっているところを見てきました。私は,両親の姿を見て,高校を卒業してからお店を継ごうと思い,この店で働きたいと思うようになりました。
この仕事に就くためには,調理師免許が必要です。調理師免許は最低でも,2年間の修行をしないと取れません。ですので,私の場合は8年間,東京で修行して免許を取り,飯綱町に帰ってきて『菊寿司』で働くようになったのです。
日々,心がけていること

仕事をしているうえでつらいことはつきものですが,うれしいこともたくさんあります。私がうれしいと感じることは,お客様が満足して,笑顔で帰ってくださることです。お客様の笑顔を見ると安心し,次の仕事へのはげみになります。でも,お客様に笑顔で帰っていただくことは,容易ではありません。そのために私は,お客様とコミュニケーションをとることを大切にしています。特に,返事は必ずするようにしています。なぜなら,無視してしまうと,お客様も良い気分にはなれないと思うからです。人気のある店にしていくにも,このような細かいことは大切だと思っています。これからはこの店を,もっと居心地の良い場所にし,お客様の集まる場にしていきたいと思います。
食材へのこだわりも忘れてはいけません。日本は,四季がはっきりとした国ですから,季節に合ったものを主に出すようにしています。日本の文化・自然に合わせたメニューを出すことで,お客様も四季の味を楽しむことができます。
夢は,追い続けることが大切です。私は,夢を追い続け,板前になることができました。私のように,店を受けついでくれる人が現れてくれるとうれしいです。