• 東京都に関連のある仕事人
  • 1951年 生まれ

    出身地 東京都

ぱんしょくにんパン職人

中山なかやま 和弘かずひろ

  • 子供の頃の夢

    政治家

  • クラブ活動(中学校)

    写真部

  • 仕事内容

    新しいパンのアイデアを考え,粉から練り,発酵(はっこう)させ,丁寧(ていねい)に焼き上げてお客様に(とど)ける。

  • 自己紹介

    まじめでこつこつと仕事をこなしますが,自分とは真逆(まぎゃく)破天荒(はてんこう)な生き方をする人にあこがれています。

  • 出身高校

    早稲田中学校・高等学校

  • 出身大学・専門学校

    早稲田大学 政治経済学部 政治学科

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2016年09月09日)時点のものです】

中山 和弘


仕事人記事

160種類以上のパンづくり

160種類以上のパンづくり

つくりたいパンを(おも)()がき,それを粉から練り,発酵(はっこう)させ,丁寧(ていねい)に焼き上げてお客様に(とど)ける。それがパン職人(しょくにん)としての仕事です。大きな工場では,粉を練る人,焼き上げる人など役割(やくわり)が決まっている場合もありますが,(わたし)の店では,数年で役割(やくわり)()()え,全ての行程(こうてい)経験(けいけん)できるようにしています。パンづくりからお客様へ(とど)けるまでを知ってもらうためです。 また,(わたし)の店では,たくさんの食品の中から「今日は明治堂のパンが食べたい」とお客様に足を運んでもらえるように,一週間に160種類以上のパンを作り続けています。新しいパンのアイデアを考え,おいしいパンの品質(ひんしつ)(たも)つことも(わたし)の仕事です。

パン屋さんは朝が早い

パン屋さんは朝が早い

(わたし)は,午前2時半ころに店に入り,焼きそばパンやコロッケパンなどの総菜(そうざい)パンの具をつくったり,パンを発酵(はっこう)させたりしてパンを焼く準備(じゅんび)をします。朝の6時半には店が開店しますので,そのときに焼きたてのおいしいパンが(なら)ぶようにします。パン屋さんは朝が早いんですよ。昔から牛乳屋(ぎゅうにゅうや)さんや新聞屋さんより,パン屋さんは朝が早いと言われます。他の職人(しょくにん)さんも6時までには出勤(しゅっきん)して,パンの生地をつくりはじめます。 そして,9時ころから配達を始めます。お昼につくりたてのパンが食べられるように保育園(ほいくえん)などをまわります。昼から午後にかけてもパンをつくりますが,早朝から出勤(しゅっきん)している職人(しょくにん)さんは,午後4時ころには帰ります。(わたし)は店主ですから,閉店(へいてん)する夜9時までは店にいつでも出られるようにしています。

パンは生き物

パンは生き物

安定しておいしいパンをつくり続けるのは,とても(むずか)しいことなんです。パンの作り方は種類によってさまざまですが,クロワッサンを例にすると,小麦粉やバターなどから生地をつくり,冷やしてから発酵(はっこう)させ,焼き上げます。発酵(はっこう)(もと)になるのは,イースト(きん)や天然酵母(こうぼ)といった生き物です。ですから,温度や湿度(しつど)のちょっとした変化が仕上がりに影響(えいきょう)します。季節によっても,夏はバターが早く()けて良いクロワッサンにならなかったり,冬は乾燥(かんそう)()ぎて良いあんパンにならなかったりということがあります。 それを乗りこえるのは,職人(しょくにん)としての経験(けいけん)です。教えてもらったことだけではなく,その日の状況(じょうきょう)柔軟(じゅうなん)対応(たいおう)することで,おいしいパンを焼き上げることができるようになります。

良いものを見抜(みぬ)く目が大切

良いものを<ruby><rb>見抜</rb><rp>(</rp><rt>みぬ</rt><rp>)</rp></ruby>く目が大切

パン屋さんとして一番大切なことは,どんなパンが良い仕上がりで,どんなパンが良い味か知っているということです。二番目に大切なことはそれを自分でつくれること。良いものを見抜(みぬ)く力と実行する力の両方が必要です。目標を立て,それに近づくために,パンをつくるのです。職人(しょくにん)として理想とするパンづくりを追い求め,くり返し挑戦(ちょうせん)できるのは仕事の魅力(みりょく)です。パンの味についても新しい発見があります。その味がお客様に(みと)められ,喜んでもらえたときは,最高にうれしいですね。自分で食べておいしくて,それがつくれて,お客さまにも喜んでもらえる。とてもやりがいを感じます。

パンを通してゆとりと感動を

パンを通してゆとりと感動を

大げさな話をしますと,人間はどんな境遇(きょうぐう)でも,ゆとりと感動する心があれば幸せになれると思います。おいしいパンを提供(ていきょう)することで,(ゆた)かな食生活のお手伝いをしたいというのが,(わたし)の思いです。そして,この仕事を通して,自分自身とともに職場(しょくば)の仲間も一緒(いっしょ)に成長していきたいと思っています。パンづくりというのは,朝が早くて大変なこともありますが,充実(じゅうじつ)した仕事ですよ。

広告業からパン屋へ転身

広告業からパン屋へ転身

明治22年に創業(そうぎょう)した明治堂は父親が3代目でしたので,小さいころは何となくパン屋を()ぐのかなと考えていました。ですが,大学卒業後は広告代理店に入社して全く(ちが)う仕事を始めました。広告業界というのは花形(はながた)で,何かをつくるのが好きだった(わたし)には,とても魅力(みりょく)的に思えたんです。ところが,広告を作るためには,お客様との交渉(こうしょう)が多く,高いコミュニケーション能力(のうりょく)が必要です。(わたし)には全く向いていない世界でした。モノをつくりたいという意欲(いよく)はありましたので, 26(さい)のころに実家のパン屋に(もど)り,一から修行(しゅぎょう)を始めたんです。その経験(けいけん)もあったからこそ,多少のことにはくじけずに続けられたのだと思います。

時間を(わす)れて没頭(ぼっとう)

時間を<ruby><rb>忘</rb><rp>(</rp><rt>わす</rt><rp>)</rp></ruby>れて<ruby><rb>没頭</rb><rp>(</rp><rt>ぼっとう</rt><rp>)</rp></ruby>

(わたし)は学級委員長も経験(けいけん)し,まじめな子だと先生に言われていました。小さなころから,大人と(せっ)する機会が多かったので,自分自身も大人びていたのかもしれません。でも,実際(じっさい)は人前で話しをしたり,クラスをまとめたりというのが苦手だったんです。図工が好きで,絵を()いて表現(ひょうげん)するのは得意でした。中学生になると写真部に入り,そのころから何かに夢中(むちゅう)になると,(ねむ)る時間も(わす)れて集中して取り組むようになりました。今のパンづくりにも共通するところがあります。時間を(わす)れて没頭(ぼっとう)してしまいます。バッジや食器を集めるということも好きで,1つのものから種類を()やしたり,生み出したりという考えも,今のパンづくりとつながっていますね。

しぶとさを持ってあきらめない

しぶとさを持ってあきらめない

あきらめないで頑張(がんば)()く。それがたとえ思い通りにならなくても,一生懸命(いっしょうけんめい)になることは大切です。あきらめてしまうと,そこで終わりになってしまいます。何か形になるまでは続けましょう。オリンピックを見ていると,しぶとくねばる選手は強いですし,応援(おうえん)にも力が入ります。 みなさんは,これからくじけそうになることも,行きづまることもあるでしょう。そのときは,すぐに投げ出すのではなく,勇気を持って,その先のもう一歩を()み出してみてください。たとえ(ちが)う道へ進むことになっても,その経験(けいけん)が新しい挑戦(ちょうせん)へつながるはずです。

  • 取材・原稿作成:取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫

私のおすすめ本

  • 本田宗一郎という生き方

    別冊宝島

    世界のHONDAを創業した本田宗一郎のエピソードをまとめた本です。外国人記者から「どんなときが一番幸せか」という問いに対して,「新しいことにチャレンジして失敗したときが,一番幸せだ」と答えています。なぜならば,失敗するとスリリングな気持ちになり,次から次へと新しいアイデアが生まれるのだとか。この本を読んで,私は本田宗一郎という人物が好きになりました。

  • 幸福の王子

    オスカーワイルド(著)/原マスミ(翻訳)

    悲しいストーリーではあるけれど,人のために何ができるだろう,幸せとは何だろうと考えさせられる本です。人の幸せを思うことと実行すること,そこに生まれる自分の喜びとは。大人になっても深いテーマで,自分自身の仕事や生活に置き換えても読める本です。