仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
出身地 東京都
子供の頃の夢: 開発者
クラブ活動(中学校):
仕事内容
「知るって楽しい!学ぶっておもしろい!」を体感できるプロダクトをかくせいさくする。プレゼンテーションやイベントとうだんも多数行う。
自己紹介
小さいころから、木登りと本と工作が大好き。おもしろいこと、楽しいこと、おいしいもの、そして石が大好きな15さいです。自然が大好きで、自転車とカメラと散歩も好きです。

※このページに書いてある内容は取材日(2025年07月04日)時点のものです

「知るって楽しい!学ぶっておもしろい!」を体感してもらえるように

「知るって楽しい!学ぶって面白い!」を体感してもらえるように

ぼくはげんざい15さいの高校1年生です。「かぶしき会社polarewon(ポラレウォン)」のとりしまりやく社長です。2022年、小学6年生のときにせつりつしました。自分発のイライラとモヤモヤをかいけつすることが社会問題のかいけつにつながる、というけいえい理念のもとに、自分たちで開発した「げんカルタ」や「漢字mission(ミッション)」といった商品を通して、たくさんの人に学びの原点「知るって楽しい!学ぶっておもしろい!」を発信しています。
主な活動としては、げんカルタのはんばいのほか、げんカルタを使ったイベントを自分たちでかくかいさいしたり、科学館や学校、会社とコラボレーションしてイベントを行ったりしています。
ぼくのプレゼンテーションを、「いいね!」と言ってくださったぎょうとコラボして動画を作って配信もしています。
ぼくがプレゼンテーションにきょうを持ったのは、げんカルタをはんばいするときに、せっかく売るなら、どういうカルタなのか、どうして作ったのか、どんなおもいがまっているのかを知ってもらいたい、伝えたいと思ったのがきっかけです。プレゼンを通して思いは伝わります。その後、プレゼンテーションがおもしろくなり、小中学生をたいしょうにしたプレゼンテーション大会「スタートアップJr.アワード2020」にチャレンジしました。テーマは「ソーシャルイノベーション(社会問題に対するかくしんてきかいけつ)」。ぼく自身の問題として、だいきらいなはんぷく学習がたの「漢字ドリル」をさいかいはつし、アクティブラーニングがたの「漢字mission」を発表し、たいしょうをいただきました。

「すべてはげんでできている」というワクワクをとどけたくて

「すべては元素でできている」というワクワクを届けたくて

もともと小さいときから本を読むのが好きで、小学生になると、がくけいの本が楽しいなと思うようになりました。科学の本のほとんどには「げん」について書かれていて、「世界のすべてはげんでできている」と書いてある。最初は「そんなわけないでしょ!?」と思いました。読んでいる本とかつくえとか地球とか、全部がげんでできているなんて信じられませんでした。でも、いろいろな本を読んでみると、本当にげんでできているということを知り感動しました。そこからげんっておもしろいな、楽しいなと思うようになりました。
「世界のすべてはげんでできている」ということに何よりも感動したので、げんの記号や番号よりも、じっさいこの世界のどういうところに使われているのかを知ることができるようなものを作りたい……。そう思って小学3年生のとき、手作りの「げんカルタ」を作りました。

「これをはんばいしたい」をさぐりでじつげん

「これを販売したい」を手探りで実現

1つのげんについて1まいのカードにイラストと文でまとめていたら、母から「カルタみたいだね」と言われ、絵札と読み札に分けてみました。作ったカルタで遊んでいると、さらに母から「これ、売ってたらぜったい買うわ」とじょうだんで言われたのですが、もしもこのげんカルタが本当に本屋さんとかにならんで、たくさんの人が使ってくれるようになって、いずれ未来の科学のはってんつながったりしたらすごいな!と思ったんです。
商品にするため、デザイナーや印刷会社をさがしたり、必要なことを一つ一つクリアしていき、2〜3年かけて商品化をじつげんさせました。「おもいをカタチに」するため、何も知らないところからのスタートですべてがさぐりでした。「手作りカルタ」は完成したものの、いざ商品にするだんかいで「こんなにきんがかかるの!?」と知り……いろいろ調べて考えた結果、クラウドファンディングにちょうせんすることにしました。結果、ありがたいことに383万円ほど集まり、629人の方々にとどけることができました。
その後も「漢字mission」ふくめさまざまな活動を続けてきました。何か新しく商品を生み出すときにはぎょうとの協力も必要です。ぼくが「こんなことやりたい、ていあんしたい」と思っても、いちじんの小学生と大きなぎょういっしょに何かをするということはじっさいむずかしい。なかなかかべやぶれずにいましたが、たくさんの方々に「小学生であることは弱みではあるけど強みでもある」とアドバイスをいただき、小学6年生で会社を立ち上げることにしました。

小学4年生から、学習はたく

小学4年生から、学習は自宅で

ぼくは、小学4年生で不登校になりました。
3年生までは、じゅぎょうを自分なりにノートにまとめたりして楽しく学校に通っていました。しかし4年生に進級して先生が変わると「板書どおりに書き直しなさい」と言われたり、教科書に書いてあるのとちがうことを言うとスルーされるなど、いろいろなことが重なり、学校に対してもんを持つようになりました。ちょうどそのころにげんカルタを作り始めていたこともあり、ぼくは学校に行かないせんたくをしました。
最近は、朝起きたらまずメールチェックをして、返信します。げんカルタの発送作業もします。今回のような取材があればじゅんをしたり、出かけたりして、午前中が終わります。午後は新しいかくを考えたり、次のイベントで使うプレゼンテーションを作ったりします。夕方になると自転車で出かけて公園に行ったりすることもあります。毎日この通りというわけではないですが、1日のスケジュールはこんな感じです。会社として何も予定ややるべきことがないときは、博物館に行ったり、自分がやっていることと関連があるものをネットでさがしてじっさいに見に行ったりと、なるべく出かけるようにしています。

いろいろな人と出会うことで、むずかしく思う場面も

いろいろな人と出会うことで、難しく思う場面も

会社を立ち上げて活動を始めたことで、それまで以上に多くのてきな人と出会い、つながりが広がりました。いろいろな人と出会うようになると、「この人とは合わないな」と思うこともあります。そういう人といっしょに活動するのは、やはりせいしんてきにつらいこともあります。以前、とてもいいお話を持ってきてくれた会社があったのですが、なんとなくその会社のふんが合わない気がしてりゅうにしていたら、3か月後に社名が全部変わっていて、ネット上にその会社の悪いひょうばんが書かれていた、ということもありました。何を信じればいいのか、わからなくなりました。
結局は、自分が本当にいいなと思う人や、話していて温かいなと思う人、考えていることが近い人と、ごいっしょさせていただいています。直感とかんは大事だなと思ってます。今、ぼくが受けるアドバイスは、本当に親身になって考えてくれる方々からのきびしくも温かく、やさしいものばかりです。長い目で見守っていただけて、とてもありがたいです。

自分たちのおもいが人にとどくことのよろこびとうれしさがやりがいに

自分たちの想いが人に届くことの喜びとうれしさがやりがいに

げんカルタのイベントをやると、「げんっておもしろい」「楽しかった」と言ってくれる人がとても多いです。「昔、わたしげんを学んでいるときにこのカルタがあったらよかったのに」という感想をくださる方もいます。
そんな声を聞くと本当にうれしいですし、げんカルタをきっかけに科学が好きになったり、その道に進んだりする人がえたらすごいことだな、と思っています。
活動を続けていくうちにおもいが伝わったり共感していただいたり、そこから新たな出会いにつながったりするのもうれしいです。会社として活動を始めたときはまだ小学生で、特にせんもんてきしきがあったわけでもなく、ゼロからのスタートでしたが、今も日々動きながら、いろいろなことを学んでいます。最近では、ぼくのおもいに共感してくださる方や、ぎゃくに共感できるてきな会社との出会いがえています。プレゼンテーションを生かしていっしょに社会的アプローチをしていこうという事業も始まったので、ワクワクしています。大変なこともたくさんありますが、失敗しつつ、学びながら進んでいます。

大切にしている「いいや」と「もちょ」のせいしん

大切にしている「いいや」と「もちょ」の精神

ぼくが大切にしていることはまず、何かやりたいことがあったら、その気持ちを口に出して言ってみることです。そして、きょうがあるところにはじっさいに足を運んで行ってみる。できれば自分からちょくせつ会いに行ってみる。
そして、5分なやんだら、とにかく手を動かしてやってみる。もちろん、失敗するのはこわいしいやだけど、立ち止まってしまうとそこでおしまい。失敗してもちがう方法でチャレンジできればそれでいい。この「言ってみる」「行ってみる」「やってみる」のかしら『い・い・や』は、ぼくの行動のしんです。
一言で言うと、とにかくチャレンジして失敗しても立ち上がってあきらめずにやり続けよう、ってことなんですが、ぼくは「失敗」という言葉がだいきらいです。「失敗は成功のもと」とよく言われますが、「失う、負ける」という言葉はどうしてもポジティブにとらえづらい。なのでぼくは、代わりに「もちょ」という言葉を使っています。これは「もうちょっと」のりゃくです。「失敗」を「もちょ」に変えるとやさしい感じがして、きっとがんれる。「もちょ」をかえていで、いろいろ気づいて学んで知ることができる。結果、成功にたどり着けると思うんです。

おさないころから、自由にものを作るのが好きだった

幼いころから、自由にものを作るのが好きだった

いくえんのころは、みんなが遊んでいる中、すみっこで石とか木の実とかを集めているような子どもでした。家では工作をしたり、絵本を読んだりすることが好きでした。
習い事はピアノやサッカー、野球などではなく、近所の公民館でかいさいされていたアートクラブに通いました。「このとおりに作りましょう」と言われたものをそのまま作るのではなく、自分なりにふうして作るので、ちゅうからだっせんしてちがうものになることもありましたが、アートクラブの先生は「いいね」と言ってくれたんです。そこから、自分の手でものを作ることがどんどん好きになっていったんだと思います。
家に帰った後も、家にある材料や100きんで売っているものなどを使って工作していたので、このころは家の中が自分で作った作品でいっぱいになっていました。

「どんなしょくぎょうきたいか」ではなく「どんな人になりたいか」

「どんな職業に就きたいか」ではなく「どんな人になりたいか」

最近ぼくはよく「しょうらいはどんなしょくぎょうきたい?」と聞かれます。ぼくは、「どんなしょくぎょうきたいか」よりも「どんな自分でありたいか」が大事だと思っています。
みんなそれぞれ「この人かっこいいな」と思う人っていると思うのですが、その人はどんな人なのか?何の仕事をしていて、何を大切にして、どんなおもいでやってるんだろう?を知ると、「なんかすごい!」ってあこがれが強くなったりして、そんな人になりたい!って、ゆめしょくぎょうにつながるのかなと思ってます。大工さんになりたい!でも、どんな大工になりたいのか?だれみたいな?そのためにどうしたらいいだろう?って、そこが本当は大切なことなんだと思うんです。身近なリアルな大人が、子どもの未来につながると思ってます。
不登校になったときに決めたことがあります。それは「かっこ悪いのはやめよう」。学校に行っていないからって学ぶのをやめて、頭が悪くなってしまうのはかっこ悪いと思うので、自分なりに楽しく学びを続けています。自分にとって「かっこいい」とは何だろう、「こういう人になりたい」と思える人はどんな人だろう、そう思えるさまざまな人たちと出会えるように日々活動を続け、自分の「どうありたいか」をさがしていきたいと思います。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社