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  • 出身地 海外

茶人・武道家

ランディーらんでぃー チャネル宗榮ちゃねるそうえい

  • 仕事内容

    茶道の素晴(すば)らしさを伝える

  • 自己紹介

    裏千家(うらせんけ)教授(きょうじゅ)。京都観光おもてなし大使。京都・東京で茶道教室を開催(かいさい)するほか,講演(こうえん)やメディア出演(しゅつえん),和カフェ「らん()(てい)」の経営(けいえい)など,幅広(はばひろ)く活動している。また,京田辺市のお茶の普及(ふきゅう)活動の一環(いっかん)として,抹茶(まっちゃ)をプロデュース。武道(ぶどう)は,二刀流六(だん)錬士(れんし)・田宮流居合(いあい)(だん)錬士(れんし)・弓道五(だん)居合道(いあいどう) / 剣道(けんどう) / なぎなたは有段(ゆうだん)

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2016年09月20日)時点のものです】

ランディー チャネル宗榮


仕事人記事

茶道の素晴(すば)らしさを伝える仕事

茶道の<ruby><rb>素晴</rb><rp>(</rp><rt>すば</rt><rp>)</rp></ruby>らしさを伝える仕事

(わたし)は京都でお茶の先生をしています。茶会やイベントでお茶を点てたり,茶道教室を開いたりして茶道の素晴(すば)らしさを伝える仕事です。週4回開催(かいさい)している茶道教室の稽古(けいこ)にはたくさんの生徒さんが参加しており,中には東京や徳島から毎週通ってくる生徒さんもいます。また,日本各地で講演(こうえん)をしたり,テレビに出たりしてお茶のことや日本文化のことを話す機会もあります。
そのほかに,(わたし)は京都市内で「らん()(てい)」というカフェを経営(けいえい)しています。(ちく)100年以上の町家を改装(かいそう)した建物で,もともとは骨董品(こっとうひん)のコレクションを置く場所として借りたのですが,もっとたくさんの人に気軽にお茶を楽しんでもらいたいと思い,抹茶(まっちゃ)を出すカフェに改装(かいそう)しました。今では地元の人や観光客など,たくさんの人たちに親しまれています。また,カフェの2階がお茶室になっており,そこで茶会や稽古(けいこ)をしています。お茶室というと(たたみ)の部屋をイメージするかもしれませんが,「らん()(てい)」のお茶室は木の(ゆか)で,椅子(いす)(すわ)ってお茶を点てる立礼式(りゅうれいしき)のお茶室です。

武道(ぶどう)を学ぶために,カナダからアジアへ

<ruby><rb>武道</rb><rp>(</rp><rt>ぶどう</rt><rp>)</rp></ruby>を学ぶために,カナダからアジアへ

(わたし)はカナダのヴィクトリアで生まれエドモントンで育ちました。小さいころから体を動かすことが好きで,学校が終わるとアイスホッケーやラグビー,サッカー,野球などをして遊んだものです。特にアイスホッケーは昔から好きで,4(さい)のときにはじめてから大学時代まで打ちこんでいました。
(おさな)いころはよく遊びで柔道(じゅうどう)をしていましたが,高校生のころから本格(ほんかく)的に格闘技(かくとうぎ)にのめり()むようになりました。さまざまな格闘技(かくとうぎ)経験(けいけん)しましたが,当時流行していた香港(ほんこん)映画(えいが)影響(えいきょう)を受け,カンフーやウィンチャンなど,香港(ほんこん)格闘技(かくとうぎ)に強く()かれていました。そこで,(わたし)はこれらの格闘技(かくとうぎ)本格(ほんかく)的に学ぶために,香港(ほんこん)(わた)ったのです。香港(ほんこん)には10年近く住みましたが,あるとき旅行で日本を(おとず)れた(さい)剣道(けんどう)をやっている友人が昇段(しょうだん)のための審査(しんさ)を受けることになり,(わたし)はそれを見に行きました。昇段(しょうだん)審査(しんさ)の様子を見た(わたし)はその美しさに感動し,日本の武道(ぶどう)にも興味(きょうみ)を持つようになったのです。そのことをきっかけに,(わたし)は長野県の松本市に(うつ)()み,武器(ぶき)を使う武道(ぶどう)を中心に稽古(けいこ)をはじめました。まず剣道(けんどう)居合道(いあいどう)をはじめ,それから間もなく弓道やなぎなた,二刀流にもチャレンジするようになりました。

格闘技(かくとうぎ)の道からお茶の道へ

<ruby><rb>格闘技</rb><rp>(</rp><rt>かくとうぎ</rt><rp>)</rp></ruby>の道からお茶の道へ

武道(ぶどう)をはじめてしばらくしたころ,(わたし)は自分の人生には何かが足りないと思うようになりました。今思うと,武道(ぶどう)ばかりやってきて,バランスが(くず)れていたのかもしれません。生き方に(まよ)っていた(わたし)は,文武(ぶんぶ)両道の精神(せいしん)を持ちたいと思うようになりました。思えば,日本の武道(ぶどう)の先生たちはみな文武(ぶんぶ)両道でした。(わたし)剣道(けんどう)の先生は,書道をやっていました。そこで,(わたし)も書道をやってみましたが,向いていませんでした。また,(こと)をやっている先生もいました。そこで,(わたし)(こと)をやってみましたが,それも向いていませんでした。ちょうどそのころ,たまたま(となり)の家に茶道の先生が住んでおり,(わたし)はその先生からお茶の稽古(けいこ)を受けるようになりました。はじめは趣味(しゅみ)として取り組んでいたのですが,次第に茶道の魅力(みりょく)のとりこになり,武道(ぶどう)と茶道とを同じレベルにまで高めたいと思うようになったのです。その先生には10年近く師事(しじ)しましたが,より本格(ほんかく)的にお茶を学ぶため,(わたし)は京都にある裏千家(うらせんけ)学園茶道専門(せんもん)学校に行くことに決めました。

茶道と武道(ぶどう)の共通点

茶道と<ruby><rb>武道</rb><rp>(</rp><rt>ぶどう</rt><rp>)</rp></ruby>の共通点

裏千家(うらせんけ)学園茶道専門(せんもん)学校では,お茶や日本文化についてさまざまなことを学びました。武道(ぶどう)の道からお茶の道に進むというのは,一見大きな方向転換(てんかん)のように思われるかもしれません。いろいろと苦労があったのではないかと聞かれることも多いのですが,実は武道(ぶどう)とお茶にはたくさんの共通点があるのです。物の持ち方,姿勢(しせい)礼儀(れいぎ)など,茶道の作法は武道(ぶどう)の型とそっくりだと思いました。(わたし)武道(ぶどう)の型を体で覚えていたので,スムーズに茶道の世界に入っていくことができました。また,日々(ひび)茶道の世界に()れるなかで,茶道の良い部分が次々(つぎつぎ)と見えてきていたので,苦労よりも楽しい気持ちのほうが大きかったのです。3年間,学んだのち,(わたし)裏千家(うらせんけ)学園茶道専門(せんもん)学校を卒業しました。在学(ざいがく)中,(わたし)裏千家(うらせんけ)の先代の家元,千玄室大宗匠(せんげんしつだいそうじょう)(ささ)えていただきました。そのことに対する感謝(かんしゃ)の気持ちから,(わたし)はお茶の先生になってお茶の良さを世の中に広めていこうと決意したのです。

いちばんの魅力(みりょく)は人との出会い

いちばんの<ruby><rb>魅力</rb><rp>(</rp><rt>みりょく</rt><rp>)</rp></ruby>は人との出会い

お茶は焼き物や()り物,懐石(かいせき)建築(けんちく),庭など,あらゆる日本文化のエッセンスが(ふく)まれている総合(そうごう)芸術(げいじゅつ)だと言えるでしょう。そのような文化としての魅力(みりょく)に加えて,(わたし)は「人と人との出会い」がお茶の最大の魅力(みりょく)だと思っています。お客さんに見てもらうだけではなく,参加してもらうという点は茶道の大きな特長の一つです。茶道にはさまざまな決まり事があり,はじめから(むずか)しいと思ってしまえばそれまでですが,本当に大切なのは集まった人たちがその場を共有し,ほかの人との出会いを楽しむことだと思います。そのうえで,作法を学んでいけばいいのです。複雑(ふくざつ)に思える作法にも一つひとつに意味があり,それもまた茶道の魅力(みりょく)です。お茶の世界は深く,(わたし)にもわからないことがたくさんありますが,だからこそ面白いと感じています。まだ道半ばですが,これからももっとお茶を勉強していきたいと思っています。

和敬清寂(わけいせいじゃく)」の大切さ

「<ruby><rb>和敬清寂</rb><rp>(</rp><rt>わけいせいじゃく</rt><rp>)</rp></ruby>」の大切さ

茶道の()である千利休は「和敬清寂(わけいせいじゃく)」が大切だと言いました。「和敬清寂(わけいせいじゃく)」は茶道の心得を表す言葉で,「和敬(わけい)」は客と主人が(たが)いに(うやま)い合って雰囲気(ふんいき)を和らげること,「清寂(せいじゃく)」は静けさや清らかさを意味します。和(harmony)の心はとても大切です。日本の文化には和の心が根づいていると思います。「おもてなしの気持ち」はまさにその(あらわ)れだと言えるでしょう。また,人間に対して,道具に対して,季節に対して,尊敬(そんけい)する気持ちを持つということはとても大事なことです。相手が自分に対して敬意(けいい)を持っていなくても,まずこちらが相手を尊敬(そんけい)することが大切なのです。そうすると「和」ができていって,お(たが)いに尊敬(そんけい)しあう関係ができます。地位が高いからだとか,(えら)いから尊敬(そんけい)するのではなく,良い人だから尊敬(そんけい)するのです。
お茶の世界ではみな平等です。(わたし)はお茶を点てる作法については人一倍(きび)しく指導(しどう)していますが,命令するだけでは「和」は生まれません。心や生き方は自ら学ぶものですし,そこが茶道の面白いところだと思います。

今を大切に,好きなことにチャレンジする人生を

今を大切に,好きなことにチャレンジする人生を

(わたし)が茶道に出会い,こうしてお茶の先生として生きているのは,運命だったとしか言いようがありません。家の(となり)の人が茶道の先生ではなかったら,(わたし)はお茶をはじめなかったでしょう。松本の先生が(わたし)に茶人の心を教えてくださり,(わたし)はその先生の人柄(ひとがら)()かれてここまで来たのです。また,裏千家(うらせんけ)の先代の家元,千玄室大宗匠(せんげんしつだいそうじょう)(ささ)えがなければ,このような茶道の魅力(みりょく)を伝える仕事はできなかったと思います。興味(きょうみ)を持ったことに挑戦(ちょうせん)し,目の前のことに()()んできた結果,さまざまな偶然(ぐうぜん)(わたし)をここまで(みちび)いて来ました。
(おさな)(ころ)(わたし)はあまり前に出るタイプではなく,小・中学生のころは自分に自信がありませんでした。しかし,格闘技(かくとうぎ)をはじめてから変わりました。自分に自信が持てるようになり,周りを()()っていくようなリーダータイプの人間になったのです。そのため,はじめてアジアに(わた)ったときにも日本に来たときにも,ためらいはなく,自分の信じた道に進んで行くことができました。遠い未来のことは(だれ)にもわかりませんが,みなさんも好きなことをして,たくさん失敗するといいと思います。やりたいことに全力で挑戦(ちょうせん)し,人生を楽しんでください。

  • 取材・原稿作成:東京書籍株式会社