仕事人

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神奈川県に関連のある仕事人
1987年 生まれ 出身地 山形県
子供の頃の夢: 獣医師
クラブ活動(中学校): ソフトテニス部
仕事内容
けいさつけんと共にけんかいけつする。
自己紹介
野菜を育てたり、熱帯魚の世話をしたりしています。休日は家の庭で子どもたちとバーベキューをするのが好きです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2025年10月06日)時点のものです

けいさつけんと共にけんかいけつする

警察犬と共に事件を解決する

わたしは、神奈川県けいさつけいさつけんくんれんとして働いています。けいさつけんくんれんけいかんしきしょぞくし、あいぼうけいさつけんいっしょけんかいけつするのが仕事です。けいさつけんは、あしあとや落とし物などの人のにおいをたどってはんにんを追ったり、迷子まいご行方ゆくえ不明者を見つけ出したりします。
げんざいわたししょぞくする神奈川県けいさつけいかんしきには、9名のくんれんと15頭のけいさつけんざいせきしていて、1人のくんれんにつき1、2頭のけいさつけんたんとうしています。けいさつけんには、けいさついく管理している「ちょっかつけいさつけん」と、民間人が訓練し、試験にごうかくした犬に必要におうじてりん出動してもらう「しょくたくけいさつけん」の2種類がいて、神奈川県ではちょっかつけいさつけんだけではたいおうしきれないときに、しょくたくけいさつけんにもようせいしています。2024年の出動数は、ちょっかつけいさつけんだけで682けんありました。
けいさつけんで一番多い犬種はジャーマンシェパードで、神奈川県けいさつでもげんざいいる15頭のうち12頭がジャーマンシェパードで、残る3頭はラブラドール・レトリバーです。しょくたくけいさつけんだとビーグルやエアデール・テリアなどの種もいますが、ちょっかつけいさつけんは、体力があり仕事のてきせいが高いジャーマンシェパードが多くなっています。

当直きんたんとうし、出動ようせいを受けてげんに出動

当直勤務を担当し、出動要請を受けて現場に出動

神奈川県けいさつの場合、わたしのようにけいさつちょっかつけいさつけんくんれんになるには、まずけいさつかんになる必要があります。けいさつかんになると、ほぼすべての場合、いきの交番にはいぞくされ、けいさつかんとしてきんします。けいさつけんくんれんになる場合、ほとんどは自ら希望を出して、けいかんしきけいさつけん係のはいぞくになります。
きんけいたいには当直とにっきんがあり、わたしは当直きんたんとうしています。当直きんの場合、1日24時間きんをしたらよくじつばんで、そのよくじつは休日というように当直、ばん、休日の3日間をかえして交代できんを行います。当直はつねに2名ずつきんするたいせいをとっています。そのほかににっきんきんするくんれんもいます。それぞれのくんれんが、自分のきん時間のときにたんとうけいさつけんの訓練をし、けんなどが起きて出動ようせいがあったさいにはげんに向かいます。

犬の調子を見ながら訓練を行う

犬の調子を見ながら訓練を行う

当直たんとうは8時30分にしゅっきんし、よくじつの8時30分まできんします。しゅっきんしたらまずけいさつけんの健康やコンディションをかくにんした後、訓練を開始します。
主にじっしている訓練は、4種類あります。一つ目は「ふくじゅう訓練」というもので、「すわれ」や「せ」など、命令にしたがう訓練や、物を持ってこさせるようなほんの訓練です。二つ目は「ついきゅう訓練」といって、人のあしあとを追っていく訓練。三つ目は「しゅう選別訓練」といって、においのどうしきべつがせたにおいと同じかちがうかをしきべつする)をする訓練。四つ目は「そうさく訓練」で、空気中にゆうしているにおいからじっさいかくれた人や物を発見する訓練です。
この四つの訓練を1日かけてやっていきます。いつ何をやるかは日によってバラバラで、細かく全部の訓練をやることもあれば、重点的に一つの訓練をやることもあります。その日のけいさつけんのクセなどのじょうたいによって訓練の流れは変えています。また、同じ犬でも気持ちが乗っていたり、反対に訓練にきてしまっていたりと、日によってコンディションもちがうので、朝一番で犬の調子を見て訓練を調整していくこともあります。訓練のほかに、15頭のけいさつけんえさやりやはいせつなどのお世話をすることもぎょうの一つです。

犬のせいに合わせ、訓練方法をふうする

犬の個性に合わせ、訓練方法を工夫する

仕事をしていて大変なことは、出動ようせいがきたら深夜であっても出動しないといけないことです。いつけんがあるか、行方ゆくえ不明者が出るかわからないので、当直たんとうが24時間いつでもどうできるじょうたいにしています。1回の当直の間、1けんようせいがないときもあれば、多いと6けんほど重なることもあります。なんけんも出動ようせいが重なってしまったときは、すべてに出動することはむずかしいので、あいぼうであるけいさつけんの体調もこうりょしながら、どのげんゆうせんてきに向かうべきかはんだんします。
けいさつけんは一頭一頭、せいかくちがうため、この方法で訓練をすればぜったい通りに行動できるようになる、というほうそくがありません。訓練はコツコツ地道に続けることが重要で、げんかつやくできるようになるまで何年もかかることがあります。そのため、訓練がいやにならないように、その犬に合った訓練メニューを考えないといけません。ほんてきな訓練のマニュアルもありますが、マニュアル通りにいかない犬もいるので、どうりょうに相談したり、クセを見つけ出したりしながらその犬に合った訓練法を見つけるのが大変です。
例えば、わたしげんざいたんとうしているジャーマンシェパードのムート号とヤンナ号でいうと、ムート号はたんとうしゃ以外にあまりなつかないこわがりな犬で、訓練していても周りが気になり集中力に欠けるところがあります。ヤンナ号も、人は好きではあるのですが初めて会う人をこわがるような犬なので、市街地のほうで訓練をして初めての人にれる機会をやしたり、出動する回数を重ねたりしながらふうして訓練を行っています。

あいぼうかつやくし人を助けることができると大きなやりがいを感じる

相棒が活躍し人を助けることができると大きなやりがいを感じる

ムート号がデビューして半年がたったころ、持病があるだんせいが散歩に出かけたままたくせず、出動ようせいが出されました。ムート号はにおいをたどって、たくから400メートルはなれた真っ暗な山道で、頭から血を流した行方ゆくえ不明者のだんせいを発見しました。だんせいのうしゅっけつたおれていたそうで、じんそくな発見のおかげで一命をめたと後日ほうこくを受けました。人命をきゅうじょできたことと、日々の地道な訓練が結果として実ったことを感じて、とてもうれしかったです。ムート号とのしんらい関係も強くなったように感じました。
また、最近ですと、ヤンナ号が川岸のしゃめんに落ちてしまった行方ゆくえ不明者を見つけ出したことがありました。電車のガード下の暗い場所で、人の目には見えないところでしたが、橋の上からヤンナ号が気にするりを見せたため、ライトで照らしたところ、行方ゆくえ不明者がいるのを発見しました。このようにごろいっしょに訓練をしているあいぼうけいさつけんかつやくし、いっしょけんかいけつできたり人命きゅうじょができたりしたときには、大きなやりがいを感じます。

しんらい関係を大切に、遊びも交えて楽しく訓練する

信頼関係を大切に、遊びも交えて楽しく訓練する

わたしが一番大切にしているのは、犬たちにあいじょうを持ってせっし、しんらい関係をきずくことです。けいさつけんどうりょうのようにも感じているため、いぬとはちがう面もありますが、訓練するときとかわいがるときのメリハリをつけてコミュニケーションの時間を取るようにしています。また、犬の体調管理もくんれんの重要な役目なので、犬のちょっとしたへんにも気づけるように、日々細かく観察することも大切にしています。
きびしい訓練もありますが、犬たちがいやになってしまわず、遊びのいっかんのように楽しく訓練ができるように心がけています。わたしたんとうしているムート号とヤンナ号は2頭ともボール遊びが好きなので、ボールで遊びながら訓練をしています。訓練でも本番でも、人や物を見つけて成果を上げたらほめたり、ボールで遊んだりと、ごほうびを用意して犬の気分を高めています。

じゅうゆめあきらめ、新たなゆめを見つけた

獣医師の夢を諦め、新たな夢を見つけた

子どものころから動物が好きでじゅうになりたかったのですが、大学生になるときじゅうになるための学科に進むことができず、じゅうゆめあきらめました。動物は好きだったので、動物せんもんの学科に進み、動物が食べるものや、動物園で動物をいくすることについてなど、はばひろいジャンルの勉強をしていました。
大学ではしょうりんけんぽうの部活に入っていて、試合に向けて夜中まで練習したり、しょうりんけんぽうはっしょうの地である香川県で毎年、夏合宿をしたりと部活けの毎日でした。部員が100人をえるの大きな部活で、にっぽんどうかんで行うような大きな大会に出ていました。ちょうけいけんになったので、今となっては続けてよかったと思っています。 部活のせんぱいけいさつかんになっている人が多かったのも、けいさつかんこころざしたきっかけの一つです。
けいさつかんでありながら動物にも関われる仕事であることからけいさつけんくんれんきょうを持ち、大学の実習先としてけいさつけん訓練所を選びました。実習先でけいさつけんくんれんの仕事について話を聞き、けいさつけんしんらい関係をきずいて社会にこうけんするせきにんある仕事にりょくを感じて、ほんかくてきけいさつかん、そしてけいさつけんくんれんになることを決意しました。

自然と動物にかこまれて育った子ども時代

自然と動物に囲まれて育った子ども時代

地元の山形は、自然が多い場所だったので、子どものころは友達と川に遊びに行ったり、りに行ったりして遊んでいました。小さいころから生き物が大好きで、虫かごいっぱいにカブトムシやクワガタをつかまえたり、へびつかまえたり、川で魚をつかまえたりしていて、家中がすいそうや虫かごであふれていました。
また、家ではわたしが生まれる前からしばいぬっていて、犬はわたしにとってつねに生活の中にいるそんざいでした。いぬは、友達や近所の人が家に遊びにきてとびらを開けたしゅんかん、そのすきを見てよく外に走って出ていくような犬でした。そのまま放置していても、走りつかれたら家に帰ってくるのですが、朝から追いかけることが多かったのがいんしょうに残っています。
犬のほかにも、熱帯魚やへび、ハムスターなど、いろいろな動物をっていました。動物をっていると必ず直面するのがお別れで、悲しく、おさないながらにショックを感じていましたが、その悲しみ以上に、動物といっしょごしたいという思いが強かったです。
そのようにたくさんの動物とごす中で、人や動物、生き物を大切にしたいという気持ちも自然と芽生えていき、いつからかじゅうになりたいと思うようになりました。結果的にじゅうにはなれませんでしたが、けいさつけんくんれんをしているげんざいも、人や動物を大切にする気持ちは変わっていません。

あせらず自分と向き合ってほしい

焦らず自分と向き合ってほしい

「自分はこうなりたい」という目標があると、どんなかべにぶつかってもえる力になります。ゆめや目標はすぐに見つからなくてもだいじょうです。あせらず、自分と向き合いながら見つけていってください。
わたしも一度、小さいころからあこがれていたじゅうというゆめあきらめたときに、しょうらいについて何をしたらいいかわからないとなやんだ時期がありました。けれど、周りの友達から「自分の好きなことをやってみたら」と言われ、自分と向き合う中で、動物が好きだという変わらない気持ちに改めて気づき、けいさつけんくんれんという新たなゆめが見つかりました。ですから、まずは今を楽しく、自分も友達も大切にしてごしてほしいです。
また、けいさつけんくんれんになりたいと思っている人は、まずはけいさつかんになるために必要なことをつちかっていってください。けいさつけんくんれんになりたいといっても、けいさつかんになってすぐにけいさつけんの訓練だけをたんとうできるのではなく、まずはけいさつかんとしてのほんてきな訓練から始まります。ですから、けいさつけんくんれんはもちろん、けいさつかんを目指すのであれば、周りの人を大切にする気持ちや、けいさつかんに必要な体力をつけることからがんってみてください。

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取材・原稿作成:戸張 維(Playce)・清水 由香利(Playce)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行