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東京都に関連のある仕事人
1979年 生まれ 出身地 東京都

永作(ながさく) 稔(みのる)
子供の頃の夢: コピーライター
クラブ活動(中学校): 剣道部
仕事内容
心理学を生かして社会に貢こう献けんできる若わか者ものを育てる。
自己紹介
柔にゅう和わで穏おだやかな性せい格かくですが、忘わすれ物ものやうっかりミスが多いのが短所です。大学時代の恩おん師しに学んだ「人にはそうせざるを得えない何かがあるから、そうする」という言葉を座ざ右ゆうの銘めいにして働いています。休日は、スーパーで買い物をしたり、サウナでリフレッシュしたりしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2025年12月15日)時点のものです

進路に悩なやむ子どもたちを支ささえる「キャリア教育」

進路に悩む子どもたちを支える「キャリア教育」

私わたしは東京都にキャンパスがある武蔵むさし野の大学で大学教員をしています。主に、教育に関連する心理学を専せん門もんとしています。
心理学というと、精せい神しん疾しっ患かんがある方や、学校にうまくなじめない子どもたちなど、心に悩なやみを抱かかえる方の支し援えんやカウンセリングで活用されるイメージが強いと思いますが、それだけではありません。子どもが学び、育っていく中で役に立つ知ち識しきがいろいろとあります。また、学校に通う子どもたちに対して必要な支し援えんやカウンセリングの中には、「将しょう来らいどんな仕事をすればいいかわからない」といった「進路の悩なやみ」も存そん在ざいしています。
現げん在ざいの日本には、進路の選せん択たく肢しが多種多様に存そん在ざいしており、その中から自分の職しょく業ぎょうや役やく割わりを選ばなければいけないことに、難むずかしさを感じる人は多いと思われます。そのため、子どもたちが自分の将しょう来らいのイメージを十分に思おもい描えがけず、進路について悩なやむことも、自然なことになっています。
私わたしは、そのように生きていれば誰だれもが向き合うことがある悩なやみや葛かっ藤とう、つまり「生きていくための悩なやみ」に寄より添そっていきたいと願っています。そのために、大人がどのように関わっていけばいいかを考える「キャリア教育」の研究を行っています。

未来の教員やカウンセラーを養成するほか、社会貢こう献けん活動も

未来の教員やカウンセラーを養成するほか、社会貢献活動も

私わたしが大学教員として行う業ぎょう務むは、主に授じゅ業ぎょうと研究です。
私わたしが現げん在ざい所しょ属ぞくしている大学では、学校の先生になりたい学生に対し、「教育心理学」や「教育相談」という分野を教えています。週に3~4日ほど授じゅ業ぎょうがあり、1日のうちに2~3コマの授じゅ業ぎょうを行っています。以前在ざい籍せきしていた大学では、カウンセラーになりたい学生のために、「公こう認にん心しん理り師し」や「臨りん床しょう心しん理り士し」といった資し格かくを取しゅ得とくするための授じゅ業ぎょうを受け持っていたこともありました。
研究のほうでは、「子どもが自主的に自分の進路を選べるようにするには、どのような支し援えんや教育が必要か」をテーマにさまざまな研究をしています。一例としては、大学生へのキャリア教育が、キャリア形成の意い欲よくに与あたえる効こう果かを測そく定ていするため、キャリア教育科目の授じゅ業ぎょうを受ける大学生に対してアンケートを実じっ施しし、回答データを集計・分ぶん析せきするという研究をしています。こうした取り組みを通して得えた研究結果を論ろん文ぶんにまとめ、研究成果として学がく術じゅつ学会で発表しています。学会でほかの先生方の研究発表を聞くことや、研究書を読んで最新の知見を入手することも、研究活動の一つです。
また、社会貢こう献けん活動も大学教員の大切な役やく割わりです。自治体の教育委員会の依い頼らいを受けて、地ち域いきの先生方や保ほ護ご者しゃの方に対して教育相談の研けん修しゅう会かいを行ったり、子どもとのコミュニケーションのポイントをお伝えしたりするなどの取り組みも行っています。

多た忙ぼうな日々は、効こう率りつ的てきなスケジュール管理とリフレッシュで乗り切る

多忙な日々は、効率的なスケジュール管理とリフレッシュで乗り切る

私わたしたち大学教員は、勤きん務む時間の決まりがない、裁さい量りょう労ろう働どう制せいという働き方をしています。働く時間が自由である一方で、オンオフの切きり替かえが難むずかしい点が大変なところでもあります。
私わたしの場合、心理学系けいの学がく術じゅつ学会が8月~11月ぐらいに開かい催さいされることが多く、この時期は、平日に授じゅ業ぎょうを行いつつ、その合間に研究発表の資し料りょうを作り、週末は全国各地で行われる学会に参加するなど、忙いそがしいスケジュールをこなすことになります。
加えて、12月~1月になると、学生の卒業研究や修しゅう士し論ろん文ぶんなどを確かく認にん・評ひょう価かする仕事も発生します。そこに、学がく術じゅつ系けいの雑ざっ誌し記事の執しっ筆ぴつや講こう演えん会かい、研けん修しゅう会かいなどの依い頼らいも入ると、スケジュールの整理が難むずかしくなってしまいます。
そこで、スマートフォンやパソコンなどのカレンダーアプリで予定を管理する、原げん稿こうの依い頼らいを整理するなどして、効こう率りつ的てきにスケジュールを管理しています。また、気持ちの面でも余よ裕ゆうをもって業ぎょう務むを行えるよう、プライベートの時間もしっかりと確かく保ほしています。私わたしは家族と過すごす時間が好きなので、家族とともにのんびり過すごすことで、リフレッシュできる時間を作っています。

学生の将しょう来らいの不安を希望に変える

学生の将来の不安を希望に変える

教育に関する授じゅ業ぎょうをしていると、「子育てにあまり興きょう味みがなく、子どもを育てることを怖こわいと感じている」という学生をときどき見かけます。私わたし自身も今でこそ3人の子の親ですが、若わかいころは、「自分でもちゃんと子育てができるのかな」と不安に思っていた時期がありました。
そこで、私わたし自身が心理学を学ぶ中で、これを知ることで心が楽になった「発達の理り論ろん」と「学習の理り論ろん」という理り論ろんを、教育心理学の「発達と学習」という授じゅ業ぎょうの中で教えています。「発達の理り論ろん」は「人は、どのような段だん階かいを踏ふんで、心身を成長させていくのか」を知る理り論ろん、「学習の理り論ろん」は「人が集しゅう団だんや社会でうまく生活するために必要な振ふる舞まいをどのように覚えていくのか」を知る理り論ろんですが、この2つの理り論ろんを学ぶことで、子どもの発達と学習状じょう況きょうに応おうじた指し導どうや支し援えんなど、適てき切せつな関わり方がわかるようになります。私わたし自身も、これらの理り論ろんを学ぶことで、子どもとの関わり方の具体的な方法がわかり、「なんとか子育てできそうだ」と思えるようになったのです。
この授じゅ業ぎょうを行うときは、私わたしが実じっ際さいに子育てで体験したエピソードも交えて話しています。困こん難なんに思うことがある中でも、自分にとって子どもたちの成長がどれだけうれしかったかを話したところ、学生たちはその様子を見て、「楽しそうだな」と思ってくれたようです。学生から、「子育てをしてみたいと思いました」という感想をもらったときには、大学で心理学を教えていてよかったなと思いました。

「そうせざるを得えないから、そうする」という視し点てんを大事に

「そうせざるを得ないから、そうする」という視点を大事に

私わたしの授じゅ業ぎょうを受ける学生に対して、授じゅ業ぎょうのはじめに必ず伝えているのは、「『人はそうせざるを得えないから、そうする』という視し点てんを持って子どもの行動を見てみると、子どもの気持ちに近づける」ということです。「そうせざるを得えないから、そうする」という言葉は、私わたしの大学の恩おん師しから教えてもらったもので、私わたし自身がこの仕事をする上でのポリシーにもしている言葉です。
例えば、社会的に見てよくない行いをしてしまった子どもがいたとして、「そういうことをしてはいけないよ」と注意できる大人は世の中にたくさんいると思います。 でも、心理学を学んだ人ならば、「この子にとって、よくない行いをせざるを得えなかった何かとは、なんだろう」ということも考えて、子どもの立場に立って理り解かいしようとする視し点てんを持てるとよいと思っています。
こうした視し点てんは、子どもだけでなく、大人に対する理り解かいにも活用できると思います。決めつけや思おもい込こみを避さけ、「その人にとってそうせざるを得えない何か」を理り解かいしようとすることは、心理学を学んだ者の基き本ほん的てきな姿し勢せいとして大事にしたいですね。

「多くの子どもたちが笑顔えがおで過すごせるように」という思いが、心理学を志こころざすきっかけに

「多くの子どもたちが笑顔で過ごせるように」という思いが、心理学を志すきっかけに

私わたしは高校生のとき、生徒会に参加しており、学校の先生方といろいろな話をする機会がありました。話をする中で、先生は学校全体のことを考えなければいけないため、状じょう況きょうによって生徒一人一人に関わることが難むずかしいこともあるのだなと感じていました。
そうした経けい験けんから、「子どもたち全体に向き合っていると関われないような生徒と関わっていける仕事は何か」と考えていたときに、高校の家庭科の授じゅ業ぎょうでスクールカウンセラーという仕事があることを知りました。そこで、一人一人の思いに向き合うスクールカウンセラーになりたいと思ったのが、心理学を学ぶきっかけとなりました。
大学ではスクールカウンセラーになることを目指して、心理学を中心に学んでいきました。しかし、スクールカウンセラーは「学校生活で困こまっている子どもたちや保ほ護ご者しゃ、先生方を直ちょく接せつ支し援えんできる」点がやりがいである一方で、自分一人の力で支し援えんできる人々の数には限かぎりがあると感じるようになりました。
そこで、自身が教員という立場で心理学を教え、知見を生かして子どもたちと関わる仕事に就つく若わか者ものを育てたほうが、将しょう来らい的てきには多くの子どもの笑顔えがおにつながると考え、大学教員を目指すようになりました。

体の成長とともに、心も成長した小学生時代

体の成長とともに、心も成長した小学生時代

私わたしは幼おさないころから本を読むことが好きでした。よく読んでいたのは、偉い人じんの伝記やギリシャ神話、『ズッコケ三人組』シリーズのような児童書でした。作品に触ふれていく中で、言葉に親しみを持つようになり、将しょう来らいはコピーライターのような言葉を使う仕事をしたいと思っていたこともありました。
ただ、幼おさないころはほかの友達よりも体が弱く、よく保ほ健けん室しつで過すごしていました。そのため、小学校生活にあまりなじめず、学校に行いき渋しぶっていたこともあります。当時の担たん任にんの先生にも気に掛かけていただくことが多かったかもしれません。
転機が訪おとずれたのは小学校6年生のことです。学校で毎朝授じゅ業ぎょうが始まる前にサッカー教室が開かれていたので、参加するようになりました。運動することでだんだん体力がつき、活発に学校生活を送れるようになりました。
その後、中学校や高校では生徒会の役員に推すい薦せんされて挑ちょう戦せんしました。周しゅう囲いの期待に応こたえることで、自分の居い場ば所しょが広がっていき、学校が好きになっていきました。体が弱かった幼おさないころと比くらべて、心身ともにかなり大きく成長をした時期でした。

自分の人生の舵かじを取れるのは、自分しかいない

自分の人生の舵を取れるのは、自分しかいない

現げん在ざい、日本の社会は豊ゆたかで、将しょう来らいの選せん択たく肢しがたくさん存そん在ざいしています。本当は、将しょう来らいを自由に選べるのは幸せであるはずなのです。しかし同時に、「やりたいことは何?」と問われることを苦しく感じたり、「社会に出るまでに自分の進路を選ばなければいけない」ことを難むずかしく思ったりする若わか者ものが多いことも、現げん状じょうとしてあります。
そうした状じょう況きょうの中でも、自分の人生の舵かじ取とりをするのは自分しかいません。ですから、みなさんには、自分が人生の主人公だと思って生きてほしいと思います。もちろん、すべてが自分の思う通りにいかないこともあります。その時々の流れに身を任まかせたほうがいいこともあるかもしれません。それでも、自分の人生の大事なことを決めるのは、自分自身であってほしいのです。
自分が思う向きに船を進めていくために取り組んでほしいのは、勉強や運動に精せい一いっ杯ぱい取り組んで、舵かじ取とりに必要な能のう力りょくを身につけることです。ここぞというときに、自分の力で自分が進みたい道を切り開けるよう、今できることを精せい一いっ杯ぱい、頑がん張ばってください。

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取材・原稿作成:棚橋 千秋(Playce)・東京書籍株式会社/協力:株式会社りそな銀行