仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1967年 生まれ 出身地 埼玉県
内野うちの 美恵みえ
子供の頃の夢: 資格を生かせる仕事
クラブ活動(中学校): 軟式テニス部
仕事内容
学生に栄養学を教えながら,人々の生活の課題を大学生とともに学び,かいけつしていく。
自己紹介
新しいことをかくすること,人の話を聞くことが好きです。特に,その人がけいけんした“ストーリー”を聞くことが大好きで,つい話しこんでしまうこともよくあります。また,自分のを海外に広げたいと思い,最近は英語の勉強を始めました。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2018年12月07日)時点のものです

大学内の「ヒューマンライフえんセンター」にしょぞく

大学内の「ヒューマンライフ支援センター」に所属

わたしは東京せい大学のじゅんきょうじゅで,大学内の「ヒューマンライフえんセンター」,つうしょう「Hulip(ヒューリップ)」というところにしょぞくしています。ヒューマンライフえんセンターは,いき社会と大学を結ぶまどぐちとして,2002年10月にせつりつされました。
東京せい大学には栄養学,児童学,ふくしょく学,心理学やかんきょうふくかんについて学べる学部があり,人の生活に関わる学びが集まっており,女子教育に長い歴史を持っています。時代とともに,例えば「栄養について知りたい,相談したい」「商品開発に協力してほしい」「子育てについてなやみ相談ができる場所がしい」といったような,人間生活にまつわるニーズが高まり,いきの方々から「東京せい大学に協力してもらえないか」という声を多くいただくようになりました。大学としては「いきに開かれた大学でありたい」という理想はあったんですが,そういった声をとりまとめるまどぐちがなかったんですね。そこでこのヒューマンライフえんセンターがせつりつされた,というわけです。わたしせつりつ時からのメンバーで,ぎょうとコラボレーションしたメニューコンテストや「アスリートめん」といった商品の開発,子育てサロン事業など,センターで行うさまざまなプロジェクトに関わってきました。今も,10以上の進行中のプロジェクトに関わっています。

打ち合わせからじゅぎょうまで,ぎょうはばひろ

打ち合わせから授業まで,業務は幅広い

わたしは大学の教員として,スポーツ栄養学や食育などのじゅぎょうを受け持っていますが,デスクはヒューマンライフえんセンターにあり,ここでいろいろなぎょうをこなしています。
ヒューマンライフえんセンターのモットーは,「いきのニーズに学生の学びでこたえる」というものです。ですから,例えば何か「東京せい大学の学生にかいけつ,協力をしてほしい」というぎょうだんたいからの要望があれば,学生といっしょに取り組んでいくことになります。これらのプロジェクトがうまく進むよう,取りまとめていくのがわたしの仕事です。このため,日々の仕事はにわたっており,ぎょうなど外部の方との打ち合わせや会議,プロジェクトに関する説明会をかくしたり,また研究活動やこうえんらいを受けたりと,あちこち動き回っていることが多いです。
ヒューマンライフえんセンターは大学のさまざまな学部・学科の学生と関わるしょでもあります。プロジェクトや活動の多くは学生が自主的に参加もうみをするものなのですが,学生たちには活動を通して成長をしてもらえるよう「活動記録ノート」というのをつけてもらっています。この「活動記録ノート」をもとに面談をしたり,ときには学生たちから学習や進路についてのなやみや相談を受けることもあります。

学生たちとともにさまざまなプロジェクトを進めている

学生たちとともにさまざまなプロジェクトを進めている

げんざい,ヒューマンライフえんセンターではさまざまなプロジェクトを進めています。例えば,農林水産省がすいしんする「農業女子プロジェクト」には2018年から参加しています。この「農業女子プロジェクト」はじょせい農業者のぎょうや教育機関のじゅつ・アイデアなどを結びつけて,新たな商品やサービスを生み出したり,じょせい農業者をやしていくことを目的としたプロジェクトです。わたしたちの場合,例えば学生に農業体験をしてもらうほか,大学の地元である東京都北区では,区内の小学校とれんけいした食農教育や,プロジェクト参画ぎょうじょうほく信用金庫さんがかいさいする,農業女子を対象としたけいえいえんセミナーに学生が参加するなど,積極的に活動しています。学生たちが食育や自身のキャリアを考える中で,農業のげんやそこで働く人の声をじっさいに見聞きすることができるのは,とてもいいけいけんになります。
また,「子育てえんの場をもうけてほしい」という,いきからの要望があり,大学の中に「森のサロン」という“子育てえん広場”をかいせつしています。0さい児から3さい児までが対象で,曜日ごとに対象のねんれいを分けてかいさいされるのですが,子どもたちは学生が手作りしたおもちゃで遊んだり,読み聞かせなどのイベントに参加することができ,お母さんたちは育児のなやみ相談をしたり,ホッと一息つくことができる,そんな場所です。お母さんと子どもたちにたいおうするのは学生ボランティアたちです。せいがくの児童学科や人文学部の教育ふく学科など,子どもに関わる学科で学ぶ学生たちには,学んだことを生かすじっせんの場となりますし,お母さんたちからも「大学というちゃんとした場所だから,安心して参加できる」とこうひょうです。

「アスリートめん」も開発中

「アスリート麺」も開発中

2018年6月からは「アスリートめん」という,アスリートの栄養きゅうをサポートする商品の開発を手がけています。東京都北区にあるたまがわ食品かぶしき会社というかんめんせいぞうはんばいを行っている会社さんと,栄養学を学んでいる学生とともに進めているプロジェクトで,およそ50〜60人ほどの学生が関わっています。
もともと,アスリートがはげしいトレーニングによってエネルギー,栄養不足におちいることが多いのは,かいけつしなくてはいけない課題だと思っていました。でも,トレーニングをした後はつかれていて,なかなか食べ物がのどを通りません。それならツルッとしているめんなら食べやすいのではと,スポーツのげんでのけいけんから思いついたんです。めんにはさまざまな野菜やえいようむ予定で,学生たちに「どんなえいようを入れたらいいか」「どんなめんてきしているのか」などアイデアを出してもらい,いろいろとこうさくかえしている最中です。
例えばむ野菜なども,「農業女子プロジェクト」で関わった農家さんたちが作ったものを利用するなど,これまでの取り組みがいろいろとつながってきているんですね。そこはすごくやりがいを感じますし,このめんが完成すれば,アスリートだけでなく,栄養不足になやむさまざまな人の役に立つのではと思っています。このアスリートめんは,2019年夏の商品化を目指しています。

しょうがいしゃスポーツに関わり,パラリンピックにも帯同

障がい者スポーツに関わり,パラリンピックにも帯同

わたしは栄養学がせんもんなのですが,これまで,しょうがいしゃスポーツの栄養面におけるサポートにも取り組んできました。最初に関わることになったのは1995年のことで,たまたまざっを見て,車いすの陸上チームがボランティアをしゅうしていることを知りました。当時はスポーツ栄養学というものが注目されてきた時期で,わたしも中学校・高校となんしきテニスをしていたこともあり,スポーツ栄養学にきょうがありました。問い合わせると「管理栄養士としてサポートする」という形でのボランティアでもOKとのことだったので,参加することにしました。
しかしいざ関わりだしておどろいたのは,当時はしょうがいしゃスポーツに関する研究データやじゅんがまったくなかったということです。しかもしょうがいを持つ方は人によってそれぞれ身体のじょうきょうちがうので,けんじょうしゃで使用する栄養学のじゅんが当てはまらないんです。そこで,選手の方と話し合いながらさぐりでサポートを始めていきました。
1996年にかいさいされたアトランタパラリンピックで,サポートしていた選手がいい結果を出してくれ,しょうがいしゃスポーツの栄養サポートのひつようせいみとめられていきました。1998年の長野パラリンピックでは,サポートしていたアイススレッジスピードレースの選手が金メダルをかくとくしました。また,2000年のシドニーパラリンピックには,車いす陸上の栄養コーチとして帯同しました。その後,2008年のキンパラリンピック,2012年のロンドンパラリンピックには日本せんしゅだん本部役員として帯同し,選手のサポートを行いました。

学生の顔がかがやしゅんかんがうれしい

学生の顔が輝く瞬間がうれしい

ヒューマンライフえんセンターで多くの学生たちと関わっていると,やはり学生たちがなやんでいる姿すがたもいろいろと目にします。しかし,学びの中でかのじょたちが自分の目標を見つけ,変化していく姿すがたを見ると,わたしもすごく喜びを感じますね。ヒューマンライフえんセンターのプロジェクトで大切にしているのは,ぎょうも学生も“おたがいに得るものがある”結果となること。例えば商品開発にしても,学生たちはこれまでできなかったようなけいけんができますし,ぎょうのほうは学生たちのじゅうなんなアイデアを得ることができます。関わってくれるぎょうの方たちは,「学生の意見だから」といって下に見るようなことはありません。学生たちのどんな意見でも「そんな発想があるんですね」とそんちょうしてくれます。この「自分の意見がみとめられる」というのは,学生にとってとても重要なことで,本当に顔がパッとかがやくんですよ。
わたし自身は,「仕事は楽しくやる」というのをモットーにしています。ヒューマンライフえんセンターには学生だけでなく,さまざまな人がおとずれます。いろいろな人とせっし,人々のえんをする立場ですが,えんをしながら実は関わる人たちからパワーをいただいているんです。プロジェクトに関わる人みんなががおで,いいエネルギーがじゅんかんする空気づくりを心がけています。

「食」に救われたけいけんから,栄養学の道へ

「食」に救われた経験から,栄養学の道へ

わたしが栄養学を学ぶことにしたのは,自分自身が「食」に救われたけいけんがあるからです。わたしはもともと,東京せい大学ぞく女子高校の出身です。でも実は,受験のときは第一ぼうではありませんでした。行きたかった高校には落ちてしまい,不本意な思いをかかえながら進学することとなり,しかもたくからは遠いので,親元をはなれ,一人で下宿をしなくてはいけなかったんです。毎日泣いているようなじょうきょうだったんですが,そこでわたしを救ってくれたのが,下宿先のおばさんが作ってくれた食事でした。高校生で一人らしをしているわたしを心配し,食事のめんどうを見てくださったんですが,この食事が本当においしかったんです。あまりのおいしさについ食べすぎて,かなり太ってしまったほどでした。でもそこで,食事は人を元気にすることができるということ,食事の大切さについて実感することができました。そこで,大学進学時には,栄養学を学ぶことにしたんです。

生きるために必要な「しなやかさ」を身につけてほしい

生きるために必要な「しなやかさ」を身につけてほしい

いつも学生にも言っているのは「いろんな人の話を聞きなさい」ということです。多くの人と会って話す中で,「人間力」がみがかれていくと思います。世代を問わず,いろいろな人の意見を聞き,自分の意見を話すことができるかんきょうをぜひ積極的に作っていってください。じっさい,ヒューマンライフえんセンターの活動の中で,学生たちが自分の意見を生き生きと言う姿すがたを見ると,その大切さを実感します。
また,じょうきょうに合わせてりんおうへんたいおうすることができる“しなやかさ”も大切だと思っています。わたし自身,高校受験ではせつも味わいましたが,その後に「やりたいこと」を見つけることができました。みなさんにも,ぜひ,さまざまなことにちょうせんしてもらいたいです。

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