仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1978年 生まれ 出身地 埼玉県

渡部(わたなべ) 奈津子(なつこ)
子供の頃の夢: スポーツ記者
クラブ活動(中学校): 吹奏楽部
仕事内容
家,土地,会社の現げん状じょうを登記に反はん映えいさせて,人々の権けん利りや財ざい産さんを守る。
自己紹介
マスコミ業界から一いち念ねん発ほっ起きして法ほう律りつの世界へ。家では一児の母として育児に奮ふん闘とう中です。お酒とスポーツ観戦とアイドルグループ「嵐」が好き。
出身高校
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2017年07月05日)時点のものです

「登記」をはじめ,法ほう律りつに関するさまざまな業ぎょう務むを行う

「登記」をはじめ,法律に関するさまざまな業務を行う

私わたしは東京都千代田区にある「A.I.グローバル」という会社で司法書士の仕事をしています。この会社は,日本全国に11の支し店てんがあり,約40人の司法書士が資し格かくを持って働いています。私わたしの働く東京本部には12人の司法書士がいて,それぞれに仕事をお手伝いしてくれる「補ほ助じょ者」がつき,4,5人のチーム単位で動いています。
司法書士の主な仕事は「登記」業ぎょう務むです。なかでも私わたしは「不動産登記」を専せん門もんに扱あつかっています。例えば,土地や建物の売買をする際さいは,所しょ有ゆう権けんを売主から買主に移うつす必要がありますが,この所しょ有ゆう権けん移い転てんにあたって「登記」の手続きが必要になります。これを司法書士が代行して行います。誰だれでも登記をすることはできるのですが,法ほう律りつの知ち識しきが必要で,複ふく雑ざつで大変な作業です。これを本人の代理で請うけ負おう資し格かくを持っているのが,私わたしたち司法書士です。
その他の業ぎょう務むとしては,会社を経けい営えいするために必要な法ほう律りつ上の業ぎょう務むを担になう「企き業ぎょう法ほう務む」,簡かん易い裁さい判ばん所しょで行う訴そ訟しょうに必要な手続きをしたりや書類を作成する「裁さい判ばん業ぎょう務む」,借金に対する法的アドバイスを行う「債さい務む整理」,高こう齢れい者しゃや障しょうがい者しゃの方々の財ざい産さんを守り,身しん上じょう監かん護ご(被ひ後こう見けん人にんが適てき切せつに生活できるように,介かい護ご保ほ険けんや病院など「身の上」の手続きをする)をするために法ほう律りつ行こう為いを代わって行う「成せい年ねん後こう見けん」,誰だれかが亡なくなった時に遺のこされた財ざい産さんについての法的手続きやアドバイスを行う「相続手続き・相談」などがあります。弁べん護ご士しの仕事と重なる部分もありますが,民事事件や刑けい事じ事件などの紛ふん争そうを解かい決けつへと導みちびく弁べん護ご士しに対し,登記を中心とした業ぎょう務むを行うのが司法書士という違ちがいがあります。

目に見えない「権けん利り」を目に見える形にする

目に見えない「権利」を目に見える形にする

主な業ぎょう務むとなる「登記」には,家や土地の売買時に必要な「不動産登記」や,会社を作る時に必要な「商業登記」などの種類があります。法ほう務む局きょく(通つう称しょう「登記所」)には,公おおやけの帳ちょう簿ぼである「登とう記き簿ぼ」があり,ここに,「不動産登記」であれば土地や建物の所しょ在ざい・面積や所有者の住所・氏名などの情じょう報ほうが記き載さいされています。この「登とう記き簿ぼ」に情じょう報ほうを記き載さいするのが「登記」の手続きです。
「不動産登記」の場合,例えばAさんがBさんの家を購こう入にゅうしたいとすると,Bさんが「Aさんに売る」と承しょう諾だくすれば,法ほう律りつ上はAさんのものになります。しかし家の名めい義ぎがBさんのままだと,Aさんとしては安心して暮くらせませんよね。このため,“所しょ有ゆう権けんが移うつった”ということを登とう記き簿ぼに記き載さいする必要があります。このとき,その建物の所有者の住所や氏名だけでなく,いつ購こう入にゅうしたのか,銀行などからお金をいくら借りて購こう入にゅうしたのかなどの情じょう報ほうも正せい確かくに登とう記き簿ぼに記録します。こうした手続を経へることで,Aさんは安心して「この家は自分のものです」という権けん利りを主しゅ張ちょうすることができるのです。不動産登記は売買される家や土地が「誰だれのものか」「どんなものか」を明らかにするための「名札」をつけてあげるようなものですね。
「所しょ有ゆう権けん」は目に見えませんが,登記を行うことで,公おおやけのものになります。つまり,登記をすることで,所有者の利り益えきと安全が守られることになります。司法書士は人々の権けん利りと財ざい産さんを守る,責せき任にんのある仕事なんです。

書類作成だけではなく,外出も多い

書類作成だけではなく,外出も多い

仕事は基き本ほん的てきに朝9時から夜6時までです。出しゅっ勤きんしたらまずは一日の予定を確かく認にんして,メールの確かく認にんや返信をします。一日のうちの3,4時間は,オフィスで見積書や申しん請せい書類などの資し料りょうを作成しますが,登記のための申しん請せい書類を提てい出しゅつするために法ほう務む局きょくへ行ったり,打ち合わせのためにお客さまの所へ行ったりと,外出することも多いです。
不動産登記に関する打ち合わせでは,土地や家の売り主側に本当に所しょ有ゆう権けんを買い主側に渡わたして良いかの意思確かく認にんや,買い主側に銀行などの金きん融ゆう機関にお金を借りて購こう入にゅうするための資し料りょうの確かく認にん作業などを行います。一案あん件けんにかかる時間は2週間から1か月程てい度どで,私わたしの場合は常つねにチームで15件けんくらいの案あん件けんを担たん当とうしています。忙いそがしい時は30件けんほど抱かかえていることもありますね。
たくさんの人と会うので,コミュニケーション能のう力りょくも必要ですし,法的なアドバイスを求められた時に,的てき確かくに意見ができるよう,打ち合わせの前の事前準じゅん備びはしっかりとしていくように心がけています。

完かん璧ぺきにできて当たり前

完璧にできて当たり前

登とう記き簿ぼに記録する内ない容ように間ま違ちがいがあったり,捺なつ印いんをもらい忘わすれたりするなどのミスは司法書士には「あってはならないこと」です。常つねに気持ちを引ひき締しめて,作成した書類を1文字1文字繰くり返かえし確かく認にんし,誤ご字じ脱だつ字じなどの不ふ備びがないかをチェックしています。
また,登記が完かん了りょうした際さい,正しく記録されたことを証しょう明めいする「登記識しき別べつ情じょう報ほう(※昔でいう「権けん利り証しょう」に当たるもの)」という重要な書類が発行されます。登記識しき別べつ情じょう報ほうには登記の申しん請せい者しゃだけに渡わたされるパスワードが記き載さいされており,万が一それを紛ふん失しつしてしまった時には何千万,何億円もの大きな損そん害がいになってしまうこともある重要書類です。私わたしたち司法書士はこのような重要な書類を多く取とり扱あつかうため,書類の紛ふん失しつや不ふ備びは許ゆるされません。緊きん張ちょう感と責せき任にん感かんを持って仕事をしています。
完かん璧ぺきにできて当たり前,という司法書士の仕事は厳きびしく大変ですが,だからこそ,スムーズに登記ができたときや,難むずかしい案あん件けんをやり終えた後の達成感は大きいですね。

信しん頼らいを得るために「当たり前のこと」をきちんと

信頼を得るために「当たり前のこと」をきちんと

正せい確かくな書類を作り,お客さまの代理として登記申しん請せいを行う司法書士の仕事は,とても責せき任にんのある仕事です。そのためお客さまから信しん頼らいされないと仕事を依い頼らいしてもらえません。挨あい拶さつや時間,約束を守ることは社会人として当たり前のことですが,その「当たり前」を徹てっ底ていしてできるように心がけています。また,登記に関する法ほう律りつはどんどん改正されていくので,常つねに勉強を継けい続ぞくすることも大事なことですね。
スムーズに家や土地の売り買いができて売り主も買い主も双そう方ほう満足に取引を終え,「ありがとう」と言われることが私わたしのやりがいであり,幸せでもあります。お客さまの幸せを生み出すために,「人(買い主・売り主),もの(土地・家),意思(本当に売りたいかどうか)」の確かく認にんをしっかりと行い,スムーズに取引できるよういつも気をつけています。

「絶ぜっ対たい合ごう格かくする!」強い意い志しで難なん関かん試験を一回でクリア

「絶対合格する!」強い意志で難関試験を一回でクリア

私わたしは大学卒業後,新聞社に就しゅう職しょくして事じ務むの仕事をしていました。しかし30歳さいを超こえて将しょう来らいを考えるようになり,何か資し格かくをとって,家庭と子どもを持っても一生活かつ躍やくできる職しょく業ぎょうに就つきたいと思いました。その時に興きょう味みを持ったのが,法ほう律りつの専せん門もん家かである司法書士でした。
司法書士になるためには,国が行う司法書士試験に合ごう格かくすることが必要です。司法書士試験はとても難むずかしい試験で,法ほう律りつについてたくさん勉強しなければなりません。それでも「絶ぜっ対たい合ごう格かくする!」という強い目標を掲かかげて,仕事を続けながら,職しょく場ばまでの移い動どう時間や,家に帰ってからも机つくえに向かうなど,毎日5時間以上勉強していました。私わたしの人生で最もたくさん勉強した一年間でした。おかげで,一回で合ごう格かくすることができたんです。その後,今の会社に入って働くことになりましたが,司法書士はこれまで勉強してきた知ち識しきをストレートに生かせる職しょく業ぎょうなので,積み重ねてきた努力を生かして仕事ができているというやりがいは,日々感じています。

計画を立てて進めることが好きだった子ども時代

計画を立てて進めることが好きだった子ども時代

私わたしは人見知りもせず,外で遊ぶことも家で読書や勉強をすることも好きな子どもでした。宿題は朝,早起きをしてやる習しゅう慣かんがついていて,学校が終わった後は,友達と外で遊んでいました。勉強する時はしっかりとメリハリをつけて取り組んでいましたね。要よう領りょうは良い方だったと思います。
性せい格かくは真面目で,夏休みはまず宿題の計画を立てることから始めていました。「毎日どの教科を何ページ進める」など,毎日やる宿題のページ数も詳しょう細さいに決めて,その通りに進めることが楽しかったんです。だから夏休みの宿題は溜ためこむことはなく,最終日には余よ裕ゆうですべて終わっているような子ども時代でした。「目標を定めて達成させる」という習しゅう慣かんは,司法書士試験に向けて勉強を始めたころにも生かされていたと思いますし,今の仕事にも必要なことです。そういう意味では,今に繋つながっているといえるのかもしれません。

未来の自分のために,今,力を蓄たくわえておこう

未来の自分のために,今,力を蓄えておこう

自分の好きなことや,将しょう来らいやりたいことを見つけるのは大変かもしれません。でも見つかっていなくても,あせる必要はありません。私わたしのように30歳さいを過すぎてから本当にやりたい仕事が見つかることもあります。
でもいざ目標が見えたとき,それまで何も努力をしていなかったとしたら,土台がゼロの状じょう態たいから頑がん張ばるのはかなり大変なことですよね。いろんな趣しゅ味みに興きょう味みを持つのもいいし,たくさん本を読むのもいい,計画を立ててそれに沿そった行動をしてみるのもいい。なんでもいいから,未来の自分のために今できることを一いっ生しょう懸けん命めいやって,力を蓄たくわえておくといいと思います。蓄たくわえたものは,本気で頑がん張ばりたいと思った時の自分の力となり,助けとなってくれるはずです。若わかいうちに,自分のやりたいことを実じつ現げんできるための土台を一つ一つ積み上げていってください。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社