仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1973年 生まれ 出身地 東京都

四釜(しかま) 裕和(ひろかず)
子供の頃の夢: 教師,警察官
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
金きん属ぞくの板やパイプを加工して,お店の看かん板ばんや,商品を並ならべる棚たななどを作る。
自己紹介
運動が好きで,年ねん齢れい層そう別べつにタイムを競きそうマスターズ水泳選せん手しゅ権けん大会出場を目指しています。子どものころから野球をやっていたので,野球観戦も大好きです。休日は子どもとプールや山登りに出かけ,家族と過すごす時間を大切にしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2020年10月13日)時点のものです

金きん属ぞくの板やパイプを切ったりつなげたりして,さまざまなものを作る

金属の板やパイプを切ったりつなげたりして,さまざまなものを作る

私わたしは東とう京きょう都と荒あら川かわ区くにある「株かぶ式しき会社 四し釜かま製せい作さく所じょ」で社長を務つとめています。四し釜かま製せい作さく所じょは金きん属ぞくの板やパイプを切ったり,曲げたり,熱を加えてつなげたりして,さまざまなものを作る会社です。作っているものは,ショッピングセンターや百貨店などにあるお店の看かん板ばんや商品を並ならべる棚たな,階かい段だんの手すり,窓まど枠わくなどです。お店の中にあって金きん属ぞくでできているものならば,ほとんど作ることができる会社です。また,お店以外にも,学校,図書館,空港,オフィスなどの中に設せっ置ちするものを作ることもあります。
会社は1966年に私わたしの父が創そう業ぎょうし,現げん在ざいは,14人の社員が働いています。私わたしは他社で11年間,設せっ計けい関係の仕事をした後,父の跡あとを継つぐために入社しました。
四し釜かま製せい作さく所じょの仕事は,主に,お店全体のレイアウトを担たん当とうする設せっ計けい事じ務む所しょから,お店に置く金きん属ぞく品物の注文を受けることから始まります。まず金きん属ぞく品物のおおまかな設せっ計けい図ずを基もとに,実じっ際さいに品物を製せい作さくするための細かい寸すん法ぽうまで正せい確かくに記き載さいした製せい作さく図を作成します。製せい作さくにあたっては,一人の職しょく人にんが一つの品物を最初から最後まで責せき任にんを持って作り上げていくスタイルです。金きん属ぞくを切る,磨みがく,穴あなを開ける,曲げる,つなげるといったさまざまな技ぎ術じゅつを使い,品物を完成させます。その後,完成品を発送して仕事が完かん了りょうすることもありますし,お客さまからの要望があれば,お店での取り付け工事まで行います。
最近は,少し視し点てんを変えて,新しい仕事にも挑ちょう戦せんしています。例えば,建物を補ほ強きょうするための鉄てっ骨こつを組む仕事などです。そのほかに,金きん属ぞく食器や流し台,スチールドアの製せい作さくなどにもチャレンジしています。「四し釜かま製せい作さく所じょで何ができるか」を考え,仕事の幅はばを広げていきたいと考えています。

腕うでのいい職しょく人にんになるには10年かかる

腕のいい職人になるには10年かかる

金きん属ぞくを加工する技ぎ術じゅつは一日や二日で身につくものではありません。新人の職しょく人にんには,まずは先せん輩ぱいの職しょく人にんが説明してやって見せて,その後,自分でやらせてみる,という流れで,簡かん単たんな作業から少しずつ覚えてもらいます。最初は,錆さびないようにパイプについている油をきれいに拭ふき取とる作業を通じて,さまざまな金きん属ぞく材料を覚えるところからスタートし,次にパイプを切せつ断だんする作業を繰くり返かえしやって,決められた寸すん法ぽう通りに切れるようになっていきます。続いて,尖とがった切せつ断だん面めんでケガをしないように切せつ断だん面めんを丸くする,「バリ取り」という作業,その次は,金きん属ぞくの板に穴あなを開ける作業……というふうに続いていきます。そうやって,少しずつできることを増ふやしていくのですが,一通りの作業ができるようになるまでに1,2年,腕うでのいい職しょく人にんになるまでには10年くらいかかります。
営えい業ぎょうの社員も,職しょく人にんと同じように,最初は単たん純じゅんな形のものから担たん当とうします。簡かん単たんな製せい作さく図の読み方から学び,製せい作さくにかかる費ひ用ようをまとめた見積もりを作れるようになったら,少しずつ複ふく雑ざつな形のものも担たん当とうできるようになっていきます。

社長の一番大切な役やく割わりは,新しいお客さまを見つけてくること

社長の一番大切な役割は,新しいお客さまを見つけてくること

四し釜かま製せい作さく所じょの一日は朝9時の朝礼から始まります。職しょく人にんはそれぞれ製せい作さくを始め,12時から1時間の昼休みを取り,午後も作業を行います。15時から15分間のおやつ休きゅう憩けいをはさみ,18時に作業を終えます。営えい業ぎょうの社員は,設せっ計けい事じ務む所しょと打ち合わせをしたり,見積もりを作ったり,協力会社である金きん属ぞくの材料会社や塗と装そう会社,メッキ会社や運送会社への手配をしたりしています。
私わたしは新しいお客さまを見つけるために,営えい業ぎょうに出ていることが多いです。新しい仕事を受注してくることは,社長として一番大事な役やく割わりだと考えています。新しく受けた仕事がうまく進むようになったら,他の営えい業ぎょう担たん当とう者しゃに任まかせて,また新たなお客さまを探さがしてきます。
また,社員が気持ちよく働くことができるように,社内環かん境きょうを整えることも大切です。働く中で困こまっていることがないか話を聞くなど,社員と向き合う時間を持つようにしています。さらに,「10年後,どんな会社になっていたいか」「その目標を実じつ現げんするためには,1年後までに何をすればいいか」ということを考え,これからの会社の進むべき方ほう向こう性せいを決めるのも,私わたしの重要な仕事だと感じています。

苦労するのは,お客さまの頭の中にあるイメージを形にすること

苦労するのは,お客さまの頭の中にあるイメージを形にすること

私わたしが仕事をする中で最も苦労するのは,お客さまがどんなものを作りたいのかがわからないときです。お客さまも初めて作るため,どんなものを作りたいのかをうまく説明できないことがあるのです。そんなときは,設せっ計けい事じ務む所しょとお店を作るお客さまとの打ち合わせに私わたしも参加し,「こんなイメージはどうですか?」「こういう形はどうですか?」などと提てい案あんをして,お客さまの頭の中にあるイメージを形にしていくのです。
もうひとつ苦労しているのが,仕事の依い頼らいを受けてから,品物を完成させて納のう品ひんするまでの期間が短いケースです。ショッピングセンターなどにお店を出す場合,お店は工事中も家や賃ちんを支し払はらわなければならないため,工事期間はできるだけ短く設せっ定ていします。そのため,どうしても品物の製せい作さく期間も短くなってしまうのです。そのうえ,製せい作さく途と中ちゅうで変へん更こうがあったりすると,職しょく人にんの負ふ担たんが大きくなってしまうので,そういうときは彼かれらへの責せき任にんを感じますし,本当に申もうし訳わけない気持ちになります。だからこそ,最初の打ち合わせの段だん階かいで,お客さまの頭の中にあるイメージをしっかり形にして,スピーディーに進めることが大切だと考えています。

一点ものを作り上げる,やりがいのある仕事

一点ものを作り上げる,やりがいのある仕事

四し釜かま製せい作さく所じょで作る品物の多くは,同じものが二つとない,一点ものであるという特とく徴ちょうがあります。誰だれも作ったことがないものを作るのは,もちろん難むずかしいことではあるのですが,そこに仕事の面おも白しろさや,やりがいがあると感じています。特とく殊しゅな形の品物や,作るのに苦労した品物であればあるほど,完成したときの喜よろこびは大きいものです。
オープンしたお店を訪ほう問もんして,四し釜かま製せい作さく所じょで製せい作さくした品物が店内を彩いろどっているのを見たときや,お客さまに「四し釜かまさんに頼たのんでよかった」と言ってもらえたときも,この仕事をしていてよかったと思います。そして,お店作りをお手伝いしたお客さまがだんだん店てん舗ぽ数すうを増ふやして全国に出店していき,テレビCMでもよく見るようになり有名になっていくときなど,お客さまが成長していく姿すがたを見ることができたときも,うれしく思います。

働く環かん境きょうをよりよくするため,第二工場を新しん設せつ

働く環境をよりよくするため,第二工場を新設

社員たちは,限かぎりある人生の多くの時間を使う覚かく悟ごを持って,四し釜かま製せい作さく所じょに入社してきてくれているはずです。だからこそ,社長として,その覚かく悟ごに応こたえる必要があります。より働きやすい環かん境きょうにするために,昨年,第二工場を新しん設せつしました。天てん井じょうが8mと高いので,信号機ぐらいの大きな品物もつり上げることができ,作業効こう率りつもよくなりました。
職しょく人にんは毎日,当たり前のように作業していますが,その技ぎ術じゅつ力りょくの高さは素す晴ばらしいものです。お客さまが見学に訪おとずれた際さいには,職しょく人にんの技わざを見た方から「すごい!」と歓かん声せいが上がります。自分たちの技ぎ術じゅつ力りょくの高さを自覚し,誇ほこりを持って仕事をしてもらうことは,仕事のやりがいにもつながります。この第二工場では,職しょく人にんの技ぎ術じゅつ力りょくの高さを象しょう徴ちょうするモニュメントのようなものを作る試みにも挑ちょう戦せんしてみたいと考えています。
そしてもうひとつ,地ち域いきの他の工場とのつながりも大切にしたいと考えています。会社のある荒あら川かわ区くは昔から町工場が多く,ものづくりの町だったのですが,近きん隣りんの町工場もだんだん減へってきてしまいました。しかしまだまだ金きん属ぞく加工工場やプラスチック工場,木工工場など,さまざまな町工場があります。お互たがいに仕事を依い頼らい,紹しょう介かいしあうなど連れん携けいすることで,地ち域いきを元気にしたいと思っています。

みんなでひとつのものを作り上げる楽しさを知った中学時代

みんなでひとつのものを作り上げる楽しさを知った中学時代

子どものころの私わたしは,野球と水泳をやっていて,特に野球に一いっ生しょう懸けん命めいでした。小学校低学年のときは,思っていることが言えない消極的な性せい格かくだったのですが,野球で少しずつ実力をつけるとともに,自信もついて,積極的な性せい格かくになっていきました。身長も小学校を卒業するころには170㎝あり,大きいほうでした。学校から帰ると「ただいま!いってきます!」とカバンを放り投げて,よく遊びにも出かけました。木登りが好きで,木から木へ飛とび移うつったり,友達と川へ行ったり,自転車で遠くまで行って帰れなくなったり,少しやんちゃな遊びをしていましたね。
中学に入ると野球部や生徒会の活動で忙いそがしくなり,家に帰るのは暗くなってからでした。生徒会も,はじめは嫌いや々いややっていたのですが,だんだんみんなでひとつのものを作り上げる楽しさがわかるようになって,体育祭や文化祭の実行委員なども一いっ生しょう懸けん命めいやっていましたね。このころの経けい験けんがあるから,みんなで協力してひとつのものを作り上げる,設せっ計けい関係の仕事に進んだのかもしれません。

勉強はぜいたくであることを知ってほしい

勉強はぜいたくであることを知ってほしい

私わたしからみなさんに伝えたいのは,まず,仲間を大切にしてほしいということ。そうすれば,一生,付き合える友達は必ずできます。また,いろいろな場所に行って,多くのものを見て,触ふれるようにしてください。実じっ際さいに自分の目で見て経けい験けんしたことが,どんなことにも臨りん機き応おう変へんに対たい応おうする能のう力りょくを伸のばし,将しょう来らい,仕事をするうえでも役に立つと思います。
もうひとつ,大人になって思うのは,「勉強はぜいたくだ」ということです。私わたしが今から勉強しようと思うと,学がく費ひもたくさんかかりますし,自由に使える時間も多くありません。子どものころは勉強が嫌きらいでしたが,将しょう来らいの役に立つ勉強をすることができるのは,とても貴き重ちょうな時間だったと思うのです。学生のころの勉強は大人になったら簡かん単たんにはできない,ぜいたくな時間であることは知っておいてほしいと思います。

ファンすべてを見る

(兵庫県 小3)
(東京都 中1)
(北海道 小6)
(山口県 小6)
(千葉県 中1)
(大阪府 小4)
※ファン登録時の学年を表示しています

私のおすすめ本

西岡 常一/小川 三夫/塩野 米松
宮大工の西岡さんの弟子になり,小川さんが宮大工になっていく過程のエピソードが特に面白いです。どのような覚悟を持って仕事に取り組むのかや,職人の手から手へと引き継がれていく技と知恵など,現代のものづくりにも通じるものを感じます。
小関 智弘
鉄を相手にする職人の話です。削る作業一つをとっても,さまざまな手法・技術があり,著者の小関さんの,職人としての加工技術に対するこだわりを感じます。ものづくりの大切さを学んだ一冊です。

もっと知りたいこの仕事人

取材・原稿作成:國分 唯未(Playce)/協力:城北信用金庫