仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1963年 生まれ 出身地 東京都
西澤にしざわ 真由美まゆみ
子供の頃の夢: 弁護士
クラブ活動(中学校): 書道部
仕事内容
よい商品をちょうどよい量、作って、ちょうどよい量、売る。
自己紹介
新しいものが好きで、変化をおそれないせいかく。反面、きっぽいところもあります。これまでをかえると、一度こうと決めたら集中力と行動力はあるようです。最近では、毎日、早起きしてなわびをするのをしゅうかんにしました。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2021年10月08日)時点のものです

「多重りガーゼ」のせんもんてんとして、オリジナル商品を作りはんばいする

「多重織りガーゼ」の専門店として、オリジナル商品を作り販売する

わたしは東京都たいとうあさくさばしにある「かぶしきがいしゃオブラブ」という会社で社長をつとめています。オブラブは、ガーゼをなんそうにも重ねた「多重りガーゼ」のオリジナルせいひんを作ってはんばいしています。1997年に会社をせつりつし、げんざいわたしふくめて3名のじゅうぎょういんがいます。せいひんは和歌山県や大阪府の数か所の工場にらいして、作ってもらっています。
オブラブという会社名は、「of love = 愛の」から意味と音をとって命名しました。「赤ちゃんのころ、やさしくつつまれたおくがあれば、やがて、だれかをやさしくつつむ日がくる。世代をえて、やさしさがつながるように」という願いをこめて、おくるみやブランケット、まくらなど、赤ちゃん向けのアイテムを中心にさまざまなオリジナル商品を作り、はんばいしています。お客さまのねんれいそうは30代から80代とはばひろく、友人への出産祝いや孫へのおくものといったギフト目的でこうにゅういただくことが多いですね。
わたしは、会社けいえいに関する仕事のほか、「どんな商品を作るか」という商品開発の仕事や、もっと商品を売るためのPRの方法や売り方を考える仕事もします。そのほか、商品のデザインや工場へのをしたり、店頭に立ってお客さまのたいおうをしたり、インターネットはんばいサイトの管理をしたりもしています。

多重りガーゼのりょくとは

多重織りガーゼの魅力とは

オブラブは多重りガーゼのせんもんてんですが、そうなったのは会社せつりつから約20年後からでした。それまでは、オリジナルの商品ではなく、たくを受けて他社ブランドの商品をせいぞうする仕事をしていたのです。とはいえ、「自社の商品を作りたい」という気持ちは、せつりつ当初からずっと持ち続けていました。
大きな転機となったのは、2012年にあったギフト・生活ざってんかいで「6重ガーゼ」を目にしたことでした。6重ガーゼは、その名の通り、6まいのガーゼを重ねたもので、1まいごとに糸の太さやみつを変えられるんです。例えば、ふっくらさせたいのであれば太い糸を使用し、細かいがらを出したければ細い糸を使ってげます。そうしたとくちょうことなるを、6まい重ね合わせることで、さまざまなしつかんやデザインを作り上げられるところがとてもりょくてきでした。もともと、作るもののこうぞうから考えることが大好きだったわたしせいかくにもぴったりのざいだったのだと思います。この出会いを機に、「多重りガーゼのせんもんてん」として、オリジナルの商品をから作っていく方向にかじを切ったのです。
そこからはざいやデザイン、はだざわりなどをついきゅうし続け、3重から6重りガーゼのさまざまな商品を生み出していきました。例えば、パジャマの上に着せる0さいから4さい向けのしん「リバーシブル・スリーパー」は5重ガーゼの商品です。お客さまにもこうひょうで、人気商品のひとつになっています。表のバルーンドッグがらは上2まいひょうげんし、下2まいのガーゼうらのボーダーがらを作り上げているため、表とうらがらことなります。ふわふわのさわ心地ごこちを追求し、5まいそれぞれで糸の太さも変えるなど、糸にもこだわりました。多重りガーゼだと、このようにったデザインがじつげんできるんです。

テレビしゅつえんを機に「ガーゼとお米のまくら」が大人気に!

テレビ出演を機に「ガーゼとお米のまくら」が大人気に!

2021年の9月に、『ぶらりちゅうしゃの旅』というテレビ番組でお店をしょうかいしていただき、本当に多くのうれしいはんきょうをいただきました。番組内でしょうかいいただいた「じゅにゅうケープ」や「スリーパー」、「ガーゼとお米のまくら」は大人気商品となりました。特に「ガーゼとお米のまくら」には、お店をおとずれてくれたタレントのIMALUさんに「お米の香りがする~!」とてきなリアクションをしていただきました。放送を機に「お米好きなのでぜひ予約したいです」というお客さまもいらっしゃったほどのだいはんきょうでしたね。
「ガーゼとお米のまくら」はお客さまの「子ども用のまくらを作ってほしい」という言葉から生まれました。デザインはおにぎりがたとうさぎがたの2種類で、中にはてられてしまうお米を半分以上ブレンドしたバイオマスプラスチックのまくら用パイプを入れました。まくらの中身を考えるさい、少しでもかんきょうにやさしいものを使いたいという思いから、数種類のバイオマスプラスチックをせ、使用感や重さ、ようなどをけんとうしたうえで選びました。デザインにもこだわり、お米に関するものとして「たわらの形はどうか」など何種類も試作を重ね、心地ごこちなどを細かくけんしょうした結果、最終的に今の形になりました。
今回のけいけんから感じたことは、ざいやデザイン、使用感などへのこだわりを追求したものづくりを積み重ねてきたからこそ、ヒットにつながったのだなということです。わたしたちは、自信とほこりを持って売り出せる商品を作ってきたのだと改めて実感した出来事でした。

インスタライブにもちょうせん

インスタライブにも挑戦

最近、特に力を入れているのが、PRの方法や売り方を考える仕事です。オブラブのことをより多くの方に知っていただくために、SNSの運用方法を考えることもそのひとつ。インスタグラムにとう稿こうする写真やないよう、アップする時間などにもこだわっています。2020年の11月からは、月に一度「インスタライブ」という生配信を、しょが近所で仕事でもお付き合いのあるイラストレーターさんといっしょに行い、お店や商品のしょうかいだけでなく、家族や言葉についてなど、さまざまなテーマで話をしています。これは、お店や商品といった目に見える部分だけではなく、「どんな人が商品を作っているのか」ということも伝えたいと思ったからです。あえてライブという形で伝えることで作り手のにんげんせいも知ってもらい、ブランドへのしんらい感にもつながればと考えました。相手により分かりやすく伝えるための力、いわば「国語力」の大切さを日々つうかんしながら、楽しくお話ししています。

仕事をするうえで大切にしている3つのこと

仕事をするうえで大切にしている3つのこと

わたしが仕事をするうえで大切にしていることは、大きく分けて3つあります。
1つ目は「言葉」です。例えば、わたしのやりたいことをそのまま伝えるのではなく、やりたいことに対して相手がなっとくし、いっしょに動いてもらうための言葉選びや伝え方を大切にしています。そのためには、ただろんてきに伝えるだけではなく、思いやかんじょうもきちんと伝わる言葉が必要だと考えています。こういう言葉を使える人が、しきひきいるりっなリーダーになれるとわたしは思っていますし、自分でもそういう言葉を使えるよう、心がけています。
2つ目は「一方だけがつらい思いをしないようにすること」です。仕事は自分一人ではなく、さまざまな人たちの力が合わさることで成り立っています。だからこそ、その中のだれかがつらい思いをすることはないようにしたいと考えています。例えば、料金やのうの面で、商品のせいぞうをお願いしている工場に大きなたんをかけてしまう、などということのないように、できるかぎり仕事量などを調整するようにしています。
3つ目は「お客さまありきの商品づくり」です。せいのうだけを追い求めた、ハイスペックな商品ができあがったとしても、お客さまが求めていなければ意味がありません。作り手のひとりよがりな商品ではなく、使う人ありきの商品にしたいとつねしきしています。わたし自身、ものづくりが大好きなので、ついつい「自分が作りたいもの」にしきが向いてしまうこともあります。だからこそ、「どんな人たちにとどけるものなのか」、「だれのための商品なのか」ということをいつもわすれないようにしています。

昔も今も変わらない「ものづくりが好き」という気持ち

昔も今も変わらない「ものづくりが好き」という気持ち

わたしが今の仕事を選んだのは、実家がほうせいメーカーで、ものづくりがとても身近なかんきょうだったことが大きいと思います。じっさい、子どものころから自分の手を動かしてものをつくることが大好きでした。
中学時代はお作りにちゅうになりました。調理のていで、ざいがどんどん変化していくのが理科の実験のようで楽しかったんです。最終的にデコレーションして見た目のきれいな形になり、食べてもおいしいなんて、最高ですよね。好きなことにはとことんのめりこむタイプだったので、道具をたくさん集めて、クッキーやケーキなど、さまざまなおを作るのを楽しんでいたことを、今でもよく覚えています。もしかしたら、当時、パティシエというしょくぎょうが身近にあれば、そちらの道に進んでいたかもしれません。
高校や大学時代には、自分でかたがみを引いて洋服を作っていたこともありました。今も、を作るさいには糸の太さや種類から考えますし、一から自分の手でものをつくることが好きな気持ちは、昔から変わっていないのだと思います。

子どものころからどくりつして仕事をしたかった

子どものころから独立して仕事をしたかった

もうひとつ、子どものころからいっかんして変わらなかったものがあります。それは、「どくりつして仕事をしたい」という気持ちです。わたしは4人兄弟の末っ子で3人の兄がいます。わたしだけ女の子ということもあり、両親からかわいがられたものの「兄たちに負けたくない!」とも考えていました。こうした気持ちもあってか、中学のころから、じゅつを持ち、どくりつして生きていけるようになりたいと考え始めます。高校生になってもその思いが変わることはなく、じゅつの先生にデッサンをほめられたことを機にデザインにきょうを持ち、さしじゅつだいがくに進学し、工芸デザイン学科でプラスチックに関することを学びました。
大学卒業後はインテリアデザインしょしゅうしょくし、デザイナーとしてかくの仕事をけいけんした後、実家の会社を手伝いました。デザインの仕事と、自分の手でものを生み出す実家の仕事をわたしが気付いたことは、自分はかくだけではなく、商品を形にしてお客さまにとどけるまでの仕事がしたいんだなということです。多くのけいけんて、デザイナーとしてではなく、メーカーとしてどくりつすることを決め、会社をせつりつしました。

何でもやってみよう!たくさんのけいけんが未来をかがやかせる

何でもやってみよう!たくさんの経験が未来を輝かせる

わたしは、きょうのあることは何でもやりたいタイプでした。わかいころは、日本をえて中国やドイツで仕事をしたこともあります。今思えば「手を出しすぎたかも?」と思うこともいくつもありました。しかし、たくさんのけいけんのおかげで、自分に合っていること、自分にとって不要なものがすぐにはんだんできるようになりましたし、思わぬところでけいけんが生かされたこともあります。大学時代に学んだプラスチックのしきが「お米のまくら」で予想外に生かされたことがよい例でしょう。
自分の血となり肉となるものは、じっさいけいけんしたもののみです。それをどれだけ積めるかで、しょうらいは大きく変わると思います。ちょうせんおそれず、きょうのあることや好きなこと、とにかくいろんなことにチャレンジしてみてください。

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この年齢になってつくづく思うのは、国語力の大切さです。自分の言葉で考え、それを文章や発言で表現する力は、人生最強の道具になります。この本は、その助けになると思います。

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取材・原稿作成:関 香里(Playce)・東京書籍株式会社/協力・撮影:城北信用金庫