仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1981年 生まれ 出身地 静岡県

松井(まつい) 加奈絵(かなえ)
子供の頃の夢: アートディレクター
クラブ活動(中学校): 陸上部
仕事内容
データとAIで地ち域いき課題解かい決けつに取り組み、暮くらしやすい街を共につくる。
自己紹介
好こう奇き心しん旺おう盛せいで、新しい技ぎ術じゅつを試ためすのが好きです。研究者でもあり「学ぶこと」が日課です。休日は外国語を学んだり、ピラティスに取り組んだりしています。
出身高校
静岡県立下田北高等学校

※このページに書いてある内容は取材日(2026年07月06日)時点のものです

ITを使い、地ち域いきの課題を解かい決けつする

ITを使い、地域の課題を解決する

私わたしは今、東とう京きょう電でん機き大学で大学教きょう授じゅとして勤きん務むしながら、「エクスポリス」という会社を経けい営えいしています。エクスポリスはIT(情じょう報ほう技ぎ術じゅつ)を使い、それぞれの地ち域いきの特とく徴ちょうに合わせた課題解かい決けつを行う会社です。例えば2023年に公開された「データプラットフォームくれ」は、広島県呉くれ市しからの依い頼らいで、データ活用による地ち域いき課題解かい決けつの促そく進しんを目指し、開発したポータルサイトです。呉くれ市しが持っている行ぎょう政せい・地ち域いきデータをより使いやすい形で公開・提てい供きょうすることで、住民の方や民間企き業ぎょうの方がそれらのデータを活用し、新しいサービスやアイデアを開発できるようになることを目的としています。また、香川県高たか松まつ市しでは高松市中心部の駐ちゅう車しゃ場じょうの利用状じょう況きょうがリアルタイムで可か視し化かされる「どこ駐ちゅう車しゃナビ高松」というシステムを提てい供きょうしました。
このように、依い頼らい主ぬしは基き本ほん的てきには自治体が中心ですが、地ち域いき課題解かい決けつに取り組む企き業ぎょうと連れん携けいすることもあります。

大学教員としての勤きん務むとエクスポリスの仕事とを両立

大学教員としての勤務とエクスポリスの仕事とを両立

大学教員としては、午前9時ごろに大学に出しゅっ勤きんし、授じゅ業ぎょうを行っています。私わたし自身の専せん門もん分野は「スマートシティ」(ITなど先せん端たん的てきな技ぎ術じゅつを生かした街づくり)で、授じゅ業ぎょうではネットワークの基き礎そを教えたり、実験を担たん当とうしたりしています。授じゅ業ぎょうの準じゅん備びや学生の指し導どうもあるので、かなり忙いそがしい状じょう況きょうです。エクスポリスの仕事は、大学の仕事が終わった後に対たい応おうしています。また、研究室に所しょ属ぞくしていた方で、副業としてエクスポリスの業ぎょう務むに関わってくれる人もいます。
エクスポリスの仕事の基き本ほん的てきな流れは、自治体の方からご依い頼らいをいただき、抱かかえている問題に対して私わたしたちがいろいろな方ほう策さくをご提てい案あんし、システムやWebサイトなどが必要な場合はそれを制せい作さくし、納のう品ひんする、という流れです。地方在ざい住じゅうの方々とのお仕事が多いので、‎打ち合わせはオンラインが中心ですが、現げん地ちに行くこともあります。依い頼らいは時期を問わずありますが、自治体の予算サイクルの関係もあり、4〜9月はご提てい案あん、実じっ際さいに納のう品ひんするのは3月、というサイクルのものが多いです。

地ち域いきの課題解かい決けつにあたっては、地ち域いきをよく知ることが必要

地方の自治体とのお仕事が多いのですが、何かあったときにすぐに駆かけ付つけられないという大変さはあります。コロナ禍か以い降こう、オンラインでの打ち合わせが多くなったことで、相手の表ひょう情じょうから困こまりごとを読み取ることが難むずかしくなったように感じています。オンラインミーティングでは、会話の中から生まれる困こまりごとや不満を細かく吸すい上あげることが難むずかしいのが現げん状じょうで、こちらからのご提てい案あんや発想も、どうしても限かぎられてしまうような気がします。
また、地ち域いきの抱かかえている問題を解かい決けつするには、その地ち域いきに合った形で解かい決けつをすることが必要です。しかし、実じっ際さいに現げん場ばに行って見てみないとわからないこと、気づくことができないことも多くあり、インターネットからは得えられない情じょう報ほうを、現げん地ちで得えることの重要さを感じています。例えば、課題解かい決けつのために、センサーからネットワーク経けい由ゆでデータをやり取りすることができる「IoTデバイス」を使うことがあります。雪が降ふる地ち域いきでは、そういったデバイスを屋外に設せっ置ちすることは難むずかしくなります。しかし、同じ県内でも雪があまり降ふらない地ち域いきがあり、そういう場所では使用できます。地ち域いきに合わせた課題解かい決けつのためには、その地ち域いきをよく知ることが大事だなと実感しています。

「生まれた場所に住み続ける」という選せん択たく肢しを増ふやしたい

「生まれた場所に住み続ける」という選択肢を増やしたい

私わたしたちの会社のミッションとしては「地ち域いき課題解かい決けつ」と「社会貢こう献けん」が根こん幹かんにあります。若わかい人たちが今後暮くらしていく中で「ここに生まれてきてよかった」と思えるような環かん境きょうづくりを支し援えんしたいと考えています。そのためには、それぞれの地ち域いきが持っているよいところを生かして、きちんと事業として利り益えきを出せる、持続的な産業をつくることが重要です。
以前、研究で長野県北きた安曇あづみ郡ぐん小谷おたり村むらと関わらせていただいたことがあります。小谷おたり村むらはとても美しい自然がある場所ですが、人口は2700人ほどで、村には高校がありません。そのため、子どもたちは成長すると進学のために村を離はなれることとなります。小学校のアンケートでは「この村でずっと暮くらしていきたい」と書く子どもが多いのですが、保ほ護ご者しゃの方は「ここに残ってほしいけれど、進学先や仕事も限かぎられているので、別の地ち域いきに行ってほしい」と考える人も多いようです。村に産業や働く場所の選せん択たく肢しがあれば、この場所でずっと住み続けることができますよね。生まれ育った環かん境きょうでずっと働くことができる仕組みを作りたい、と考えるようになりました。
今、私わたしたちの会社ではいろいろな地方の自治体や企き業ぎょうの方にシステムを提てい供きょうし、その後の保ほ守しゅやメンテナンスも続けています。ただ、実じっ際さいに手を動かしているメンバーは全国に散らばっていて、その地ち域いきに住んでいる人とは限かぎりません。ですので、将しょう来らい的てきには会社内でチームをつくり、現げん地ちで働きたいという方を私わたしたちで雇こ用ようして、保ほ守しゅやメンテナンスを行ってもらう、というような形を進めていきたいと考えています。

地元の方が活用し、喜よろこんでくれるのが何よりの喜よろこび

地元の方が活用し、喜んでくれるのが何よりの喜び

どんなに大変な仕事でも、私わたしたちが納のう品ひんしたシステムで実じっ際さいに地ち域いきの方が「便利になった」と言ってくださる声を聞くと、とてもうれしいです。例えば高松市の事例では、駐ちゅう車しゃ場じょうの状じょう況きょうが可か視し化かされるようなシステムがなかったため、以前はいざ駐ちゅう車しゃ場じょうに行っても満車で利用できないということが多かったようです。しかしシステムの稼か働どう後は、離はなれていても利用状じょう況きょうがアプリでどこからでも見られるようになり、予定が立てやすくなったと地ち域いき住民の方からお聞きしました。多くの関係者の方がいらっしゃるプロジェクトで、連れん携けいすることが大変なこともありましたが、やってよかったと心から思いました。
また呉くれ市しの場合は、2025年12月から2026年2月にかけて、データを使ったアプリコンテストを開かい催さいした際さい、地元の高等専せん門もん学校の学生が、提てい供きょうしているデータに加えて自分たちで現げん地ちでフィールドワークも行って、観光アプリを提てい案あんしてくれました。そのときは、あまりにも感動して泣いてしまいました。若わかい方がデータやAIを使って地ち域いき課題を解かい決けつしてくれる姿すがたを見て、エクスポリスの願いが実じつ現げんされる瞬しゅん間かんを見ることができた、そんな思いでした。

玩がん具ぐメーカー勤きん務むから研究者の道へ

大学では「総そう合ごうメディアデザイン」という、プログラムなども含ふくめて幅はば広ひろく学ぶコースを専せん攻こうしました。私わたしが学生時代にインターネットが急速に広まり始めたのですが、とにかく私わたしにとっては面おも白しろく、そして衝しょう撃げき的てきなものでした。
卒業後は大手玩がん具ぐメーカーに就しゅう職しょくし、ゲーム機メーカーのデバイスとカードゲームのデータをネットワーク上でやり取りする、というプロジェクトに関わっていました。とてもやりがいがあり、大だい規き模ぼなプロジェクトだったのですが、のめり込こみすぎて体調を崩くずしてしまいました。当時、MBAや修しゅう士し号ごうを取しゅ得とくしたいという思いがあったので、退たい職しょくして慶けい應おう義ぎ塾じゅく大学大学院のメディアデザイン研究科に進学し、海外の研究所への在ざい籍せきを経へて、博はく士し号ごうを取しゅ得とくし、東京電機大学に勤つとめることとなりました。実は「エクスポリス」という会社自体は、ゼミの活動で地ち域いき課題の解かい決けつを行う中で、私わたしの教え子だった学生が起業したものです。その後、その学生から私わたしが引ひき継つぐ形で、経けい営えいを続けています。

インターネットから生成AIへ

インターネットから生成AIへ

子どものころから本が大好きで、情じょう報ほう収しゅう集しゅうがとても好きな子どもでした。父が本は希望するものを買かい与あたえてくれたので、ずっと読書をしているような子どもでした。インターネットが出てきたときには、クリック一つで無む限げんに情じょう報ほうが得えられることにとても感動し、「インターネットが世界を変える」と確かく信しんしていました。実は今、当時、私わたしがインターネットに感じていたような大きな衝しょう撃げきと可か能のう性せいを生成AIに感じています。本当に魔ま法ほうのようなツールだと思っていて、いろいろとやりたいことが広がっている最中です。

今暮くらしている場所は、いずれ宝たから物ものになる

今暮らしている場所は、いずれ宝物になる

私わたしは「やりたいことが、生まれた地ち域いきによって限げん定ていされてしまう」ということが少なくなればいい、どこに生まれても「ここに生まれてよかった」と素す直なおに思えるような社会をつくりたいと考えています。もしかしたら、今の環かん境きょうに不満を持っている方もいるかもしれませんが、育った場所はいずれ宝たから物ものになります。私わたしも静岡県下しも田だ市しで育ち、知りたい情じょう報ほうへのアクセスの不便さを感じることもありました。ですが、豊ゆたかな自然の中での経けい験けんがあったからこそ、地ち域いきの素す晴ばらしさを理り解かいし、それを残すための仕事に取り組めていると思っています。今、生成AIをはじめとした技ぎ術じゅつの進歩は目覚ましく、以前は解かい決けつできなかったさまざまな地ち域いき課題が、解かい決けつできるようになってきました。大変なこともあるかもしれませんが、一いっ瞬しゅん一いっ瞬しゅんを大切に過すごしていただきたいです。

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(神奈川県 中2)
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私のおすすめ本

杉本貴司
インターネットバブル期の起業家の方々のまさに“興亡”が書かれており、自分を奮い立たせたいときに読み返しています。著者の杉本さんは、多くの起業家の方への取材に基づいた書籍を書かれている方で、他の書籍もおすすめです。
アンディ・ウィアー
思わぬ事故により火星で暮らすことを余儀なくされてしまった、宇宙飛行士であり、植物学者でもある主人公の物語です。火星という極限の状態でどうポジティブに暮らすのか。どんなに苦しいときにあっても知識で一つ一つの問題に立ち向かう主人公に勇気をもらっています。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫