※このページに書いてある内容は取材日(2021年02月09日)時点のものです
半導体のテストをするプログラムを開発
私は,半導体が目的に合わせて正しく動くかテストするプログラムを開発しています。
半導体は,さまざまな電子製品に使われている部品で,製品が正しく動くようにコントロールしたり,画像や音声を認識するセンサーのような役割を果たしたりしています。
スマートフォンやパソコン,ゲーム,そして,エアコンや冷蔵庫などの家電製品,さらに,自動車や電車,飛行機など,私たちの暮らしを支えるあらゆるものに使われています。
もし,半導体が正しく動かなかったら,スマートフォンやパソコンが使えない,自動車や電車が動かないなど,私たちの生活に大きな問題が起こってしまいます。ですから,半導体が目的に合わせて正確に動くかをテストすることはとても大切になってきます。
プログラムが正しく動くことがやりがいに
プログラム開発といっても,いつも新しいプログラムを開発するわけではなく,過去に開発したプログラムを,技術の進化に合わせて改良するという仕事も多くあります。
プログラムを改良する際には,まずは過去のプログラムをしっかりと理解するところからスタートします。プログラムの機能や目的が書かれた「仕様書」を読んだり,プログラムを動かすために書かれた「コード」をチェックしたりするのですが,その仕組みが理解できずに苦労することも少なくありません。そういうときは,チームの先輩にアドバイスをもらい,仕組みを理解できるようにしています。
私はまだ入社して3年目で,チームでは一番の若手でもあり,分からない部分も多いのですが,先輩から丁寧に教えてもらったり,指導してもらったりしながら,毎日を送れるのが,ありがたいですね。
開発したプログラムが正しく動いて,同じ部署の仲間やほかの部署の協力者に「いいところに気がついたね」「丁寧に作業ができている」などと言ってもらえると,頑張った甲斐があったな,と達成感を感じます。そして,私のチームで開発したプログラムでテストした半導体が商品になって,みなさんのところに届くのも,とてもうれしいですね。
たくさんの人とのコミュニケーションも大切な仕事
私が所属しているのは約20人の部署で,その中の4,5人とチームを組んでいます。1日のスケジュールは,朝8時半頃に出社して,最初に部署全体の会議で仕事の進み具合やその日の予定を報告することから始まります。その後は,仕事の資料を読んだり,国内や海外の仕事先の人とメールで連絡を取り合ったりしています。
午後は,チームのメンバーとプログラム開発に関する具体的な作業の打ち合わせをして,仕様書を見ながら,パソコンを使って実際にプログラムを開発する「コーディング」という作業を行います。そして,コーディングしたプログラムが仕様書の通りに動いているかを細かく確認して,プログラムを完成させていきます。
新型コロナウイルスの影響で,会社に出社せずに自宅で仕事をすることも増えましたが,自宅で仕事をするときも,パソコン上で行うオンライン会議で社内や社外の人とコミュニケーションをとりながら仕事を進めています。
チームで協力することで,完成度を高める
プログラムはつくった本人だけが使うのではありません。実際に半導体のテストをする人や,後からそれを改良する人など,たくさんの人に使われていくものです。
ですから,プログラムをつくるときは,「自分しかわからない」ものにならないように気をつけています。過去の開発のことを知らない人が後から見ても,すぐにそのプログラムの設計の目的がわかるようにすることが大切です。
そのため,普段から自分のつくったプログラムについて,チームのメンバーに意見を聞いたり,チェックしたりしてもらうことで,「誰が見てもわかる」プログラムをつくるようにしています。
また,プログラムをつくるときは,ミスがつきものですが,複数のメンバーで確認し合うことでミスを減らしたり,防いだりすることができます。プログラムをつくる仕事は一人で考えたり,作業したりすることも多いですが,チームで協力することでより完成度が高いものをつくることができます。
小さい頃から憧れていたエンジニア
私は子どもの頃に読んでいた漫画に出てくる女性のキャラクターに憧れて,小さな頃から将来は機械をつくる技術者(エンジニア)になりたいと思っていました。そして,それを実現するために,学校の勉強はきちんとしようと思っていました。
小学校を卒業後,中高一貫校に進学したのですが,毎日の勉強とクラブ活動の卓球部で忙しくも充実した6年間を過ごすことができました。
その後,エンジニアの勉強ができる工学部を目指して大学に進学して,大学院まで学びました。
私は,子どもの頃から「自分が好きなこと」を大切にしてきました。それが,憧れの仕事に就くことにつながったような気がします。みなさんは,今は自分の得意なことや,強みがよくわからないかもしれません。でも,大人になると,自分の意外な部分が評価されたりするものです。ですから,子どものうちから,周りの目を気にせずに,やりたいことにどんどんチャレンジして,自分の中に眠っている強みを育ててください。たくさん経験することが,大きな自信になっていくと思います。
夢を実現できる「プログラミング」
半導体も大きな役割を果たす,持続可能な未来
プログラムや半導体は,今の私たちの生活を支えるだけでなく,これからの未来をつくるものでもあります。今や当たり前になったスマートフォンですら,まだ誕生してから10年ほどしかたっていません。
技術が進歩していくことによって,これまでは映画や漫画の世界の中でしかなかった夢のような技術も,みなさんが大人になる頃には現実のものになっていることも多いと思います。
地球温暖化や健康,食料やエネルギーの問題など,私たちが暮らす社会には,たくさんの課題があります。ですが,技術の進歩によって,こうした課題が解決され,もっと便利で豊かな未来が実現できると思います。半導体もそのために欠かせない部品の一つであり,私たちは,「半導体のテスト」という仕事で,持続可能な社会の実現に貢献していきたいと思っています。