仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1982年 生まれ 出身地 富山県
吉滝よしたき 大輔だいすけ
子供の頃の夢: 政治家
クラブ活動(中学校): テニス部
仕事内容
みなさんが安全で楽しく空の旅ができるように,飛行機を操縦すること。
自己紹介
旅が好き。おすすめの本にも書いた沢木耕太郎の深夜特急を読んで以来、ひたすら色々な国を旅してきました。世界の国々を全て踏破し、宇宙に行くのが今の夢です。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2020年06月30日)時点のものです

人の命をあずかる,せきにんある仕事

人の命をあずかる,責任ある仕事

わたしは日本こうくう(JAL)で,飛行機のそうじゅうをするパイロットをしています。パイロットには,飛行機のすべてのせきにんしゃである機長と副そうじゅう士がいますが,わたしは副そうじゅう士として,国内,海外の色々なところにお客さまを運ぶ仕事をしています。

みなさんが安全で楽しく空の旅ができるように,飛行機をそうじゅうし,目的地までとどけるのが仕事ですが,万が一,飛行中にへんがあったときには,乗客の命と安全を守るせきにんを負う,それもパイロットとしてとても大切な仕事です。

飛行機をそうじゅうするコックピット

飛行機を操縦するコックピット

飛行機の中で,パイロットがいるのが「コックピット」です。コックピットの中には,機長と副そうじゅう士がいて,交代しながら飛行機をそうじゅうしています。
コックピットには,さまざまな計器がずらりとならんでいて,ちゃくりくや飛行中に飛行機が正しく動いているか,計器を見ながら細かくチェックしています。また,地上にいるかんせいかんとも,飛行機が安全に飛べるように,なく英語でやり取りをしています。

体調管理も仕事のうち

体調管理も仕事のうち

パイロットの仕事は,月曜日から金曜日の9時から17時まで,というような,決まった働き方ではありません。4日間きんして3日間休むなど,自分がたんとうする飛行機によってバラバラです。また,国内や海外など,自分のたんとうする飛行機がどこに向かうのかによってもスケジュールがちがいます。 わたしの場合は,だいたい月に2〜3回がヨーロッパやアメリカなど長時間の飛行,そのほかは国内線や東南アジアなどきんきょの飛行,というペースが多いですね。朝早くに飛ぶ飛行機をたんとうする場合,早朝3時に起きて空港に向かう,というようなこともめずらしくありません。また,海外では時差もあるので,だんから体調管理やすいみんをしっかりとることも,パイロットの大切な仕事のひとつです。

入社後,2年間はアメリカでパイロットになる訓練を

入社後,2年間はアメリカでパイロットになる訓練を

パイロットになるためのさいよう試験は,せんもんの大学で学んでいる人や,けいの人でないと受けられないということはありません。もちろんじょせいもOKで,JALでもじょせいのパイロットがかつやくしています。

JALでは,パイロットしてさいようされると,2年間は,アメリカにあるパイロットの養成学校でさまざまな訓練や勉強をします。飛行機をそうじゅうするために必要なしき,英語を話す力,がた飛行機のめんきょを取っての飛行訓練も行います。りょうでの生活で,パイロットを目指すのですが,仲間とささえ合いながらとても楽しくじゅうじつした訓練生時代をごせました。

自分で飛行機をそうじゅうして初めて空を飛んだのも,アメリカでの訓練生時代です。みなさんがそうぞうするような大きなジェット機ではなく,小さなプロペラ機でしたが,自分のそうじゅうで空を飛べたことに,とても「自由」を感じてワクワクしたのを今でも覚えています。

きびしい訓練と試験をえて

厳しい訓練と試験を乗り越えて

パイロットのさいよう試験にごうかくしてさいようされても,全員がパイロットになれるわけではありません。アメリカのパイロット養成学校では定期的に試験があり,それにごうかくできないと,よくじつには日本に帰国しなくてはなりませんでした。

アメリカでの訓練が終わると,次は日本の沖縄での訓練が待っていました。もちろん,日本での訓練でも,何度もきびしい試験が待っています。同期のうち数名は,残念ながらパイロットとは別の道に進みました。ぎゃくにいうと,それだけきびしいじょうけんをくぐりけなければ,人の命をあずかるパイロットにはなれないということです。

「世界中をおとずれたい」というゆめじつげんできる仕事

「世界中を訪れたい」という夢を実現できる仕事

一人前になるまでに時間も努力も必要なパイロットですが,そんな毎日をえられたのは,パイロットになって世界のいろいろな国をみてみたいというゆめがあったからです。大学時代から,いろいろな国に行く仕事がしたいと考えていたのですが,最初は「パイロット」というしょくぎょうおもかばず,商社に入ろうと考えていました。空港からも遠くはなれた地方都市で生まれ育ち,飛行機やそれに関係して働く人も身近ではなかったので,ほとんどイメージがありませんでした。たまたま友人から「海外に行くなら,パイロットになる方法もある」と言われて,初めてパイロットというしょくぎょうしきしました。

しゅうしょく活動中に,じっさいにパイロットとして働いているせんぱいの話などを聞くうちに,そのやりがいをもって働く姿すがたに感動して,かっこいいなとあこがれるようになりました。その結果,世界中を飛び回り,ほこりとせきにんを持って働くパイロットになりたいと強く思うようになったんです。

読書が教えてくれた,知らない世界を知るよろこ

読書が教えてくれた,知らない世界を知る喜び

小学生のころわたしは,外で野球とサッカーをするのが大好きな子どもでした。一方で,本を読むのも好きで,ヘルマン・ヘッセやコナン・ドイルなどの海外の小説が大好きでした。特に自然についてのびょうしゃなどが気に入って,よく読んでいたように思います。そういう小説が,いろいろな空想のヒントになって,自分だけの世界で空想を楽しんだりもしていました。

「いろいろな国に行ってみたい」と思うようになったのも,高校時代に読んだ『深夜特急』のえいきょうです。この本は,作者のさわこうろうさんが,さまざまな国を旅する様子をえがいたノンフィクションです。同じような体験にあこがれて,大学時代はアルバイトでお金をめて海外旅行に行く,ということをかえしていました。本の中だけで知っていた「海外」をじっさいに体験したことが,「もっといろいろな広い世界を見たい!知らない国を見てみたい」という思いにつながりました。

「やるべきときはちゃんと努力すること」でゆめじつげん

「やるべきときはちゃんと努力すること」で夢を実現

子どものうちは,自分がしょうらい,どんな仕事をしたいのか,わからないという人も多いと思います。でも,今,しょうらいゆめが見つかっていなくても,あせることはありません。今は,目の前にある,自分がちゅうになれることをいっしょうけんめいやっていればいいと思います。それはスポーツだったり,友だちと遊ぶことだったりするかもしれません。それにちゅうになっているうちに,いつの間にか次のとびらが開いて,やりたいことが見えてくると思います。

また,これからの未来をつくるみなさんには,SDGsについても,ぜひいろいろ知ってもらいたいですね。JALでは,こうくう会社として飛行機の二酸化炭素を出す量をできるだけらすよう,さまざまな努力をしています。パイロットが飛行機のそうじゅうをするときに,ねんをよくするために,着陸後にエンジンをかたほうだけ止めて地上走行するのもそのひとつです。これから飛行機に乗る機会があったら,「この飛行機はかんきょうのために,どんなふうをしているのかな?」と,考えてもらえたらうれしいです。空の旅がもっと楽しいものになると思います。

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取材・原稿作成:日経BP