仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1969年 生まれ 出身地 岐阜県

久保田(くぼた) 敦(あつし)
子供の頃の夢: プロゴルファー
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
フットオーソティクス(高こう機き能のうインソール)の製せい造ぞう・販はん売ばいを通じて,足あし腰こしを救きゅう済さいする。
自己紹介
人と会ったりコミュニケーションをしたりすることが好きで,社交的な性せい格かくだと思います。オフは少ないですが,ゴルフや読書が趣しゅ味みです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2021年06月14日)時点のものです

足あし腰こしにトラブルを抱かかえる人を“救きゅう済さい”する

足腰にトラブルを抱える人を“救済”する

私わたしは東とう京きょう都と中ちゅう央おう区くにある「フィートインデザイン」という会社で社長を務つとめています。フィートインデザインは,人々が抱かかえている足あし腰こしのトラブルを軽けい減げんするために,オーダーメイドの高こう機き能のうインソール「フットオーソティクス」を製せい造ぞう・販はん売ばいしたり,足や靴くつに関するカウンセリングを行ったりしている会社です。
足あし腰こしのトラブルを引き起こす要よう因いんとなっているのは,足の骨こっ格かく構こう造ぞうのゆがみです。8割わり以上の人は,足の骨こっ格かくが,本来あるべきポジションからずれてしまっていると言われています。足の骨こっ格かく構こう造ぞうが正しい状じょう態たいでない場合,足あし腰こしに痛いたみが発生したり,スポーツをするときに踏ふみ切きったり飛とび跳はねたりするような力も,最さい大だい限げんに発はっ揮きすることができなかったりします。そもそもなぜゆがんでしまうのかというと,人間の骨こっ格かく上,もともと土つち踏ふまずが弱い構こう造ぞうであることが一つの大きな原げん因いんです。さらに,機き能のう性せいが低いシューズを選んでしまったり,自分の足のサイズに合っていない靴くつを選んでしまったり,間ま違ちがった履はき方をしてしまったりすることで,ゆがみがどんどん悪化していってしまうのです。
私わたしたちが製せい造ぞう・販はん売ばいしているフットオーソティクスは,生体力学(生物の構こう造ぞうや運動機き能のうを探たん究きゅうして応おう用ようする学問)に基もとづいて設せっ計けいされた「足の補ほ正せい健康用具」で,靴くつの底に入れて使用することで,足の骨こっ格かく構こう造ぞうを本来あるべきポジションに補ほ正せいする機き能のうを持っています。その機き能のうをきちんと発はっ揮きさせるために,フットオーソティクスの正しい使い方や,靴くつの選び方,履はき方をお客さまに伝えることも,私わたしたちの大切な仕事です。

お客さま一人一人の足に合わせたフットオーソティクスをつくる

お客さま一人一人の足に合わせたフットオーソティクスをつくる

私わたしたちのお客さまは,足や腰こしに痛いたみを感じている人をはじめ,身体パフォーマンスを向上させたいアスリートや,片かた足あしに障しょうがいを持っていて歩行が不安定になりやすい人などさまざまです。私わたしたちの仕事は,まず相談に来たお客さまの足の症しょう状じょうや悩なやみを把は握あくするところから始まります。お客さまからは,具体的に「ここが痛いたい」や「痛いたみはないけど違い和わ感かんがある」といった相談を受けることが多いですね。またアスリートのお客さまから「高く跳とべない」「速く走れない」というように,パフォーマンスに関して相談されることもあります。
そうした足の症しょう状じょうや悩なやみをカウンセリングシートに記入してもらった後は,「足そく圧あつ三次元計けい測そく機き」という機械を使用して,足の測そく定ていを行います。立っているときや歩いているときに足のどこにどう力が入っているのか,歩いているときの足の重心はどのように動いているのかなどを計けい測そくし,解かい析せきします。そして,計けい測そくしたデータをグラフや図で示しめしながら,お客さまに足の状じょう態たいを丁てい寧ねいに説明します。
その後,「仕事で革かわ靴ぐつを履はき,毎日歩き回る」「週末にスポーツをする」など,お客さまのライフスタイルをヒアリングしながら,適てき切せつなフットオーソティクスを選んで提てい案あんしていきます。フットオーソティクスは3週間程てい度どで完成し,最後にお客さまに商品を渡わたしてから,使用方法や靴くつの選び方,履はき方をレクチャーします。

アメリカから持ってきた最さい先せん端たん技ぎ術じゅつ

アメリカから持ってきた最先端技術

仕事で苦労することは,フットオーソティクスを多くの人に知ってもらい,広めていくことです。フットオーソティクスや足そく圧あつ三次元計けい測そく機きは,足の医い療りょうにおいて世界でも最さい先せん端たんを行くアメリカから技ぎ術じゅつを持ってきたもので,もともと日本にはありませんでした。また私わたしたちが製せい造ぞう・販はん売ばいをしているフットオーソティクスは,タイプによって異ことなりますが,値ね段だんが2万5000円から4万円弱と高こう価かで,実じっ際さいに使用してみないとその良さをなかなか実感しにくいものです。2006年にこの事業を始めてから数年間は,とても苦しい状じょう況きょうが続きました。
風向きが変わるきっかけになったのは,2013年にアメリカ式の足の専せん門もん医い療りょうを取り入れたクリニックが,日本に初めて開かい設せつされたことでした。日本初ということもあってテレビで何度も取り上げられ,しばらくは予約が取れなくなるほど全国から多くの患かん者じゃさんが訪おとずれました。日本ではこれまでも,足に悩なやみを抱かかえる人は多くいましたが,痛いたみの原げん因いんを根本から治ち療りょうすることはなかなか困こん難なんなことでした。しかしこのクリニックができたことで,痛いたみの原げん因いんを根本から治すアメリカ式の足の医い療りょうの大切さが少しずつ理り解かいされるようになっていったのです。そこからフットオーソティクスも少しずつ広まり,今では口コミや紹しょう介かいからフィートインデザインを知ってもらうことも増ふえてきました。しかし,今後も周知活動は積極的に行っていく必要があると思っています。

お客さまの足あし腰こしの悩なやみを解かい消しょうして喜よろこばれることに,やりがいを感じる

お客さまの足腰の悩みを解消して喜ばれることに,やりがいを感じる

私わたしがこの仕事をしていてよかったと感じるのは,お客さまから感かん謝しゃされるときです。例えばフットオーソティクスを使用してくれたアスリートから「タイムが伸のびて大会で優ゆう勝しょうできました。本当にありがとうございます」といった感かん謝しゃの言葉をもらえたときは,とてもうれしく思いますね。またこの仕事をしていると,お客さまにつられて,もらい泣きしてしまうことも多くあります。以前,歩くことが困こん難なんだった年配の女じょ性せいのお客さまがいたのですが,その方が歩けるようになったときには,まずご本人が泣き,周りにいる家族や介かい護ご者しゃも泣いて,それにつられて私わたしも涙なみだを流してしまったことがありました。足あし腰こしの悩なやみを抱かかえる人を救すくうことができてお客さまに喜よろこんでもらえたときは,この仕事の存そん在ざい意い義ぎと大きなやりがいを感じます。

目の前にいるお客さまにいかに納なっ得とくしてもらえるか

目の前にいるお客さまにいかに納得してもらえるか

私わたしは普ふ段だんから,目の前にいるお客さまはもちろん,そのお客さまの周りにいる家族やお友達のことも意い識しきしながら,カウンセリングなどを行っています。なぜなら,私わたしたちのところに来てくれたお客さまが,フィートインデザインで得えた知ち識しきやフットオーソティクスのことを,自分の言葉で家族や友達に伝えて,どんどん広げていってほしいと考えているからです。そのためには,まずは目の前にいるお客さまにいかに理り解かいや納なっ得とくをしてもらえるかが大切になってきます。そのため,計けい測そくしたデータや足の模も型けいを使いながら,わかりやすく丁てい寧ねいに説明することを心がけています。
足に関する悩なやみを抱かかえている人はまだまだ大おお勢ぜいいるので,その人たちに少しでも早く,正しいフットオーソティクスが届とどいてほしいと思いながら,日々,仕事をしています。

今の仕事に関わるきっかけをくれたのは,憧あこがれていた先せん輩ぱい

今の仕事に関わるきっかけをくれたのは,憧れていた先輩

もともとITのシステム開発に関わる仕事をしていた私わたしが現げん在ざいの仕事を始めたのは,小学校から憧あこがれていた地元の先せん輩ぱいに誘さそわれたことがきっかけでした。その先せん輩ぱいは今から30年ほど前にアメリカに渡わたって在ざい宅たく医い療りょう(訪ほう問もん看かん護ご)を営いとなむ過か程ていで足の専せん門もん医いとの出会いがあり,アメリカと日本の「足の医い療りょう格かく差さ」を強く感じたそうです。そこで彼かれが2000年ごろから始めたのが,「日本の足を救すくう」ための活動です。
その活動の一つが,主に糖とう尿にょう病びょう患かん者じゃの足の切せつ断だん回かい避ひを目的としたプロジェクトです。糖とう尿にょう病びょう患かん者じゃは,血けつ流りゅう障しょう害がいを伴ともなう場合が多いため傷きずが治りにくく,足にできる魚の目やタコ,ちょっとした靴くつずれの傷きずなどから感かん染せん症しょうを引き起こして足の切せつ断だんを余よ儀ぎなくされるケースがあります。アメリカの足の医い療りょうは,そんな糖とう尿にょう病びょう患かん者じゃを救すくうための,傷きずを治す技ぎ術じゅつやノウハウを持っていて,プロジェクトではそれらの技ぎ術じゅつやノウハウを取り入れて,日本の病院に広めていきました。先せん輩ぱいから声をかけられて私わたしも手伝うことになり,切せつ断だん回かい避ひプロジェクトを行う日本の約20の病院で,患かん者じゃさんの足の傷きずの容よう態だいや治ち療りょう方法,治ち癒ゆ率りつ,切せつ断だん回かい避ひ率りつなどのさまざまな情じょう報ほうを集めて,データベースの作成のお手伝いをしました。
その後,2006年に先せん輩ぱいがアメリカからフットオーソティクスや足そく圧あつ三次元計けい測そく機きの技ぎ術じゅつを持ち帰ってきたことで,活動の幅はばはさらに広がり,現げん在ざいのフィートインデザインの事業がスタートしました。そして,先せん輩ぱいが経けい営えいしている会社の中にあったフィートインデザインの事業部を,私わたしが引ひき継ついで新しい会社として立ち上げ,今に至いたっています。

さまざまなスポーツを経けい験けんしてきた

さまざまなスポーツを経験してきた

私わたしは子どものころからスポーツをすることが好きでした。小学生のときには父親の影えい響きょうで近所の道場に通って柔じゅう道どうをしたり,毎日のように野球やドッジボールをしたりしていました。中高生になってからはバスケットボールに打ちこんでいましたが,なかでも中学校のバスケットボール部はとても厳きびしく,印いん象しょうに残っています。一年生のときにはスクワット・空気イス・走りこみの3つを延えん々えんとやらされて,体育館にすら入らせてもらえないほどでしたね。しかしその経けい験けんのおかげで,精せい神しん力りょくや忍にん耐たい力りょくがついたのではないかと思っています。また,さまざまなスポーツを経けい験けんしたことで,スポーツをするときの体の使い方が理り解かいできたことは,アスリートのお客さまと関わる機会が多い今の仕事でも大いに生かされていると思います。

たくさんのもの・人・情じょう報ほうに触ふれながら志こころざしや夢ゆめを見つけてほしい

たくさんのもの・人・情報に触れながら志や夢を見つけてほしい

みなさんにはぜひ,志こころざしや夢ゆめを見つけてほしいなと思います。それを見つけるためには,興きょう味みがあるかないかに関わらず,まずはとにかく「触ふれる」ことが大切です。さまざまなものや人,情じょう報ほうに触ふれてみることで,自分が打ちこめることや,熱を持って取り組めることが見つかるはずです。それは勉強でもスポーツでもどんなことでもいいと思います。そして,その見つけた志こころざしや夢ゆめが,将しょう来らい的てきに仕事として何か社会の役に立つものであれば,さらにいいなと思いますね。
また,大人の足の構こう造ぞうへと変化していく時期のみなさんにとって,正しい靴くつ選びや履はき方が非ひ常じょうに大切だということも伝えたいです。自分の足にぴったり合ったサイズの靴くつを選び,かかとを踏ふんだりゆるく履はいたりすることなく,正しく靴くつを履はいてくださいね。そして,足の歪ゆがみを直すための「フットオーソティクス」というものがあるんだということも,知っておいてもらえるとうれしいです。

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取材・原稿作成:土居 りさ子(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫