仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1979年 生まれ 出身地 東京都

關口(せきぐち) 隆生(たかお)
子供の頃の夢: 警視庁鑑識班
クラブ活動(中学校): 柔道部
仕事内容
医い師しと連れん携けいして薬を調ちょう剤ざいし、患かん者じゃさんの相談に乗りながら、地ち域いきの方々の健康を守る仕事。
自己紹介
楽しいことが大好きで、楽天的な性せい格かくです。仕事が休みの日は家族や友人と過すごしたり、一日中ダラダラとしながら体を休めたりすることが多いです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2022年09月29日)時点のものです

医い師しの処しょ方ほう箋せんに従したがい、薬を調ちょう剤ざいし、患かん者じゃさんに渡わたす仕事

医師の処方箋に従い、薬を調剤し、患者さんに渡す仕事

薬やく剤ざい師しという仕事は、医い師しが患かん者じゃさんを診しん察さつして必要な薬の種類や量を決めて発行した「処しょ方ほう箋せん」に従したがい、薬を揃そろえて患かん者じゃさんにお渡わたしする仕事です。私わたしたちのような、病院から処しょ方ほうされる薬を揃そろえる役やく割わりの薬局を「調ちょう剤ざい薬局」といいます。
指定された種類、分量の薬を正しく揃そろえるのはもちろん、時には何種類かの薬を混まぜて飲みやすくしたり、患かん者じゃさんの体重に合った薬の量に調整してお渡わたししたりすることもあります。処しょ方ほう箋せんに書かれた指し示じに疑ぎ問もんを感じたとき、病院や医い師しにその内ない容ようが正しいか問い合わせる「疑ぎ義ぎ照会」は特に大切な作業です。処しょ方ほう箋せんは人間が記入するものですから、どうしても記入ミスなどが発生することがあります。薬の種類や量が本当に正しいのかをきちんとチェックし、疑ぎ問もんを持ったらきちんと確たしかめて事じ故こを防ふせぐのも、薬やく剤ざい師しの仕事です。
また、「粉こな薬ぐすりが飲みづらい」「以前この薬を飲んだら具合が悪くなった」「今、ほかの薬も飲んでいるけど飲み合わせは大だい丈じょう夫ぶか」など、薬に関する悩なやみや不安を抱かかえている方もいらっしゃいます。そういう相談を受けたら、私わたしたちから医い師しに相談し、患かん者じゃさんが安心して飲める形に薬を変へん更こうすることもあります。

時代の変化とともに広がっている、薬やく剤ざい師しの役やく割わり

時代の変化とともに広がっている、薬剤師の役割

私わたしが代表をしている調ちょう剤ざい薬局では、基き本ほん的てきな営えい業ぎょう時間は朝9時から夕方18時までです。出しゅっ勤きんをしたら掃そう除じをしたり、調ちょう剤ざいに必要な機械を立ち上げたり、患かん者じゃさんを迎むかえる準じゅん備びをします。
以前の調ちょう剤ざい薬局は「来られた患かん者じゃさんに薬を処しょ方ほうする」という作業が基き本ほんだったのですが、新しん型がたコロナウイルスの流行が始まってからは、自治体によって「自じ宅たく療りょう養ようの方に薬を届とどける」という役やく割わりも加わりました。また、高こう齢れいの方の中には体が不自由だったり、寝ねたきりだったり、なかなか病院に通うことができない方もいらっしゃいます。そういう方のご自じ宅たくに伺うかがい、往おう診しんした医い師しの指し導どうに従したがって薬を処しょ方ほうし、薬の飲み方の指し導どうをするという仕事も近年加わりました。例えば飲み忘わすれを防ふせぐため、その日に飲む薬をカレンダーのポケットに入れておく「お薬カレンダー」などを作ってアドバイスしたり、前回出した薬をきちんと飲んでいるか飲み残しをチェックしたり、体調の変化はないか確かく認にんしたり。地ち域いきの方々の健康をいろいろな形で守るのが、薬やく剤ざい師しの役やく割わりです。

どんなに忙いそがしくても、病院への問い合わせは大事な仕事

どんなに忙しくても、病院への問い合わせは大事な仕事

実は今、全国的に「薬が足りない」状じょう況きょうになっています。そのため、医い師しが処しょ方ほうした通りの薬を用意できず、代わりに別の薬を出してもらわないといけないということも増ふえています。そのため、病院に問い合わせる回数は以前よりも増ふえています。 本来の「薬の種類と量が適てき切せつか」というものも含ふくめ、この問い合わせという作業はときに時間がかかるので、早く薬を受け取って帰き宅たくしたい患かん者じゃさんはイライラしてしまうこともあります。しかし、患かん者じゃさんの命を守るためには絶ぜっ対たいになくしてはいけない作業ですし、「まあいいか」と1度でも思ってしまったら、夜眠ねむれなくなるほど後こう悔かいすることは分かっています。患かん者じゃさんにご説明をしながらお待ちいただくしかないのですが、難むずかしさを感じる瞬しゅん間かんですね。 また、新たに判はん明めいした病気や、新しい薬が次々と登場するので、私わたしたち薬やく剤ざい師しも知ち識しきをアップデートしていかなくてはいけません。薬やく剤ざい師しの団だん体たいや製せい薬やく会社が主しゅ催さいする勉強会などに参加したり、地元の高こう齢れい者しゃの方々を担たん当とうするケアマネジャーさんに、どんな状じょう況きょうの方が多いか、病気やお悩なやみを抱かかえている方が多いかなどのお話を聞いたりしながら、日にち常じょう的てきに勉強をしなければいけないのも大変なところではあります。

患かん者じゃさんに近い立場だからこそできることがある

患者さんに近い立場だからこそできることがある

私わたしたち薬やく剤ざい師しの仕事は、裏うら方かたのように思われるかもしれません。でも、日々患かん者じゃさんと直ちょく接せつ接する立場にいる分、やりがいもあります。例えば患かん者じゃさんに薬の説明をして「そうか、この薬はこういう理由で自分には必要なんだね。よく分かりました、ありがとう」と感かん謝しゃをされたとき。また、「病院での採さい血けつの結果が来たんだけど、実は数すう値ちの意味がよく分からない。でも診しん察さつのときには聞けなくて……」という悩なやみ相談を受けたときや、薬の説明でなかなか満足できなかったり不安を抱かかえていたりする部分に、私わたしたちが説明をすることで満足してもらえたときなどは、この仕事をしていて良かったな、と思いますね。 薬やく剤ざい師しをしていると、「気になることはあるけれど、お医者さんには相談しづらい」と思う人が多いことに気づかされます。また、複ふく数すうの病院に通われている場合、症しょう状じょうや処しょ方ほうされている薬の内ない容ようがそれぞれの病院同どう士しでは共有されていないことがほとんどです。お薬手帳などの記録を見たり、患かん者じゃさん自身に既すでに飲んでいる薬の内ない容ようを確かく認にんしながら、処しょ方ほうされた薬の飲み合わせをチェックしたりすることも。そういった細かな部分をフォローできるのは、患かん者じゃさんと近い立場にいる薬やく剤ざい師しだからこそだと思います。

「疑ぎ問もんの放置が患かん者じゃさんの健康や生死に関わる」を実感した出来事

「疑問の放置が患者さんの健康や生死に関わる」を実感した出来事

仕事の中で気をつけているのは、やはり「どんなに細かな疑ぎ問もんでも、絶ぜっ対たいに確かく認にんする」ということです。実は処しょ方ほう箋せんの書かき間ま違ちがいというのは、みなさんが思う以上によく発生しています。すべての問い合わせが書かき間ま違ちがいが原げん因いんというわけではありませんが、病院に問い合わせを1回もしない日というのはありません。私わたしたちも処しょ方ほうミスを防ふせぐため、調ちょう剤ざい薬局の薬やく剤ざい師しはほとんどの場合「調ちょう剤ざいをする役やく割わり」と「調ちょう剤ざいされた薬をチェックする役やく割わり」の2人体たい勢せいで仕事を行い、患かん者じゃさんの命や健康に関わるような処しょ方ほうミスがないように心がけています。特にこの「チェックする役やく割わり」は、経けい験けんをいろいろと積んだベテラン薬やく剤ざい師しが行う事が多いです。 実は私わたしがまだ薬やく剤ざい師しになって数か月のころ、当時働いていた薬局で医い師しの処しょ方ほう箋せんにミスがあったにもかかわらず、少し疑ぎ問もんを持ちながらも「医い師しがこう書いているんだし……」とその薬を用意してしまったことがありました。その時はチェックを担たん当とうしていた上司の薬やく剤ざい師しが気づき、ものすごく怒おこられた経けい験けんがあります。それ以い降こう、どんなに忙いそがしくても疑ぎ問もんは絶ぜっ対たいに放置せず、必ず確かく認にんする、というのを心がけています。

実はいろいろなところで活かつ躍やくしている薬やく剤ざい師し

実はいろいろなところで活躍している薬剤師

今の関口薬局はもともと私わたしの祖そ父ふが始めたもので、私わたしで4代目です。子どものころから調ちょう剤ざい薬局という家業の中で育ったので、薬やく剤ざい師しは身近な職しょく業ぎょうではありましたが、「絶ぜっ対たいに薬やく剤ざい師しになりたい!」と思っていたわけではありませんでした。ただ、高校生の時に理り系けい科目が得とく意いだったこと、なかでも特に化学が好きだったということもあり、薬学部への進学を考えるようになりました。
薬やく剤ざい師しになるには、大学の薬学部に進学してカリキュラムを修しゅう了りょうしたあと、薬やく剤ざい師しの国家試験に合ごう格かくする必要があります。薬学部は私わたしの時代は4年制せいでしたが、今では6年制せいになっています。一いっ般ぱん教養から薬や医学に関する幅はば広ひろい知ち識しきを学ばなければいけないので勉強は大変ですし、留りゅう年ねん率りつも高いです。先ほどお話したように、資し格かくを取った後も常つねに勉強を続けなければいけない仕事でもあります。
卒業後は私わたしのように調ちょう剤ざい薬局だったり、病院やドラッグストアに就しゅう職しょくする人が多いです。また、製せい薬やく会社で薬品開発に従じゅう事じしたり、公こう務む員いんとして厚こう生せい労働省の薬の認にん可かを出す部ぶ署しょや、役所の衛えい生せい課かなどに就しゅう職しょくする人もいます。中には、麻ま薬やく取引の捜そう査さ官かんになる人もいます。

下町の環かん境きょうが育んだコミュニケーション能のう力りょく

下町の環境が育んだコミュニケーション能力

幼おさないころは活発で、よく先生から注意を受けるような落ち着きのない子どもでした。私わたしが生まれ育った荒あら川かわ区くの西にし尾お久ぐという場所はいわゆる「下町」で、高こう齢れい者しゃの方から子どもまでたくさんの人たちに囲かこまれて、にぎやかに育った実感があります。いたずらをして近所の人たちから怒おこられる、というのもしょっちゅうでした。今、いろいろな年ねん齢れいの患かん者じゃさんたちとコミュニケーションを取ることが苦にならないのは、そういう環かん境きょうで育った影えい響きょうが大きいかもしれません。薬やく剤ざい師しは、患かん者じゃさんとのコミュニケーションがとても大切な仕事ですから、それは今の仕事に役立っているなと思います。また、生まれ育った地ち域いきで薬やく剤ざい師しをしているので、一人一人の顔をしっかり覚えていられるというのもメリットかもしれません。ご近所の方の顔を見たら、すぐにその方がどんな薬を飲んでいるか、アレルギーがないかはパッと思おもい浮うかぶことが多いです。実じっ際さいにお薬を出すときに、そういう記き憶おくと情じょう報ほうが役に立ちます。

「どうやって生きていくか」を頭の片かた隅すみに置いて欲ほしい

「どうやって生きていくか」を頭の片隅に置いて欲しい

今、自分の娘むすめにも常つねに言い聞かせているのですが、自分が「どうやって生きていくのか」ということを早い段だん階かいから考えておくと良いと思います。それは「いい大学に入る」とかそういうことではありません。例えば、勉強して資し格かくを取るのか、それとも技ぎ術じゅつを身に着けて生きていくのか、どういう風に生きていくのかといったもっと大きなことです。小学校や中学校の時点で決めてしまう必要はないと思いますが、このことをなんとなく考え続けて欲ほしいです。そうすれば、なにか自分がやりたいなと思ったことや、向いているなと思ったことが現あらわれたときに、それを「仕事」と結びつけることができると思います。基き本ほんは毎日楽しく学校での生活を送ってもらいたいのですが、ほんの少しだけこのことを頭の片かた隅すみの置いておいてもらえれば、将しょう来らいにつながること、やりたい仕事を見つけやすくなると思います。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫