仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1980年 生まれ 出身地 岩手県
けんきゅうしゃ研究者(化粧品)
鈴木すずき 佐和子さわこ
子供の頃の夢: パティシエ
クラブ活動(中学校): 水泳部
仕事内容
椿油を使った化粧品の研究開発
自己紹介
子どものころに習っていた書道を社会人になって再開さいかいしました。自分のからだより大きな紙に筆を走らせるのですが、全身を使ったスポーツをした時のような爽快感そうかいかんがあります。性格せいかく的には活動的(アクティブ)です。

※このページに書いてある内容は取材日(2015年03月12日)時点のものです

化粧品けしょうひんのレシピを考えて新製品せいひんを開発

化粧品のレシピを考えて新製品を開発

わたし勤務きんむする大島椿つばき本舗ほんぽは,植物の椿つばきの種かられた椿油つばきあぶらを使い,クリームやシャンプー,オイルなどのかみはだを健康にたもつヘアケア,スキンケア製品せいひん製造せいぞう販売はんばいをしています。全成分表示ひょうじと言って化粧品けしょうひんのパッケージや容器ようきには,全ての成分が表示ひょうじされていますが,これは配合する成分の量が多いものから順に書かれています。この成分を選び,配合の量を決め,化粧品けしょうひんの中身のレシピを作ることがわたしの主な仕事です。原料メーカーさんから購入こうにゅうした様々さまざまな成分と椿油つばきあぶらを,どのようなバランスでわせたら良い製品せいひんができるのか,試作して,まず自分たちで試してみるという作業をかえし,1つの新製品せいひんができあがっていきます。

100回以上の試作をかえ

100回以上の試作を繰り返す

平日の5日間,8時30分から17時までが通常つうじょう勤務きんむ時間です。出勤しゅっきんすると,着替きがえをして,8時30分から全員で10分くらい掃除そうじをします。終わってから部署ぶしょ単位でミーティングを行い,今日はどんな仕事をするか,1日の予定を報告ほうこくします。自分の仕事がスタートするのは,だいたい9時ごろからです。例えば,新製品せいひんの試作品を作る時は入れる成分を計量してビーカーでわせます。できあがったサンプルは自分自身で使ってみて評価ひょうかします。成分は必要最小限さいしょうげんにしても10種類以上入りますので,その組み合わせ,配合バランスを100回以上は変えて試してみないと形になりません。何か月もかかってやっと候補こうほができたところで,社内で使用感アンケートを取ります。最終的に,はだにつけて問題がないかをチェックするパッチテストなど,安全せい確認かくにんを行い,合格ごうかくすれば製品せいひん化ということになります。

刺激しげきせいかつ魅力みりょく的な化粧品けしょうひんづくりに苦心

低刺激性かつ魅力的な化粧品づくりに苦心

無香料むこうりょう,無着色,低刺激しげきせい製品せいひんも開発しています。低刺激しげきせいという点は欠かせませんが,化粧品けしょうひんを「心地良く」使うための魅力みりょくのひとつであるかおりや色で製品せいひん特性とくせい表現ひょうげんすることができません。他にも配合成分の制約せいやくのある中でいかに心地良い使用感を生み出すかが苦労する点です。化粧品けしょうひんは薬のように「治す」ものではなく「美しくなる」ためのものであるからこそ,おはだの弱い方にも楽しんで化粧品けしょうひんを使ってもらえるような製品せいひんを開発することが目標です。また,新製品せいひん開発だけではなく,お客様相談窓口まどぐちせていただく声をもとに,すでに発売されている製品せいひん改善かいぜん検討けんとうも重要な仕事の一つです。

思いが伝わることが喜び

思いが伝わることが喜び

わたしは,実験が大好きなので,この仕事にむいていたのだと思います。営業えいぎょう先や当社に直接ちょくせつお手紙でお客様の声がせられますが,「調子が良くなった」という声があると,一生懸命いっしょうけんめいに作った思いが伝わったとうれしくなりますね。お客様の意見を読みながら,「この製品せいひんわたしが作ったんですよ」と,内心で喜びをかみしめています。天然素材そざいは,合成材料にくらべるとあつかいがむずかしく,手間もかかるため,苦心することも多いのですが,試作をかえして製品せいひん化したものが喜ばれると,やりがいを感じますね。

素材そざいの特長を最大限さいだいげんに活かす

素材の特長を最大限に活かす

試作して研究する仕事は,お料理でお出汁だしをとる作業に例えることもできます。かつおと昆布こんぶ煮干にぼしをどれだけの割合わりあいぜたら,この料理がおいしくなるかなと考えながら試してみる感じにています。料理でも,良い素材そざいが手に入ったときは,あまりいろいろと味付けをしたらもったいないと思うのです。わたしたちのモノづくりも同じで,天然の椿油つばきあぶらという貴重きちょう素材そざい特性とくせいを知り,その良さをこわさないようにして,最大限さいだいげん素材そざいの強みを活かせるような組み合わせを意識いしきして開発を進めています。

天然物を使ったものづくりに興味きょうみ

天然物を使ったものづくりに興味

わたしは天然物に興味きょうみがあり,富山とやま医科薬科大学(げん富山とやま大学)で漢方薬の研究をしていました。卒業後,漢方薬の製薬せいやく会社への就職しゅうしょくを考えていましたが,少し広い視野しやで,就職しゅうしょく先を考えたいと思ったのです。ちょうど,子どものころからこの会社の製品せいひんを使っていたこともあり,天然物を活かしたものづくりをしているということで応募おうぼしました。入社当初は,ゼロからの出発。未経験けいけんでしたので,先輩せんぱいの仕事を見ながら,まずはお手伝いからのスタートでした。外部セミナーなどにも出席させていただき,自分でも勉強をしました。化粧品けしょうひん技術者ぎじゅつしゃ会というのがあり,ディスカッションのなかで他社の先輩せんぱい技術者ぎじゅつしゃ方々かたがたにアドバイスをいただける機会もあり,その経験けいけんが今につながっていますね。

好きなことを夢中むちゅうでやる

好きなことを夢中でやる

子どものころは,学校の主要教科よりも音楽,体育,美術びじゅつ,家庭科,技術ぎじゅつなどの実技じつぎ教科が好きでした。美術びじゅつの課題が出ると家で全部やってきてしまい,次の授業じゅぎょうにやることがなくなってしまうんです。先生としてはこまることですが,別の課題をあたえてくださり,それがうれしくて,また一生懸命いっしょうけんめいにやるという子どもでした。好きだからこそ夢中むちゅうになってやっていたのだと思いますし,今,仕事で毎日実験をしていることと同じ感じがします。この仕事を選んでよかったと実感しています。

感受性,心のやわらかさを大切に

感受性,心の柔らかさを大切に

10代のころの自分を思い返すと,どんな方向で働けるのか,どう進んでいけばいいのか不安でした。自分は何に向いているのか,自分らしさってなんだろうか…。大人から「何になりたい?」「目標は?」と問われても,どう決めていいかわかりませんでした。今思うのは,10代の感受性,心のやわらかさを大事にしてもらいたいということです。不安やなやみは出てくると思いますが,自分はたった1人しかいない大切な個人こじんなので,みんなと一緒いっしょというのではなく,自分自身が心からどうなりたいのかをまっすぐに見つめ続けるだけでいいと思います。当時の自分に言えることがあるとすれば,「大丈夫だいじょうぶだよ,好きなことをちゃんと仕事にできているよ」ということです。

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私が10代の頃に読んでいた本です。筆者が日常考えたことを書き綴ったエッセー。中には自身が思い悩む姿もユーモラスに描かれ、自分の弱さを認める強さを教えてもらった作品です。今でも大事に持っています。
立花隆
筆者がどのようにして本から知識を得てきたかを振り返っている本。これを読むと一生勉強し続けよう、と奮い立たせてもらえます。「自分の興味のある分野の書籍を読みあされば、大学院を何回も卒業したくらいの知識をつけられる」という一文に、学生のときに衝撃を受けました。

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取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社/協力:株式会社ウィズ