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神奈川県に関連のある仕事人
1981年 生まれ 出身地 北海道

太田(おおた) 賢司(けんじ)
子供の頃の夢: 宇宙飛行士
クラブ活動(中学校): サッカー部
仕事内容
「香り」を企き画かく開発し、「香り」の力で世の中を彩いろどる。
自己紹介
細かいことは気にしない、前向きな性せい格かくです。休みの日は自然を感じるために、海や山など、外に出て過すごしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年11月15日)時点のものです

個こ人じんや法人向けに、フレグランス商品を企き画かく開発する

個人や法人向けに、フレグランス商品を企画開発する

私わたしはアロマスプレーや香こう水すい、ルームフレグランスなどフレグランス(香り)商品の企き画かく開発をする、株かぶ式しき会がい社しゃコードミーの代表取とり締しまり役やくを務つとめています。当社で提てい供きょうするフレグランス商品は、大きく分けると個こ人じん向けと法人向けの2つがあります。個こ人じん向けの商品は、「あなただけの香りを作ります」というコンセプトで、インターネットを通じて販はん売ばいしています(2024年1月現げん在ざいは販はん売ばい停てい止し中)。ウェブサイト上で、診しん断だんテストを受けてもらい、その結果をもとに3000パターン以上からそのお客さまのためだけの香りを調合し、お届とどけするサービスです。また選せん択たく制せいですが、AI(人工知ち能のう)を活用し、お客さまのX(旧きゅうTwitter)の「つぶやき」200件けん分を解かい析せきし、そのデータをもとに調合することも可か能のうです。
もうひとつ個こ人じん向けに行っているのが、芸げい能のう人じんやVチューバー(キャラクターを使った配信者)と一いっ緒しょに香りを開発し、「推おしの香り」をファンの方にお届とどけするサービスです。こちらも芸げい能のう人じんやVチューバーの発言をAIで分ぶん析せきしたデータを、商品開発に活用しています。
法人向けには、香りで空間を演えん出しゅつする事業を行っています。例えば業ぎょう務むスペースを、作業する人の集中力を高める香りにしたり、企き業ぎょうの受付をその会社らしい香りで演えん出しゅつしたりするサービスです。香りを嗅かいだときに脳のうがどのように反はん応のうするのかを見る脳のう波は分ぶん析せきに加え、病院と共同研究も実じっ施ししているため、科学的根こん拠きょがある、機き能のう性せいが高い香りを提てい供きょうすることができます。音楽のライブや映えい画がの試写会など、エンターテインメントの領りょう域いきで活用いただくこともあります。これは香りによって、ライブなどをより一いっ層そう忘わすれられない記き憶おくにし、またフレグランス商品を購こう入にゅうすることで、その記き憶おくを持ち帰ってもらうことが狙ねらいです。映えい画がの試写会では特とく徴ちょう的てきなシーンに香りの演えん出しゅつを加えました。音楽のライブでは曲のイメージに合わせた香りをアーティストと一いっ緒しょに開発し、香りの演えん出しゅつをするとともにフレグランス商品の販はん売ばいもしました。

2000種類以上の香こう料りょうの中から最さい適てきな組み合わせを選び、調ちょう香こうする

2000種類以上の香料の中から最適な組み合わせを選び、調香する

当社は、私わたしを含ふくめ5名の少人数で運うん営えいしています。私わたしの他にサイトの開発やAI関連業ぎょう務むを担たん当とうするITエンジニア、脳のう波は研究などを行う基き礎そ研究者、事業を拡かく大だいする営えい業ぎょうや事じ務む担たん当とう者しゃが在ざい籍せきしています。私わたしの仕事は、お客さまのご要望に応こたえる香りを調合することです。例えばホテルのオリジナルフレグランスを作りたいという相談があった場合は、まず、希望の香りのイメージや開発の進め方について打ち合わせを行います。その後、研究所で2000種類以上の香こう料りょうの中からイメージに合う香りを選んで調合し、試作を繰くり返かえします。調ちょう香こう(香りを作り出すために調合すること)する際さいには香こう料りょうの種類や分量を記き載さいした処しょ方ほうせんを作りますが、5種類の組み合わせで完成することもあれば、100種類の香こう料りょうを組み合わせることもあり、パターンは無む限げんにあります。お客さまの好みや目的に加え、世の中のトレンドに合うかを感かん性せいと経けい験けん値ちに基もとづいて判はん断だんし、完成品に仕上げていきます。そのため、マーケティング(市場調ちょう査さ)も大切な仕事です。商業施し設せつなどで香こう水すいやシャンプー、柔じゅう軟なん剤ざいなどを中心に調ちょう査さするとともに、フレグランス以外の分野の売うれ筋すじも把は握あくすることで、生活スタイルのトレンドをつかむことを心がけています。また、自社の活動や香りの魅み力りょくを多くの人に知ってもらうため、ラジオ番組や大学のシンポジウムなどに出ることもあります。

香りは人の記き憶おくと感かん情じょうにダイレクトに届とどくパワフルなツール

香りは人の記憶と感情にダイレクトに届くパワフルなツール

私わたしが香こう料りょう業界に出合ったのは就しゅう職しょく活動のときでした。私わたしは理学部出身で、大学院では理学研究室に所しょ属ぞくし、世の中にない新しい分子を作るという研究をしていました。就しゅう職しょく活動のときにも、自分にしか作れないものを作る職しょく人にんになりたいと考えており、なおかつ、おしゃれでかっこいい仕事はないかと調べていたところ、香こう料りょう業界を見つけました。私わたしもそのときに初めて知ったのですが、フレグランス商品を販はん売ばいする多くのメーカーは自社で香りを作っているわけではなく、香こう料りょう会社が作った香こう料りょうを仕入れて商品を開発しています。そこで、一いっ瞬しゅんにして人の感かん情じょうを揺ゆさぶることもある「香り」を突つき詰つめてみたいと思ったのが、香こう料りょう会社に就しゅう職しょくしたきっかけでした。
また、忘わすれられないのが入社後にたまたま目にしたテレビ番組です。その番組では、小さいころにお母さんを亡なくした4歳さいぐらいの男の子が押おし入いれからお母さんのセーターを出して「眠ねむれない夜はお母さんのセーターの匂においを嗅かいで寝ねると元気が出る」とにっこり笑って話していました。嗅きゅう覚かくは五感の中でも特に人の記き憶おくと感かん情じょうにダイレクトに届とどきやすい感覚です。この番組を見て、実は香りはすごくパワフルなツールなのだと感じ、この領りょう域いきでチャレンジしたいという思いがより一いっ層そう、強まりました。

経けい営えいを学び、自分の強みを生かせる香りの分野で起業

経営を学び、自分の強みを生かせる香りの分野で起業

香こう料りょう会社には10年在ざい籍せきし、さまざまな職しょく種しゅを経けい験けんしました。基き礎そ研けん究きゅう職しょくでは、香こう料りょうによってシャンプーなどが変色してしまうことを防ふせぐ方法を研究していました。もちろん調ちょう香こう師しの経けい験けんもあります。調ちょう香こうする部ぶ署しょに入ると、最初は嗅きゅう覚かくを鍛きたえるトレーニングを行います。香りの評ひょう価かを一日中すると、最初はとても疲つかれるのですが、毎日行うことで鍛きたえられ、香りの専せん門もん家かとしての能のう力りょくが付いていきます。香こう料りょうのうち500種類ぐらいは常つねに覚えておく必要があるため、自分の記き憶おくと紐ひもづけて覚えていきます。例えば「小学生のころに雨上がりの校庭で遊んでいたときの草の匂におい」「おじいちゃんの家の押おし入いれの匂におい」などとノートにメモしていくのです。また、「エバリエーター」という職しょく種しゅも経けい験けんしました。世の中のトレンドを把は握あくして今後の予よ測そくを立てたうえで、お客さまの要望に応こたえられているかを評ひょう価かし、調ちょう香こう師しと二に人にん三さん脚きゃくで香りを作り上げていく専せん門もん職しょくです。ちなみに、調ちょう香こう師しに国家資し格かくはありません。調ちょう香こう師しになる主な方法としては、香こう料りょう会社で調ちょう香こうする部ぶ署しょに配はい属ぞくされるか、調ちょう香こうの専せん門もん学校で学ぶかの2つがあります。
入社後5年ぐらいたったころに憧あこがれに近い感じでベンチャー起業家に興きょう味みが湧わき、経けい営えい者しゃの本を読んだり、起業家に会って話を聞いたりするようになりました。そうするうちに自分も世の中を変えていくような起業家になりたいと考えるようになったのです。しかし、これまで研けん究きゅう職しょくを多く経けい験けんしてきたため、経けい営えいについては全くわかりません。そこで、仕事をしながら平日の夜や土日を利用して経けい営えいを学ぶ大学に通い、MBA(経けい営えい学がく修しゅう士し。経けい営えい学がくの大学院修しゅう了りょう学位)を取しゅ得とくしました。そして、自分の強みを生かして起業したいと考え、2017年にコードミーを立ち上げました。

「香りはあると素す敵てきだけど、なくてもいいもの」という意い識しきを変えていきたい

「香りはあると素敵だけど、なくてもいいもの」という意識を変えていきたい

仕事をしていて大変だと感じるのは、限かぎられた時間の中でお客さまのご要望に応こたえる香りに仕上げることです。開発期間はプロジェクトによって異ことなり、2週間だったり2か月だったり、場合によっては1年以上のこともあります。脳のう波は分ぶん析せきやAI分ぶん析せきの結果を活用して調ちょう香こうする場合は、調ちょう香こうするまでの準じゅん備びに時間がかかることもあります。さらにスプレータイプやディフューザーなどの機器を使って空気中に香りを広げるタイプなどがあり、香りの出し方によっても評ひょう価か方法が変わります。調ちょう香こうと評ひょう価かを繰くり返かえし、2、3回ほどお客さまに提てい案あんをして、お客さまも自分自身も納なっ得とくできる香りに仕上げていくのです。
それから、「香りはあると素す敵てきだけど、なくてもいいもの」という感覚がある中で、ビジネスチャンスをつかむことには難むずかしさを感じています。実じっ際さいにコロナ禍かになったときには、みな外出しなくなり、全員がマスクを付けていたので、フレグランス業界の業ぎょう績せきは落ちると言われていました。しかし、当社では発想を転てん換かんし、マスクを一日中快かい適てきに付けられるよう、マスク用のフレグランススプレーを販はん売ばいしたところ、ヒットしました。香りは「なくてもいいもの」ではなく、実用的に使うことができ、人々の生活に「なくてはならないもの」だという認にん識しきを広げていきたいと考えています。

やりがいは、香りの演えん出しゅつを喜よろこんでくれる人がいること

やりがいは、香りの演出を喜んでくれる人がいること

仕事をする中で特にやりがいを感じたのは、音楽のライブを香りで演えん出しゅつしたときに、会場のお客さまが「すごくいい香り」と喜よろこんでくれたことです。香りは人の記き憶おくや感かん情じょうに直結するため、エンターテインメントの領りょう域いきで活用いただくと、ライブイベントなどをより思い出に残る体験にすることができます。ライブ会場でフレグランス商品の販はん売ばいをしたところ、購こう入にゅうした方から直ちょく接せつメッセージをいただいたこともあります。そこには、「今回のライブでの香りの演えん出しゅつは本当に素す敵てきでした。今日は、仕事に行くのが憂ゆううつだったのですが、この香りを嗅かいだら元気になりました。本当にありがとうございました」と書かれていました。このメッセージをいただいたときは心からうれしかったです。すぐに一いっ緒しょに担たん当とうしたチームに共有して喜よろこび合いました。

ワクワクすることを、自分たちが精せい一いっ杯ぱい楽しむ

ワクワクすることを、自分たちが精一杯楽しむ

私わたしたちの会社のこだわりは「ワクワクすることを、自分たちが精せい一いっ杯ぱい楽しむこと」です。仕事は楽しくないと進みませんし、自分が会社を作るときには、楽しむことを大切にする会社にしたいと考えていました。また、フレグランスという素す晴ばらしいものを扱あつかう会社であるからこそ、自分たちのワクワク感や、心の底から楽しむ感覚を大事にしたいと思っています。そのため、仕事内ない容ようも「自分たちがワクワクするかどうか」を基き準じゅんに決めています。例えば、体にあまり良くない商材に香りを付けてほしいといった依い頼らいは、お断ことわりしています。
今後は“サイエンス”と“アート”の両りょう軸じくで事業を展てん開かいしていきたいと考えています。“サイエンス”は、現げん在ざいも行っているように、科学的なデータに基もとづいて香りの事業を行うことですが、今後は医い療りょう施し設せつや介かい護ご現げん場ばなどの課題を香りで解かい決けつしていきたいです。消しょう臭しゅうという消極的なアプローチではなく、心ここ地ちよい香りで幸せな空間に変えていくようなことをしたいと思っています。“アート”の領りょう域いきとは、人の記き憶おくや感かん情じょうに直ちょく接せつ作用する香りの効こう果かを使って、イベントなどの演えん出しゅつをすることです。よい香りにするだけでなく、香りによってポジティブに感じられるような空気も作り出し、それによってウェルビーイング(身体的・精せい神しん的てき・社会的にも良好な状じょう態たい)な世の中を作っていくことを目指しています。
2023年10月からは、消しょう臭しゅう・芳ほう香こう剤ざい、防ぼう虫ちゅう剤ざい、脱だっ臭しゅう剤ざいなどを開発・販はん売ばいし、「空気をかえよう」を企き業ぎょう理念とするエステー株かぶ式しき会がい社しゃの子会社になりました。「一いっ緒しょに世界の空気をかえよう」と声を掛かけていただいたのです。エステーの社長とお話ししたところ、お互たがいの目指す将しょう来らい像ぞうが一いっ致ちしていると感じました。エステーグループの技ぎ術じゅつを活用することで、できることの幅はばも広がります。また、今は考えていませんが、この先、事業を拡かく大だいする際さいにも力になってくれると思います。

1位にならないと気が済すまない。負まけず嫌ぎらいの努力家

1位にならないと気が済まない。負けず嫌いの努力家

小学生のころは、水泳やスキーなどの運動を頑がん張ばっていました。とても負まけず嫌ぎらいだったので、水泳やスキーはもちろん、学校のマラソン大会でも1位にならないと納なっ得とくできませんでした。そして、1位になるために、人一倍練習をする努力家でした。書道も習っていたのですが、小学校1年生のときに大会で2位になったことが悔くやしくて一ひと晩ばん中じゅう泣いていたこともありました。
中学・高校では勉強を頑がん張ばっていました。勉強でも1位にならないと気が済すまなかったのです。自分の中ではゲーム感覚で、勉強という公こう平へい性せいの高い戦いの場でライバルと競きそい合うことに面おも白しろみを感じていました。親から「勉強しなさい」と言われてやるのではなく、自主的にやっていたせいか、勉強が苦ではありませんでした。中学や高校で勉強したことは、直ちょく接せつ仕事に生かせる機会は少ないですが、振ふり返かえってみると論ろん理り立てて説明する力を身に付ける訓練になっていたと感じています。また、学生のころに勉強に打うち込こんだ経けい験けんが、社会人になってからも経けい営えい学がくを学ぶなど、常つねに学びを忘わすれない姿し勢せいに繋つながっていると思います。

自分の好きなことを夢む中ちゅうで楽しんでほしい

自分の好きなことを夢中で楽しんでほしい

私わたしがみなさんに伝えたいのは「自分の好きなことや興きょう味みのあることを見つけて、とにかく夢む中ちゅうで楽しんでほしい」ということです。それが今は将しょう来らいに繋つながっていないように思えても、振ふり返かえってみると実は全部、繋つながっているからです。私わたし自身も夢む中ちゅうで運動を頑がん張ばる中で培つちかった諦あきらめない気持ちが、仕事においても役立っていると感じています。また勉強に夢む中ちゅうになる中で、2位だったときの悔くやしい思いや、その気持ちをバネに1位になるまでやり続けた経けい験けんが、決めたことを最後までやり切るという基き本ほん的てきな考え方に繋つながっています。大人になってからも何かに「夢む中ちゅう」になっている人は強いと感じます。夢む中ちゅうでやった経けい験けんは何一つ無む駄だにならない、ということを知ってもらいたいです。

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岸見一郎/古賀史健
「誰かの期待を満たすために生きてはいけない」ということを教えてくれる本です。「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係の悩み、人生の悩みを解消してくれるアドラー心理学は前向きに生きるヒントを与えてくれます。

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取材・原稿作成:國分 唯未(Playce)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行