
チラシやポスターなどの制作

チラシやDM,ポスターなどの広告ツールや屋外広告の施工など,企業の考えを絵や文字にして分かりやすくすることがデザイナーとしての私の仕事です。例えば店のチラシを作りたいと依頼があれば,お客様と打合せをし,要望を聞き,どんなデザインにするかを詰めていきます。最初は大まかなイメージでも,チラシには店の地図をシンプルに描こうとか,文字より絵を大きくしようとか,打合せを重ねることによりデザインが明確になっていきます。店を訪ねるお客様を意識して,分かりやすいデザインをするように心がけています。職場には総勢20名ほどの社員がおり,その内バイトを含め10名がデザイナーです。
繁忙期は長期休暇の前

会社は10時から19時までが就業時間ですが,仕事を始める前に毎朝20分くらいかけてオフィスの掃除をします。デザイナーは資料が多く,机の上が乱雑になりがちなので,朝早く来て机の整理整頓をし,仕事をスムーズに進めるための準備をします。とりわけパソコンソフトのイラストレーターとフォトショップというツールを使ってデザインをしていますが,仕事に合わせて他のツールやソフトも使います。スマートフォンのデザインは見やすく使いやすいので,デザイナーにとっても見逃せません。どんなアプリがあるのかいつも関心を持ってチェックしています。GWやお盆,年末年始などの長期休暇の前は,印刷の工場の方も休みに入るので,その前に仕事を進めなければなりません。依頼主の会社が,その時期にチラシを配布することが多いのも,さらに忙しくなる要因の一つですね。
日々の勉強が必要

お客様とデザイナーが直接打合せをするので,お客様から細かな要望を伝えられます。しかし,広告にも規制があります。例えば,屋外広告は道路にはみ出して設置してはいけないというルールがあります。商品とは,デザインだけで成り立つものではありません。お客様からヒントをいただいたり,自分で調べたりと,毎日学ぶことはたくさんあります。お客様と直接打合せをするためには,そういった知識が必要です。何の知識も持たずにお客様の前に出ることはできません。会社から,都心部のお客様の所へ行くときは,往復するだけでかなりの時間がかかります。その間も情報の整理をして,お客様の要望の再確認とアイデアのまとめ方を考える大切な時間になっています。
「またお願いするよ!」と言われることがうれしい

常にお客様が喜ぶものを作ろうと思って仕事に取り組んでいます。お客様が想定していたものより,出来が良かったり,お褒めの言葉をいただいたりしたときは,とても嬉しいですし,達成感を感じます。この前の仕事が良かったから,もう一度仕事の依頼をしたいと言われたときは,この仕事をやっていて良かったと大きな喜びを感じます。私は声が大きいので目立つらしく,お客様からもよく覚えていただいているようです。人と話すのが好きという性格もこの仕事に役立っています。デザイナーといえば,一日中パソコンの前に座っているイメージかもしれませんが,打合せをする機会も多く,人と話して意思を通わせ合うのもデザイナーの大事な仕事の一つです。
要望以上の何か(プラスα)

仕事の依頼を受けた際,お客様の要望をただなぞるのではなく,要望以上の事(プラスα)をデザインに込め,出来上がったときに「頼んで良かった」と心から思っていただけるよう提案しています。「デザイナーは,自分で考え,自分の目を通してお客様に響くものを作りなさい。自分の考えも入れずに機械的に物を作るオペレーターになってはいけない」と社長がよく口にしていますが,どんなプラスαをつけられるかが勝負所です。また,スピーディに仕事を仕上げることも大切にしています。例えば商品案内のチラシやDM作成の場合,2日間で基本デザインを作成してお客様へ送付,3日間で修正する,という流れが基本的な仕事のペースです。もちろん,早いからといって手を抜くということではありません。
ショッピングモールの雑貨屋さんがきっかけ

私は,小学校5年生の時にデザイナーになろうと決めました。ある日初めて行った大きなショッピングモールに雑貨屋さんがあり,そこに入った瞬間,自分が求めていたものはこれだと思いました。色とりどりの商品やデザインに心が踊り,これまで感じることのなかったときめきを感じました。もともと絵を描くのは好きだったのですが,将来なりたいものが明確になったのはこの瞬間です。高校では地元佐賀県の普通科の芸術コースに進み,美術を専攻しました。プロダクトデザインという,生活に必要な道具や製品のデザインを勉強するのが,雑貨デザイナーへの道だと知り,日本工学院のプロダクトデザイン科に進みました。早いうちに目標を決めて,それを目指してまっしぐらに進んだ感じです。
子どもの頃から自分の意見はハッキリと

小さい頃は,起きて笑っているか寝ているかという極端な子どもだと言われていました。他の人と同じような事をしたくないという思いが強く,周りと違うことをやることが多かったです。マラソン大会では,友達に一緒に走ろうと誘われても,私は自分のペースで走ると言って断ったり,自画像を描くときは,普通の顔を描くのではなく,大好物のサツマイモにかぶりついている自分の顔を描いたりしていました。人に流されるのではなく,自分の頭で考え,おかしな所はおかしいと自分の意見をハッキリ言っていたと思います。4人兄弟姉妹の末っ子なので,主張しないと目立たないという環境が影響しているのかもしれません。
夢を持って飛びだそう!

将来何になろうという大きな夢ではなくても,小さな夢でも良いから,何かやってみたいという夢を持つと良いと思います。小さなことでも「夢」と認識すれば,叶えたときの喜びが感じれます。私は,たまたま小学5年生のときにこれだ!と思う夢が見つかりました。でも,田舎の何もないところで育ったので,どうしたらデザイナーになれるのか全く分かりませんでしたし,高校生の頃には本当にデザイナーになれるのか不安に思っていました。ただ,そんなときでも,自分にできることを調べたり,世の中のさまざまなデザインに触れたり,今できることを考えて行動していました。デザイナーになった今,私の次の夢は,自分に夢を与えてくれたデザインで社会に貢献し,これからの子供たちに夢を与えていくことです。未来が分からなくても,夢があったらそれが支えとなって頑張れると思います。
- 取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社/協力:株式会社ウィズ