仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1956年 生まれ 出身地 東京都
鳥山とりやま 恵司けいじ
子供の頃の夢: パイロット
クラブ活動(中学校): 剣道部
仕事内容
「人間第一」のけいによって,社会の安全・安心を守る。
自己紹介
何事においても楽観しゅです。休日は子どもたちと公園や博物館に出かけるなどしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2020年03月24日)時点のものです

鉄道工事げんなどで,安全と安心を守る

鉄道工事現場などで,安全と安心を守る

わたしは,とうきょうぶんきょうに本社のある「しんほくけいしょうかぶしきがいしゃ」の社長です。名前の通り,けいを行う会社です。社員は約400名,えいぎょうけいたんとうする30名ほどのスタッフ以外,全員がけいいんです。
けいを行う会社は,けいさつしょとどて公安委員会のにんていを受けています。けいいんにはせんもんの教育を受ければなることができますが,とくしゅな場所や特定の種類のけいを行うには,それにじゅんじたかくが必要です。そのためほとんどのけいいんは,会社に入ってからいくつかのかくています。
けいは,けいぎょうほうというほうりつによって次の4種に大別されています。ビルや商業せつけいをする「1号ぎょう」,工事げんや花火大会などのイベントでけいをする「2号ぎょう」,げんきんそうしゃなどをけいする「3号ぎょう」,人の生命や身体の安全を守る「4号ぎょう」。当社では,商業せつや道路工事げんなどではばひろけいを行っていますが,中でも2号ぎょう,とくに「鉄道あんぎょう」とばれる分野に力を入れています。鉄道会社が行う鉄道工事げんで,列車が来るのをかんして作業員に知らせるなどのぎょうを通じて,安全と安心を守る仕事です。例えば2019年11月には,JRやまのせんの新駅「高輪たかなわゲートウェイ駅」開業に向けただいな線路え工事が行われましたが,このときは当社から70名のけいいんたずさわりました。

列車のかんを行う列車はり

列車の監視を行う列車見張員

鉄道は,いったん線路やせつが完成して開通した後も,工事が終わることはありません。時間がてば,列車のつうや雨風などによっていたしょが出てくるからです。そうした場合,メンテナンス工事を行います。線路のしゅうはもちろん,駅せつかいしゅうやホームドアのせっ,線路わきしげった木のえだばっさいなど,鉄道に関する工事は多種多様です。
こうした工事にたずさわるけいいんけんしゅうを受け,各鉄道会社が定めるかくしゅとくしなければなりません。中でも,線路へ立ち入って作業ができるかくけいいんは,「列車はり員」として列車と工事作業員の安全を守ります。列車のかんを行い,工事げんのそばを列車がつうするときは,手旗や声かけで作業員に知らせて安全な場所へたいさせます。また,トラブルが起きてにつながるおそれがある場合は,無線機や手旗,えんによって合図を送る信号えんかんなどを使い,列車をきんきゅうていさせる役目もになっています。

コミュニケーションのうりょくが必要

コミュニケーション能力が必要

鉄道工事は夜間,終電の1〜2時間前から始発電車が走るこくまでの間に行われることが多いため,けいいんの多くはどうしてもよるがたの生活になってしまいます。また,屋外での仕事ですから,冬の寒さや夏のあつさ,雨風にもえなければなりません。このように,ぎょうないようによっては体力的にもきつい一面のある仕事ですから,わたしは毎日,隊員の健康をいのるような思いで見守っています。
駅のせつ工事や,道路工事をたんとうするけいいんは,通行人を安全な場所にゆうどうするなど,いっぱんの方々にせっする機会が多々あります。ときには「工事の音がうるさい」「めいわくだ」といったクレームをつけられることもあります。問題が大きくならないよう,ていねいたいおうしなければいけませんが,そのようなたいおうの仕方は,社内のけんしゅうなどで伝えるようにしています。けれど最終的には,じんの持つコミュニケーションのうりょくがとても重要なのです。

何事も起こらない日が,いちばんらしい日

何事も起こらない日が,いちばん素晴らしい日

けいいんは,社会の安全・安心を守っているというせきにんかんを持っています。で一日を終えることが最大の目的だと言えるでしょう。一人のけいいんたんとうするのは小さなやくわりかもしれません。けれど,その仕事がなければ大きな工事を無事に終わらせることもできないのです。で工事を終えたときに感じる達成感は,けいいんという仕事のやりがいになっています。
工事げんかぎらず,小学生の登下校の見守り,ビルや商業せつしゅえい,イベント会場や周辺道路のけいなど,どこで仕事をしていようが,いちばん大切なのは人々の安全です。何事も起こらない日が,だれにとってもいちばんらしい日なのです。そのためにけいいんは,こうしゅうを受けたりせんぱいから教わったりするなどして,を未然にふせぐための学びを続けています。せんもんしきを身につけ,けいいんとしてののうりょくを上げることが,仕事のよろこびにもつながります。

ふせいだけいいん

振り込め詐欺を防いだ警備員

けいいんは,目を光らせてへんを察知し,少しでもへんがあればばやく行動にうつすことが必要です。何か起こってからではおそいのです。何も起こらないようにするのがわたしたちの仕事ですから。
えきこうないのATMをそうするおばあさんの様子をおかしいと思い,声をかけてを未然にふせいだ当社のけいいんがいます。また,具合の悪くなったお客さんが乗っていた電車の発車を,駅のホームにいたけいいんが自身のはんだんめ,鉄道会社からかんしゃじょうを送られたこともあります。こうした行動ができるのは,一人一人のけいいんに強いせきにんかんと使命感があり,つねにしゅうに目を向けているからです。

AIなどの最新じゅつと人間の力を合わせる

AIなどの最新技術と人間の力を合わせる

日本は,安全・安心な国だと言われてきました。しかし残念ながらそれはの話で,安全や安心は当たり前にあるものではなくなりつつあります。これからの時代には,ますますけいが必要となるでしょう。
このような時代に合わせて,けいにも新しいじゅつが取り入れられています。たとえば,悪事を働きそうな人物の行動をそくできる,AI(人工のう)をとうさいしたぼうはんカメラ。また,駅などのせつを自動でじゅんかいするけいロボットもあります。こうしたせんたんじゅつを活用しつつも,やはり大切なのは人間の力だと考えています。
たとえば,がいいかけていたおばあさんの様子を見てとって,「どうかしましたか?」と声かけができるのは,人間ならではの力です。ATMをそうしている人を見て,「あれ,なんだかおかしいぞ,では?」とそうぞうすることは,AIにはまだむずかしいからです。より安全な社会をじつげんするためには,機械のとくなことと人間の力をかけ合わせることが大切なのです。

けんどうで学んだ日本の文化

剣道で学んだ日本の文化

わたしは,とうきょうふかがわという町で育ちました。いかにも下町らしく,父も近所の人たちもにんじょうにあふれていました。こまった人がいたら,かならずだれかが助けてあげるのです。
わたし自身は,いたずらが大好きなわんぱくぼうでした。野球,ドッジボール,たんけんごっこなど,外で遊ぶのが大好きで,いつも小さなきずえませんでした。勉強では理科が好きで,しょうらいゆめはパイロット。けれどりょくが悪く,そのゆめだんねんしました。
小学生から高校生まで続けたけんどうのおかげで,れい作法を身につけることができました。けんどうを通して,日本の文化にれたことはとてもよかったと思っています。わたしいきこくさい交流活動を何十年も続けているのですが,外国人と交流するときにも自国の文化を知っていないと,おたがいの国の良さを伝え合うことができません。グローバル化が進む時代だからこそ,みなさんにも日本の文化を深く知ってほしいと思います。

チャレンジや失敗のおかげで,いまがある

チャレンジや失敗のおかげで,いまがある

何かをやってみたいと思ったら,おくすることなくチャレンジしてみましょう。失敗したっていい。それも大きなけいけんとなります。どうしてもうまくいかなければ,またちがうことにチャレンジすればいいのです。わたし自身も,これまでたくさんのことにチャレンジして,いろいろな失敗をかえしてきました。それでも人生は,なんとかなるものです。そうしたチャレンジや失敗があって,いまのわたしがいるのです。だから,チャレンジしてきたことにこうかいはありません。
みなさんにはまだ早いかもしれませんが,しょうらいどんな仕事にいたとしても,ねばり強くその仕事に取り組むようにしましょう。「石の上にも三年」と言います。仕事の本当のおもしろさには,続けてみないとわからないものもあるのです。ぜひ,覚えておいてください。

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取材・原稿作成:尾関 友詩(ユークラフト)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫