仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
石川いしかわ 幸男ゆきお
子供の頃の夢:
クラブ活動(中学校):
仕事内容
お客さまのニーズと時代に合わせ、さまざまなかなあみ商品を開発し、はんばいする。
自己紹介
社員のためはもちろんですが、「いきや社会にこうけんすること」がモットーです。また、休日は自分がきょうを持ったさまざまなジャンルのセミナー等に参加していることが多いです。

※このページに書いてある内容は取材日(2024年01月17日)時点のものです

実は生活のさまざまな場面で使われている「かなあみ

実は生活のさまざまな場面で使われている「金網」

わたしは、「いしかわかなあみかぶしきがいしゃ」という会社の代表とりしまりやくつとめています。この会社は社名の通り、そうぎょう以来ずっとかなあみせいぞうはんばいを行っている会社です。
みなさんは、「かなあみ」というとどんなものがおもかぶでしょうか?実は、かなあみは、ありとあらゆる産業で使われています。例えば、台所に行けば、おもちや魚を焼くあみや、茶こしやザルに使われています。建物を見ると、フェンスや鳥小屋などに使われていることが多いですね。
石川かなあみでは、時代とともに作るものはうつわり、例えば1970〜80年代にはがたビデオカメラなどのマイク部分を包む「マイクネット」といわれるものや、ドライヤーの送風口に使われるあみ、自動車に使う「オイルフィルター」などをたくさん作っていましたが、今、作っているものの約5〜6わりは「プラスチック用おしだしのフィルター」です。
みなさんがだん使用しているプラスチックせいひんは、かしたプラスチック原料を着色し、それを機械でして作っています。また、ポリエステルなどの合成せんも、同じように原料を細くすことで作られています。こういった作業をおしだしで行うさいけた原料からじゅんぶつぶつを“す”作業を行うのが、わたしたちの作っているフィルターです。

じゅようえているプラスチックのリサイクルのげんでもかつやく

需要が増えているプラスチックのリサイクルの現場でも活躍

プラスチック用おしだしのフィルターは、かなあみではありますがとても目が細かいものになり、一番、目が細かいものでは5ミクロンほどの大きさになります。1ミクロンが1ミリメートルの1/1000、かみの太さが約50〜100ミクロンと言えば、その大きさのそうぞうがつくでしょうか。また、目が細かいだけではダメで、目の大きさがちがうものや、かたちがかなあみなんまいも重ねることで、いかにこうりつよく原料をれいにできるか、そして目がまらないで作業できるかということが変わってきます。お客さまの求めるようや機械によりさまざまな方法があるので、お客さまの要望に合わせてこうさくしながらフィルターを作っていきます。
プラスチック用おしだしは日本以外でも使われているため、お客さまにはいろいろな国の方がいらっしゃいます。中国やフィリピン、インドネシアなど、せいぞうぎょうさかんな東南アジアの方が多いです。
また、近年は、一度ペットボトルとして使われたものが原料としてリサイクルして使われることが多いのですが、そのさいはいされたペットボトルからじゅんぶつをいかにのぞくかは、とても大事なポイントです。石川かなあみの作っているフィルターは、ペットボトルリサイクルのげんでも数多くかつやくしています。

つねに時代の流れを読み、ニーズをくみ取ることの大切さ

常に時代の流れを読み、ニーズをくみ取ることの大切さ

わたしたちの会社でも、時代に合わせて作るせいひんが変化してきたわけですが、時代の流れを読んでニーズをくみ取り、たいおうしていくのは大変なことです。例えば「こういうものを作ってもらえないか」というらいが来たり、「これからはこういうじゅつせいひんが必要になるのではないか」と思ってじゅつ開発に取り組んだりすることはよくありますが、それがすぐに完成するとはかぎりません。何年もがんばって開発したものの、完成したときには時代の流れが変わっていて、もう必要とされない商品になってしまったり、てきごうする機械のスペックが変わっていて使用できなかったり、といったこともありました。だからこそ、今後どういうものやじゅつが求められるのか、つねじょうほうて、日々考えていくことが大切だと思っています。
また、会社には、毎日さまざまな問い合わせが来ます。そういった問い合わせのほとんどが、「他の会社にもらいしたけれどむずかしいと言われた。どうにかできないか」というものです。そういったらいわたしたちのじゅつかいけつしたときはとてもうれしいですが、もちろんかいけつできないこともありますし、そういうときはとてもくやしいです。それをふせぐためにもおたがいに助け合える協力会社をやし、なるべくかいけつできるように努力しています。

お客さまのよろこぶ顔を見ることができるのが何よりもうれしい

お客さまの喜ぶ顔を見ることができるのが何よりもうれしい

この仕事のやりがいは、何と言ってもお客さまによろこばれることです。もちろん、められるのはわたしではなく当社の社員ではありますが、「石川かなあみさんのおかげでさがしていたものが見つかった」「できなかったことができるようになった」といった、取引先の方々からの声を聞くのが一番うれしいですね。そういうことが積み重なっていくと、会社の売り上げがび、えきえ、社員のみなさんにもほうしゅうとしてかんげんできます。そういうじょうたいを作ることができるのが、わたし自身のよろこびです。
社員にはいつも、「相手の役に立ちたいなら、相手によろこばれる人にならないとダメだよ」と伝えています。わたしの思う「相手によろこばれる人」というのは、「また会いたくなる人」です。「石川かなあみの商品を使ったらよかった、他の商品も使ってみたいな」「サービスもいいしえいぎょうの人はいっしょうけんめいやってくれるし、のうも守ってくれるし、これからも付き合っていきたいな」と思ってもらえるためにはどうしたらいいかをつねに考えていれば、そのお客さまが望むことがわかってくると思います。このことを、わたし自身もつねに心がけています。

社会じょうせいだいしんさいから学んだ、求められるそんざいになることの大切さ

社会情勢や大震災から学んだ、求められる存在になることの大切さ

「お客さまの役に立ち、よろこんでもらえるような商品を作っていくこと」が会社の理念です。それをじっせんできる会社にするためには、社長自らがこれに取り組んでいかなければいけないし、社員たちもお客さまによろこんでもらえるそんざいになってほしいです。だからこそ、よいせいひんを作り、よいサービスをていきょうするのはもちろんですが、加えて、わたしは自分自身もできるはんいきこうけん活動などを行っていて、社員にも、そういったいきや社会のための活動、ボランティア活動などをしきしてほしいと伝えています。そうした活動を通して「人の役に立つものとは何か」を考えられるようになれば、お客さまに役立つ商品への発想につながると思うからです。
こういったことを思うようになったのは、2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本だいしんさいせいぞうぎょうが大きくげきを受けたけいけんからです。工場が止まれば機械も止まり、そうなるとわたしたちの作るせいひんじゅようもなくなります。もちろん、しんせいひんの開発もつねに行ってはきましたが、それだけではダメだなと思いました。これまでのお客さまを大切にしながら、インターネットなどでわたしたちを知って問い合わせてくれたお客さまをいかによろこばせることができるか、それがこれから必要なことではないか、そう思ったからです。
2015年には“かなあみで折る折り紙”「おりあみ」をわたしたちで開発、発売しました。これはたまたま、しょくにんあまったかなあみづるなどを作っていたことから発想したものです。折り紙として使えるかなあみというのはこれまでになく、多くの方によろこんでいただけています。また石川かなあみの持つ「紙のようにうすかなあみを作る」じゅつを生かし、さっきんこうを持つどうをフィルターとしてんだマスクも開発しました。

、父からいだ会社

祖父、父から受け継いだ会社

石川かなあみそうぎょうは1922年で、わたしで三代目になります。子どものころから会社や工場に親しんで育ち、わたし自身もものづくりが好きだったことから、いつかは自分自身が会社をぐものだと思いながら育ちました。会社けいえいのために今後必要になるのではと思い、大学では法学部でけいえいに関するほうりつなどを学び、卒業後は商社にしゅうしょくをしました。そこでは海外室という海外の貿ぼうえきに関するしょしょぞくすることになり、かんこくたいわんなど海外との取引をたんとうしたのですが、かなりのげきだったことと、1年ほどでそこのしょで学べることは大体学べたのではという実感もあり、退たいしょくしました。その後、石川かなあみに改めてしゅうしょくし、父のもとで働いたあと、けいえいぎました。もともと家業のことはあくしていましたし、おもしろい仕事だなとは思っていたので、まよいはなかったです。
わたし自身は法学部出身ですが、石川かなあみには、希望するしょどうできるせいがあり、ぶんけい学部出身でも、けいけんでもせいぞうどうすることや、せいぞうからえいぎょうどうすることなどものうです。人間、どんなことが本当に向いているかわからないと思うので、いろいろとためしてもらって本当に合う仕事を見つけてもらえればと思い、こうしたシステムにしています。

トランジスタラジオ作りでた感動がものづくりの原点

トランジスタラジオ作りで得た感動がものづくりの原点

子どものころから、何か「ものをつくる」のがとても好きでした。ようえんのころからねん細工でたくさん遊んでいましたし、プラモデルを作るのも好きで、親はそういったことに関するおもちゃにはお金をしまず、たくさん買ってくれました。それは今でもかんしゃしています。わすれられないのは、中学校1年生のときにトランジスタラジオを作ったことでしょうか。電子工作が好きな友人にさそわれてあきばらに行ったのですが、そこで自作ラジオのキットがはんばいされていました。家には工具がたくさんありますし、ためしにこうにゅうして作ってみたら、ちゃんと音が鳴り、聞けるラジオを作り上げることができたんです。それにはとても感動しましたし、ベッドの中でかかえて、まいばん聞いていました。「ものをつくる」ことのよろこびは、その体験が原点になっているような気がします。

熱意を持って取り組むことの大切さをわすれないでほしい

熱意を持って取り組むことの大切さを忘れないでほしい

わたしが社員たちによく話すことなのですが、どういう人が他人によろこばれるか、役に立つか、ということを考えていくと、ほんてきには「熱意がある人」だとわたしは思っています。パナソニックのそうぎょうしゃまつしたこうすけは9さいで小学校をちゅう退たいし、でっぼうこうからあの大会社をつくり上げましたが、かれはよく成功するじょうけんの第一に「熱意」を挙げていたそうです。わたし自身もさまざまなわかけいえいしゃの話を聞きますが、やはり必要なのはがくれきかんきょう等ではなく、一番は「熱意」だと思っています。特に今は時代の流れもあり、会社もすぐに上場でき、熱意があれば成功できるようなかんきょうになってきているように思います。
だからこそ、これを読んでいるみなさんは、熱意を持っていろいろなことに取り組んでください。もしも今つらいじょうきょうや、不本意なじょうきょうにあったとしても、熱意があればじょうきょうを打開できると思います。人生に失敗はありません。でもちゅうはんではこうかいが残る。そういったこうかいかかえないためにも、熱意を持ってください。

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私のおすすめ本

杉山勝栄
子どものころはさまざまな偉人の伝記に夢中でした。例えばアフリカの医療に貢献し、ノーベル平和賞を受賞したシュバイツァー博士は、実はオルガニストとしても活躍していました。伝記には、そういった偉人に関する意外な一面を知るきっかけが詰まっているので、ぜひさまざまなものを読んでみてください。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫