• 東京都に関連のある仕事人
  • 1948年 生まれ

    出身地 東京都

ガソリンスタンド経営

木下きのした 富恵とみえ

  • 子供の頃の夢

    駄菓子屋

  • クラブ活動(中学校)

    なし

  • 仕事内容

    お客さまとの会話を大切にしながら,ていねいに車のお世話をする。

  • 自己紹介

    子どものころからおてんばで,さっぱりしたしょうっ子。休みの日には家族と出かけたり,孫と遊んだりしています。おしゃべりが大好きで,お店でお客さまとせっすることがなによりの楽しみです。

  • 出身高校

    和洋女子大学附属九段女子高等学校
    (現・和洋九段女子高等学校)

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2018年02月27日)時点のものです】

木下 富恵


仕事人記事

お客さまからたよってもらえる場所でありたい

お客さまから<ruby>頼<rt>たよ</rt></ruby>ってもらえる場所でありたい

わたしは社長として,東京都足立区にあるENEOS(エネオス)のガソリンスタンドをけいえいしています。ガソリンスタンドでの仕事といえば,ガソリンや軽油の給油をそうぞうする人が多いと思いますが,実はほかにもたくさんやることがあります。せんしゃや車のまどふき,車内のそうじといった車をきれいにする作業のほか,タイヤのくうあつをチェックしたり,エンジンオイルをこうかんしたり,ボンネットのなかの機械をてんけんしたりするのもガソリンスタンドの仕事です。車の定期てんけんしゃけん)やしゅうについても,知っている業者さんをしょうかいできますし,ガソリンスタンドは車のことならなんでも相談できる場所,と言えるかもしれませんね。車にくわしくないお客さまでも安心して相談できるような,「あそこに行けば安心」とたよっていただける場所でありたいと思っています。
じゅうぎょういんわたしを入れて8名です。35年もきんしてくれている店長をはじめ,たよれるベテランぞろいです。うちのスタンドでは,ガソリンの仕入れや売り上げの管理なども,けいけんほうじゅうぎょういんまかせています。しんらいできるじゅうぎょういんがいてくれるのは本当にありがたいですね。

楽しみながらていねいにせっきゃくをする

楽しみながらていねいに<ruby>接<rt>せっ</rt></ruby><ruby>客<rt>きゃく</rt></ruby>をする

わたしはガソリンスタンドの社長といっても,やっている仕事はげんじゅうぎょういんとほとんど変わりません。お客さまをおむかえして,車にガソリンを給油したり,まどをふいたり,一日のうちほとんどの時間は店頭に立って働いています。いそがしい時間はひっきりなしに車が入ってくるのでてんてこまいですが,がおやさず,お客さまの車をていねいにお世話することを心がけています。人と話をすることが大好きなので,給油やせんしゃを待つ間にお客さまとおしゃべりする時間は,仕事中の楽しみでもありますね。とくに,いつも利用してくれるじょうれんのお客さまとは,話がはずみます。
一日の流れで言うと,朝は9時に出社して,だいたい18時半から19時くらいまできんしています。せっきゃくのほかには,社長として,売上のかくにんや,本社から来るえいぎょうさんとの打ち合わせなどもおこないます。また,せんしゃやタイヤこうかんのキャンペーンが定期的にあるのですが,それらをじゅうぎょういんのみんなに知らせて「がんばろうね」と声をかけてまわるのもわたしの仕事です。

好きな仕事だから,つらさは感じない

好きな仕事だから,つらさは感じない

好きでやっているので,ガソリンスタンドでの仕事を大変だと思うことは,あまりありません。外にいるので夏は暑く冬は寒い仕事ですが,もう40年も続けていますから,すっかりれました。お客さまのほうが気をつかって「寒いのにせんしゃたのむのは気が引けるな」なんて言ってくれるんですよ。でもわたしはまったく気にならなくて,喜んでせんしゃしますから,えんりょしないでほしいですね。
社長として,じゅうぎょういんをまとめるのが大変だと感じるときもあります。例えば,朝からむすっとしているスタッフがいて,家でいやなことでもあったのかな,お客さまの前では出さないでほしいな,と思ったりするときもあります。でも,さばさばしているせいかくなので,そういうときもばーっと注意して,言ったらあとには引きずりません。もしかしたら,それがみんなでうまく仕事をするうえでのコツなのかもしれませんね。

わざわざ遠回りしてってくれるお客さまも

わざわざ遠回りして<ruby>寄<rt>よ</rt></ruby>ってくれるお客さまも

最近はお客さまが自分で給油をする,セルフ式のガソリンスタンドもえました。そちらのほうがかくは安いですし,便利に感じる人も多いと思います。また,よそより1円でも安く,という競争をしているお店もあります。ですが,うちは安さだけで勝負をするのではなく,お客さまにきちんと向き合うことを第一に心がけています。モットーは「人と人とのれ合いを大切に,いきのみなさんにたよってもらえるお店であること」。それはじゅうぎょういん一人ひとりにつねに心がけてもらっていますし,みんなきちんとかいして働いてくれています。
気持ちのよいせっきゃくを心がけているからか,「他より高いけどこっちに来ちゃうんだよね」と言ってくれるお客さまや,引っしたのにわざわざ遠回りしてってくれるお客さまもいて,本当にありがたく感じています。おかげで,えいぎょう時間内にお客さまがれる時間はほとんどありません。はいぎょうする同業者も多いなか,みなさんのおかげで大好きな仕事を続けていられていることにかんしゃしています。

お客さま,じゅうぎょういん,すべてにかんしゃ

お客さま,<ruby>従<rt>じゅう</rt></ruby><ruby>業<rt>ぎょう</rt></ruby><ruby>員<rt>いん</rt></ruby>,すべてに<ruby>感<rt>かん</rt></ruby><ruby>謝<rt>しゃ</rt></ruby>

仕事するうえで大切にしているのは「すべてにかんしゃすること」です。来店してくれたお客さまにかんしゃ,働いてくれるじゅうぎょういんのみんなにかんしゃつねかんしゃの気持ちを持って,心と心のつながりを大事にしたいですね。お客さまからはげましやおめの言葉をいただいたときなどは特に,この仕事をやっていてよかったな,と感じます。
かんしゃの気持ちをわすれず,お客さま一人ひとりを大切にしてきた結果,2006年には全国のENEOSけいれつガソリンスタンドを対象にした本社からのひょうしょうで,“そうごうひょう1位”をかくとくすることもできました。これは,売上やキャンペーンのせいせきだけではなく,せっきゃくたいなどもふくめたひょうなんです。わたしたちが大切にしてきたことがみとめてもらえて,とてもうれしかったですね。前年が2位だったので,じゅうぎょういんはもちろん,お客さままで「今年こそ1位を取ろう!」と協力してくださったのも,ありがたかったです。

こつこつとしんらいきずき,愛されるお店に

こつこつと<ruby>信<rt>しん</rt></ruby><ruby>頼<rt>らい</rt></ruby>を<ruby>築<rt>きず</rt></ruby>き,愛されるお店に

わたしがここで働き始めたきっかけは,夫とのけっこんでした。このガソリンスタンドは,もともと,夫の両親がここでけいえいしていたお店なんです。そうぎょうが1960年だから,もう50年以上になりますね。夫が二代目の社長で,夫がくなったあと,社長をわたしいだ形です。
このガソリンスタンドがみなさんに愛されているのは,夫の両親や夫をはじめ,みんなが真面目に働いてお客さまからのしんらいきずげてきたためだと思っています。夫は,じゅうぎょういんに対してもったり,口うるさくもんを言ったりしない人でした。夫は昨年,くなったのですが,じゅうぎょういんはみんな「社長のために」とそれまで以上にがんばって,お店をててくれています。実のむすむすめいっしょに働いていますが,わたしは,ほかのじゅうぎょういんもみんな自分の子どもか,それ以上だと思っています。みんながせっしやすいように,わたしのことは社長じゃなくて「ねえさん」とんでもらっているんですよ。

さっぱりしたしょうっ子

さっぱりした<ruby>気<rt>き</rt></ruby><ruby>性<rt>しょう</rt></ruby>の<ruby>江<rt>え</rt></ruby><ruby>戸<rt>ど</rt></ruby>っ子

わたしは東京の下町生まれです。小さいころはものすごく活発な子どもで,放課後はずっと外で遊んでいましたね。友だちの家がさんだったのですが,「おばちゃん,わたしにもやらせて」と店番のごとをするのが好きでした。もしかしたらそれが今のせっきゃく好きな自分の原点なのかもしれません。実家も漢方薬をあつかうお店だったので,中学生のころには店の手伝いもやっていました。そう考えると,ずっとせっきゃくぎょうたずさわっている人生ですね。
学生時代は,勉強はあまり得意ではなかったのですが,クラスの人気者でした。だれにでもものごとをはっきり言う,さっぱりしたせいかくだったからかもしれません。学級委員やげきの主役をまかされることも多かったです。中学・高校と女子校だったのですが,よくこうはいから花束をもらったり,「いっしょに帰らせてください」なんて言われたりしていました。さっぱりした,っ子っぽいせいかくは今でも変わっていませんね。自分で言うのはずかしいですが,今でもじゅうぎょういんのみんなからしたってもらったり,お客さまから引き立ててもらえるのは,こういうせいかくのせいかもしれません。

なやむ前に行動してみよう!

<ruby>悩<rt>なや</rt></ruby>む前に行動してみよう!

みなさんはこの先,しょうらいについてなやむことがあるかもしれません。わたしからアドバイスするとすれば,まず行動すること。なやむ前に行動してみてください。わたしは勉強や本を読むことは得意ではありませんが,ここまでやってこられたのは,自分で行動してけいけんしたことをかてにしてきたからかな,と思うんです。だからみなさんもどんどん行動して,いろいろなけいけんを積んでほしいと思います。
あとはかんしゃの気持ちをわすれないこと。そうすれば必ずその気持ちは通じると,わたしは信じています。働くうえでも,みんながおたがいへのかんしゃの気持ちをわすれないのが,楽しく働くコツです。うちで働いているじゅうぎょういんは,お客さまのことはもちろん,いっしょに働く相手のこともよく考えてくれていて,わたしが重いものを持とうとすると「ねえさん,おれが持つよ」と代わりに持ってくれたりします。そんな小さな心づかいが,楽しく働けることにつながっています。みなさんも,周りの人への気づかいをわすれないようにしてください。

  • 取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫