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東京都に関連のある仕事人
1975年 生まれ 出身地 東京都
相馬そうま 忠男ただお
子供の頃の夢: 電気配線工事業者
クラブ活動(中学校): 陸上部
仕事内容
作りを通じて、お客さまが気持ちを伝えるお手伝いをする。
自己紹介
こうしんおうせいで、人とちがったことをするのが好きなせいかくです。失敗したときの立ち直りは早く、オンオフのえもとく。オフは南の島でのんびりしたいタイプです。
出身大学・専門学校
東京デザイナー学院 CG科

※このページに書いてある内容は取材日(2023年09月05日)時点のものです

を売るだけでなく、メッセージをせて気持ちを伝える

お菓子を売るだけでなく、メッセージを載せて気持ちを伝える

わたしは、東京都あらかわにある「かぶしきがいしゃPRESENTs(プレゼンツ)」という会社の社長をつとめています。当社はおかくせいぞうはんばいを行う会社で、「をかしらくいち」というブランドをてんかいし、自分たちで考案し、作ったおをお客さまにおとどけするのがメインの事業です。社員は3名で、ほかにパートで働いている人たちもいます。げんざい、自社のおせいぞう工場前にあるてんのほか、JR日暮里にっぽりえきこうないてんでおはんばいしています。また、百貨店のフェアやイベントへの出店なども行い、商品の知名度向上にも取り組んできました。
ただし、わたしたちが一番げたいことは、単におを作って売ることだけではありません。おを通じて、多くの人を幸せにできるような仕組みやけをつくすことが、わたしたちの最終目的です。たとえば、メッセージ入りのパッケージや、メッセージカードがめるようなパッケージなど、ぞうとう用をしきしたパッケージデザインにもこだわっています。お客さまがおを通じて自分の気持ちを伝えられるような商品かくを行っている点が、「をかし楽市」のとくちょうです。
お客さまにもその点はひょういただいています。自分で食べるおとしてはもちろん、年末年始のあいさつ時や、バレンタインデーやホワイトデー、会社でのどうあいさつ時にわたすおとして選んでいただけることが多くあります。これまで、いろいろな種類のメッセージ入りパッケージを作ってきたこともあり、お客さまがおえて自分の気持ちを伝えるタイミングがだんだんとわかってきたところです。これからもお作りを通じて、お客さまがだれかに気持ちを伝えるさいのお手伝いができればいいなと思っています。

こうこくがいしゃのグラフィックデザイナーをて、おブランドうんえいの道へ

広告会社のグラフィックデザイナーを経て、お菓子ブランド運営の道へ

せいぞうはんばいにとどまらないおブランドを目指すことになったわたしですが、そこにいたるまでにはいろいろなことがありました。
わたしは最初、こうこく会社でグラフィックデザイナーとして働いていました。そこでは、だれもが知っているようなだいぎょうの商品をせんでんするこうこくやポスターを作るなど、いろいろなけいけんを積みました。デザインを仕事にすることがわたしゆめでもあったので、もちろん楽しくやりがいもありましたが、だいに一つの商品をせんでんするだけでなく、もっとぎょうって、一からぎょうや商品のイメージを作り上げる、ブランド作りのお手伝いがしたいと思うようになったんです。それで、こうこく会社をめて、デザイナーとしてどくりつすることに決めました。
会社を立ち上げた当初は、わたし自身が食べたり飲んだりすることが好きだったので、飲食関係のぎょうのブランド作りにたずさわりたいと思っていました。とはいえ、何もじっせきがなければ仕事のらいも来ないだろうということで、まずは自分でサンプルとなるおブランドを作って、「わたしたちはこんなブランドが作れますよ」というアピールをすることにしたんです。ところが、じっさいにゼロからブランドを作ってみると思ったよりも大変で、特に、一からブランドを立ち上げようとしているようなスタートアップぎょう(=今までにない新しいビジネスモデルを生み出し成長するぎょう)では、とても外の会社に仕事をらいするきんせんてきゆうはないだろうなということがわかりました。つまり、スタートアップぎょうのブランド作りをお手伝いするだけでは、仕事のらいがなく、会社を続けていくことはむずかしいかもしれない。会社を続けるためには、何か新しいことを考えなければいけません。それなら、サンプルとして作ったブランドを自分たちでうんえいしていくほうしんえようと思い、たどり着いたのが今の「をかし楽市」というおのブランドなんです。

せいぞうかく、デザインからろうそうまで、一人何役もこなす

製造、企画、デザインから労務や総務まで、一人何役もこなす

何のしきもないところからおのブランドを立ち上げたので、最初のころはおの作り方はもちろん、売るためのしきなどを身につけるのにあくせんとうの日々でした。当社のメイン商品は「あられ」なのですが、いっしょに会社を立ち上げた社員と2人でいろいろな味つけをためしながら「この味とこの味を組み合わせたらおいしいかも」とこうさくかえしたことを今でも覚えています。お作りも、当初はわたししかできなかったのですが、今はいっしょにやってくれるじゅうぎょういんえ、ときにはわたしが作ることもありますが、ほんてきにはまかせられるようになってきました。
小さい会社なので、社長といえどもけいえいだけに集中するわけにはいきません。新しいおかくや味の決定は、わたしたんとうしています。たとえば、当社のメイン商品は「あられ」だとお伝えしましたが、夏場の暑い時期にはもう少し冷たくさっぱりとしたおが食べたくなりますよね。ブランドをうんえいしていくうえでは、夏場向けのラインナップがないことが弱い部分でもあったので、今年(2023年)は、水ようかんを取り入れることにしてみました。ただの水ようかんを売るだけではオリジナリティがなくなってしまうので、「をかし楽市」のブランドに当てはめるとどういう形になるんだろうと考えるところからスタートし、結果として、「水ようかんの上にあられをかけて食べる」形の商品を発売することができました。
そのほかに、商品パッケージのデザインや食材・ざいの仕入れ先とのれんらく・調整、商品をはんばいするウェブサイトのうんえい・注文たいおうわたし以外のスタッフと協力しながらたんとうしています。商品をはんばいするウェブサイトはコロナを機に始めたところなので、まだまだわからないことばかりで、こうしたサイトのうんえいに役立つセミナーをじゅこうし、勉強することもわたしの仕事の一つです。また最近は、SNSのうんえいにも力を入れていて、商品のPRぞうを作成したり、てんじょうほうを発信したりと、プロモーション活動も行っています。さらに、給料の計算やスタッフのきん時間のかくにんといったけいろうの仕事から、社内のせつにトラブルがあったときにしゅうたいおうをするそうの仕事まで何役もこなしています。みなさんがそうぞうするようなだいぎょうの社長とは、だいぶイメージがちがうかもしれませんね。

お客さまのよろこびの声をちょくせつ聞けることが、一番のやりがい

お客さまの喜びの声を直接聞けることが、一番のやりがい

仕事をする中でむずかしいと感じているのは、「せいかいがわからない」ということです。これは、もしかしたらどの仕事にも言えることかもしれません。今、自分が取り組んでいることが、本当にお客さまのためになっているのか、本当に自分が求めるものに100%つながっているのか、というのはつねなやんでいます。
社長という立場でいうと、自分がくじけてしまうと、会社がくじけてしまうところが一番大変です。もちろんわたしも人間なので、むこともあれば弱音をくこともあります。ですが、本当の意味でのギブアップはぜったいにできない。そのせきにんの重さは日々感じています。
一方で、自分で作ったおを、お客さまが目の前で買ってくださるよろこびは何物にも代えがたいと感じています。「おいしかったから、また買いに来たよ」というお客さまの言葉を聞くと、すべての苦労もぶほどです。自分のやっていることがせいかいなのかわからないという話をしましたが、自分がなやみながら世に送り出したものをお客さまが受け入れてくれて、それを周りの人にすすめてくれて、どんどん伝わって、広がっていくのを見ると、自分はちがっていなかったんだと安心するとともに、すごくありがたみを感じます。仕事によっては、じっさいに商品を手にとってくれるお客さまのはんのうを見られない場合もあるかと思いますが、わたしの場合は、お客さまとちょくせつコミュニケーションができる仕事がしたかったこともありますし、自分が作ったものをそのままちょくせつお客さまが手に取ってくれるサービスを作り上げたかったので、その成果を実感できることが何よりのやりがいです。

自分たちにしかできないことを考え続けることが大事

自分たちにしかできないことを考え続けることが大事

わたしが仕事をするうえで一番大切にしているのは、自分たちにしかできないことをつねに考え続けることです。世の中にはたくさん成功している会社があって、そのやり方を参考にすれば、あるてい近道になるとは思います。ですが、まったく同じことをするだけでは、当然その会社以上の成功をすることはありませんよね。
自分一人だけで考えていてもげんかいがあるので、なるべくだれかに話を聞いてもらうようにもしています。というのも、相手と対話していると、自分が考えている以上のことを引き出してもらえる気がするんです。また、けっこういいアイデアを話していても、自分では気づけていないこともあります。そんなとき、自分以外のだれかに「今の話すごくいいね」とてきしてもらえると、そこから新たな商品かくにつながることもあります。これは、いっしょに仕事をしてくれる仲間がいることのの一つかなと思っています。
そして、自分たちにしかできないことを考え、つくすときに、果たして自分たちが楽しいのか、ということもしきするようにしています。仕事は楽なことばかりではないので、やっぱり自分たちが楽しくないとどうしても続かないんです。ただし、自分たちの楽しさだけが先行してしまって、お客さまのことを置き去りにしてしまってもよくありません。お客さまにも楽しさをていきょうできて、かつ自分たちも楽しいという、そのバランスをうまくたもちながら取り組むようにしています。

何かを一から作り出すことが好きだった子ども時代

何かを一から作り出すことが好きだった子ども時代

わたしは子どものころ、何かを一から考えて作り出すことが好きで、学校のじゅぎょうでも図工が一番好きでした。そんな大好きだった図工のじゅぎょうで、一つおくに残っていることがあります。小学校2年生のころに写生会があり、学校のいくしつにいるニワトリやウサギをく機会がありました。わたしはウサギをくことに決め、白いウサギだったので、白い絵の具でき、けっこううまくけたなと満足していたんです。そんな中、同じクラスだった女の子がチャボ(ニワトリの一種)をいていました。わたしにはどうしても茶色にしか見えなかったのですが、その子はオレンジ色の絵の具を使っていていて、先生がそれを見たときに、「らしい」とめていたんです。その言葉を聞いて、わたしも白い絵の具でいていたウサギの右半分をオレンジ色でって先生に見せたら、まったくめてもらえませんでした。だれかのをしても成功しない、自分にしかできないことを考えないといけないということは、実はそのときに学んだのかもしれません。

次の10年は、モノだけでなく、体験をふくめてお客さまにおとどけしていきたい

次の10年は、モノだけでなく、体験を含めてお客さまにお届けしていきたい

会社を立ち上げてから10年がぎましたが、コロナで、世の中のじょうきょうがある日とつぜんひっくり返ってしまうことをけいけんしました。それでなくても、今はものすごいスピードで世の中が変わり続ける時代です。昨日までやっていたことをそのまま続けているだけではだめなのだということを身にみて実感しています。
今までの10年は、「をかし楽市」というブランドを作り、そこでおを売ってきました。人をよろこばせたり、人の気持ちを伝えるお手伝いをしたりすることを目標にすすんできましたが、じっせきもついてきて、自分たちの目指す方向はちがっていなかったのだとにんしきすることができました。次の10年を考えると、日本人の人口はげんしょうしていく、つまりおを買ってくださる日本人の数はどんどんっていってしまいます。そうなったときに、これからの新しい日本の形でもあると思いますが、外国の方をターゲットにした何か新しいことを考えていく必要があるのではないかと考えています。また、国内のお客さまに対しても、「お作りを通して気持ちを伝えるお手伝いをする」からもう一歩進んで、おを通して、お客さまに何か新しい体験をしてもらえるようなサービスを考え始めているところです。ですが、何年っても、お客さまとちょくせつうという部分は変わらずにいきたいですね。

自分の中の引き出しをやしておくと、せんたくが広がる

自分の中の引き出しを増やしておくと、選択肢が広がる

みなさんの中には、10年先、20年先をえて行動できる人もいらっしゃると思います。もしすでしょうらいやりたいことが決まっているのであれば、ぜひそのまますすんでほしいと思っています。ですが、わたしもそうだったように、しょうらい何になりたいのか、まだわからない人もいるはずです。それでも全然あせる必要はありません。
大人になった今、一つだけお伝えしたいのは、いろいろなものにアンテナをって、体験して、自分の中にちくせきしておいてほしいということです。少しでもきょうがあることは、とにかく広く見ておいてください。「このしょくぎょうきたいから、これは必要ない」と思わずに、その時点で身につけられるじゅつは何でもきゅうしゅうしておくといいと思います。今の時代、気になることがあれば調べられるしゅだんが多くあるので、そういったものをフル活用して調べてみてほしいです。身につけてだったと思ったことは一つもありません。いつかは、どの仕事にくのか、けつだんせまられるときがやってくると思います。そのときに、いろいろなけいけんを持っておくと、せんたくや考え方のはばが広がるはずですよ。

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取材・原稿作成:楳園 麻美(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫