仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1986年 生まれ 出身地 愛媛県
大久保おおくぼ 憲一けんいち
子供の頃の夢: グラウンドキーパー
クラブ活動(中学校): サッカー部
仕事内容
こうりつよく「ちゃく」ができるようなそうを作る。
自己紹介
おしゃべりが好きで,うらおもてのないせいかくです。声が大きく,短気なところもあって,気がついたことにはすぐに意見を言うタイプです。休日は仕事をわすれて,サッカーやゴルフなどを楽しんでいます。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2019年01月25日)時点のものです

を使って,世の中の役に立つ

磁気を使って,世の中の役に立つ

わたしは,東京都北区にある「電子工業かぶしきがいしゃ」という機械メーカーで働いています。会社では,しゃくの持っているのうを使って世の中の役に立つための機械やそうを作っています。いずれも工場で使われるもので,大きく分けて3種類のせいひんがあります。「かいけん機器」「ちゃくそう」「かいそくていひょう機器」の3つです。
かいけん機器」は,を使って,調べたいきんぞくの表面にきずがあるかどうかを調べるけんそうです。調べたいものにきずをつけたりぶんかいしたりせずに調べるけんを「かいけん」と言い,しゃくがくっつく種類のざいしつのものであれば,を使えばそれがのうです。
調べたいせいひんや部品に,一時的にりょくを帯びさせて,りょくを帯びた細かな粉「ふん」をけます。調べたいものの表面にきずがあると,きずのまわりだけ,ふんが他とちがったふうにならびます。それがあらわれるかどうかを目で見て調べることで,きずがあるかどうかがわかります。
例えば,しんかんせんの車両をつなぐ連結器や,車輪,ブレーキ,台車などの部品,自動車のハンドルやエンジンなどの部品,飛行機のエンジンやタービンの部品などのけんにこのじゅつが使われています。もしその部品にきずがあってれてしまうと,大ごとになるものばかりですから,けんはとても大事です。けんしたいものに合わせたそうを当社で作り,そうあつかかたを伝えて,のうひん先の会社でけんをしてもらっています。

せいひんの部品として使うしゃくに,強いをつけるためのそうを作る

製品の部品として使う磁石に,強い磁気をつけるための装置を作る

わたしの会社で作っている2種類目のせいひんそうは,さまざまな機械や電化せいひんの部品として使われるしゃくに,強いりょくをつけるための「ちゃくそう」です。また,必要のなくなったしゃくりょくを取る「だつ」のための機械も作っています。
しゃくは,N極とS極が引き合ったり,N極どうしやS極どうしが反発したりするせいしつがあります。また,鉄などのきんぞくきゅうちゃくしたり,光のはんしゃかくを変化させたりするなどのせいしつもあります。そのようなしゃくせいしつを利用して,モーターを動かしたりするための部品などに使われています。
しゃくの材料にりょくをつけることを「ちゃく」といいますが,それには,しゃくの材料に一気に高電圧を流す「ちゃくでんげん」と,りょくをコントロールする「ちゃくヨーク・コイル」といった機械が必要です。こうしたちゃくのための機械・そうを作って単品ではんばいしたり,らいのあったメーカーの工場に合わせてオーダーメイドで作ったりしています。
わたしはエンジニア(じゅつしゃ)として,らいをいただいたメーカーの工場やせいひんに合ったちゃくができるそうを開発しています。しんかんせんや飛行機,自動車やせんたく,エアコンといった大きなものから,パソコン,けいたい電話,ネックレスや,かたなど体のこった場所にりょうといった小さなものまで,さまざまなせいひんのメーカーがちゃくそうを必要としています。
わたしの会社で作っている3種類目の「かいそくていひょう機器」は,りょくはかる機械や,りょくおうようしたけんなどです。しゃくや部品に必要なりょくそなわっているかどうかを調べることで,せいひんや機械のしょう,不具合を未然にふせぎます。わたしは,りょくを使った新しい機械の開発もたんとうしています。

エンジニアにとどまらずはばひろく仕事をこなす

エンジニアにとどまらず幅広く仕事をこなす

ちゃくそうは,多くの場合オーダーメイドで作ってメーカーにおさめます。たとえば自動車のブレーキシステムに使うちゃくそうでも,メーカーがちがえば,全然ちがったものになります。そのため,お客さまの要望を細かく聞いて,それに見合うさいてきそうを一つ一つ開発していきます。
ある会社かららいが来たら,まずはえいぎょうしょくまどぐちとなりますが,じゅつてきなことではんだんができないことがあれば,わたしたちじゅつしょくが出ていって,お客さまとしっかり話し合いをし,「わたしたちの会社でできるかどうか」のはんだんをします。仕事を受けられそうな場合は,予算をえいぎょうしょくていして,けいやくを進めてもらいます。それからそうの部品を何にするか,中の配線をどうするかなどを決めて,そうの図面をき,作業を進めるじゅんじょを決めて,協力をお願いしているいくつかの会社にそれぞれ,のうきんがくを伝えてそうの部分的なせいさくらいします。最後には,うちの会社で,でき上がったものがちゃんとできているかどうかのけんをして,お客さまにのうひんします。
いっぱんてきには,エンジニアがお客さまのところに出向いたり予算を考えたりすることはあまりないかもしれませんが,わたしたちの会社のじゅつしゃは,各部署の仕事を一通りけいけんすることで,じゅつしゃにとどまらないはばひろしききゅうしゅうし,それを仕事に生かしています。

上司として周囲にみとめてもらうことも大切

上司として周囲に認めてもらうことも大切

わたしせいぞうでは一番年下ですが,係長というやくしょくについています。つまり,部下はみんなわたしより年上です。エンジニアとして自分の仕事もやりながら,せいぞう全体やエンジニア一人一人の仕事の進み具合などをあくして,てきせつをしないといけません。
いくら自分が上司であっても,自分がやることをやっていないと,周りはみとめてくれません。ぎゃくに,やることをやった人が何かを言うと,それは「命令」や「もん」ではなく,「意見」になります。「もん」と思われずに「意見」として聞いてもらうためには,まずは自分がもんを言わずに,決められたことをしっかりやることが大事です。
しょないでは,日ごろからじょうだんを言い合うなど,コミュニケーションをきちんととることを心がけています。最初は気まずくて,気をつかうばかりでじょうだんなど言えませんでした。しかしこうしてばかりはいられないと,ちゅうれて,自分からよく声をかけるようになったんです。

お客さまからのしんらいかんしゃの言葉でつかれも

お客さまからの信頼や感謝の言葉で疲れも吹き飛ぶ

仕事はオーダーメイドであることが多いので,お客さまとのやりとりは欠かせません。お客さまに信用していただけることも多く,先方のたんとうしゃと対等に仕事をさせていただいているなと感じるときは,うれしく思います。
ある自動車メーカーとの取引で,こんなことがありました。自動車メーカーからそうせいさくらいされたのですが,メーカーのたんとうしゃわたしが当初考えていたよりじゅつてきむずかしく,そうのうに間に合いませんでした。そのようなときには,お客さまであるたんとうしゃからもんを言われてもおかしくないのですが,このたんとうしゃは,じっとがまんして待ってくれたんです。わたしにとってもきついじょうきょうでしたが,たんとうしゃの心意気にこちらもがんばってこたえようと努力し,その結果,とてもよいそうができて,最後にはたんとうしゃと喜び合うことができました。
このときのように,苦労した仕事が終わって,最後にたんとうしゃに「ありがとうございました」「助かりました」と言われたときは,ほんとうにうれしく思います。

えいぎょうからせいぞうに方向てんかんして今の会社に出会う

営業から製造に方向転換して今の会社に出会う

わたしが大学3~4年生でしゅうしょく活動を始めたころは,じゅつしょくではなく,えいぎょうしょくこうと思っていました。わたしが大学で学んだのは化学でしたが,そのしきを生かして,薬品おろしがいしゃえいぎょうしょくこうと思っていて,じっさい,内定もいくつかもらっていました。
ところが,その後,その仕事について見聞きするうちに,自分には向いていないのではないかと思い,一度,しゅうしょく活動をやめてしまいました。すると,心配した大学のしゅうしょくえんしつから電話がかかってきて,相談に乗ってくれました。えいぎょうしょくきょうを失っていたわたしは,その代わりに「ものづくり」がしたい,と話したのです。そこで今の会社をしょうかいされて会社説明会に出向き,当時はそう部長だった今の社長に声をかけてもらって,入社することになりました。
工学のしきはほぼないまま入社しましたが,やってみないとわからないもので,今の仕事はしょうに合っていました。わからないことばかりの仕事でしたが,ありがたいことに,せんぱいたちが時間をかけてていねいに教えてくれました。かいが進んでできることがえていくと,仕事もだんだんおもしろくなり,今にいたっています。

子どものころから活発だった

子どものころから活発だった

大人になって,しょくではしっかり者で通っているわたしですが,子どものころは,よく言えば活発,悪く言えば悪ガキでした。小学生のときから高校生まではサッカーを続けていたのですが,わたしや周囲の仲間は,市内のせんばつチームのじょうれんでした。そんなサッカー仲間や近所の子どもたちが高校までいっしょにいるようないきでしたので,サッカーのはんていめぐって言い争うなど,なっとくのいかないことがあれば全力でそれを相手にぶつけ,相手もそれを全力でかえすので,けんになることもしょっちゅうでした。それでも全力でけんをしたあとは,おたがいのわだかまりは消えて,高校を卒業するまでみんなと明るく楽しくごしました。
また,実家が本屋だったので,お客さまにはよくかわいがってもらいました。ねんれいせいべつに関係なく,いろいろな人とよくしゃべっていました。そうした子どものころからの周囲とのやりとり,いきのおおらかさなどがあって,今のわたしの「おしゃべりが好きでうらおもてがない」せいかくが作られたように思います。そしてこのせいかくは,お客さまときちんとコミュニケーションを取る上でも役に立っていると思います。

人にも物事にも,全力で向き合えば道は開ける

人にも物事にも,全力で向き合えば道は開ける

いっしょうけんめいになったけいけんや,好きなものをとことんめたけいけんがあると,それが役に立ったり,自分のささえになったりすることがあると思います。例えば,わたしは高校卒業までサッカーを続けてきましたが,サッカー選手になろうとは思っていませんでした。それでも,子どものころからずっと続けてきたことが一つあるだけで,「自分はこの分野にはくわしい,少しはものが言える」という自信がつきます。また,地元の友だちと,けんも辞さないほど全力でぶつかって仲良くなってきたけいけんから,こんなんなことがあっても,物事や人に対して全力でたいおうしていると,いつかどこかにとっこうが見えてくるものだと思っています。
好きなものはとことんめ,何にでもチャレンジしてみてください。やってみてダメでも,それもいいけいけんになります。また,いやだと思うことでもやれるならやったほうがいいし,やりたくない,やらない理由がはっきりしている場合は,やらないこともいいことだと思います。何となくやりたくないからやらない,というのが一番よくないので,そういうことをきちんとめて考えるくせをつけてみてください。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫