仕事人

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神奈川県に関連のある仕事人
1998年 生まれ 出身地 広島県
島村しまむら 柚香ゆか
子供の頃の夢: 科学者
クラブ活動(中学校): 吹奏楽部
仕事内容
リニア中央しんかんせんの開業を目指して、いろいろな人たちと協力しながら工事を安全に進める。
自己紹介
目標を立ててコツコツ努力するせいかくです。最近は旅行した場所のお気に入りの風景をすいさいで上手にけるよう、仕事に行く前や仕事終わりのスキマ時間に練習しています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年06月19日)時点のものです

リニア中央しんかんせんの新しい駅をつくるだい工事をたんとう

リニア中央新幹線の新しい駅をつくる大規模工事を担当

わたしは、JR東海の土木たんとうとして、東京――大阪間を結ぶリニア中央しんかんせんの中間駅「神奈川県駅」(しょう。以下同じ)のこう管理をたんとうしています。こうというのはじっさいの工事を行うことですが、けんせつ工事は、せっけいをもとに、こうたんとうするこう会社が中心となって、さまざまなこう方法を用いて進めていきます。工事がきちんと計画通りに進むように管理をし、こう方法がてきせつかをはんだんするのが、わたしの仕事です。そのために、周辺いきの住民の方々やぎょうせいこうがいしゃ、社内といった関係各所と日々、調整・かくにんしながら、工事を進めています。
神奈川県駅は、神奈川県相模さがみはらの橋本駅前にけんせつ中で、リニア中央しんかんせんの中間駅でゆいいつ、地下につくられる駅です。2019年から駅をつくるためのじゅん工事を進めており、げんざい(2023年6月時点)、だいな地面のくっさくを行っています。工事をこうりつてきに進めるために、くっさくするエリアの広さやしつや地下水位などのとくちょうに合わせてくっさくの方法も変えています。こう方法によって、使用する重機や作業で注意すべき点がことなるので、ちがいがないように注意しながら、日々のこう管理をしています。

安全を第一に、工事を進めるための計画を考える

安全を第一に、工事を進めるための計画を考える

こう管理の仕事は大きく3つに分かれます。「安全管理」、「こうてい管理」、「ひんしつ管理」です。
まずは「安全管理」です。こうがいしゃからていしゅつされた工事計画をもとに、いき住民の方々や通行人の方々、交通車両などの安全がきちんと守られ、ほうりつや決められたルールに沿った計画になっているかをかくにんします。例えば、道路や線路の近くでクレーンを使用し荷物をげてせんかいさせるときに、歩行者や線路の安全がかくされているのか、決められたルールを守り計画されているのか、といったことをかくにんします。特に神奈川県駅の工事げんは、じゅうたくや交通量の多い道路、電車の線路が近くにあるため注意すべき点が多く、計画のけんとうに時間がかかることもあります。
次に「こうてい管理」です。工事は、あらかじめ決めた工事期間内に完成させる必要があるため、スケジュール通りに作業が進んでいるか、毎日、かくにんしながら進めています。でも、天候が悪くて作業が進まなかったり、っているときに思わぬものがまっているのに出くわしたりすると、工事がおくれてしまうこともあります。その場合はこうていを見直して、作業の順番をえたり、使う機械を変えたりして、スケジュールに間に合うように調整します。このときにおくれをもどそうと、あんぜんせいに欠けた計画になっていないかをかくにんすることは、JR東海のたんとうしゃとしてとても大切なことです。
最後に「ひんしつ管理」です。工事げんに行って、こうぞうぶつせっけいや決められたじゅん通りにつくられているかをかくにんします。例えば、駅の土台に使われるコンクリートの中に入るてっきんが、せっけい通りのすんぽうや数量になっているかなどを、げんけいそくしてかくにんします。地下をるときには、周りの土がくずれてこないように、「こう」とばれるせつこうざいささえを入れて工事を進めていますが、こうに不具合が出ると、周辺ばんにもえいきょうするので、工事中はつねけいそくして、問題ないかかくにんする必要があります。また、万が一、周辺へのえいきょうが出た場合に気づけるように、くっさくしている期間は、ばんちんしていないか、定期的にけいそく結果をかくにんします。今後は駅のこうぞうぶつの工事にうつっていきますが、リニア中央しんかんせんにはレールはなく、どうの側面にでんしゃくコイルの入った「ガイドウェイ」がかれるなど、これまでの鉄道とことなるせっけい方法でつくられます。ひんしつを管理するにはせっけいのこともかいしないといけないので、せっけいたんとうせんぱいがたともれんけいして進めていきます。

工事げんの中にも外にも目を向け、説明するせきにん

工事現場の中にも外にも目を向け、説明する責任

神奈川県駅のけんせつ工事は、10ヘクタールにおよぶ神奈川県立相原高等学校のあとを中心に行っています。とにかく広大なげんで何種類もの工事を同時に行っているため、日々、じょうきょうが変わる中で安全管理やこうてい管理を行う必要があります。リアルタイムでげんじょうきょうをよく分かっていないと計画のへんこうにもきちんとたいおうできないため、週に数回はげんに足を運び、こうがいしゃの方といっしょじょうきょうかくにんするようにしています。
また、けんせつ作業には周辺いきの住民の方々やぎょうせいこうがいしゃ、社内と、本当に多くの人が関わっているため、それぞれの意見を受け止め、ほうこうせいを調整しながら仕事を進めることも必要です。工事を管理する立場として、問題やもんてんがあればこうがいしゃてきすることもありますし、げんの中だけでなく周辺いきへのえいきょうにも目を配り、必要におうじてじょうきょうを説明しなければいけません。例えば、住民の方や自治体に説明している工事ないようへんこうがあった場合、どのように分かりやすく説明すればみなさんになっとくしていただけるかということも考えます。
関係各所と協議するさい、相手になっとくしてもらうためには、自分の中できちんとじょうきょうを整理し、かみくだいた言葉で分かりやすく伝えることが大切です。自分なりに整理して分かりやすく説明できるよう、いつも努力しています。

げんでのやり取りを通して、コミュニケーションの取り方を一から学んだ

現場でのやり取りを通して、コミュニケーションの取り方を一から学んだ

こうがいしゃなど関係各所とのコミュニケーションでわたしが大切にしているのは、げんを見て話すことです。最近はチャットや電話でやり取りすることもえましたが、じっさいげんを見て話さないと気づかないことが多いからです。図面では通行人がどうするためのスペースが十分あるように見えても、げんで見てみるときょが足りないことに気づいた、といったこともありました。
わたしは入社1年目から神奈川県駅の工事に関わっており、今年で6年目になりますが、コミュニケーションの取り方は、げんでのけいけんを通して自分なりに学んできました。最初のころはこうがいしゃにどのように問題やもんてんてきすればいいかも分からず、げんじょうきょうも知らないでお願いしたら「そんなこと、できるわけないよ!」とおこられたこともありました。それからはただお願いするのではなく、げんじょうきょうかくにんし、問題やもんてんをなぜ感じたか考えて伝えることをしきしています。
また、工事を計画通りに進めるためには、スピード感をもって仕事することも大事です。作業時間が少しずれただけでも、かんたんに1か月のおくれが生じてしまいます。だから自分のところで作業を止めないように、自分がかくにんするものやはんだんするものはすぐにかくにんはんだんを行い、分からないことがあればすぐに上司やせんぱいに相談するようにしています。

大がかりな作業が無事に終わったときに感じる、この仕事のやりがい

大がかりな作業が無事に終わったときに感じる、この仕事のやりがい

大がかりな作業が安全にかんりょうしたときには、やりがいを感じます。「かりめ」(ばんくずれないように地中につくるかりかべ)をつくる作業では3、4か月の間、周辺のマンションの近くで工事をしたので、で終えることができるよう、毎日ドキドキしながらごしていました。また、もともと道路がある場所で工事を行うために、道路をえて通行人の方々のためのかりの道路を新たにつくったときも、通行人の方々とのきょが近いところでの作業だったので、とてもきんちょうしました。このような大がかりな作業が無事に終わったしゅんかんは本当に安心しますし、リニア中央しんかんせんの工事が着実に前進していることを実感します。
約3年半続いたじゅん工事は2023年中に一部終わり、その後いよいよ駅のメインとなるこうぞうぶつをつくる工事が始まる予定です。わたしこうぞうぶつの工事に関わるのはこれが人生初で、とても楽しみですし、よりいっそう、気合いが入ります。

小さなせいぶつへのきょうから一転、大きなこうぞうぶつおもしろさに気づく

小さな微生物への興味から一転、大きな構造物の面白さに気づく

わたしが土木分野にきょうを持ち始めたのは、高等せんもん学校(以下、こうせん)への入学がきっかけでした。こうせんでは、こうぞうぶつけんせつだけでなく、かんきょう問題をかいけつするためのじゅつ研究なども勉強します。 わたしはもともと、かんきょう問題に役立つせいぶつの研究がしたくてこうせんに入学したのですが、土木の勉強をしていくうちに、こうぞうぶつのほうにきょうが向いていきました。わたしかれたのは、だん何気なく目にしたり利用したりしているこうぞうぶつが、実はすごくみつに計算されてつくられているところです。例えばきょだいな東京スカイツリーがしんなどに負けずたおれないためにはどのようなこうぞうになっているのかなど、土木を勉強していくとどんどん分かるようになっていくのが楽しかったです。
学生のころはまだ鉄道の仕事にきょうがありませんでしたが、インターンシップで鉄道会社の仕事を体験したときに、土木が鉄道のけんせつに深く関わっていることを知り、鉄道の仕事にきょうを持ち始めました。それからいろいろな会社を調べる中で、リニア中央しんかんせんの計画を知り、東京――大阪という日本の主要都市を結ぶ仕事にぜひ自分が勉強したことを生かしたいと思って、JR東海への入社を決めました。

パズルやプラモデル作りにちゅうになった子ども時代

パズルやプラモデル作りに夢中になった子ども時代

子どものころは図工のじゅぎょうが好きで、じゅぎょうの課題を家に持ち帰って作るほどでした。休日にはよくだんボールで工作したり、パズルやプラモデルを作ったりするなど、とにかくものづくりが大好きでした。しかし手先が不器用だったこともあり、たくさん失敗もしました。プラモデルに色をるとき黒色の上にほかの色がうまく乗らなかったり、そうぞうしたものと全然ちがうものができあがったり……。でも自分がそうぞうしたものに近づけるために、何度もトライすることをあきらめませんでした。仕事でも問題にぶつかるたびに「こうしたほうがよかったかな」と思う場面がたくさんあります。つねにいいものを目指して、自分がなっとくいくまでかいぜんてんを考えるところは、子どものころのけいけんからつながっているのかなと思います。また、今までやったことのないものにチャレンジしたいというこうしんも、子どものころから変わりません。大人になった今も、きょうを持ったすいさいを新たに始めるなど、ちょうせんすることを楽しんでいます。

大変なことをえるために「自分で決めること」を大切にしてほしい

大変なことを乗り越えるために「自分で決めること」を大切にしてほしい

これからしょうらいの進路をせんたくしていくみなさんに伝えたいのは、「自分で決めること」を大切にしてほしいということです。自分なりの理由や考えを持って進学先やしゅうしょくさきなどをせんたくしていけば、大変なことやつらいことがあってもえることができるからです。わたし自身、自分がやりたい研究にちょうせんできるかんきょうや自由なふんりょくてきで、くれ工業高等せんもん学校に進むことを決めました。入学を機に親元をはなれてりょうせいかつをしたときには、ホームシックで苦しい思いもしましたが、自分で入学を決めたということがはげみになってなやみをえられたけいけんがあります。そして、中学生のときに自分で決めたことが今の仕事にもつながっているので、すごく重要なけつだんだったんだと、働きだしてから思うようになりました。今も仕事で大変だと感じたときには、最初に自分がこの道を選んだときの理由や感じていたりょくをふり返ることでがんることができています。
リニア中央しんかんせんができれば、今よりも短い時間でいろいろな場所に行けるようになり、今までは通えなかったところからでもしょくや学校に通えるようになるなど、みなさんのしょうらいせんたくが大きく広がるのではないかと思います。しょうらい、みなさんがかつやくするのをささえられるよう、なるべく早い開通を目指してがんります。

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学生のときにこの本を読んで、大変なことを乗り越えることができました。読書は苦手でしたが、この本がきっかけで本から多くのことを学べると知り、読書が好きになりました。困難に直面したときに読んでほしい一冊です。

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取材・原稿作成:掛谷 泉(Playce)・東京書籍株式会社