仕事人

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神奈川県に関連のある仕事人
1970年 生まれ 出身地 三重県
けんきゅうしゃ(りちうむいおんでんち)研究者(リチウムイオン電池)
稲垣いながき 浩貴ひろき
子供の頃の夢: モノを設計したり、作ったりする仕事
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
新しい電池の研究開発を行う
自己紹介
几帳面きちょうめん神経質しんけいしつ(?)。土日のうち1日はバスケットボールでストレス発散。趣味しゅみ映画えいが鑑賞かんしょう。気分転換てんかん美術館びじゅつかん・博物館に足を運んでボーっとしたりもします。

※このページに書いてある内容は取材日(2009年06月24日)時点のものです

新型の電池を開発する

新型の電池を開発する

わたし株式会社かぶしきがいしゃ東芝とうしばの研究開発センターで研究開発の仕事をしています。このセンターでは,通信,機械,エネルギーや環境かんきょうなど様々さまざまな分野で研究開発をしていて,開発された技術ぎじゅつは,半導体はんどうたいや家電など,製品せいひん開発を担当たんとうする東芝とうしばの各部門に伝えられ,新しい製品せいひんの開発に活かされます。センターには約1000人の研究者がいて,研究分野ごとに分かれて研究開発をしています。わたしは新型の電池を開発するチームに所属しょぞくしていて,自分自身で実験をするだけではなく,チームのサブリーダーとして後輩こうはい指導しどう担当たんとうしています。

1分で充電じゅうでんできる電池

1分で充電できる電池

他の会社よりもすぐれた製品せいひんを生み出すためには,「製品せいひん性能せいのうを強化する」,「今までにない機能きのうを持った製品せいひんを作る」といったことが必要です。ですから,チームごとに「○年○月までに○○を実現じつげんする」という具体的な目標が決まっています。わたしたちは電池の研究開発をするチームですので,「1分で充電じゅうでんできる」「1000回充電じゅうでんしても使える」というような目標になります。それらの目標を達成するための仮説かせつを立て,実験をして,その仮説かせつが合っているかをたしかめていきます。

研究者の1日

研究者の1日

わたしは毎朝7時30分ころに出社してメールの確認かくにんなどをして,8時30分ころに実験室に移動いどうします。実験室では,電池の性能せいのうを高めるための材料を考えたり,いろんな原料をぜたり反応はんのうさせたりして新しい電池の材料を作ったり,新しく作った材料で電池の試作品を作ってその性能せいのうを機械で測定そくていする,といったことをしています。お昼は食堂でご飯を食べますが,それ以外の時間は実験を続けています。13時頃じごろになると自分のつくえのある部屋にもどって論文ろんぶんを読んだり報告書ほうこくしょを書いたりします。17時頃じごろから1時間ほどふたたび実験室で実験。その後20時頃じごろまで勉強をして1日が終わります。これ以外に,平均へいきんすると1日に1時間くらい,電池の素材そざいを開発している会社の方や,実験装置そうちのメーカーの方などとの打ち合わせもあります。

る前に突然とつぜんひらめいた!

寝る前に突然ひらめいた!

チームの目標を達成しなければいけないというプレッシャーがあるので,実験でなかなか期待した成果が出ないときはつらい気持ちになることもあります。でも,「どうしたらうまくいくだろうか」と考えることが楽しいですし,考えたことが正しいかどうかを実験でたしかめられることも楽しいです。時には,夜る前になって突然「こうすればいいんだ!」とひらめくこともあります。そんな時は早く結果をたしかめたくてしかたがないので,朝一番に会社に行って実験装置そうちを動かします。実験は失敗することがほとんどですから,実験装置そうち数値すうちを見て,実験が成功だと分かった時はすごくうれしいですね。

決められたルールを守る

決められたルールを守る

わたしは仕事をする上で,決めたことは最後までやりぬく,決められたルールを守る,ということを大切にしています。チームにはチームの目標があり,その目標に対して1人1人が役割やくわりになって仕事をしています。ですから,だれか1人でも「○月○日までに行う」と約束した期限きげんやぶってしまうと,チーム全体に影響えいきょうが出てしまいます。もし,どうしてもできないのなら,あらかじめ報告ほうこくし,相談しなくてはなりません。チーム全員が目標に向かって頑張がんばっている時は,自然とチームの雰囲気ふんいきり上がってきますし,ぎゃくに気がゆるんでくると成果はなかなか出ないものです。実験には危険きけんともなうので気を引きめてルールを守ることは本当に大切なことなのです。

研究成果が製品せいひんに活かされる仕事

研究成果が製品に活かされる仕事

研究者になるには,大学卒業後も大学の研究室に残るという方法がありますが,わたしは自分の研究成果が実際じっさい製品せいひんに活かされる仕事をしたいと思いました。そう考えていたところに,大学の先輩せんぱいさそわれたこともあって,様々さまざまな分野の人材や研究設備せつびが整っている東芝とうしば就職しゅうしょくしたのです。大学では耐熱たいねつ合金の研究をしていたので,入社した当初はガスタービンやジェットエンジン等の材料の研究をしていました。その後,私自身わたしじしんが電池に興味きょうみを持ったことと,会社の組織そしき変更へんこうなどもあって,今のチームに所属しょぞくすることになりました。

手先の器用さは負けない!

手先の器用さは負けない!

わたしは子どものころから手先が器用で,小学生のころはガンダムのプラモデル作りに熱中していました。小さな部品を1つ1つ綺麗きれいれるまで何度も何度もり直して,全体を作り上げるまでに何ヶ月もの時間をけたこともありました。また,人の話を聞いたり,人の動作を見たりすることが好きで,例えば,書道の先生が字を書いている様子にぼうっと見入ってしまうようなところがありました。

自分の可能かのうせいを広げよう

自分の可能性を広げよう

研究をする時にいろいろなことを考えるのですが,その発想力や応用力おうようりょくは自分の知っている世界の中から生まれてくるものだと思います。だから,子どものころにもっともっと様々さまざま経験けいけんをしておけば良かったなと思うことがあります。子どものうちは大人よりも自由な時間がたくさんあるので,みなさんには,色々いろいろな場所に行って,色々いろいろな人の話を聞いて,色々いろいろな物を見てさわってほしいと思います。そうやって自分の可能かのうせいを広げてほしいです。「センスがない」なんてことはない。何事も経験けいけんによって変わるのです。失敗をおそれなければ,みなさんはこれから本当に何でもできると思いますよ!

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私のおすすめ本

北杜夫
子供の頃に、『どくどるマンボウシリーズ』にはまりました。よく覚えていないのですが、夢が詰まっていて、これをきっかけに本が好きになった記憶があります。

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取材・原稿作成:横浜銀行、(c)学校ネット株式会社