仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

神奈川県に関連のある仕事人
出身地 千葉県
けんきゅうしゃ(フォトレジスト)研究者(フォトレジスト)
川名かわな 大助だいすけ
子供の頃の夢: 小中学校の先生
クラブ活動(中学校): 陸上部
仕事内容
フォトレジストの研究開発を行う
自己紹介
小・中・高でサッカー、陸上、ラグビー部を経験けいけんしたスポーツマン(自称じしょう)ですが、運動不足気味です。運動して体重を減少げんしょうさせるのが目下の目標です。

※このページに書いてある内容は取材日(2013年09月10日)時点のものです

フォトレジストの研究・開発

フォトレジストの研究・開発

わたしは,東京応化おうか工業という会社で,半導体はんどうたいを作る時に使われる「フォトレジスト」という薬品の研究・開発をしています。半導体はんどうたいとは,ゲーム機や携帯けいたい電話・パソコンなどの,電化製品せいひんに入っている電気回路のことです。半導体はんどうたいを小さくすることができれば,電化製品せいひんをより小さく・軽くしたり,使う電力を少なくしたりすることができます。この小型化を実現じつげんするために必要なもののひとつがフォトレジストです。わたしは,神奈川かながわ高座こうざ郡寒川町にある事業所で,よりすぐれたフォトレジストを研究・開発する仕事をしています。また,わたしたちのお客様である半導体はんどうたいを作る会社をたずねて,どんなフォトレジストが求められているかを調査ちょうさする仕事もしています。国内だけではなく,アメリカや韓国かんこく台湾たいわんなどにもお客様がおられますので,一年のうち二カ月ほどは海外にわたり,世界でも一流と言われる技術者ぎじゅつしゃ方々かたがたと話をして,かれらが日頃ひごろどんなことを考えているのかを学んだりしているんですよ。

原因げんいんめていく仕事

原因を突き詰めていく仕事

研究・開発の仕事は,まず,お客様が求める電気回路の導線どうせんの形や細さを実現じつげんするためには,どのような成分のフォトレジストを作ればよいかを考えます。次に,考えたフォトレジストを実際じっさいに作ります。そして,作ったフォトレジストを使って目的の構造物こうぞうぶつを作り,その出来栄えを確認かくにんします。すぐに思い通りの形や細さに仕上がるわけではないので,上手くいくまで何度もこれをり返します。このり返しの中で一番時間を使うのは「考える」部分です。思い通りの形や細さにならなかった時に,「なぜそのような結果になるのか」という原因げんいんめていくのです。考えるさいには,公開されている過去かこの実験結果や論文ろんぶんなどを参考にすることが多いですが,時には普段ふだんの生活からヒントが得られることもあります。

目で見ることができない小さな世界

目で見ることができない小さな世界

日本で研究・開発の仕事をする日は,朝7時に起床きしょう,8時30分には家を出ます。9時30分に会社に到着とうちゃくしたら,海外のお客様や会社外の実験施設しせつなどから来たメールなどに返信。11時からは所属しょぞくしている5人のチームで集まって,前日の実験結果について考えたり,今日の実験の内容ないよう確認かくにんしたりします。そして午後から,実際じっさいに実験を行います。半導体はんどうたいの電気回路の導線どうせん一本一本の細さはかみの毛の1000分の1以下ですから,わずかなゴミやほこりも入らないように,実験はクリーンルームとばれる特別な部屋で行います。また,実験結果は小さすぎて肉眼にくがんでは確認かくにんできませんので,特別な装置そうち非常ひじょう高価こうかです!!)で観察を行います。こうした作業は,時に夜おそくまでおよぶこともあります。

感情かんじょうを消し去って判断はんだんする

感情を消し去って判断する

研究・開発の仕事では,「導線どうせんの形や細さが,なぜそのような形になるのか」という疑問ぎもんに対し,「これが原因げんいんだろう」という予想をして,実験でそれをたしかめます。予想とはちがう実験結果が出た場合は,自分の考えが間違まちがっており,また別の予想を立てる必要があります。しかし,「きっとこれにちがいない」と自信を持って出した予想ですから,自分が間違まちがっていたことをみとめるのは,気持ちの上でそう簡単かんたんではありません。「自分は正しいはずだ」という思いみがあると,予想の正しさをしめす実験結果ばかりに目が行ってしまい,そうではない結果を見落としてしまいがちです。そんな時には,すべての感情かんじょうを消し去って,何が正しいのかを判断はんだんするようにしています。

やはり予想は合っていた!

やはり予想は合っていた!

実験のり返しは,時には数か月におよぶこともありますので,「なぜそのような結果になるのか」という疑問ぎもんに対して,ついに納得なっとくの行く答えが確認かくにんできた時にはとても達成感があります。様々さまざまな実験データや写真をパソコンの画面上で確認かくにんし,それらが予想と一致いっちする結果だと判断はんだんできた瞬間しゅんかん,「やはり合っていた!」という喜びがき上がってきます。

速く走ることができるようになった

速く走ることができるようになった

子どものころは体が弱く,幼稚園ようちえんや小学校では,事故じこや病気で何度も入院していました。そのような事情じじょうもあり,あまり運動が得意ではなかったわたしでしたが,中学校に入った時,友人に何度も何度もさそわれて陸上部に入ることになりました。わたし長距離ちょうきょりの選手で,毎日の練習は大変でしたが,練習すればするだけタイムは確実かくじつびていきます。さそってくれた友人は全国大会で上位に入るほどの実力で,それには到底とうていおよびませんでしたが,いつの間にかわたしわたしなりに速く走れるようになっていました。最後まであきらめずにやりきれば自分を変えることができる,ということですね。

半導体はんどうたいに未来を感じて

半導体に未来を感じて

高校生のころ,単なる暗記にとどまらず,「新しいものを作り出す」「疑問ぎもんに対して答えを出す」という点に魅力みりょくを感じて理科が好きになり,大学に進学した後は化学を学びました。そして将来しょうらいの仕事を考えた時,何となく未来を感じたものが半導体はんどうたいでした。わたしは,小学生の時にファミリー・コンピュータが発売され,その後も様々さまざまな電化製品せいひん次々つぎつぎに進化していくのを見てきました。その中心となる半導体はんどうたい作りに貢献こうけんして,社会をより明るくしたい。そんな風に考えていた時,現在げんざいつとめている東京応化おうか工業から,会社の案内が来たのです。調べてみると,この分野ではとてもすぐれた製品せいひんを作っている会社であることが分かり,入社を決めました。

今日よりも明日を必ず良くする

今日よりも明日を必ず良くする

調査ちょうさの仕事で海外をたずねると,これからの時代,日本の会社は,世界の会社と競争していかなくてはならないことを感じます。一方で,世間の様々さまざまなニュースを見ていると,日本のわかい人たちは将来しょうらいがあまり良くなるとは思っていないように感じます。しかしわたしは,将来しょうらいというのは,だれかにまかせておけば自然に良くなる,というものではないと思います。そうではなく,あきらめずに頑張がんばることで,自分自身で良くしていくものではないでしょうか。病気がちな子どもだったわたしが,陸上部であきらめずに毎日練習をしたことで,タイムがどんどんちぢまっていたのです。今の時代でも,頑張がんばればきっと明日は良くなります。みなさんも,今日よりも明日を必ず良くするのだと思って,毎日をごしてしいです。

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どんな会社?
フォトレジストって何?
取材・原稿作成:横浜銀行、(c)学校ネット株式会社