仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

北海道に関連のある仕事人
1980年 生まれ 出身地 愛知県
川崎かわさき 正隆まさたか
子供の頃の夢:
クラブ活動(中学校): 合唱部
仕事内容
スーパーマーケットをご利用いただくためのマーケティングさくを考える。
自己紹介
いろいろな所に行ったり、めずらしいものを食べたり、見たりするのが好きです。休日は近所を自転車や徒歩でさんさくしたり、本屋や店を回ったりして手近でごしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2022年11月11日)時点のものです

「生活協同組合」は会社ではない

「生活協同組合」は会社ではない

わたしが働いているのは、「生活協同組合コープさっぽろ」というしきです。いわゆる「生協」は会社ではありません。組合員さんたち一人一人がしゅっきんを出し、うんえいに参加しているのが生協です。日本全国にはたくさんの生協があります。具体的な事業として、スーパーマーケットのうんえいや、注文いただいた商品を組合員さんのたくまでおとどけするたくはい事業など小売業が中心です。組合員さんの生活に関わるさまざまなサービスをていきょうしています。ちなみに、コープさっぽろでは、スーパーマーケット事業やたくはい事業のほかに電力事業や配食事業などを行っています。

お店のプロモーションとデータぶんせきが仕事

お店のプロモーションとデータ分析が仕事

北海道にはコープさっぽろのスーパーマーケットのてんが108てん(2023年3月20日げんざい)あり、わたしはこのスーパーマーケットの「はんそく部門」にざいせきしています。主な仕事は、お店のプロモーションとデータぶんせきです。プロモーションの仕事ですが、例えばみなさんのよく行くスーパーでも「今週はちゅうフェアがあります」といったようなかくを店頭で見かけたことはありませんか。お店のセールテーマやかくを作成するのがはんそく部門の仕事です。それを多くの方に知ってもらうためにチラシをさくせいしたり、お店のひょう物やBGMを考えたり、テレビCMやWEBこうこくなどを打ったりし、より多くの組合員さんに来店いただくことがわたしの仕事です。

いき社会にこうけんしたいという思いでてんしょく

地域社会に貢献したいという思いで転職

わたしちゅうさいようで、2011年にコープさっぽろに入りました。コープさっぽろで最初にやった仕事は、レシートデータのぶんせきです。もともと学生時代から食品に関わるような仕事をしたかったのと、いきこうけんできるような仕事がしたいという思いもあったので、生協は自分に合っていたと思っています。2015年からげんざいはんそくぎょうをやることになりました。
さてデータぶんせきですが、活用方法はいろいろあります。例として、データを使えば食品ロスを少なくすることができます。例えば、お店ではえいぎょう中に雨がって組合員さんの来店がりそうなときはおそうざいの生産をらしたり、いつもより早くきをしたりして商品がはいされないようにたいおうをします。どんなときに何が売れるのか、組合員さんの目線でよい売り場にしていくにはぶんせきは欠かせません。

商品の発注にもAIがどうにゅうされるように

商品の発注にもデータを使用しています。商品の発注は各売り場のたんとうしゃ、例えば、お売り場ならお売り場のたんとうしゃが、必要な量をきわめながら発注しています。ただ、中にはクリスマスのチキンや節分の豆、ひな祭りの日の料理など、年に一回、一日しか売るチャンスがないようなものも多く、そういったものはどれくらい売れるか、数のそくが立てにくいです。そういうものは本部のたんとうしゃの売上データや直近のトレンドなどを加味しさいてきな数を決めています。
また一部の商品については、AIで発注量をそくするという取り組みを始めています。店頭のざい商品の数を1時間に何回かかくにんし、それに天候や曜日で大体お客さまがどれぐらい来るかというじょうほうの売上じっせきなどをまえて、AIが発注量をそくします。そのそくもとづき、こちら側で調整しながら発注を行っています。それにより発注ぎょうけいげんにつながっています。

データぶんせきだけにたよりすぎないのも大切

このようにデータぶんせきは重要ですが、一方で「データぶんせきだけにたよらない」ことも大事です。例えば、てんでお客さまがどういう風に売場を見て動いているのか、そのときにお客さまがどういう気持ちになったかなど、そういうことはデータにはできないわけです。
またわたしたちが取れるデータは売上データです。買われた商品のデータはしゅとくできますが、買われなかった商品のデータというのは手に入りません。当たり前のことですが、そこには買われなかった理由があるはずです。もしかしたらとてもきょうはあったけどだんが高かった、自分がしい少なめのサイズがなかったなど、理由があったかもしれません。しかしそれはデータだけではわかりません。
つまりデータだけでは全部をあくすることはできない、必ず不足する部分が出てくるのです。どんなにAIが発達しても、AIはデータがないと動けませんので、ぶんせきしきれない部分が残るはずです。だからなるべくじっさいにお店を見てお客さまを観察することは欠かせませんし、データ活用するときも、そのデータはどういう風に生まれているか、そのとくせいあくしたうえで使うということを心がけています。

自分のかくはんきょうがあるとうれしい

仕事をしていてうれしさを感じるのは、「売れたとき」です。特に自分が立てたかくはんきょうがあったときはうれしいです。例えば、2019年に名古屋の名産を集めた「名古屋フェア」をかくしたことがあります。よくデパートでやっているかくをまねたものですが、かなりはんきょうがあり、以後、他のいきフェアも定期的に行うようになりました。ほんてきにスーパーはかくから当年のかくを作り、売上げをばしていくのが一番ベーシックな方法なので、にやったことのないことをやるのはむずかしかったですが、だからこそ、「やったことがない」ことではんきょうが大きいとうれしいです。

周りの人たちに共感をて動いてもらわないと意味がない

たとえわたしかくを立てて「やるぞー!」と言っても、周りの人たちが協力してくれないとかくはできません。いくら「データ的にはこうだよ」と言っても、それだけでみんなが動いてくれることはありません。だからこそしゅうに共感いただいて、やっていただくよう説明していくことやふんをつくることは大事だと思います。データだけでなく「そうりょく戦」なのです。

社会のできごとや変化を感じ取れるよう、アンテナを広げて

今これを読んでいる人たちに伝えたいのは、「勉強は学校を卒業してもずっと続く」ということです。どんなしょくぎょうもそうですが、仕事は社会じょうせいの変化のえいきょうを受けます。スーパーマーケットの仕事もそうで、しんや台風などのてんさいしんがたコロナウイルスの流行、世界のふんそうなどのさまざまなしょうが、自分の仕事につながってくることを日々実感しています。さまざまなことにアンテナをり、いろいろな人と話をしたり、多様な体験をしたりして、きょうはばを広げることをやっておくと、しょうらい役に立つと思います。

私のおすすめ本

前野ウルド浩太郎
子どものころからずっと好きだったことを仕事にするという、誰もが一度は思うことを実現するのはとても大変です。著者はその大変さとそれを超える楽しさを、生き生きとした言葉で伝えてくれます。私はかつて学問の世界を志し、研究職を目指し、諦めた経験があります。同じ年の作者の苦しみと楽しさが痛いほどわかります。
田中冬二
詩を楽しむコツは、意味を理解しようとしないことです。自分が面白い、楽しい、美しいと感じた言葉やフレーズに出会えれば十分ですし、一冊を初めから最後まで通読しなくても大丈夫。わずか数行の文章で現実の外の世界へ誘い、感情を揺さぶってくれる気楽に楽しめる文学形態なのです。

もっと知りたいこの仕事人

取材・原稿作成:リーブルテック/川口有紀(フリート)/東京書籍株式会社