仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1988年 生まれ 出身地 東京都

髙岡(たかおか) 怜(れい)
子供の頃の夢: 獣医師
クラブ活動(中学校): テニス部
仕事内容
プロジェクトメンバーの技ぎ術じゅつ力りょくを合わせ,1人ではつくれない大きな土木構こう造ぞう物ぶつをつくり上げる。
自己紹介
気になることについて考えることが好きです。全体的に継けい続ぞくする力が弱いですが,ポジティブな性せい格かくで,その弱さを補おぎなっています。休みの日はショッピングや,美び術じゅつ館かんに行ったり映えい画が鑑かん賞しょうをしたりします。最近はゴルフを始めたので,ゴルフレッスンに行ったり,ラウンドを回ったりして心身ともにリフレッシュしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2019年01月10日)時点のものです

会社の強みになる“新しい技ぎ術じゅつ”を開発する

会社の強みになる“新しい技術”を開発する

私わたしは,三みつ井い住すみ友とも建けん設せつ株かぶ式しき会がい社しゃの技ぎ術じゅつ本部というところで,会社が手がけている現げん場ばで活用できる技ぎ術じゅつや,この先の会社の強みになるような,“新しい技ぎ術じゅつ”を開発する仕事をしています。
現げん在ざいは2つのプロジェクトに関わっており,1つは「斜しゃ張ちょう橋きょうの研究」です。コンクリート橋きょう梁りょうの可か能のう性せいを追求する,という目的で,現げん在ざい,世の中に存そん在ざいしない大きさの斜しゃ張ちょう橋きょうを設せっ計けいし,そこから見えてきた課題への対たい策さくを考えるプロジェクトです。もう1つは,3Dレーザースキャナーとパソコンソフトを使い,橋きょう梁りょうなど大きな構こう造ぞう物ぶつを立体的に自動計けい測そくするシステムの開発です。

世界最大の斜しゃ張ちょう橋きょうをつくるには

世界最大の斜張橋をつくるには

1つ目の「斜しゃ張ちょう橋きょう」のプロジェクトについて,まず斜しゃ張ちょう橋きょうというのは,塔とうから斜ななめに張はったケーブルを橋げたにつなぎ,支ささえるという構こう造ぞうの橋です。塔とうと塔とうの間の長さを「支し間かん長ちょう」というのですが,現げん在ざい,世の中にあるコンクリートでつくられた橋の中で最大の支し間かん長ちょうは約500mです。この支し間かん長ちょうを800mまで伸のばした場合,どのような課題が出てくるかを見つけ出し,そしてその課題を解かい決けつしていくことで,世界最大のコンクリート橋を実じつ現げんする方法を研究しています。研究の内ない容ようは,最も合理的な橋げたの形けい状じょうを詳しょう細さいに考え出し,その形けい状じょうに対して安あん全ぜん性せいの検けん証しょうを行っています。
支し間かん長ちょうを長くすることができれば,より大きな川や谷にも橋を架かけることができますし,工期を短たん縮しゅくすることができるかもしれません。また,この研究によって生まれた新しい技ぎ術じゅつは,今後会社の強みとなって会社を支ささえていきます。
普ふ段だんの研究は,まずは自分で考えた構こう造ぞうで橋を設せっ計けいしてみるところから始まります。橋の形けい状じょうをモデル化できる最新の数すう値ちシミュレーションを使って問題が出てくるか検けん証しょうする,という作業を繰くり返かえしています。支し間かん長ちょうが長くなることで,橋げたへの力のかかり方が大きくなり,揺ゆれ方かたも大きく異ことなります。また,大きな橋は風の影えい響きょうも強く受けるため,揺ゆれが大きくなる傾けい向こうがあり,その揺ゆれに対して必要な強度を保たもてなければ橋自体が崩ほう落らくしたりする危き険けん性せいも出てきます。風に対する安あん定てい性せいを確かく認にんする実験は大がかりになるため,大学の研究室と一いっ緒しょに実験をしたりもします。
このプロジェクトは5年計画のプロジェクトで,今,3年半が経けい過かしたところです。あと1〜2年ほどで,一度結けつ論ろんを出す予定です。

3Dレーザースキャナーとソフトを用いた測そく定ていシステムを開発

3Dレーザースキャナーとソフトを用いた測定システムを開発

私わたしが手がけている2つ目のプロジェクトは,3Dレーザースキャナーと専せん用ようのソフトを使い,橋きょう梁りょうなどの大きな構こう造ぞう物ぶつを立体的に自動で計けい測そくするシステムの開発です。橋きょう梁りょうなど,大きなものを作る建けん設せつの現げん場ばでは,建けん設せつする節目ごとに,完成した部分が設せっ計けい図ず通りの形にできているのか,計けい測そくして検けん査さする作業が必要です。ただ,これはどんな大きさのものでも,人が1か所ずつメジャーで測はかっているのが現げん状じょうで,その間は他の作業ができません。
3Dレーザースキャナーは,立体物にレーザーをあて,レーザーがあたっている部分の位置を計けい測そくすることができる機械です。人の手が届とどかないような場所にあるものも,この3Dレーザースキャナーを使えば,形けい状じょうを測はかることができます。自動で計けい測そくデータを取ることができるので,計けい測そくに必要な人手も時間も少なくて済すみ,工期の短たん縮しゅくにも役立ちます。
今は,どうやったら屋外で使っていても誤ご差さを少なくすることができるか,より使いやすいものにできるかというのを試し行こう錯さく誤ごしている最中です。また,この技ぎ術じゅつが完成すれば,設せっ計けい図ずなどが残っておらず,どのように作られているのかがわからない古い構こう造ぞう物ぶつに関しても,形けい状じょうを知ることができるようになります。最新の技ぎ術じゅつを使うことで,過か去この構こう造ぞう物ぶつのメンテナンスにも役立つ可か能のう性せいがあるのです。

他の部ぶ署しょにも「開発技ぎ術じゅつの効こう果か」をわかってもらう

他の部署にも「開発技術の効果」をわかってもらう

システムの開発には実じっ際さいの橋きょう梁りょう建けん設せつ現げん場ばでのテストが不ふ可か欠けつです。月に1回程てい度どは自社が施せ工こうしている現げん場ばで計けい測そくをして,今開発しているシステムが使えるかどうか確かく認にんをしています。屋外だとどうしても風や雪などの影えい響きょうがあり,また,現げん場ばごとに計けい測そくする場所の状じょう況きょうが異ことなります。そのため,正しいデータを得ることが難むずかしく,そういった厳きびしい条じょう件けんでも正せい確かくに計けい測そくするにはどうしたらいいか,試ためしては修しゅう正せいしていくということを繰くり返かえしています。
テストは実じっ際さいに動いている現げん場ばで行わせてもらうので,現げん場ばの人たちの協力が不ふ可か欠けつです。そのため,私わたしたち開発者が説明をして,現げん場ばや社内の他の部ぶ署しょにも開発技ぎ術じゅつの効こう果かをわかってもらうことがとても重要です。開発技ぎ術じゅつの効こう果かをきちんと説明する力も,とても大事なスキルであると,開発を通して思いました。苦労のかいもあり,この測そく定ていシステムに関してはほぼでき上がっており,今は細かい修しゅう正せいをしている段だん階かいです。

今,楽しく勉強中

今,楽しく勉強中

今,人生で一番楽しく勉強をしています。今の部ぶ署しょが立ち上がったのが2015年の4月で,そのタイミングで私わたしは設せっ計けい部ぶから異い動どうになりました。設せっ計けい部ぶの仕事では,施せ工こうにかかる期間や予算などの条じょう件けんがすでに決まっており,今まである技ぎ術じゅつや知ち識しきを使って設せっ計けいをする,という仕事の進め方が多かったです。
ところが今の部ぶ署しょでは,基き本ほん的てきには「自分で研究を進めていく」必要があります。そのためにはたくさんの知ち識しきが必要で,勉強しなくてはいけないことがとても多いです。たとえば斜しゃ張ちょう橋きょうの研究では,斜しゃ張ちょう橋きょうの設せっ計けいはしたことがない状じょう態たいでスタートしました。斜しゃ張ちょう橋きょうに関して,今,他社や海外にはどんな技ぎ術じゅつがあるのかを調べたり,橋の技ぎ術じゅつに関する研究論ろん文ぶんを読んだりして,橋の知ち識しきを増ふやしています。また,レーザーを使った自動計けい測そく技ぎ術じゅつの開発に関しても,一から知ち識しきを得るところから始まりました。3Dスキャナーで計けい測そくしたデータを解かい析せきするソフトウェアについては,外部の協力会社さんと一いっ緒しょに開発を進めたのですが,話し合いを進める上でも自分自身で理り解かいをしておく必要があるため,ソフトウェアに関しても勉強する必要がありました。
でも,もともと「気になることについて考える」ことは好きな性せい格かくのため,楽しく学ぶことができています。ソフトウェアなどの分野はあまり社内でも関わっている人間がいないこともあり,今では他た部ぶ署しょから相談を受けることもあります。そういうことがあると,モチベーションが上がりますね。

“初めて”に関われるという喜び

“初めて”に関われるという喜び

研究開発を続ける中で,疑ぎ問もんや問題点に突つき当あたることもあります。しかしいろいろな知ち識しきを得て疑ぎ問もん点てんが1つずつクリアになり「わからなかったところがわかる」ようになる瞬しゅん間かんがあります。このときの達成感はものすごく大きいです。悩なやんだ末だからこそ,自分の中でのやりがいにつながりますね。
また,以前,上司に言われたことで印象に残っているのが,「『世界一』や『日本一』というものは,いつか塗ぬり替かえられてしまう。けれど,『世界初』『日本初』など“初めて”という記録は,絶ぜっ対たいに塗ぬり替かえられることはない」ということです。今,自分自身が新しい技ぎ術じゅつ開発に携たずさわっているということは,そういう“初めて”のものをつくり出すことに関われているということです。そのこともまた,日々の原動力になっています。
ただ,研究という仕事は通つう常じょうの設せっ計けいなどの仕事とは違ちがい,短期的な「とりあえずここまでが目標」というゴールが見えづらいところがあり,自分が進んでいる道が正しいのか悩なやむこともあります。
今の部ぶ署しょでは毎年,研究論ろん文ぶんを書き,学会で発表もしますが,これが1つの節目・目標にもなり,その目標に合わせてプロジェクトを進められます。書くことで研究してきた内ない容ようの整理にもなり,頭の中がスッキリします。

疑ぎ問もん点てんをそのままにしておかない

疑問点をそのままにしておかない

勉強をしていく中で,「理り解かいするのに時間がかかる」ということは当然あります。でもどんなに時間がかかったとしても,疑ぎ問もん点てんをそのまま残しておかないように努力をしています。もともとの基き礎そ知ち識しきがどれくらいあるかにもよると思いますが,私わたしが今関わっているのは「これまでに経けい験けんしたことがない分野」の技ぎ術じゅつが多いです。ちょっとでも疑ぎ問もん点てんを残したままだと,本ほん質しつ的てきなことがわからないまま進んでしまって,あとあと大変になることも多いはずです。
入社したばかりのときは橋きょう梁りょうの建けん設せつ現げん場ばの現げん場ば監かん督とくからスタートしたのですが,そのころでしたら闇やみ雲くもに動いて覚えていく,という方法もできました。でもその後,設せっ計けい部ぶに異い動どうし,だんだんと任まかされることが多くなりました。そのとき,わからないことは多いけれど「“何がわからないのか”がわからない」ということで困こまったことが何度もありました。多分それは,私わたし自身の知ち識しき,勉強不足も影えい響きょうしていたのでしょう。そこから「もっと勉強をしよう」「疑ぎ問もん点てんは残さないようにしよう」と思うようになったのです。

自分の計算で「橋ができる」という驚おどろき

自分の計算で「橋ができる」という驚き

最初に興きょう味みを持ったのは,橋などをつくる「土木」ではなくて「建けん築ちく」でした。高校生のときに見ていたドラマに,「建けん築ちく設せっ計けい事じ務む所しょ」が出てくるものがありました。それがすごくオシャレに見えて,素す敵てきだな,と憧あこがれたのがきっかけでした。でも大学受験で志し望ぼう校こう,志し望ぼう学科を決めるためにいろいろ調べているうちに,土木の分野を知り,いろいろな人の生活を支ささえる仕事だ,ということがわかってきました。そこから土木のほうに興きょう味みを持ち,自分には向いているのかもと思い,土木工学科を志し望ぼうしました。
もともと理り数すう系けいの分野が好きだったこともあるのですが,大学では構こう造ぞう力学の授じゅ業ぎょうが面おも白しろかったですし,どんどん土木の分野を好きになっていきました。また,実じっ際さいに橋きょう梁りょう関係の会社で働いている社会人の方が講こう師しになる授じゅ業ぎょうがあり,その中で橋の設せっ計けいと構こう造ぞう計算をすることがありました。そのとき,「この計算でこの橋ができちゃうんだ!」とちょっとびっくりしましたね。そこから少しずつ橋に興きょう味みを持ち,いつか橋の設せっ計けいに携たずさわりたいな,と思うようになりました。

いろいろなことを経けい験けんし,感じたことを覚えておいてほしい

いろいろなことを経験し,感じたことを覚えておいてほしい

できる限かぎり,いろいろなことを経けい験けんして,それで得たことを忘わすれないで覚えておいてほしいなと思います。知ち識しきでなくても,“感じたこと”でもいいと思います。友達と遊んだり,スポーツしていて一番になったことを覚えていたり。ある程てい度ど大きくなったら,海外に行くなどの経けい験けんもいいと思います。何かを感じ取ったということは,その後の自分の人生で選せん択たくをしなければいけないときの判はん断だん材料となります。材料が増ふえればそのときの選せん択たく肢しが増ふえ,その先の可か能のう性せいも大きく広がります。大きく広がった可か能のう性せいの中から,いつか自分自身を奮ふるい立たたせるような何かに出会えるのでは,と思います。
また,みなさんは「土木」という分野のことをあまり知らないかもしれませんが,今,みなさんがいつもの生活を送っていられるのは,土木の技ぎ術じゅつがあってこそです。橋や道路,鉄道,上下水道など,みなさんが日にち常じょう的てきに使っているものは土木の技ぎ術じゅつで作られています。また,海外でもインフラを整えるのに日本の技ぎ術じゅつが使われていることは,とても多いですよ。まずはそういうことを知ってもらい,そこから土木に興きょう味みを持ってもらえれば,と思います。「人と生活を支ささえる」という仕事ですから,とてもやりがいのある仕事ですよ。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:一般社団法人 日本建設業連合会,三井住友建設株式会社