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東京都に関連のある仕事人
1988年 生まれ 出身地 東京都

横山(よこやま) 智美(さとみ)
子供の頃の夢: パン職人
クラブ活動(中学校): 茶道部
仕事内容
建物を建てるときに,分野を超こえて関係者とデータを結び,仕事の仕方を大きく変える。
自己紹介
好こう奇き心しん旺おう盛せいですが,熱しやすく冷めやすい性せい格かくです。休日は家族と過すごしたり,グルメ探たん索さくをしたりしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2018年11月27日)時点のものです

工事に関わるすべての流れを情じょう報ほうとして,まとめて管理するしくみ

工事に関わるすべての流れを情報として,まとめて管理するしくみ

私わたしは株かぶ式しき会がい社しゃ竹たけ中なか工こう務む店てんという建けん設せつ会社で,BIM(ビム)という新しいしくみを広める仕事をしています。BIMとは,「ビルディング・インフォメーション・モデリング」の略りゃくで,建物を建てるときに必要となる設せっ計けい図ずや完成イメージ図,壁かべや窓まどなどの部材の情じょう報ほう,スケジュールやお金の情じょう報ほうまで,工事に関わるすべての流れを情じょう報ほうとして,まとめて管理できるようにするしくみのことです。
今まで,建物を建てるときには,設せっ計けい図ずを描かく人,工事のスケジュールを組み立てる人,お金の管理をする人がそれぞれバラバラに違ちがう図面を作って作業をしていました。現げん在ざいも多くの建けん設せつ現げん場ばでは,このように,チームによって別々に作業が進められています。でも,BIMのしくみを使うと,工事に関わるさまざまな人が,同じデータを見ながら作業ができるようになります。そうなることで,完成イメージと違ちがっている場合に早く気づけたり,無理のないスケジュールを立てられたりといったメリットがあります。

『マインクラフト』のようなソフトを使ってデータを作る

『マインクラフト』のようなソフトを使ってデータを作る

BIMでは『マインクラフト』というゲームのように,柱や壁かべなどの部品を組み合わせて,コンピューター上で3Dの建けん築ちくモデルのデータを作ります。この建けん築ちくモデルのデータがあれば,そこから2次元の平面図や,水道などの配管図,家具を置いたときのイメージ図などをすぐに表ひょう示じすることができるので,新たな図面をはじめから作る必要がありません。
また,建けん築ちくのプロの人なら,2次元の図面を見れば,そこにどんな建物が建つのかイメージをすることはできますが,発注者や若わか手ての人にとっては,実じっ際さいにそこに建つまでは,どんな建物になるか正せい確かくに思おもい描えがくことは難むずかしいものです。BIMがあれば,完成イメージを3Dでシミュレーションできるので,「でき上がった建物が,全然イメージと違ちがった」ということが避さけられます。また,建物がある程てい度どできた後にいろいろ変へん更こうしようとすると,すでに作ったものを捨すてなければならず,大きなムダになりますが,そうしたことをなくすことができます。さらに,必要な材料を使うギリギリのタイミングで買うと値ね段だんが高くなったり,工事に必要な人手を集めるのに苦労したりするのですが,BIMによって,前もってシミュレーションができれば,いつどの材料が必要かが事前にわかり,余よ裕ゆうをもって材料や人手を準じゅん備びできるので,削さく減げんしたコストでよりよい提てい案あんができます。
BIMは「建物を建ててほしい」という発注者にとっても,注文を受けて工事をする私わたしたち建けん設せつ会社にとってもメリットがあるのです。

新しいソフトを試ためしたり,海外の会議にも

新しいソフトを試したり,海外の会議にも

BIMはこれから広まっていく途と中ちゅうの技ぎ術じゅつで,建けん設せつ業界全体にはまだまだ根付いていません。統とう一いつされた規き格かくが決まっておらず,ソフトもたくさん種類があって,ソフト同士がまだうまく連れん携けいしていないなど,さまざまな課題もあります。
私わたしは2017年に新しん設せつされた「BIM推すい進しん室しつ」という部ぶ署しょに所しょ属ぞくしており,専せん属ぞくのメンバーは全部で5人です。その中でも,私わたしは新しいソフトを試ためしてどのソフトがよいかを検けん討とうしたり,社内の工事に関わる人からソフトの使い方の問い合わせを受けたりしています。実じっ際さいに建けん設せつ現げん場ばへ足を運んで,BIMを使う人のサポートをすることもあります。
また,海外で行われる,BIMについて研究するための会議にも参加しています。海外の企き業ぎょうも,これからBIMを取り入れようとしている途と中ちゅうなので,意見交こう換かん会かいをすることもあります。BIMのしくみは,建けん設せつ工事全体に関わることなので,業界全体で取り組みを進めています。

今までのやり方を大きく変えてもらう

今までのやり方を大きく変えてもらう

BIMを建けん設せつ現げん場ばに取り入れるということは,今まで別々に行われていた作業をひとつにまとめて,それまでの仕事のやり方や流れを変えてもらうことになります。そのため,説得をして,BIMを取り入れてもらうことになるのですが,これが大変です。今までの方法にこだわりを持ってやってこられた方にもBIMというしくみの良さをわかってもらって,現げん場ばの方々にやる気になってもらわなくてはいけません。現げん場ばの方々は,もともと2次元の図面から完成図を想そう像ぞうできる建けん築ちくのプロの人たちですからね。今はまだ,試し行こう錯さく誤ごをしている段だん階かいなので,時間に余よ裕ゆうのあるプロジェクトから導どう入にゅうして,少しずつ試ためしてもらって,BIMの良さをわかってもらえるようにしています。
設せっ計けいを担たん当とうする人も平面の図面を描かく方が手て慣なれているので,BIMを導どう入にゅうした建けん設せつ現げん場ばでは,今までどおりの平面の図面とBIMのデータとを両方作ってもらうといった,二重の手間をかけてしまうこともあります。なるべくみなさんに余よ計けいな手間をかけないようにはしたくて,そこは気をつかいます。
また,パソコンの性せい能のう自体が追いつかなくて,あまり細かく設せっ定ていしすぎると,データが重くなってしまってBIMのソフトが動きづらいといったこともあります。そのたびに仕事を止めて,設せっ定ていをし直したりしなければならないので苦労します。

現げん場ばから「効こう果かがあった」と言われるとうれしい

現場から「効果があった」と言われるとうれしい

実じっ際さいにBIMを使って,コストを削さく減げんできたとか,職しょく人にんさんと会話が弾はずむようになったとか,効こう果かがあったと言われたときはうれしいですね。現げん場ばによっては,ゲームのコントローラーを使って,BIMデータの建物の中をゲームのように歩けるようなしくみを導どう入にゅうしたところもあって,そこでは職しょく人にんさんと会話が盛もり上あがったそうです。
また,工事に取り入れたら役に立ちそうな新しい技ぎ術じゅつを探さぐるのは,私わたしたちの部ぶ署しょの大事な仕事です。そのため,新しい技ぎ術じゅつを試ためす機会がよくあります。例えば,マイクロソフト社が出した「ホロレンズ」という,ホログラムと現げん実じつ世界を同時に映うつし出だすゴーグルや,3Dスキャナなど,さまざまなデバイスを触さわって,実じっ際さいに建けん設せつ現げん場ばでどのように使えるのか試ためしたりもしました。その中で実じつ用よう性せいのあるものは1割わりくらいですが,そうした新しい技ぎ術じゅつに触ふれられるのは楽しいです。また,国こく際さい会議などに出て,ソフトの開発者の方など,なかなか建けん設せつ業界の中だけでは出会えない人たちに出会えるのも刺し激げき的てきで,この仕事のやりがいになっています。

実じっ際さいにソフトを使う人の目線で

実際にソフトを使う人の目線で

実じっ際さいに建けん設せつ現げん場ばでBIMを使うユーザーの方の目線を心がけるようにしています。新しい技ぎ術じゅつを良さそうだと思って取り入れても,実じっ際さいにソフトを扱あつかう人にとっては,画面が英語だし,マニュアルもなくて使いづらい,ということもあります。ホロレンズの場合も,建けん設せつ現げん場ばだと,直ちょく射しゃ日光の下だと15分しかもたないとか,ホコリに弱いとか,そもそもゴーグルをかぶると工事用のヘルメットがかぶれなくなってしまうとか,足元が見えなくて危あぶないとか,実じっ際さいに使ってみないとわからない問題点がありました。そのため,なるべく現げん場ばに行って,使いづらいところや,どんな機き能のうがあったらいいかなど,いろいろ聞くようにしています。
また,日々,進化している分野の仕事なので,5年,10年後を見み据すえて仕事を進めることも心がけています。ちょっと前までは,ここまでVR(バーチャルリアリティー,仮か想そう現げん実じつ)技ぎ術じゅつが進化して広まっているとは思いませんでした。VRが出始めたころは,“5年くらいで広まるのではないか”という声があったので,BIMモデルの中をVRで動けるといったように,早めにVR技ぎ術じゅつを取り入れたのです。結果的に想そう像ぞうよりも早く広まったので,あのとき,取り入れておいてよかったです。現げん場ばで使う方の使いやすさと,技ぎ術じゅつの発はっ展てんの早さの両方を考えながら,実用的な新しい技ぎ術じゅつを取り入れられるよう,日々,探さぐっています。

一人ではできない,大きなものを作りたくて

一人ではできない,大きなものを作りたくて

中学や高校のころは,理り系けいの科目の方が得意でした。最初はロボットやAIなどに興きょう味みがあって,情じょう報ほう系けいの学部に進もうかと思っていたのですが,プログラミングが苦手だったのと,何か一人では作れないような大きなものを作ってみたいなということで,建けん設せつ系けいを選びました。父親が仕事でアメリカに行くことになったので,一いっ緒しょについていって,アメリカの大学に進学しました。英語が得意だったのと,日本でやりたいこともはっきりわからなかったので。大学では,ダムや橋についての勉強をしました。ロボコンに興きょう味みがあったので,向こうでロボコンのサークルにも入っていました。日本では土木の学科だと,ほぼ男だん性せいばかりというイメージですが,アメリカの,私わたしの行った大学だと半々くらいでした。
大学卒業後は日本で仕事をしたいと思っていたので,日本で就しゅう職しょく活動をしました。アメリカでは,永えい住じゅう権けんがないと,建けん設せつ関係の仕事に就つくのが難むずかしいということもありました。それで竹たけ中なか工こう務む店てんに入社し,入社して2年ぐらいは,現げん場ば監かん督とくとして,学校や病院を作る現げん場ばにいました。入社したばかりのころにBIMという言葉を初めて聞いて,関わりたいなと思っていましたが,その後,希望がとおり,BIM推すい進しん室しつに配はい属ぞくされました。

おとなしいわりに,思い切りやるときはやる

おとなしいわりに,思い切りやるときはやる

子どものころは,あまり外では遊ばず,ずっと読書ばかりしていました。また,熱しやすくて冷めやすい性せい格かくではありましたが,さまざまなことに興きょう味みがあって,気になったことは本で調べることも好きでした。おとなしいわりに,文化祭実行委員をやってみたり,やるときは思い切りやる子といった感じでしたね。人と関わることは好きで,昔からどちらかというとサポート役の方が得意でした。実行委員の中でも,会計とか,副委員長ぐらいのポジションが落ち着きます。BIM推すい進しん室しつでの私わたしの仕事も,現げん場ばや外部の会社の方など,BIMを使う方をサポートすることが多いので,それは今の仕事での役やく割わりとつながるかもしれません。
また,小学生のときにも父親の仕事の都合でスペインに住んでいたことがあって,“日本”を意い識しきする機会が多かったので,茶さ道どう部ぶに入ったり,課外授じゅ業ぎょうで日本舞ぶ踊ようをやったりと,和の習い事にも興きょう味みがありました。
本は好きでしたが,ファンタジーやミステリー小説ばかり読んでいて,国語の勉強は本当に苦手でした。だから,最初から理り系けいに進むと決めていましたね。

「何かを好きなこと」が財ざい産さんになる

「何かを好きなこと」が財産になる

一度,新しいことに興きょう味みを持ったら,「自分にできるかな?」とか「周りの友達がやっていないから……」なんて一いっ切さい気にせず,全力で取り組んでほしいですね。今は,「何かを好きなこと」が何よりの財ざい産さんになる時代だと思います。やりたくないことは,きっとロボットやAIがやってくれるようになります。でも,何かを好きになることを,ロボットは代わってやってはくれません。
下手でもいいんです。私わたしもプログラミングには向いていませんでしたし。それでも,BIMのソフトを作っている人たちと話すとき,彼かれらがどうやって私わたしの要望を反はん映えいするのか,それがどれほど大変なことなのか,親近感を持って想そう像ぞうできるのは,あのときの「好き」のおかげです。
建けん設せつ業ぎょうは,これからも誰だれかの「好き」をきっかけに,新しい技ぎ術じゅつや知ち識しきを取とり込こんで,みなさんの暮くらす街をよりよいものにしていきます。興きょう味みのある人は,ぜひ建けん設せつの仕事を目指してみてください!

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:一般社団法人 日本建設業連合会,株式会社 竹中工務店