※このページに書いてある内容は取材日(2022年11月25日)時点のものです
天気を予想して、テレビで伝える
自分に自信をつけたいという思いから資格を取得
子どものころから天気や宇宙、自然に興味がありました。自分の名前が「晴山」ということもあり、小さいころに「この名前で気象予報士になったら面白いんじゃないかな」と思ったことはありました。本当になるとは思いませんでしたが、たぶん心の奥底にはその思いが漠然とあったんじゃないかなと思います。
大学生のときに、ふと「気象予報士の資格って面白そうだな」と思い、子どものころにそういうふうに思ったことがあるのを思い出して、資格取得を目指しました。大学生だったので時間もあったこと、また就職活動に際しても何か強みになればいいなという思いもありました。自分自身に自信がなかったこともあり、「何か自信になるような強みが欲しい!」と思ったんですね。そこに関しては必死でした。
大学在学中に試験に合格し、気象情報会社に所属
気象予報士という職業を選んだのは、大学生のうちに資格に合格したことも大きいと思います。もし資格が取れずに就職活動を迎えていたら、たぶん違う仕事に就いていたのではないでしょうか。
私は、大学3年生のときに資格を取得しました。通っていた資格取得講座を主催していた、気象情報会社の「株式会社ウェザーマップ」から、「うちでアルバイトをしないか」と声をかけてもらいました。卒業後はそのままウェザーマップに所属し、気象予報士として活動しています。
今、講演をすると気象予報士に興味を持ってくださる方には、防災への意識が高い人と、高齢の方が多いんです。でも、小学生や中学生にとっても、天気って生活に密接に関わってくるものですよね。例えばどこかに出かけるとき、天気予報を見て決めませんか。気象に興味を持つ若い方が、もっと増えてくれればいいなと思っています。
当たる予報も、見てくれないと意味がない
気象予報士は「正解がない」仕事です。よく当たる予報を出せる人はすごくかっこいいと思うんですけど、せっかく当たる予報をしても、それを見てくれる人がいなかったら意味がありません。まず聞いてくれる人がたくさんいること、そして聞いてもらえる情報になることで、天候の状態にどう対策するか、予防するか、どう行動してほしいか、というのが伝わる。だから「当てにいく」というよりも、「これを聞いた人にどういうふうにしてほしいからこう表現しよう」ということを考えるようにしています。「何時ごろ雨が降りますよ。はい、降りました。当たった。」ではなく、「傘を持って出かけてもらうにはどう言葉を選んだらいいか」ということですね。
刻一刻と変化するものだからこそ対応力が求められる
私自身、「この仕事のやりがいって何だろう?」と考えることがあります。そこで思ったのは、天気のニュースというのは基本的に事前に収録しておけないんですね。刻々と変わるものなので、基本的には直前のものをお伝えしないと、どんどん情報が古くなってしまう。天気は一分一秒、それこそ呼吸している間にも変化しているものなんです。例えば、放送している間に天気が急変して情報が新しく出てしまうこともあれば、放送中に防災情報が出ることもあります。そういうときは臨機応変な対応が求められるし、自分の対応力が試されます。だからこそ生放送でしゃべっているときに、自分にしかできないような臨時の対応ができたときは「やった!」と思いますね。
駆け出しのころは他の気象予報士の表現を勉強
仕事を始めたばかりのころは、各局の気象予報士の番組を全部録画して見ていたこともあります。この人はこういう対応の仕方をしているとか、こういう表現の仕方をしているというものを参考にしましたね。他の気象予報士の方の表現をテキストファイルにまとめたり、どういうことをしゃべっているかを聞いたりして学びました。今は多少仕事に慣れてきたこともありますし、帰宅してテレビをつけるとどうしても仕事モードで見てしまうので、切り替えのためにもあえてテレビは見ないことが多いです。
「正解がない」仕事の難しさ
天気予報には「こういうふうに画面を使って、こういうことを伝えるのが正しい」みたいなものは何もないんです。だから、同じチームで作っていて「これがいい、いやあっちのほうがいい」と意見が分かれることもあります。それを取りまとめて放送したとしても、やはり正解はわかりません。たとえ自分が「今日はすごくいいものを作ったな」と思っても、受け取る側にはそうではなかったり、「わかりにくい」と思われたり、「これってそんなに重要なの?」と思われたりすることもあります。表現の仕方に関しても「こういうのは好きじゃない」という意見をもらうこともあります。また、視聴率を取っていればいいというわけでもありません。
そんな「正解がないもの」だからこそ、自分がどれぐらいできたかなということを常に考え続けなければいけない仕事だなと思います。
自分の思いや感情に正直になれば、将来につながる
これを読んでいる多くの方は、「自分が今やっている勉強が何につながるかわからない」と思っているのではないでしょうか。私自身がそうでしたし、「三角関数なんか将来絶対使わないでしょ」と思っていたタイプでした。でも漠然とでいいので、自分が将来こういうふうになりたいなとか、こういうふうに生きていきたいとか、これが好きとか、自分のそういった思いや感情に正直になって過ごすのがいいんじゃないかなと思います。私も子どものころは気象予報士になるとはまったく思っていませんでしたが、当時、見たニュースに出ていた気象キャスターの方をなんとなく覚えていて「私もいつかこういうふうになれたらいいな」とぼんやり思い描いていた気がするんです。そこに今いるわけですから、本当に何がどうなるかわからないですよ。