仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1970年 生まれ 出身地 東京都

青木(あおき) 順一(じゅんいち)
子供の頃の夢: 社長
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
車の買い取りと販はん売ばいを行い,お客さまの車の相談に乗る。
自己紹介
いつでも好こう奇き心しんいっぱいで,人と話すのが大好き。「地元の子どもと大人を笑え顔がおにしたい」という思いで,地ち域いきでのボランティア活動などに積極的に取り組んでいます。

※このページに書いてある内容は取材日(2020年03月29日)時点のものです

よい車を,手ごろな価か格かくで,地元の人に提てい供きょうしたい

よい車を,手ごろな価格で,地元の人に提供したい

私わたしは,東とう京きょう都と北きた区くで,ワイジェイオートという自動車販はん売ばい会社を経けい営えいしています。ワイジェイオートで手て掛がけているのは,主に,「中古車の買い取り・販はん売ばい」「新車の販はん売ばい」の仕事です。
中でも多いのが,中古車の買い取り・販はん売ばいの仕事です。中古車は,地元のお客さまから依い頼らいを受けて買い取るか,もしくは,オークション場と呼よばれる中古車専せん門もんの市場のようなところで仕入れています。
地元のお客さまから仕入れる場合は,中古車を買い取って新車を納のう入にゅうすることがほとんどです。「家族が増ふえたのでもっと大きな車に買かい替かえたい」「釣つりやキャンプなど,より趣しゅ味みに適てきした新車を購こう入にゅうしたい」,そんなご相談をお客さまからいただいて,不要になった車の価か値ちを査さ定ていしつつ,ご要望に合った新車を紹しょう介かいすることが多いのです。中古車の査さ定ていは,車種,色,走行距きょ離り,汚よごれや傷きずの程てい度どなど,さまざまなポイントをチェックしながら進めていきます。車の人気度や状じょう態たいを判はん断だんし,買い取り価か格かくを割わり出だして,その価か格かくにお客さまが納なっ得とくしてくだされば売買の成立となります。
買い取った車は,オークション場に出品するか,自じ宅たく兼けん事じ務む所しょの1階にある駐ちゅう車しゃスペースに展てん示じして販はん売ばいしています。駐ちゅう車しゃスペースに展てん示じするのは,私わたしたちが選えらび抜ぬいた,本当によい車だけです。地元の方に,価か値ちある車を,手ごろな価か格かくで提てい供きょうしたい。そんな思いを持って,日々,中古車の買い取りと販はん売ばいに向き合っています。
新車については,主に国産のものを販はん売ばいしています。私わたしは以前,大手自動車会社で新車や中古車を販はん売ばいする営えい業ぎょうの仕事をしていました。そのときの知ち識しきや人じん脈みゃくを生かし,数ある新車の中から,お客さまのニーズに合った車を提てい供きょうするようにしています。

高い戦せん略りゃく性せいが求められる,オークション場での中古車売買

高い戦略性が求められる,オークション場での中古車売買

仕事をしていて「面おも白しろいな」と感じるのが,オークション場での中古車売買です。オークション場は,いわば“中古車の株かぶ式しき市場”のようなもの。毎日,さまざまな中古車が売りに出され,その情じょう報ほうが発信されています。ときには,なかなか出回らない珍めずらしい車や人気の高い車が,手ごろな価か格かくで売られていることも。掘ほり出だし物ものを見つけて購こう入にゅうし,タイミングよく,またオークション場で販はん売ばいすれば,買かい値ね以上の売うり値ねが付いて,大きな利り益えきが生まれることもあるのです。
利り益えきを生むような売買を行うには,なによりも“目め利きき”が重要です。あらゆる車の価か格かくや評ひょう価かなどを頭に入れておいて,知ち識しきや経けい験けんをもとに,「相場より低てい価か格かくで売られている車」や「これから人気が高まりそうな車」など,将しょう来らい,高たか値ねが付く可か能のう性せいが高い車を見つけ出します。こうして手に入れた価か値ちある中古車を,世の中の動きや流行などを見て,需じゅ要ようが高まる時期に売りに出しています。
よい車を見つけたときや,それが予想以上の高たか値ねで売れたときは大きな手て応ごたえを感じます。こうした仕事は,自動車の販はん売ばい業ぎょうというよりも,証しょう券けん会社などの金きん融ゆう機き関かんが行う投とう資し業ぎょう務むに近いイメージかもしれません。知ち識しき,駆かけ引ひき,時流を読む力が試ためされる,戦せん略りゃく性せいが高い仕事です。

仲間との関係を大切に,チームで仕事を回していく

仲間との関係を大切に,チームで仕事を回していく

ワイジェイオートでは,なじみのお客さまから頼たのまれたときは,自動車の修しゅう理り,車しゃ検けんなども受け付けています。こうした場合,実じっ際さいに修しゅう理りを行うのはワイジェイオートではありません。お客さまからお預あずかりした車を外部の板ばん金きん塗と装そう会社などに託たくして,そこで,車体の傷きずやへこみをきれいにしてもらったり,部品を入いれ替かえてもらったりしているのです。
修しゅう理りに対たい応おうしてくださる協力会社は,現げん在ざい,約10社ぐらいです。どの会社の社長さんも,親しい人ばかり。若わかいときに同じ自動車会社で一いっ緒しょに働いていた人や,知人の紹しょう介かいで仲良くなった人などが多く,協力会社というよりは気の置けない仲間といった雰ふん囲い気きです。「おやじさん,ちょっと車の修しゅう理り頼たのめないかな?」「おう,任まかしておけ!」,そんなノリで,いつも助け合いながら一いっ緒しょに仕事をしています。
ワイジェイオートは従じゅう業ぎょう員いん3名のとても小さな会社です。自じ宅たく1階の事じ務む所しょで小ぢんまりと営いとなんでおり,だからこそ,外部の仲間と必要に応おうじてチームを組み,協力しながら仕事をしていくことが欠かせないのです。修しゅう理りの受け付けは私わたしたちが担たん当とうし,実じっ際さいの修しゅう理り業ぎょう務むは高い技ぎ術じゅつと広い作業場を持つ外部の仲間たちが担たん当とうする。こうして役やく割わりを分ぶん担たんし,仕事を回し合うことで,お客さまが求めるサービスをスムーズに提てい供きょうできています。

人と人とのつながりが,仕事を広げていく

人と人とのつながりが,仕事を広げていく

私わたしがもっとも大切にしているのが,人とのつながりです。協力会社だけでなく,地元の経けい営えい者しゃや,お年とし寄より,子育て世代,若わか者ものなど,さまざまな人と,常つねにつながりを持つよう意い識しきしています。なぜなら,人とつながることによって情じょう報ほうが入ってくるからです。「あの人がこんなことで困こまっていたよ」「なにか新しいことを始めようとしているみたいだよ」,こうした情じょう報ほうが,車の買い取りや販はん売ばいにつながることも少なくありません。地元の北きた区く王おう子じ法人会にこまめに顔を出したり,近所の人に声をかけるなどして,積極的にコミュニケーションを取るようにしています。
その他,ボランティア活動にも意い欲よく的てきに取り組んでいます。地元の警けい察さつの防ぼう犯はん協会の会長を務つとめたり,地元の青少年教育委員会,西にしが丘おか自治会に役員として参加したり。子どもからお年とし寄よりまで多くの人が,私わたしの顔を知り,親しみを感じて,地ち域いきの憩いこい場のような感覚でワイジェイオートに集まってくれたらいいなと思いながら活動をしています。
特に,子どもに対しては強い思いを持っています。私わたし自身がふたりの子どもを持つ父親だからというのもあるのですが,なんとなくモヤモヤしている思春期の子たちや,寂さびしい子,構かまってほしいと感じている子どもたちの居い場ば所しょを作ってあげたい。溜たまった気持ちを吐はき出だせるような場所を提てい供きょうしたいという思いがあるのです。地ち域いきの子どもがここに集まり健すこやかに育ち,そしていつか「ワイジェイオートで車を買いたいなあ」と思ってくれたら,これほどうれしいことはありません。
人とのつながりを積み上げることによって得えられる情じょう報ほうと信しん頼らいは,決してお金で買うことができない財ざい産さんです。仕事にもよい効こう果かをもたらします。だから私わたしは,地ち域いきでのコミュニティ活動をライフワークとして大切にしているのです。

お客さまの都合に合わせて,フットワーク軽く対たい応おうする

お客さまの都合に合わせて,フットワーク軽く対応する

仕事をしていて大変だと感じるのが「時間が読めないところ」です。ワイジェイオートでは,決まった営えい業ぎょう時間を設もうけずにサービスを提てい供きょうしています。夜9時にお客さまに「車の相談がしたい」と呼よばれることもありますし,お正月に「車が故こ障しょうしたので急いで修しゅう理りを頼たのみたい」と連れん絡らくが来ることもあります。こうした依い頼らいにできる限かぎり対たい応おうするようにしているため,なかなか予定が立てられないのです。
「だったら,営えい業ぎょう時間を決めてしまえばいいんじゃない?」,そう思う人もいるかもしれませんが,それでは,この世界で生き残ることは難むずかしいと考えています。私わたしたちのお客さまは,大手の自動車ディーラーでは実じつ現げんできないような,安あん価かで,小回りの利きくサービスを求めていらっしゃる方がほとんどです。「いつでもフットワーク軽く対たい応おうしてくれる,地元の,信しん頼らいできる自動車会社」だからこそ,ワイジェイオートを選んでくださっているのだと思うのです。
その期待に応こたえるためにも,できるだけお客さまに合わせて動きたいと思っています。大変と言えば大変ですが,一方で,お客さまが喜よろこんでくださったときは何物にも代えがたい喜よろこびを感じます。

父親との言い合いがきっかけで,自動車会社に就しゅう職しょくした

父親との言い合いがきっかけで,自動車会社に就職した

私わたしが車に興きょう味みを持ったのは,16歳さいぐらいのときのことでした。当時は,いい車を持っていると女じょ性せいにモテるという時代でしたから,モテたい,カッコつけたいという思いで車に興きょう味みを持つようになり,買った車をカスタマイズするようにもなりました。
車を仕事にしようと思ったのは20歳さいぐらいのときです。就しゅう職しょく活動もせずにのんびりしていたら,大手の自動車会社に勤つとめる父から「就しゅう職しょくはどうするんだ!」と詰つめ寄よられ,大げんかになってしまって。車が好きだったこともありますし,父を見返してやりたいという気持ちもあって,勢いきおいで「自動車会社に就しゅう職しょくしてやる!」。後日,通つう常じょうの就しゅう職しょく活動時期がとっくに終わった2月でしたが,自動車会社の本社に勝手に出向いて,突とつ然ぜん「面めん接せつしてほしい」と頼たのみこみ,これがきっかけで大手自動車会社に就しゅう職しょくすることになりました。
入社後は新車販はん売ばいの営えい業ぎょうを経けい験けんし,それから,中古車販はん売ばいの営えい業ぎょう部門へと異い動どうしました。異い動どうした当初は,「中古車販はん売ばいか。地味だな……」と,少し憂ゆう鬱うつな気持ちだったことを覚えています。ところが,やってみるととても楽しくて。自分の目め利ききでよい車を探さがし,そして提てい供きょうするということにやりがいと面おも白しろさを感じて,26歳さいのとき,早々に「独どく立りつしよう」と決意しました。勤つとめていた会社を退たい職しょくし,ワイジェイオートを立ち上げて,それから約20年間,自動車一ひと筋すじで仕事をしています。

将しょう来らいの夢ゆめは「社長になること」。変わり者だった子ども時代

将来の夢は「社長になること」。変わり者だった子ども時代

子どものころは「人と同じことが大だい嫌きらい」な変わり者でした。例えば,工作の時間に椅い子すを作ることになったのですが,私わたしだけ脚あしを短くしたり引き出しを付けてみたりして,「普ふ通つうじゃない椅い子す」を作ったことがありました。他にも,「校こう舎しゃを写生して」と言われたときに,校こう舎しゃだけでなく人を入れて絵を描かいてみたり,みんなで野球をやるとなったときに新しいルールを提てい案あんしたり。「青あお木き,ちょっと変だよね」「普ふ通つうじゃないよね」と言われることが多く,それが快かい感かんだったと記き憶おくしています。
「人と同じことが大だい嫌きらい」だと思うようになったのは,今思うと,祖そ母ぼの影えい響きょうが大きかったのではないかなと思います。幼おさないころから祖そ母ぼに「人と同じことをしていてはダメだよ」と言われて育ち,小学生のころには,「よし,人と違ちがう人生を歩んで一ひと旗はた揚あげるぞ」「将しょう来らいは社長になるぞ」という夢ゆめを持つようになりました。
それからは,タレント活動をしてみたり,イベントサークルをやってみたり……。中学・高校と,いろいろ模も索さくして,挫ざ折せつや回り道を経けい験けんし,気が付いたら昔の夢ゆめだった社長になって,現げん在ざいに至いたっています。 

「一いっ生しょう懸けん命めい」ではなく「一いっ所しょ懸けん命めい」。背せ伸のびせず,普ふ通つうにやっていってほしい

「一生懸命」ではなく「一所懸命」。背伸びせず,普通にやっていってほしい

私わたしは「一いっ生しょう懸けん命めい」という言葉が嫌きらいです。この言葉を見たり聞いたりすると,まるで「一生,命いのち懸がけで頑がん張ばり続けなさい」と言われているように感じてしまう。そんなことはできるわけがありません。ずっと頑がん張ばっていたらストレスが溜たまってしまうし,いつか張はり詰つめた糸が切れてしまうし,そのうちに壊こわれてしまいます。だから,「一いっ所しょ懸けん命めい」にやってほしい。一生,命いのち懸がけで頑がん張ばるのではなく,「ここだ」と思ったときに集中してやればいいのです(「一いっ所しょ懸けん命めい」は,もともとは「一所(一か所)の領りょう地ちを,命を懸かけて守る」という意味の言葉ですが,私わたしは「一所」を「ひとつところ」「ひとつのポイント」と解かい釈しゃくして,「一いっ所しょ懸けん命めい」という言葉を大切にしています)。無理に背せ伸のびをするのでなく,あくまで普ふ通つうに,ただひとつところに集中する。それで最後に笑え顔がおがあれば,それだけでいいんじゃないかなあと思っています。
よく地元の小中高校生が私わたしのところに「失しつ恋れんした」とか「部活でうまくいかない」とか相談に来るのですが,そういうときも,「一いっ生しょう懸けん命めい頑がん張ばっちゃったんでしょ。背せ伸のびしてきたんでしょ,無理してきたんでしょ。それが原げん因いんなんだよ」と話しています。だって,まだ足りない,もっと頑がん張ばらなきゃと自分を追おい詰つめても,苦しくなってストレスになるだけですよね。頑がん張ばらないで自分を信じて,今のまま,素すのままでいいんです。そして,頑がん張ばりすぎて悩なやんで辛つらい人に対しては,そういう人は自分がどうしていいかがわからなくなっているのだから,「大だい丈じょう夫ぶだから,頑がん張ばろう」ではなく,何度でも話を聞いてあげて,相手の気持ちになってアドバイスをすることが大事です。
人は肩かたの力を抜ぬいて自然体でいれば笑え顔がおになれる。そして,自分を好きになれる。笑え顔がおになると,周りに笑え顔がおの人が集まってきます。そうやって,みんなで幸せになると,よいことが生まれ,やがてよい社会になっていくのだと思います。

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取材・原稿作成:秋山 由香(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫