仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1938年 生まれ 出身地 東京都

青木(あおき) 昇(のぼる)
子供の頃の夢:
クラブ活動(中学校): 音楽部
仕事内容
税ぜい務むと会計の専せん門もん家かとして企き業ぎょうや個こ人じんの経けい営えいに関する相談に乗り,アドバイスする。
自己紹介
税ぜい理り士しですが,数字の計算をする仕事より,外出して人に会っ
て話す仕事の方が好きです。オフはひとりの時間を大切にしたいタイプで,趣しゅ味みは音楽鑑かん賞しょうです。クラシックや映えい画が音楽をよく聞きます。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2018年04月23日)時点のものです

課題を見つけ,一いっ緒しょに成長する

課題を見つけ,一緒に成長する

私わたしは税ぜい理り士しとして,東京都足立区で「青あお木き昇のぼる税ぜい理り士し事じ務む所しょ」という事じ務む所しょの所長を務つとめています。私わたしの他に所員は18人います。
税ぜい理り士しの仕事は,依い頼らいを受けた会社や個こ人じん事業の経けい営えい状じょう況きょうを確かく認にんしたり,収しゅう入にゅうや支し出しゅつ,納のう税ぜいに関する書類をまとめたりといった業ぎょう務むを通じて,その会社や事業がどうすれば成長できるかを分ぶん析せきし,経けい営えいの相談に乗ったりアドバイスしたりすることです。
みなさんの家でも,家か計けい簿ぼをつけているかもしれませんね。それと同じようなことを会社でもやっています。税ぜい理り士しは,その会社がつけた帳ちょう簿ぼをもとに,会社がどうしたらもっと利り益えきを出せるかをアドバイスします。その際さいに,会計や税ぜい金きんに関しての専せん門もん的てきな知ち識しきが必要になるのです。
私わたしの事じ務む所しょでは,200以上の会社と顧こ問もん契けい約やくを結んでおり,月に一度は担たん当とう者しゃが会社まで出向いて,前の月の経けい営えい状じょう況きょうをまとめた資し料りょうに目を通し,会社の経けい営えいにどのような変化があったのかを見ます。これが「月げつ次じ監かん査さ」と呼よばれる業ぎょう務むです。この月げつ次じ監かん査さを通して,無む駄だなお金を使っていないか,出た利り益えきをどう会社のために生かせばよいかといった,その会社の課題を見つけだしていきます。問題があれば一いっ緒しょに解かい決けつし,さらに会社を成長させるためにはどうすればいいかを一いっ緒しょに考えます。

直ちょく接せつ会って話すことを大切に

直接会って話すことを大切に

税ぜい理り士しであり事じ務む所しょの所長である私わたしの主な業ぎょう務むは,まず,所員たちからそれぞれが担たん当とうする会社についての報ほう告こくを受けて,問題がないか確かく認にんすることです。そして,気になる会社があれば,その会社を訪ほう問もんして相談に乗り,税ぜい務む上のアドバイスをします。このほか,契けい約やく先さきの会社に税ぜい務む署しょによる調ちょう査さが入るときには必ず立ち会います。この調ちょう査さは税ぜい金きんの申しん告こく漏もれや不正がないかといったことを調べる目的で国が行うのですが,状じょう況きょうを把は握あくしている私わたしが同席すれば,スムーズに進みます。
税ぜい理り士しというと,計算したり資し料りょうをまとめたりという室内の仕事をイメージする人もいるかもしれませんが,私わたしは一日の業ぎょう務むのうち,事じ務む所しょのなかで机つくえに座すわって仕事をするのは,時間にして3分の1程てい度どです。帳ちょう簿ぼ上の数字を見るだけでなく,お客さまのもとに出向いて直ちょく接せつお話しすることが大切だと考えているからです。
税ぜい理り士しが忙いそがしいのは,会社の決算がある時期です。決算というのは,一年に一度,収しゅう入にゅうや支し出しゅつを計算して,その一年間の利り益えきや損そん失しつを確かく定ていする業ぎょう務むのことです。会社によって決算の時期は異ことなりますが,12月や3月というところが多いため,準じゅん備びやとりまとめも含ふくめると,11月ごろから5月ごろまでは忙いそがしい時期が続きます。

数字だけではなく,人間も見る

数字だけではなく,人間も見る

お客さまの業ぎょう績せきが上がらないときは苦労します。私わたしの事じ務む所しょがおつきあいしているのは大きな経けい営えい基き盤ばんのない中小企き業ぎょうが多く,5年あったらそのうち3年は調子がよくても残りの2年は苦労する,といった会社がほとんどです。もし一度業ぎょう績せきが落ちてしまったら,一発逆ぎゃく転てんは難むずかしく,またコツコツと実じっ績せきを積み上げるしかありません。
そんな会社に,いかに事業を安定して継けい続ぞくしていただくか。そのためのアドバイスこそ,私わたしが一番大切にしている業ぎょう務むです。心がけているのは,会社の状じょう況きょうに合わせたアドバイスをすることと,数字だけではなく,経けい営えい者しゃの人となりを見ることです。会社の規き模ぼや業種によってアドバイスの内ない容ようが変わりますし,社長の性せい格かくによっても変わってきます。経けい営えい方ほう針しんを決めるのは最終的には人間ですから,よりよい方向に進むためには,相手と向き合う必要があります。数字を見る力だけではなく,人を見る目やコミュニケーション力が要求されるところです。

取引先も自分も幸せになれるのが魅み力りょく

取引先も自分も幸せになれるのが魅力

顧こ問もん契けい約やくを結んでいる会社が発はっ展てんし,利り益えきが上がれば,自分の仕事も評ひょう価かされ,事じ務む所しょの利り益えきにもなります。取引先の会社が順調なときは充じゅう実じつ感がありますし,私わたしも取引先も,お互たがいに幸せですよね。一方,取引先の会社が業ぎょう績せきを落としてしまったときに,いかに有ゆう効こうなアドバイスができるかどうかも,自分の腕うでの見せどころだと思っています。また,がんばって仕事をした結果,「青木さんなら間ま違ちがいない」と,契けい約やくしている会社から別の知り合いの会社を紹しょう介かいしていただけることもありますが,こうしたときはとてもうれしいです。
サポートしてくれる所員にも恵めぐまれました。ひとりで立ち上げた事じ務む所しょですが,今や所員は18名になりました。彼かれらは,所内で事じ務むの仕事をこなしたり,契けい約やく先さきの会社に出向いて月げつ次じ監かん査さを担たん当とうしたりしてくれています。なかには勤きん続ぞく40年という所員もいるんですよ。18名のうち税ぜい理り士しは私わたしを含ふくめて2名で,もうひとりはまだ若わかくキャリアも浅いものですから,これから私わたしの知ち識しきやノウハウを伝えていきたいと思います。

なんとなく始めた仕事が天てん職しょくに

なんとなく始めた仕事が天職に

税ぜい理り士しになるには,国家試験に合ごう格かくする必要があります。実は私わたしは,税ぜい理り士しの資し格かくを取得したときには税ぜい理り士しになるつもりはなかったんです。大学を卒業したあと,製せい造ぞう加工業の会社に就しゅう職しょくして営えい業ぎょうの仕事をしていたのですが,会社の方ほう針しんで税ぜい理り士しの資し格かくを取る必要がありました。それで,勉強して税ぜい理り士しの資し格かくを取ることにしたんです。仕事は忙いそがしかったのですが,休みの日や空いた時間に集中して勉強し,合ごう格かくできました。
その会社でやっていた仕事が楽しかったものですから,いずれは自分も独どく立りつして同じような事業を始めたいと思っていました。ところが,事じ情じょうがあってその会社を辞やめることになり,「そういえば税ぜい理り士しの資し格かくを持っていたな」と思い出し,税ぜい理り士し業を始めることになったんです。
どうしてもやりたかった仕事というわけではありませんから,事じ務む所しょを立ち上げて5年くらい経たったころ,税ぜい理り士しを辞やめて別の仕事に就つこうかと考えたこともありました。でも,あるお客さまに「青木さんが辞やめてしまったら,うちはどうしたらいいの?」と言われたんです。そんなふうに自分を必要としてくれる人がいるのか,それなら……と続けるうちに40年以上経たちました。かつての自分を思うと,なんだか不思議ですね。

現げん場ばを知る強みを生かして的てき確かくなアドバイスをする

現場を知る強みを生かして的確なアドバイスをする

私わたしがこれまでこの仕事を続けてこられたのは,「現げん場ばを知っている」という強みがあったからだと思っています。税ぜい理り士しになる人には,学生時代から志こころざしたり,税ぜい務む署しょに勤つとめたあとに事じ務む所しょを開いたりといった人が多いのですが,私わたしの場合は中小企き業ぎょうで働いた経けい験けんを持っていますから,中小企き業ぎょうがどんな悩なやみを抱かかえているのかよく知っているわけです。そのぶん的てき確かくなアドバイスができます。おかげでたくさんの会社から頼たよりにしてもらえるようになりました。長年おつきあいいただいた方のご子息が興おこした会社でお手伝いさせていただいたり,知り合いをご紹しょう介かいいただいたりして,いまや日本各地にお客さまがいます。
お客さまに選んでいただくために私わたしが大切にしている心こころ構がまえは,「お客さまにとって耳が痛いたいことであっても,言うべきことを言う勇気を持つ」ということです。はっきり,正直にお話しするほうが誠せい意いが伝わりますし,なにより,本当にその会社のことを考えていれば,お世辞を言ってごまかすようなことはできないはずですよね。きちんと仕事をしているからこそ,言うべきことを言えるわけです。

一生の宝たから物ものになった音楽と友

一生の宝物になった音楽と友

私わたしは第二次世界大戦が始まる前に生まれて,国民学校(今の小学校)に入ったのは戦争が終わった年です。なにもない時期ですから,将しょう来らいを夢ゆめ見みられるような環かん境きょうではなくて,まずは食べること,生きることに必死でした。
そんな少年時代を過すごしたあと,私わたしに大きな影えい響きょうを与あたえてくれたのは,音楽でした。きっかけは,高校に入ったときに先せん輩ぱいに誘さそわれて始めたバイオリンです。最初は先せん輩ぱいが怖こわくて無理をして続けていたのですが,そのうちに楽しくなってきて,みんなで文化祭で演えん奏そうしたのもいい思い出です。今はあまり楽器を弾ひく機会はないのですが,クラシックや映えい画が音楽のCDを聞くのがやすらぎの時間ですね。一いっ緒しょにバイオリンを始めた3人の同級生とは,その後もずっとつきあいが続いています。人生において親友と呼よべる仲間が3人もいるというのは,たいしたものではないかと自負しています。気のおけない友人と遊びにいったり,時間を忘わすれて語らったりすることは,人生の豊ゆたかさにつながるものです。

さまざまな経けい験けんを積んで,実りある人生を

さまざまな経験を積んで,実りある人生を

みなさんには,自分が好きだと思うことに,とことん興きょう味みを持って取り組んでほしいと思います。まず興きょう味みを持つことで,経けい験けんを積めるし,勉強もできる。結果として自分に向いていなければ別のことに取り組めばいいと思いますが,まず興きょう味みを持たなければ,向いているかどうかも判はん断だんできないのではないでしょうか。
私わたしも,高校時代には音楽に興きょう味みを持って,真しん剣けんに取り組みました。結果として仕事になったわけではありませんが,楽器を弾ひいたり,好きな曲を聴きいたりして過すごす豊ゆたかな時間と,生しょう涯がいの友人を得ることができました。
私わたしがこの年ねん齢れいになって感じるのは,人生においては,なにごとも経けい験けんが大切ということです。みなさんも,これからさまざまな経けい験けんをして,人生を実りあるものにしてもらえたらと思います。

ファンすべてを見る

(宮崎県 中1)
(神奈川県 中2)
(東京都 小6)
(兵庫県 中2)
(宮崎県 中1)
(千葉県 小6)
※ファン登録時の学年を表示しています

私のおすすめ本

司馬 遼太郎
江戸時代末期を舞台にした短編集です。この作者は人物の描き方が上手なのでよく読むのですが,この作品も,人間の正直さがよく表現されていて面白いです。

もっと知りたいこの仕事人

事務所ホームページ
取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫