仕事人

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神奈川県に関連のある仕事人
1973年 生まれ 出身地 神奈川県

石田(いしだ) 泰尚(やすなお)
子供の頃の夢: プロ野球選手
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
オーケストラのメンバーを束ね,音楽を届とどけることで聴きく人に感動を与あたえる。
自己紹介
休みの日はよく寝ねて,練習するときはする,きっちりとした性せい格かくです。テレビが好きで,録とりためておいた録画を見るのも楽しみのひとつです。
出身高校
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2017年09月08日)時点のものです

コンサートマスターはオーケストラのキャプテン

コンサートマスターはオーケストラのキャプテン

私わたしは神か奈な川がわフィルハーモニー管かん弦げん楽がく団だんでソロコンサートマスターを務つとめるだけでなく,ソロや弦げん楽がくアンサンブルなどでも演えん奏そうをしているヴァイオリニストです。オーケストラのなかでは,指し揮き者しゃが監かん督とくで,コンサートマスターはキャプテンのような役やく割わりを果たします。指し揮き者しゃの指し示じを私わたしが一番に感じ取り,察して,オーケストラの楽がく団だん員いん全員に伝えます。私わたしの場合は基き本ほん的てきに言葉ではなく,音楽で示しめして伝えるようにしています。
コンサートマスターはオーケストラのまとめ役です。指し揮き者しゃと楽がく団だん員いんの間に入り,常つねに全体を見み渡わたしています。そのため,ただ楽器を弾ひけばいいというものではなく,それ以外にも大事な役やく割わりがあるわけです。一方,ソロの場合は自分だけの責せき任にんなので,オーケストラよりも気楽かもしれません。どちらにしても聴ききに来たお客さんに喜んでいただくのが私わたしの仕事だと思っています。

舞ぶ台たいの上で音楽を楽しむ

舞台の上で音楽を楽しむ

コンサートマスターの仕事はいろいろありますが,例えば,オーケストラで初めて演えん奏そうする曲の楽がく譜ふに,指し示じや注意点などの情じょう報ほうを書きこむのも仕事のひとつです。私わたしがリハーサルの何週間か前に書きこみをして,それをそれぞれの首席奏そう者しゃ(または各パートのトップ奏そう者しゃ)が写します。特に秋からはコンサートが増ふえるので,大変です。オーケストラは指し揮き者しゃによって音楽のつくり方などが異ことなるので,指し揮き者しゃとリハーサル前に打ち合わせをしたり,指し揮き者しゃの思いを楽がく団だん員いんに伝えることも重要な役やく割わりです。
私わたしはコンサートがある日もいつもと変わりない時間に起きて,ホールには早めに入るようにしています。午前10時ごろに行って練習をして,午後3時ごろからリハーサルがあって,その後休きゅう憩けいをして,夜7時ごろから本番が始まります。私わたしは本番前の休きゅう憩けいでは,必ず少しでも寝ねるようにしています。もちろんコンサートがない日も,練習は欠かしません。
私わたしは本番前も本番も,ほとんど緊きん張ちょうはしません。変に緊きん張ちょうしてしまうとあっという間に本番が終わってしまうので,もったいないのです。「とにかく舞ぶ台たいの上で音楽を楽しもう」と思って演えん奏そうしています。

好きなことが仕事になって楽しい反面,つらいことも

好きなことが仕事になって楽しい反面,つらいことも

私わたしはヴァイオリンが好きで,それが仕事になっていて,最高な人生だと思っています。でも,本番が休みなく続いたり,移い動どうが多かったりで体力的にきつい日々が続くと,つらいと思うこともあります。「もう今日は弾ひきたくないな」と思ってしまう日もあります。私わたしの場合,仕事を頼たのまれると入るだけ入れてしまうというのもありますが,この忙いそがしさの中で自分のパフォーマンスがどのくらいできるのか,自分を試ためしている部分もあるのかもしれません。そのため,周りの人から驚おどろかれるような過か密みつスケジュールですが,私わたしは几き帳ちょう面めんなので練習は計画的にしています。
また,リハーサルや本番で,何となくしっくりこない時もつらいです。ソロの時は自分が悪いですし,オーケストラも全部自分の責せき任にんだからです。とはいえ,私わたしはあまり引きずらないタイプなので,すぐに切きり替かえて,次の本番こそはがんばろうと思うようにしていますね。

コンサートでお客さんとひとつになれたときはうれしい

コンサートでお客さんとひとつになれたときはうれしい

リサイタルでもソロでも舞ぶ台たいで弾ひいていて,プレーヤーとお客さんとがひとつになるような空気を感じられる時が年に何回かあります。それを感じた時は,「やっていてよかった」と本当にたまらなくうれしい気持ちになります。たまに,「あの時の本番はよかったな」と後から思い出すこともあるくらいです。舞ぶ台たいの上にいると会場の雰ふん囲い気きや,終わった後のお客さんの拍はく手しゅの質しつで,その日の演えん奏そうの満足度が本当によくわかります。
コンサートマスターとしては,楽がく団だん員いんから「石田がいるから安心だ」と思ってもらえていれば,うれしいですね。オーケストラは70人から80人の楽がく団だん員いんがいるので,その全員に好かれようとは思っていませんが,例え私わたしのことが好きではなくても,「石田は好きじゃないけど,まあついて行くか」と思ってもらえるようなコンサートマスターでありたいです。

大切なのは日々の練習

大切なのは日々の練習

いい演えん奏そうをするために大切にしているのは,やはり日々の練習です。練習あっての本番なので,練習をおろそかにしてしまうと絶ぜっ対たいに本番でいい演えん奏そうはできません。だからどんなに忙いそがしくても練習は大切にしています。時間が限かぎられていても,雑ざつにならず丁てい寧ねいに弾ひくようにしています。私わたしは長い時間練習するタイプではないので,休きゅう憩けいをしないで一気に3時間くらい練習をします。集中していると,もうこんなに経たったんだと思うくらい,あっという間に時間が過すぎてしまいます。
また,私わたしはオーケストラのなかでも,髪かみ型がたやファッションなど,誰だれにも真ま似ねできないような存そん在ざいでいたいと思っています。リハーサルの時に,「石田さんがコンサートマスターの席に座すわった瞬しゅん間かんにその場の雰ふん囲い気きが張はり詰つめたよ」と言われたことがあるのですが,「よし!」と思いましたね。そういう雰ふん囲い気きを普ふ段だんから狙ねらっているので,これは一番のほめ言葉なのです。

音大に入ったからには絶ぜっ対たいプロになると決めていた

音大に入ったからには絶対プロになると決めていた

私わたしはヴァイオリンを3歳さいから始めました。最初は弾ひいていて楽しかったのですが,中学生のころからは反はん抗こう期きで,「めんどくさいな」って言いながら続けていましたね。高校生の時に進路を決めるため,担たん任にんの先生とクラスメイトといっしょに音楽専せん門もんではない大学の見学に行ったのですが,やっぱり自分の居い場ば所しょはここじゃないと思って,その日のうちに「音大(音楽大学)に行かせてください」と親にお願いしました。
音大に行っても音楽で食べていける人は一ひと握にぎりですが,大学に入ったからには絶ぜっ対たいにプロになることを目標にしていました。ただ,コンサートマスターになるということは考えていませんでした。むしろ,なれるわけはないと思っていました。大学4年生の時に,新星日本交こう響きょう楽がく団だん(現げん在ざいの東京フィルハーモニー交こう響きょう楽がく団だん)から客きゃく演えんの依い頼らいの電話があって,「コンサートマスターの横で弾ひいてもらえますか?」と言われてびっくりしました。一番前で弾ひくわけだから,これは試ためされるのではないかとふと思ったんです。突とつ然ぜん私わたしにチャンスが巡めぐってきたわけです。
最終的に楽がく団だん員いんの投票でコンサートマスターのアシスタントとして入にゅう団だんできることになりました。その3年後にはコンサートマスターになり,今年で20年間,コンサートマスターを務つとめていることになります。これは本当に奇き跡せきだと思っていて,周りの方々に感かん謝しゃしています。

人前で何かをするのが小さいころから好きだった

人前で何かをするのが小さいころから好きだった

人前で何かをするというのが子どものころから好きでした。小学校の時も学芸会で主役を演えんじたり,独どく唱しょうしたり,運動会でも応おう援えん団だん長ちょうをしたりしていました。常つねに先頭に立っているので,その分,先生にはよく怒おこられていました。通つう信しん簿ぼには「落ち着きがない」と書かれていましたね。勉強は全然だめでしたが,音楽は得意でリコーダーはうまかったです。ヴァイオリンも最初は親にやらされている感じだったのですが,ジュニアオーケストラに所しょ属ぞくして,みんなで演えん奏そうする楽しさを知りました。夏に合宿があったので,みんなで夜よる遅おそくまで騒さわいだりするのも楽しかったです。
子どものころから,みんなで何かをつくり上げることが好きです。それは今の仕事にも繋つながっていると思います。学生のころも,とにかく目立つことが好きだったので,あるオーケストラに客きゃく演えんして演えん奏そうしていたら,事じ務む局きょくの方に「きみは後ろなのに目立ちすぎているんだよね」と言われたことがあります。この時に,自分は後ろで弾ひくタイプではないんだと気づきましたね。

何か好きなことを見つけたら続けてほしい

何か好きなことを見つけたら続けてほしい

私わたしがヴァイオリンを楽しいと思うようになったのは,楽がく譜ふを読めるようになった時です。何ごとも,最初はそんなに楽しくなくても,続けていくうちにコツをつかむ瞬しゅん間かんがあると思います。いろいろ挑ちょう戦せんすれば,必ず楽しいと思える何かを見つけられるはずです。それを見つけたらぜひ続けてみてください。
私わたしがヴァイオリンを続けられたのは,ほかにやりたいことが見つからなかったからというのもあります。プロ野球選手やサッカー選手になりたいと思っても,私わたしよりうまい人はいっぱいいたので,これは無理だとわかってしまったのです。でもヴァイオリンは,私わたしよりうまい人が周りにいなかったし,周りも私わたしがヴァイオリンを弾ひくというギャップにびっくりしていたので,それもちょっとうれしかったです。中・高校生の時に,友人たちが演えん奏そう会かいに来てくれると,みんなヴァイオリンを弾ひく私わたしを見て,「いつもと別人だ!」と言って驚おどろいていましたね。
好きなことが見つかって続けていくと,それが職しょく業ぎょうになる可か能のう性せいもありますよね。あと,周りの人とのつながりも大事にしてください。いざという時に必ず力になってくれますから。

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普段あまり本は読まないのですが,松本人志さんを尊敬していて,発売された本はすべて読んでいます。頭の回転が早い松本さんの頭の中を見ることができるようで,読んでいて納得することが多いです。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:横浜銀行