仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1992年 生まれ 出身地 東京都

松本(まつもと) 絵莉花(えりか)
子供の頃の夢: 小説家
クラブ活動(中学校): 演劇部
仕事内容
本を仕入れて,書店へ届ける。
自己紹介
食べることと犬が大好き。休日は,友達と映えい画がやカラオケに行くとが多いのですが,何もない日は飼かい犬いぬと遊んでいます。負まけず嫌ぎらいな性せい格かくです。

※このページに書いてある内容は取材日(2017年07月13日)時点のものです

全国の書店に,文庫の配本をする

全国の書店に,文庫の配本をする

私わたしが勤きん務むしているトーハンという会社は,出しゆつ版ぱん社しやと書店と読者を結ぶ出しゆつ版ぱん総そう合ごう商社です。「出しゆつ版ぱん総そう合ごう商社」と聞いても,なかなかピンと来ないかもしれませんが,出しゆつ版ぱん社しやから本を仕入れ,それを書店ごとに仕分け,届とどけることが私わたしたちの仕事です。その中でも私わたしは文庫を担たん当とうしています。
私わたしの主な仕事は大きく分けて2つあります。1つ目は配本という仕事で,出しゆつ版ぱん社しやから仕入れた本を書店に送るとき,どの書店に何部ずつ送るのかを決めています。2つ目は書店の店頭で行うフェアを企き画かくする仕事です。フェアに合わせて本を選定して,パネルなどを作って,店頭が華はなやかになるような企き画かくを考えます。フェアは,なかなか良さに気づいてもらえない本などをより多くの人に知ってもらったり,普ふ段だん別々の売場で売られている本をあるテーマに従したがって取とり揃そろえることで,本の新しい見方を提てい案あんしたりするために開かい催さいするものです。とてもいい本なのに売れていないものがあれば,カバーを変えてみることを提てい案あんするなど,本が売れるように工く夫ふうすることが目的です。
文庫は一冊さつの価か格かくが手て頃ごろな分,売れる量も配本の量も多いです。映えい画がやドラマ化などのタイミングで文庫化されることが多いので,テレビや新聞などのメディア情じよう報ほうを常つねにチェックするよう意い識しきしています。

配本は過か去このデータから見み極きわめる

配本は過去のデータから見極める

書店への配本は,本の内ない容ようや地ち域いき,書店の規き模ぼによって冊さつ数すうを決めます。例えば,北海道について書かれた本は,北海道の書店の方がより多く売れます。また,小学校が近くにある書店だったら小学生向けの児童書を多く置く必要があります。このように,本や書店の特とく徴ちようを踏ふまえて,この本だったらどこにあるのが一番売れるのだろうと考えながら,数を決めていきます。そのために,過か去こに似にたような本がどれくらい売れたか,データを元に割わり振ふっていきます。しかし,トラベルミステリー作家の西村京きよう太た郎ろうさんの本だったら,タイトルに駅名が入っているのとないのでは売れ行きが違ちがい,データだけではわからない本の知ち識しきが必要なこともあります。そのようなときは,出しゆつ版ぱん社しやや全国の営えい業ぎよう担たん当とう者しやに話を聞いて,配本を進めていくこともあります。
毎日午後に配本の締しめ切きりがありますので,8時半に出社して締しめ切きりまではデスクで配本の仕事をしています。締しめ切きり以い降こうは出しゆつ版ぱん社しやと打ち合わせをして,新しん刊かんや売れている本の情じよう報ほうを収しゆう集しゆうし,ドラマや映えい画がの原作の情じよう報ほうを共有することもあります。打ち合わせがないときは,資し料りよう作成をしたり,翌よく日じつの配本の準じゆん備びをしたり,新しい企き画かくを考えたりしています。

配本はさまざまなことを「調整」する仕事

配本はさまざまなことを「調整」する仕事

配本の仕事は別名で「調整」と呼よばれることがあります。出しゆつ版ぱん社しやと書店だけでなく,社内においても調整の役やく割わりを担になっています。見えないところで,いろいろな部ぶ署しよ間かんの調整をしなければならないのは,本当に大変です。フェアの開かい催さいが決まると,ポップと呼よばれる,店頭で商品の内ない容ようをアピールする紙でできた広告の内ない容ようについて出しゆつ版ぱん社しやと打ち合わせをしたり,社内の営えい業ぎよう担たん当とうに全国の書店に向けてフェアの案内をお願いしたり,フェアの時期によっては輸ゆ送そう量りようを調整したり,ポップのサイズが輸ゆ送そうに向いているのかチェックしたり,フェアにかかわること全てを調整する仕事なのです。多くの人の希望や都合が合わないと,その調整はさらに大変です。そのため,日ひ頃ごろからいろいろな人とコミュニケーションをとっておくことが求められる仕事だと思います。また,私わたしのミスが全国の書店に迷めい惑わくをかけることにつながりますので,常つねに責せき任にんとプレッシャーを感じています。今も先せん輩ぱいたちに教えてもらいながら,慎しん重ちように仕事を進めています。

全国の書店と大好きな本をフェアで共有できる

全国の書店と大好きな本をフェアで共有できる

昨年,初めて私わたしが主しゆ導どうしてフェアを企き画かくさせてもらう機会がありました。それも私わたしの大好きな作家の「原田マハ」さんの作品を集めたフェアです。早さつ速そくデザイナーさんにイラストを書いてもらい,ポップ作りから始めました。多くの人とスケジュールを調整するなど,大変なこともたくさんあったのですが,その分印象深い経けい験けんになりました。作家さんのフェアの場合,いろいろな出しゆつ版ぱん社しやの書しよ籍せきを置かせてもらう必要がありますので,各出しゆつ版ぱん社しやを訪ほう問もんするなど,同どう僚りようにも交こう渉しようを協力してもらいながら実じつ現げんしました。
このように全国の書店でいろいろなフェアをやってもらえるのは,仕事の魅み力りよくのひとつだと思っています。それこそ旅先で寄よった書店で,私わたしが手がけたフェアを見かけますと,遠く離はなれた場所でも,私わたしの企き画かくを店頭で展てん開かいしていただいているのだと感動してしまいます。フェアは基き本ほん的てきにはある程てい度どの期間を決めてやるものなのですが,期間が過すぎても原田マハフェアをやっていたという同どう僚りようからの報ほう告こくを聞いて,いいフェアが作れたのだとうれしかったです。また,商品やパネル,ポップを並ならべるという手間を掛かけて多くの書店がフェアを展てん開かいしてくれたということを本当にありがたく思いました。

1冊さつの本には,さまざまな人の思いが詰つまっている

1冊の本には,さまざまな人の思いが詰まっている

私わたしは入社して今年で3年目になるのですが,最初に配はい属ぞくされた今の部ぶ署しよで,指し導どう担たん当とうの先せん輩ぱいに言われた言葉が今も忘わすれられません。私わたしたちの仕事は,基き本ほん的てきにはデスクワークで,画面に配本の数を入力するのですが,その何げなく入力している「1」は,さまざまな人の思いが詰つまった「1冊さつ」なのだということは絶ぜつ対たいに忘わすれてはいけないと言われました。確たしかに,それは本を書いた作家さんや出しゆつ版ぱん社しやで本を作っている編へん集しゆう者しやの思いが詰つまっている「1」です。書店でも1冊さつの本の売り上げはわずかなものですが,本を探さがしている読者が来て,そのときにその1冊さつを用意できるかできないかで,書店自体の信しん頼らいにも関わります。何となく「1」と打ってしまいがちですが,その1冊さつをどこに送るのか,きちんと考えて決めなければいけないというのは常つねに考えています。

本のおもしろさを多くの人に伝える架かけ橋はしに

本のおもしろさを多くの人に伝える架け橋に

昔から本が好きだったというのがこの仕事を選んだ理由です。就しゆう職しよく活動をするとき,本に関係のある仕事に就つきたいと,いろいろ探さがしました。最初は本といえば出しゆつ版ぱん社しやだと思い,出しゆつ版ぱん社しやを受けていたのですが,面めん接せつでどんな本を作りたいのかと聞かれるたびに,何か違ちがうと感じてしまい,私わたしは本が作りたいわけではないと気づきました。どちらかというと,作られた本がすごく好きで,その本のよさをいろいろな人に知ってほしいという思いが強かったのです。それなら出しゆつ版ぱん社しやよりも,トーハンのような出しゆつ版ぱん総そう合ごう商社に入社して,たくさんの本を扱あつかえる方が本の楽しさを伝えられるのかなと思いました。
最近では,本を読む人が減へっているとよく言われています。実じつ際さいに私わたしもスマートフォンに気を取られて本を読めないときがあります。しかし,本を読むと,インターネットで検けん索さくするだけではわからない深い知ち識しきや思いがけない情じよう報ほうを得ることができます。特に小説を読むと,実じつ際さいには体験できないことに自分を重ねることで,想そう像ぞう力りよくを養うことができます。ふだん本を読んでいない人にも,本のおもしろさをうまく伝えるような架かけ橋はしになれたらと思っています。

演えん劇げき部ぶで学んだこと

演劇部で学んだこと

最近は仕事が忙いそがしくて本を読むことが減へっているのですが,子どもの頃ころは今よりずっとたくさん本を読んでいました。今もあのくらい本を読めたらいいなと思います。特に夏休みは月に50冊さつくらい児童書を読んでいたほどの読書家でした。また,本を読むだけでなく,文章を書くことも好きでした。作文をほめられて,文章を書いてほめられるのが楽しくて,小学生の頃ころの夢ゆめは小説家だったぐらいです。中学・高校時代は,書いた文章をみんなに読んでもらいたくて演えん劇げき部ぶに入り,脚きやく本ほんを編へん集しゆうしていました。演えん劇げきの脚きやく本ほんを書いて,練習するのは本当に楽しかったです。演えん劇げき部ぶでいろいろな人と一いつ緒しよに一つのお芝しば居いを作ったことは,今の仕事に生きていると感じます。配本の仕事は1人ではできません。周りの人からアイデアをもらって,それを仕事に落おとし込こんでいくことは,演えん劇げき部ぶの経けい験けんが役立っています。

それぞれの得意分野を持もち寄よることで,大きな仕事ができる

それぞれの得意分野を持ち寄ることで,大きな仕事ができる

私わたしは今まで,好きなことばかりやってきましたので,みなさんにも好きなことや得意なことを追い求めてほしいと思います。また,他の人も好きなことや得意なことができるよう,他の人の好きなことも同じように認みとめていってください。人間は一人では生きてはいけません。仕事においても,一人で完ぺきにこなすことは不ふ可か能のうです。いろいろな人が得意なことを持もち寄よることで,より大きな仕事ができるのです。他の人のアイデアや能のう力りよくをうらやましいと思うこともありますが,自分にしかできないことと,他の人にしかできないことを合わせて,大きなことができるようになります。だからこそ,自分の好きなことを伸のばしていってほしいです。
例えば私わたしの会社には,本に詳くわしい人やいろいろな書店を回るのが好きな人もいて,さまざまな経けい験けんからアドバイスやアイデアをくれます。仕事に限かぎらず,さまざまな場面で,視し点てんの違ちがいや好きなことの違ちがいを生かすことが大切だと思います。

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小野不由美
主人公の陽子がクラスの友達や親のことで悩む描写がリアルで,「自分のことを書かれているんじゃないか」と思ってしまうくらい感情移入しました。普通の女子高生が,異世界に放り出されて,出会った人々に裏切られて傷ついたり,助けられたりして強く成長していく様子に最後までどきどきさせられました。
取材・原稿作成:東京書籍株式会社