仕事人

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東京都に関連のある仕事人
1991年 生まれ 出身地 大阪府

大原(おおはら) 秀鎬(ひでたか)
子供の頃の夢: 警察官
クラブ活動(中学校): 野外活動部
仕事内容
カフェでスムージーのストック作りや、洗あらい物もの、テーブルの片かた付づけなどを行う。
自己紹介
明るく、好こう奇き心しん旺おう盛せいな性せい格かくです。休日は、食べ歩きをしたりカラオケに行ったりしています。食べ物や風景の写真を撮とることも好きです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年11月30日)時点のものです

カフェと花屋を併へい設せつしたお店で、カフェ店員として働く

カフェと花屋を併設したお店で、カフェ店員として働く

私わたしは、東京都渋しぶ谷や区くにある、カフェと花屋が併へい設せつされた「ローランズ原宿」というお店で働いています。私わたしが業ぎょう務むを担たん当とうしているカフェでは、看かん板ばんメニューのフルーツや野菜を使ったスムージーのほか、パンの上に具材を乗せたオープンサンドやスープ、ドライカレーやタコライスといったメニューを提てい供きょうしています。
ローランズの特とく徴ちょうの一つは、さまざまな障しょうがいがある人たちがスタッフとして働いているところです。私わたし自身にも「ADHD」という発達障しょうがいがあり、カッとなって怒おこってしまいやすかったり、順じゅん序じょ良よくものごとを進めることが苦手だったりするという特とく性せいがあります。お店では、こうした自分の特とく性せいと向き合い、ほかのスタッフに助けてもらったり協力し合ったりしながら、日々、仕事をしています。

調理前の準じゅん備びや洗あらい物ものなど、お店を支ささえる業ぎょう務むを担たん当とう

調理前の準備や洗い物など、お店を支える業務を担当

私わたしがカフェで担たん当とうしているのは、調理前の準じゅん備びのほか、料理の盛もり付つけ、お客さまが食事をした後のテーブルの片かた付づけや洗あらい物ものといった、バックヤードの仕事がメインです。中でも、スムージーに使うフルーツや野菜の重さを量はかって、一杯ぱい分ずつ袋ふくろに取り分けておく「ストック作り」は、大切な業ぎょう務むの一つです。その日のスムージーの売れ行きを見ながら、ストックが余あまりすぎたり足りなくなったりしないよう、数を考えながら作るようにしています。ほかにも、切り方を覚えた野菜やフルーツを切ったり、お店で提てい供きょうするドライカレーを温め直したりというふうに、調理の補ほ助じょを担たん当とうすることもあります。こうした作業は基き本ほん的てきにほかのスタッフと一いっ緒しょに行うことが多いですが、お店が忙いそがしいときには一人で行うこともあり、状じょう況きょうによって柔じゅう軟なんに対たい応おうしています。
カフェの営えい業ぎょう時間は11時半から18時までですが、私わたしはオープン前の10時半から入ったり12時から入ったりと、曜日によって出しゅっ勤きん時間や退たい勤きん時間が異ことなります。基き本ほんは6時間の勤きん務むで、うち休きゅう憩けいは1時間です。勤きん務むしているのは週に5日間で、今の休みは火曜日と日曜日です。
仕事に決まった順番はなく、お店の混こみ具合などによって、するべき仕事は変わります。たとえば、午前中に出しゅっ勤きんして、まだお店があまり混こんでいないときはスムージーのストック作りをしたり、足りない食材の買い出しに行ったりします。基き本ほん的てきに店長や上司から作業の指し示じはありますが、お店が忙いそがしいときはテーブルの片かた付づけや洗あらい物ものを優ゆう先せんするなど、様子を見ながら自分で判はん断だんして動くこともあります。

自身の特とく性せいとうまく付き合い、工く夫ふうをしながら仕事をする

自身の特性とうまく付き合い、工夫をしながら仕事をする

私わたしは障しょうがいの特とく性せいで、怒いかりの感かん情じょうをコントロールするのが苦手なところがあります。実は障しょうがいがあると診しん断だんを受けたのは今から5年前の2018年で、成人してからのことでした。子どものころから短気で、大声で怒ど鳴なったり暴あばれたりしてしまいやすかったのですが、歳としを重ねてもあまり改かい善ぜんせず、心配した両親のすすめで病院に行った結果、障しょうがいがあることがわかりました。これまでを振ふり返かえると自分でも思い当たることがあったため、診しん断だんされたときには「やっぱり」という思いでした。
今は、人前で怒いかりをコントロールできなくなることはほぼありませんが、小さなことでムッとしてしまうことはあります。しかし仕事を続ける中で、そうした自分の特とく性せいともうまく付き合えるようになってきました。たとえば誰だれかに話しかけて、相手の反はん応のうがあまり良くなかったときに、「タイミングが悪かったのかな」「疲つかれていてあまり機き嫌げんが良くないのかな」などと、相手の気持ちを考えられるようになりました。
また、障しょうがいの特とく性せいで、順じゅん序じょ良よくものごとを進めることも苦手です。作業の途と中ちゅうで、その後にしなくてはいけないことを忘わすれてしまったり、注意力が続かなかったりすることがあります。たとえば、テーブルを片かた付づけるときには、テーブルの上にあるものを下げるだけでなく、拭ふいて消しょう毒どくをしたり、イスを元の位置に戻もどしたりと、いくつもの作業を行わなければなりません。しかし、私わたしはたまに、作業がすべて終わっていないことを忘わすれて、別の作業に移うつってしまうことがあります。後からほかのスタッフに教えてもらって気づくこともありますが、テーブルを片かた付づけるときには、「ものをどかす、拭ふく、消しょう毒どくする」をセットで考えるなど、作業を一連の流れで覚えるようにして、自分なりに工く夫ふうしながら業ぎょう務むを行っています。

作業がうまくできたときに、やりがいや達成感がある

作業がうまくできたときに、やりがいや達成感がある

仕事の中でやりがいを感じるのは、作業が思い通りにできたときや、気を付けたいと思っていたことがうまくできたときです。たとえば、スムージーのストックを作っているときに、野菜やフルーツの分量を正しく量はかることができたり、ストックの在ざい庫こをちょうどよく調整できたりしたときには大きな達成感があります。また業ぎょう務むの中で、食材を買い出しに行ったときに、頼たのまれたものを忘わすれずに買うことができたときもうれしいです。
担たん当とうしている業ぎょう務むに少しずつ慣なれてきて、最近は料理の盛もり付つけも練習中です。いずれはお店で提てい供きょうする料理すべての盛もり付つけをマスターしたいと思っています。今は、休きゅう憩けい時間にスタッフが食べるドライカレーの盛もり付つけなどをさせてもらって、練習しているところです。見み栄ばえよくルーをかけてトッピングを乗せるのは難むずかしいですが、お客さまに提てい供きょうする料理の盛もり付つけも任まかせてもらえるよう、今後も練習を続けていきます。

忙いそがしいときでも、「あわてず落ち着いて対たい応おう」を大切に

忙しいときでも、「あわてず落ち着いて対応」を大切に

仕事をする上で大切にしているのは、常つねに落ち着いて行動することです。ローランズで仕事を始めたばかりのころは、お店が忙いそがしくなるとつい焦あせったり慌あわてたりしてしまい、ミスをしてしまうこともありました。しかし仕事に慣なれてきた今は、たとえば何かに迷まよったときも、自分で判はん断だんして進めるべきか、上司に確かく認にんしてから進めるべきかをその場で考え、冷静に行動できるようになりました。障しょうがいのあるスタッフが多く働くローランズでは、お店全体に相談しやすい雰ふん囲い気きがあるので、何か困こまったことがあったときには、上司やほかのメンバーと話すように心がけています。また、お店には私わたしのような発達障しょうがいだけでなく、身体障しょうがいや精せい神しん障しょうがいなど、さまざまな障しょうがいがある人が働いているので、場の空気を読みながら、相手の状じょう態たいに配はい慮りょしてコミュニケーションを取ることも意い識しきしています。

学生時代のボランティアや事業所で働いた経けい験けんから、カフェの仕事に興きょう味みを持った

学生時代のボランティアや事業所で働いた経験から、カフェの仕事に興味を持った

私わたしはローランズで働く前は、奈良県にある、「就しゅう労ろう継けい続ぞく支し援えんB型がた」の事業所で仕事をしていました。「就しゅう労ろう継けい続ぞく支し援えんB型がた事業所」というのは、障しょうがいのある人などが、雇こ用よう契けい約やくを結ばずに障しょうがいや体調などに合わせて自分のペースで働けるところです。そこで担たん当とうしていたのは、他の業者から請うけ負おった軽作業や、近きん隣りんの障しょうがい者しゃ施し設せつで出される給食を用意する仕事です。メインは給食の仕事で、テーブルの片かた付づけや配はい膳ぜんなどを行っていました。
ローランズで働くきっかけになったのは、父親の古い知人が、「自立した生活を送るためにも、もっとお給料の高いところで働いたらどうか」と提てい案あんしてくれ、知り合いを通じてローランズの代表を紹しょう介かいしてくれたことです。私わたしがそれまで働いていた就しゅう労ろう継けい続ぞく支し援えんB型がたの事業所は、雇こ用よう契けい約やくではなかったため、もらえるのはお小こ遣づかい程てい度どの金きん額がくでしたが、ローランズは「就しゅう労ろう継けい続ぞく支し援えんA型がた」の事業所で、雇こ用よう契けい約やくを結び、お給料をもらって働くことができます。紹しょう介かいしてもらった後、オンラインで面談をさせてもらえることになり、実じっ際さいにお店で実習も受けられることになりました。そのときに、カフェ部門と花屋部門のどちらで働きたいかを聞かれ、私わたしはカフェを選びました。その理由は、事業所で給食の配はい膳ぜんをした経けい験けんや、学生時代にカフェでボランティアをした経けい験けんがあり、カフェの仕事に興きょう味みを持っていたことと、ローランズのメニューを見て「おいしそうだな」と惹ひかれたからでした。実習のときはとても緊きん張ちょうしましたが、お店の雰ふん囲い気きも良く、働いてみたい気持ちはますます強くなり、ローランズで働くことを決めました。
2022年の春にそれまで住んでいた奈良県を出て働き始め、現げん在ざいに至いたります。今は、奈良県の事業所で働いていたときと比くらべると自由に使えるお金が増ふえました。一人暮ぐらしも始めることができ、生活にかかるお金と趣しゅ味みに使うお金とのバランスを考えるなど、自分でお金の管理をするようになって、生活も大きく変化しました。

オーストラリア留りゅう学がくで多様な考えを持つ人々に出会えた

オーストラリア留学で多様な考えを持つ人々に出会えた

私わたしは子どものころから好こう奇き心しん旺おう盛せいで、いろいろなことに興きょう味みを持つタイプでした。将しょう来らいなりたい職しょく業ぎょうも、警けい察さつ官かんや板前、タクシーの運転手など、たくさんありました。また、中学時代は主に山登りを行う「野外活動部」に所しょ属ぞくしていて、身体を動かすことも好きでした。山のふもとにある学校に通っていたので、放課後に山登りをしたり、休みの日には県内の山に行ったり、わりとアクティブに過すごしていたと思います。
しかし昔から、怒おこりやすかったりする特とく性せいもあって、人間関係に悩なやまされることもありました。仲良くなれる人もいる一方で、自分と相あい性しょうがあまり良くない相手とコミュニケーションを取ることが非ひ常じょうに苦手で、時には言い方を間ま違ちがえて相手を怒おこらせてしまい、相手から喧けん嘩かを吹ふっ掛かけられることもありました。そんな中、短大卒業後に、オーストラリアへ留りゅう学がくしたことが一つの転機になりました。
留りゅう学がくしたきっかけは、進路を迷まよっていた時期に、父親に相談したら「海外に行ってみたら?」と言われたことでした。行き先には、高校の修しゅう学がく旅行先でなじみのあったオーストラリアを選び、まずは旅行がてら家族で訪おとずれて、通いたい語学学校を現げん地ちで探さがしました。留りゅう学がくを始めたのは、その1か月後くらいからです。途と中ちゅうで帰国したこともありますが、合計3年ほど、オーストラリアで過すごしました。通っていた語学学校には、韓かん国こく、フランス、イタリア、スイス、スペイン、ドイツなど、多様なルーツを持つ学生たちがいました。そこで出会った人たちのさまざまな考えに触ふれ、日本にいたときよりもうまくコミュニケーションを取って仲良くなることができました。この経けい験けんは、人間関係を考える上でも大きな経けい験けんになったと思います。

配はい慮りょしてほしいことを素す直なおに伝えることも大切

配慮してほしいことを素直に伝えることも大切

今、みなさんの中で人間関係に悩なやんでいる方がいたら、「ふとした瞬しゅん間かんに改かい善ぜんされることもあるよ」と伝えたいです。私わたし自身、苦手だと思っていた人に対して「こんな素す敵てきな一面があったんだ」と思える瞬しゅん間かんが訪おとずれたことが、これまでに何度もありました。人のことを第だい一いち印いん象しょうで決めつけるのではなく、別の角度から見てみたり、自分の捉とらえ方かたを変えてみたりすることも大切だと思います。
また、何らかの障しょうがいがある方に伝えたいのは、自分の特とく性せいや配はい慮りょしてほしいことを周しゅう囲いに素す直なおに伝えてほしいということです。「障しょうがいがあるから配はい慮りょしてほしい」と伝えることは決して甘あまえではありません。周しゅう囲いとうまくやっていくために自分から働きかけていくことが、お互たがいを理り解かいし合うことにもつながると思います。

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取材・原稿作成:渡部 彩香(Playce)・土居 りさ子(Playce)・東京書籍株式会社/撮影:厚地 健太郎