仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1983年 生まれ 出身地 東京都

佐々木(ささき) 巧(たくみ)
子供の頃の夢: 大工
クラブ活動(中学校): 陸上部
仕事内容
山から伐きり出されてきた原木を,品ひん質しつや大きさごとに並ならべて売る。
自己紹介
原木市場で働き始めて11年,趣しゅ味みはボランティア活動で,林業体験のお手伝いや,知的障しょうがい者しゃの方のお手伝いをしています。仕事もボランティアも,自分なりに日々勉強と思って,がんばっています。

※このページに書いてある内容は取材日(2017年11月02日)時点のものです

原木が売り買いされる市場

原木が売り買いされる市場

私わたしは,東京都西にし多た摩ま郡ぐん日の出町にある原木市場「多た摩ま木材センター」で働いています。「魚市場」では魚が売り買いされるように,「原木市場」では,山で伐ばっ採さいされた原木が売り買いされます。私わたしが働いている多た摩ま木材センターは,東京都で唯ゆい一いつの原木市場です。多た摩ま木材センターで売買されるのはスギやヒノキが主で,取り引きされる量の約9割わりはスギとヒノキが占しめます。その他に,モミ,マツ,サワラ,ナラ,カラマツなども扱あつかっています。
この市場では,毎月2回,原木が売り買いされる市が開かれます。市の日は,原木を買いに来た製せい材ざい業者の人たちで「せり」を行います。せりでは,仕分けされた木の「はい」(木をまとめてピラミッド状じょうに積んだ山)ごとに,一番高い値ね段だんをつけた人が,原木を買うことができます。1回の市では,約6000本くらいの原木が,取り引きされています。

原木の価か値ちごとに並ならべて,売る

原木の価値ごとに並べて,売る

山で伐ばっ採さいされた原木は,トラックで原木市場に運ばれてきます。市場では,まず荷台に積まれた原木を下ろす「荷下ろし」の作業をします。次に,原木の種類や価か値ち,長さや太さごとに原木を仕分けします。仕分けされた原木は,ピラミッド型に積んでいきます。このピラミッド型に積まれた山を「はい」と呼よび,山に積んでいく作業は「はい積み」といいます。
原木を仕分ける際さい,まずはホイルローダーという大きな作業車で大まかに仕分けをし,さらにフォークリフトで細かく仕分けをして,積んでいきます。このときには,原木がまっすぐか曲がっているか,傷きずや腐くさりがないか,など,品ひん質しつをさらに細かく調べながら,原木を積んでいきます。
せりで買い手の決まった原木は,置き場に運んでおきます。そして,せり落とした業者が原木を引き取りに来たら,私わたしたちがトラックに積つみ込こみます。その「積つみ込こみ」までの作業が,私わたしたちの仕事です。

ホイルローダーに乗って作業をする

ホイルローダーに乗って作業をする

仕事は,朝の8時から,夕方の5時まで行います。作業を始める前には,毎朝必ず,みんなでミーティングを行います。その日1日の予定をあらかじめ立てて,それぞれが作業車に乗りこんで,作業を開始します。
現げん在ざい,市場の現げん場ば作業は6名で担たん当とうしており,私わたしは主に,ホイルローダーの作業を担たん当とうしています。市場で使われているホイルローダーには,クレーンの先に丸太をつかむための部品がついていて,これで原木をつかんで,荷下ろしや積つみ込こみを行います。また,場合によっては,私わたしがフォークリフトで作業することもあります。
仕事が忙いそがしくなるのは,秋から冬にかけての間です。木は,ある程てい度ど乾かん燥そうしている時期の方が,品ひん質しつの良いものになります。そのため,秋から冬に切られた原木の方が,人気があり,この時期に伐ばっ採さいをすることが多いんです。
また,市の日が近くなると,やはり仕事は多くなりますが,あまり遅おそくまでは働かないようにしています。なぜなら,陽ひのある明るい時間帯でないと,木の善よし悪あしの判はん断だんが,難むずかしくなってしまうからです。事じ故こが起こらないようにするためにも,なるべく陽ひのあるうちに,仕事を終えるようにしています。

雪で仕事が止まってしまうこともある

雪で仕事が止まってしまうこともある

毎日,外で仕事をしているので,天気には影えい響きょうされますね。多た摩ま木材センターは山から近い場所にあるので,冬はとても寒く,大雪が降ふることもあります。雪が積もれば,現げん場ばの職しょく員いん全員で,除じょ雪せつ作業をします。フォークリフトに,余あまった丸太を1本乗せて,雪を押おしていく作業を,手分けして行います。そもそも,大雪が降ふると,山での伐ばっ採さい作業もできなくなってしまい,市場に原木が届とどかなくなって,私わたしたちの仕事が止まってしまうこともあります。
また,市場には毎日,トラックなどの大型車両が行き来します。そのため,原木とトラックがぶつかったり,トラック同士が接せっ触しょくしないように,職しょく員いん全員が声かけをして,注意して作業を進めるようにしています。ホイルローダーでつかんだ原木が風であおられたりすることもあるので,安全にはいつも気をつかっています。

見ばえよく木を並ならべる

見ばえよく木を並べる

市に来るお客さんに見やすいように原木を並ならべることが大切ですが,木は丸いので積むと崩くずれやすく,きれいに三角形の形に積むためには,技ぎ術じゅつが必要です。細い原木は並ならべるのが難むずかしくて,雑ざつに扱あつかうと,折れてしまうこともあります。また,太い原木は,市で高い値ね段だんがつくことが多いので,例えばフォークリフトで原木を刺さしてしまうようなミスをしないよう,特に気をつけています。積みづらい木をうまく積めたときには「よし!」と心の中で思いますね。
市に出された木は,平へい均きんしてスギなら1立方メートルあたり1万円,ヒノキだと2万円くらいで,取り引きされます。取り引きされた金きん額がくに応おうじて,手数料が市場に入ります。最近では原木の値ね段だんが下がっていますが,市に出した木が高く売れれば,私わたしたち市場にとってだけでなく,森を育てる人たちにとっても,いいことなんです。なぜなら,木が高く売れれば,そのお金をつかって,また新たに,山に木を植えて,育てることができるからです。私わたし自身,東京の森を次の世代まで残していければと思っていますし,そのためにも,少しでも高い値ね段だんがつくように,見ばえよく木を並ならべられるように心がけています。

ボランティア活動が原木市場での仕事につながった

ボランティア活動が原木市場での仕事につながった

私わたしは高校生のときから,ボランティア活動をしていました。校内のボランティアサークルの顧こ問もんをしている先生に誘さそわれて,軽い気持ちで参加してみたのがきっかけです。農家で田植えを手伝ったり,障しょうがい者しゃの方の買い物を手伝ったりするうち,人に必要とされたり感かん謝しゃされたりすることがうれしくて,活動を続けるようになりました。
その活動の中で,田中林業株かぶ式しき会社の田中惣そう次じさんという林業家が主しゅ催さいする林業体験に,ボランティアスタッフとして参加するようになったんです。この活動を続けているうちに,自然と,林業や山に親しみを持ちはじめました。
高校を卒業してから専せん門もん学校で食品開発を学んだ後,食品工場に就しゅう職しょくしました。その後,退たい職しょくして地元に帰ってきた後は,福ふく祉し施し設せつで働きながらも,ボランティア活動は続けていました。そんなとき,林業体験を主しゅ催さいしている田中惣そう次じさんから,多た摩ま木材センターでの仕事を紹しょう介かいしてもらい,運良く23歳さいのときに,原木市場で働きはじめることができたんです。多た摩ま木材センターではちょうど人手が足りなくなり,人員を探さがしていたところでした。私わたし自身,林業体験のボランティアを通して「森や林業の助けになれれば」と感じていたので,原木市場の仕事をすることに決めたんです。

近所の林が遊び場だった

近所の林が遊び場だった

私わたしは小さいころから,のんびりした性せい格かくでした。口数の多い方ではなくて,おとなしめな子どもだったと思います。それでも,家の中で遊ぶよりは,友だちと外で遊ぶ方が好きでしたね。東京都の西にし多た摩まに住んでいたのですが,東京の中でも自然が豊ゆたかな場所だったので,近所の林が遊び場でした。かくれんぼをしたり,クワガタやカブトムシを捕とったり,そんな毎日を過すごしていましたね。
中学生のときには陸上部に入り,高校に進学してからも続けていました。400メートルまでの短たん距きょ離り走が専せん門もんでした。部活で鍛きたえたおかげか,いまでも体力には自信がありますよ。また,ボランティアサークルの活動は,陸上部の活動と並へい行こうして行っていました。平日は陸上部,毎週ではありませんが土日にはボランティアサークルの活動,という感じです。ボランティア活動を通してさまざまな人に出会うことができましたし,やりがいも感じることができました。いまでも,原木市場で働きながら,ボランティア活動は続けています。

いろいろなことにチャレンジしてみよう

いろいろなことにチャレンジしてみよう

子どものころからなりたいと思っている職しょく業ぎょうにつければ一番ですが,途と中ちゅうで将しょう来らいの道に,迷まようこともあるかもしれません。また,なりたい職しょく業ぎょうや,やりたいことが,なかなか見つからないこともあるかもしれません。そんなときは,今いるところが新たなスタートだと思って,がんばることが大事です。
私わたし自身,専せん門もん学校を卒業してから,食品工場で働いたり,福ふく祉しの仕事をしたり,さまざまなチャレンジをしてきました。そして,ボランティア活動をしている中での出会いが,現げん在ざいの仕事につながりました。多くの人たちと出会いながら,つながっていって,いまの自分があります。いま目の前にある何かに夢む中ちゅうになれたら,きっとそれが将しょう来らいにつながると思います。そのためにも,みなさんもぜひ,いろいろなことにチャレンジしてみてください。
また,私わたしが,森に関わるボランティアや仕事をするようになって気づいたことは,森には,多くの人の手が入っているということです。勝手に成長しているように見える森や山も,実じっ際さいには,多くの人たちが協力をして,育てているんです。だから,みなさんも,山や森や自然に関心を持って,大切にしてほしいです。そして,多くの人たちが協力して,自然環かん境きょうを守っているということを,忘わすれないでほしいですね。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:株式会社ファミリーマート,林野庁,NPO法人 共存の森ネットワーク