仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

大分県に関連のある仕事人
1988年 生まれ 出身地 東京都
山田やまだ 小百合さゆり
子供の頃の夢: ケーキ屋さん、学校の先生、ファッションデザイナー、マスコミ業
クラブ活動(中学校): ソフトボール部
仕事内容
多様な人々ひとびとが共に活動する場の支援しえん
自己紹介
よく食べよくみよくる。文章を書くのが好き。時間があれば古着屋さんめぐりをしたり、日本映画えいがを観に行ったりしています。
出身大学・専門学校
日本女子大学 家政学部家政経済学科
東京大学大学院 学際情報学府修士課程

※このページに書いてある内容は取材日(2015年12月01日)時点のものです

障害しょうがいのある人もない人も「ともに」活動する場

障害のある人もない人も「ともに」活動する場

コラブルとは,障害しょうがいのある人とない人が「ともに」学んだり活動したりするプロジェクトを生みだしているNPO団体だんたい非営利ひえいり組織そしき)です。団体だんたいには職員しょくいんが2名と学生スタッフが数名おり,理事など合わせると10名前後所属しょぞくしています。このほかに,ボランティアがプロジェクトにおうじて参加してくれています。一緒いっしょにモノづくりをしたり話し合ったりする子ども向けのワークショップを開くことが多いのですが,大人向けに開くこともあります。ワークショップでは,例えば目の見える人と見えない人が一緒いっしょに何かを作ったり経験けいけんしたりすることで,おたがいが気づきを得る時間を共有します。ほかにも,地方自治体や企業きぎょうとワークショップを開催かいさいすることもあります。東京近郊きんこうでの活動が多いですね。

ワークショップが多い

ワークショップが多い

コラブルでは子ども向けワークショップを年間10本ほど企画きかくします。ワークショップは外部の人たちと企画きかくすることが多いので,準備じゅんびや打ち合わせ,当日お手伝いいただくボランティアにどう参加してもらうかなど考えたりします。創立そうりつ2年半のわか組織そしきなので,団体だんたい運営うんえいそのものについてもつねに考えなくてはなりません。立ち上げたばかりのベンチャー企業きぎょうのような感じかもしれませんね。出勤しゅっきん時間もはっきりと決まっていませんので,効率こうりつよく仕事ができるよう工夫しています。例えば,スタッフがオフィスの外や空き時間でできる仕事を割り振わりふる,などといった工夫です。活動は平日の日中が中心ですが,夜に連絡れんらくを取り合うこともあります。週末にワークショップやイベントを開催かいさいすることもあります。将来しょうらい勤務きんむ時間や働き方をより具体的に決めていきたいと考えていますし,それを自分たちで作れることが楽しさでもあると思っています。

成果の見えにくさに苦しい思いをする

成果の見えにくさに苦しい思いをする

やりたいことをやっている一方,株式会社かぶしきがいしゃなどとはことなり,お金ではない成果で自分たちの価値かちはかるので,成果の見えにくさに対して苦しい思いをすることがあります。いま行っていることが,だれにとって良いことで社会にとってどう役に立つのか,ジレンマを感じることもあります。やりたいことを実現じつげんさせるためには,さまざまな業務ぎょうむを自ら積極的にこなさなければならないこともあります。苦手な業務ぎょうむもありますし,試行錯誤さくごの連続です。また,団体だんたいを立ち上げたばかりのころは,ほぼ自分一人で業務ぎょうむを行っていたので,孤独こどくを感じたり悶々もんもんとしたりしました。現在げんざいは仲間もえたので,そういったことはあまりなくなりました。

参加者の変化がうれしい

参加者の変化がうれしい

参加者の変化が見られたときはいつも,とてもうれしいなと感じます。障害しょうがいのある子,ない子が一緒いっしょにモノづくりをするワークショップで,以前はほかのお友達と遊ぶことができなかった子が,今回は一緒いっしょに遊んでいるという小さな変化が見られることがあります。そして,子どもたちがうれしそうにしていると,保護者ほごしゃも自然に良い笑顔になります。そういう変化を追うことがわたしの楽しみの一つです。保護者ほごしゃから「こういう場がなかったのでとてもうれしいです」という言葉をかけてもらったとき,この活動をもっともっと続けたいと強く思います。また,ボランティアの人たちが,障害しょうがいのある子もない子も「ともに」学ぶことができると感じてくれたときや,ぎゃくに,むずかしさを感じて懸命けんめいに考えてくれるとき,自分の仲間ができたようでうれしいですね。

つねに学ぶということが大切

常に学ぶということが大切

コラブルで活動を行う上で大切なのは,つねに学ぶということです。よく仲間にも言っています。ワークショップや日々ひびの活動の中で,子どもたちだけでなく,自分自身が新しく得る経験けいけんや学びがあるはずです。そうした学びが何につながるか気づくためにも,活動の振り返ふりかえりを重視じゅうししています。かえらずになんとなくごしてしまうと次の活動につながらなくなるので,落ち着いてきちんと自分の心と向き合い,言葉にしてかえってみてほしいですね。活動をしている最中には気づかなかったことにも気づき,自身の成長も感じられ,自信につながるのではないでしょうか。

まわりの人たちに背中せなかされて

まわりの人たちに背中を押されて

障害しょうがいのある子もない子も,同じ場所で活動し,それがおもしろくなれば新たな何かを発見できるのではないか」というテーマで研究したいと思い,大学院に進学しました。その後の進路を決めるときに,NPO法人を立ち上げてはどうかと背中せなかしてくれたのが,わたし指導しどう教員でした。そのときは選択肢せんたくしの一つかなとは思いつつも,すぐに自分でNPO法人を立ち上げることは考えていませんでした。一方で,企業きぎょうへの就職しゅうしょく似合にあわないと友人などに言われていたので,NPO法人を立ち上げることを相談したときは,ほとんどの人が「やってみるといい」と言ってくれました。不安はありましたが,応援おうえんしてくれる人がいるならば今やれることをやってみようと,思い切って一歩をしました。

不登校になった中学校時代

不登校になった中学校時代

小学校4年生のときに転校しました。転校前は普通ふつうに友達と遊んでいましたが,転校した後は,なぜか友達付き合いがうまくできなくなりました。中学になると少し不登校になった時期がありました。そのころ,いやな差別用語がはやったので,それがいやだと主張しゅちょうしました。しかし,先生が理解りかいしてくれなかったと感じ,学校や先生に対して不信感を持ってしまいました。一方で,学校現場げんばに「なぜ?」と興味きょうみを持つようにもなりました。また,高校2年での生徒会長の経験けいけんは,今の仕事に直接ちょくせつ役立っています。生徒会活動でなやんでいたとき,「学校は社会の縮図しゅくずで,学校を会社に例えるならば,生徒会長は職員室しょくいんしつと生徒をつなぐ中間管理しょくだ」とたとえ話をして,生徒会のあり方を考えさせてくれた先生がいました。その先生には読書の楽しさも教えていただいて,自分の知識ちしきを深めたり視野しやを広げたりすることができました。

まわりのことに疑問ぎもんを持ってほしい

まわりのことに疑問を持ってほしい

まわりのことにたくさん疑問ぎもんを持ってほしいです。わたしが進路を決めた過程かていでは,なんでこれが起こるのだろう,どうしてこうなるのだろうという疑問ぎもん次々つぎつぎとわいてきて,そこから興味きょうみ関心が広がりました。例えば,学校生活でおかしなことがあるなと思ったらおかしいと思っていいし,なぜおかしいのかを考えると今まで見えなかった世界が見えてきます。すると,新しい考え方が見えたり,視野しやが広がると感じたりするときが必ず来るので,つねにたくさん疑問ぎもんを持ってほしいですね。また,つらいときには我慢がまんせずに「げる」ことも良いことだと思います。「げる」ことはネガティブな印象を受けるかもしれませんが,げないでつらくなるぐらいなら「げる」ということも,一つのポジティブな選択肢せんたくしとしてとらえてほしいです。

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(著・編集)ジュリア・カセム、平井 康之、塩瀬 隆之、森下 静香/(著)水野大二郎 他9名   
障害のある人とない人がともに活動する場を作るための事例が複数載っています。服を作ってみるなど事例ベースで楽しく読めるので、いろいろな方に読んでいただきたいですね。福祉に興味のある方やデザインに興味のある方は、すぐに読み終えてしまうのではないでしょうか。
吉岡マコ
実際にNPOを作った方がどんな軌跡で作っていったかがわかる本。法人に至るまでのプロセスが丁寧に書かれていて、エピソードも充実しています。著者は、自身の経験を基にお母さんの産後ケアの活動をしていますが、社会貢献をしていくにはどうしたらいいかも書かれていて、とても興味深い内容です。

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取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社