日本財団

海・川の仕事人

りょうすいさんおろしうりぎょう〉の仕事

千葉県船橋市
おお かずひこさん
(株式会社 大傳丸/海光物産株式会社)

わたしは,とうきょうわんちゅうがたまきあみ漁という漁をしています。夏はおもにスズキ,冬にはコノシロ,サワラなどをとっています。この漁法では,2せきあみぶねが息を合わせて魚の群れの周りにあみを入れ,群れごとあみめてとります。わたしは,15人の乗組員を束ね,漁のをとる漁労長です。水中であみがふんわり広がるよう2せきあみぶねの動きを調整したり,あみの底をじて魚をめるタイミングを決めたり,重要なはんだんを下しています。

市場に出すまでに魚のせんを落とさないのも,りょうの仕事です。わたしはどの魚もていねいにあつかい,せんたもふうをしてきました。たとえば,スズキを生かしたまま港に持ち帰り,血とぼねしんけいいてめます。こうするとかくだんせんと味がよくなります。わたしは,とった魚のさいだいげんに引き出そうと,魚をはんばいするおろしうりがいしゃも作りました。ひと手間かけたこのスズキを売るえいぎょうもしますし,とった魚が少しでも高く売れるよう市場を選んで魚を送るなど,おろしうりがいしゃの社長としての仕事もしています。

今は「持続のうな漁業」に取り組んでいます。2018年に国内の「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」というにんしょうしゅとくし,げんざいは「MSCにんしょう」というこくさいにんしょうしゅとくちょうせん中です。きっかけは東京オリンピックです。世界の選手にとうきょうわんのスズキを食べてもらいたいと思ったのですが,にんしょうがないと選手にていきょうできないとわかりふんしました。しかし取り組むうちに「これはとうきょうわんで100年後も漁業を続けるための努力だ」と気づかされました。日々の漁の記録をつけて自分の漁の持続のうせいたしかめ,りょう仲間とげんを守るルールを作る勉強会を開くなど,次の世代にゆたかな海をわたせるようがんばっています。

助成:公益財団法人 日本財団
協力:NPO法人 共存の森ネットワーク,愛南漁業協同組合
取材・執筆:大浦 佳代/イラスト:友永 たろ,川島 星河,広野 りお