木は恐ろしい怪物やで、人間の倫理や理論を寄せ付けないものなんだよ。
造林手・新妻榮偉
自然にあるものが原点なんよ。これにかえらんといけん。
造林手(技物生産)・栗栖誠
やったことは最後までやりきらないと駄目だからね。
アツシ織り・萱野れい子
理屈
より
経験
だね。
機械集材・松嶋孝一
早う、早う来てくれんば。
十年以内に。
もう教える人がおらんけんな。
船大工・松岡亀松
人に任せていては、
本物が
わかるわけねえんだ。
太鼓づくり・三上千代蔵
目標を持って、焦らんようにのう。
ぼちぼち
お行きよ。
造林手・大森恒雄
木の喜ぶ
形を
知ってます?
大工・大坊健三
海は厳しいことなんてそんなこと言わん。「入れ」って言ってくれる。
海女・柳田のぶ
ひと部屋に
炭火ほてる
わが家かな
炭焼き・杉田泰一
74歳になるおじいちゃんが、こんなにもパワフルで、エネルギッシュで、目が生き生きしているとは知らなかった。一つのことに打ち込む姿は見ていてほれぼれした。
高等学校2年 A.H
名人の話を聞く中で日本の森の「悲鳴」が肌を伝わるように感じられました。
高等学校2年 T.S
「辛いことがいっぱいあっただよ」と話す名人の顔は優しさに充ちていました。
高等学校1年 A.H
「森」は生活の下地のようなものかもしれないと思った。意識するほど離れた存在ではない、ごく自然に暮らしとつながっている、そんな森の存在を感じました。
高等学校2年 M.K
人一人の中にこんなにも物語が溢れているのです。それは、当たり前のことかもしれません。しかし、特別なことだと思います。
教育学校4年 Y.G
私は知ることの面白さとともに、人が生きていることの奥行きのようなものを感じました。
高等学校2年 E.T
自分の目で見、耳で聞き、手で触れる事を等してこそ分かる事を大切にしていきたい。そうする事で身のまわりのあらゆる物・事が自分にとって“生きもん”に見えてくると思う。
高等学校1年 S.K
名人の話をまとめていくうちに、名人の伝えたいことが自分の伝えたいことなっていく感覚。これは、きっと聞き書きでしか感じることが出来ないと思います。
高等学校1年 S.I
研修で、「人生を一言で表してはいけない」と言われた。その言葉は私の心に響き、緻密に作り上げていくその人の人生を表す聞き書きの重さがわかった。
高等学校3年 M.Y
技術は技術だけで伝わっていくものではないと思います。必ずその裏には先人達の思いや英知がこめられていると思います。
高等学校2年 R.T
日本では古くから、森や川、海の自然を守り育て、その恵みを得る中で、自然と共生し、持続的に暮らす知恵や技を培ってきました。森で木の実やキノコ、山菜、動物をとり、海や川で魚をとる。木を使って暮らしの道具をつくり、炭や薪を燃料にする。草や木の繊維から糸を紡ぎ、布を織る。落ち葉をかいて田畑の肥料にする――。
しかし、1960年代の高度経済成長期を境に、その暮らしは大きく変わりしました。木でつくられていた道具はプラスチック製になり、炭や薪といった燃料は石油をはじめとした化石燃料へと代わっていきました。手入れのされなくなった森は荒廃し、人と自然の関わりが薄れていった結果、海や河川の汚染、洪水などの災害、生物多様性の減少といった環境問題が生じています。
「聞き書き甲子園」には、毎年全国から100人の高校生が参加します。高校生は、造林手、炭焼き職人、木地師、漁師、海女など、自然と関わるさまざまな職種の“名人”を訪ね、一対一で「聞き書き」をします。
「聞き書き」とは、話し手の言葉を録音し、一字一句すべてを書き起こしたのち、ひとつの文章にまとめる手法です。話し手の語り口でまとめられた文章からは、“名人”の人柄が浮かび上がり、参加高校生はこの「聞き書き」を通して、名人の知恵や技、そして生きざまやものの考え方を丸ごと受けとめ、学びます。
「僕らの仕事は、木が教えてくれるんです」
「森を育てるのは子供を育てるのと一緒」
「人生っちゅうのは一生勉強」
長い経験を経て生まれた名人の言葉を受け、高校生は自然と人の暮らしのつながりや、その後の将来を考えるようになったと語ります。
聞き書き甲子園実行委員会(農林水産省、文部科学省、環境省、公益社団法人国土緑化推進機構、公益社団法人全国漁港漁場協会、全国内水面漁業協同組合連合会、NPO法人共存の森ネットワーク)