1986年 生まれ 出身地 東京都

商標審査官
宮川 みやかわ はじめ
子供の頃の夢:中学校教師
クラブ活動(中学校):テニス部
仕事内容
お店で売られているものの「商品名」を守る。
自己紹介
好きな言葉は「ぶんりょう どう」。テニスと地理(旅行)が好きなアウトドア です。
出身高校
私立本郷高等学校
出身大学・専門学校
慶應義塾大学 商学部

※このページに書いてある内容は取材日(2017年12月18日)時点のものです

商標しんかんは,商品を売る人も買う人も守っている

商標審査官は,商品を売る人も買う人も守っている

わたしが働くとっきょ ちょうにはいろいろな仕事がありますが,わたし の仕事は「商標しんかん 」です。「商標」というのは商品の名前やマークを する仕組みです。商標しんかんは,この「商標」というけん しいというしんせい ないようしん して,本当にその人にけん あた えてよいかをチェックしています。
わたし たちの身のまわりにはたくさんの商品がありますよね。たとえば,飲み物には「三ツ矢サイダー」や「コカ・コーラ」など,名前ととくちょう のあるロゴマークがついています。でも,それとそっくりの名前やマークのついた商品がお店になら んでいたら,どれを買ったらよいかまよ ってしまうと思います。そんなことにならないよう,商標しん かんは,新たに商品名やマークを使いたいという人や会社に,本当にそのけん あた えてもよいかどうかをチェックするんです。もし, たような商品名やマークがすでに他の人のけん としてみとめられているときは,あとからしん せいしてきた人にはけんをあげることはできません。
新しく「商標」をみとめてほしいというしんせい は,とっきょ ちょうに毎日,何百けんとど きます。年間で13万けん以上にもなるしん せいを,約140人の商標しんかんが一つ一つ,しん しています。

せきにん が重いので勉強は欠かせない

責任が重いので勉強は欠かせない

あらゆる商品をしんするので,しん しつは食べ物関係,機械関係,ざっ関係など,分野別にわかれています。しん かんせき にんの重い仕事なので,自分がたん とうする分野のことを,ふだんから勉強しておかなければなりません。
たとえば,うんどうぐつ しんせいひん の名前とマークをしん するとします。そのときはまず,たような名前やマークのうん どうぐつはないか,パソコンでとっきょちょう にあるデータを調べます。マークについては,そのマークの読み方,見た目,意味合いといった観点からしん します。そこで た名前やマークが見つからなくても,気になるなと思ったら,スポーツやファッション関係のざっ や新聞を見たり,自分の足でデパートのくつ 売り場やくつ さんに行ったりして,ていねいに調べる必要があります。そっくりの名前の商品がすでにあるのに,別の会社のしん せいみと めてしまったら,会社同士の争いにまではってん してしまうこともあるからです。また,うんどう ぐつに「うんどうぐつ」といったいっ ぱんてきめい を名前としてつけたり,「はきやすいくつ 」といった,ひんしつ を表す言葉を名前としてつけるのも,商標としてはみと められません。だれでも他の商品と区別できるような名前でないと,買う人が商品を選ぶときにこま ってしまうからです。

自分がしん した商標を,街の中やCMで見られる

自分が審査した商標を,街の中やCMで見られる

わたし自身がしん をした商標を,街のスーパーマーケットやCMなどで見ることができたときは,仕事のやりがいを感じますね。以前,四国のなお しまという観光地のおんせんせつ の商標のしんたん とう したことがあるのですが,その後,旅行に行って実物を見たときはうれしかったです。「これは自分がしん したんだ」と家族にも まんできます。
また,しんした商標は,とっ きょちょうの「こう ほう」により,「しんかん  宮川元」と自分の名前入りで外部に公表されます。自分の仕事の成果がそのような形で残るのも,うれしいことです。でも,それだけせきにんも重いということです。しん をしていて「この名前とマークは,ほかの商品と区別できるだろうか」と まようこともありますが,そんなときは,ほかのしんかんたちと相談しながら,しん ちょうはんだん するようにしています。

つねに向上心を持ち,日々,勉強する

常に向上心を持ち,日々,勉強する

仕事ではつねに向上心を持って,せんもん せいを高めるため,日々,勉強することを心がけています。一つは自分のたん とう する分野で,どんなものやどんな言葉が流行しているかを知っておくことです。その業界の新聞やざっ を読んだり,その売り場をチェックしに行ったりするようにしています。
もう一つ,ひんぱんに改正される商標のせい ほうりつ の勉強もしなくてはなりません。たとえば,2015年4月1日から,音の商標もしんせいできるようになりました。その結果,胃腸薬のCMに使われているラッパの音などがけん としてみとめられています。ぎょうの広告せん りゃくの変化やけいざい の動向を勉強していないと,ほうりつ 改正の かいすることはできないので,はばひろい勉強が必要になります。また,わたし たちは各都道府県で開かれるぎょう 向けの商標せいの説明会にこうとして行くこともあり, ぎょうたんとう しゃの方に,わかりやすい言葉で伝えるためにも,日々勉強が必要です。
また,わたしにはしょうらい てきに学校で商標のことを教えたいというゆめ があるので,商標のことなら何を聞かれてもわかりやすく説明できるようにしておきたいと思っています。

きっかけは大学のじゅぎょう

きっかけは大学の授業

わたしがこの仕事を選んだきっかけは,大学2年生のとき,商学部のじゅ ぎょうとっきょ ちょう出身の方が来て,とっ きょちょう の仕事について話してくれたことです。それまではとっきょ ちょうそんざい もよく知らず,商標しん かん という仕事があることは,まったく知りませんでした。話を聞くなかで,商学部で学んでいたけい えい関係のしき などが,商標というせい に大きくかかわるものだとわかりました。商標しん かんになれるのは年間数名で,さいようされてもげんそく 4年間の見習い期間が終わるまではひとり立ちできません。わたしは元々, せんもんせい の高い仕事をしたいと思っていたのですが,これは自分が求めていたせんもん せいの高い仕事だと思い, りょくを感じました。
商標しんかん になるには,まず国家こういん試験にごうかく しなければなりません。そこで,わたしは大学3年の春ごろから国家こう いん 試験のための勉強を始めました。試験にはほうりつ けいざいいっ ぱん教養もふく まれていますから,まんべんなく勉強しました。そして無事ごうかく し,とっきょ ちょうさいよう 試験にもごうかく することができ,晴れて商標しんかんへの道を歩みはじめることができました。もしあの日,きっかけとなったじゅ ぎょうを受けていなければ今の自分はいなかったと思うと,運命的なものを感じますね。

スポーツや先生がくれたもの

スポーツや先生がくれたもの

小学生のころは,体が弱く学校を休みがちでしたが,中学からテニスを始めて,身長もび,体もだいぶ じょうになりました。ラグビーやすも 観戦など,スポーツはするのも見るのも大好きです。わたし が通っていたりつほん ごう中学・高等学校は中高いっ かんの男子校で,ぶんりょうどう かかげていたので,思い切り体をぶつけ合ってスポーツをし,勉強にもはげ みました。もう一度,中学生にもど れると言われたら,同じ学校を選ぶと思うほど,楽しい思い出ばかりです。
学生時代のゆめは学校の先生でした。中学校のときのたんにん の先生が,文化祭での研究発表にこだわり,しっかりと物事を調べることを教えてくださったので,自分も先生のようなそん ざい になってみたいと思ったのがきっかけです。物事をじっくり調べ,自分の頭で考えるということは,いまわたし がしている商標しん の仕事にも必要なことなので,先生の教えは今も役に立っていると思います。

ちゅう になることが自分を成長させてくれる

夢中になることが自分を成長させてくれる

学校というところは,いろいろな考え方,いろいろなさいのう を持った人に出会える場所です。友だちや先生からいいえいきょう や,ときには悪いえいきょう も受け,その中で自分が成長するということが,学校での出会いの意味ではないかと思うのです。だから,学校では何事にも全力で取り組んで,ちゅうになれるものを見つけてほしいなと思います。
もし,商標しんかん という仕事にきょう を持ち,この仕事につきたいと思っている人がいたら,勉強だけでなくさまざまな分野に目を向け,はば ひろ を持ってほしいと思います。商標しん かんになると,たくさんの商品名やサービス名をしん するので,はばひろ しき が必要になります。また,いろいろなてん で物事を見ることも大切なのですが,わたしの場合は学生時代にアメリカに短期りゅうがくしたときに,人種や かんちが う人たちと出会ったことで世界が広がりました。
みなさんもぜひ今からゆめさが し,それが見つかったら大切にしてください。また,色々なことにきょうを持って を広げると,新たな景色が見えると思います。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社