建築技術(BIM担当) の仕事
横山 智美さん (株式会社竹中工務店)
建設会社でBIM(ビム)という新しいしくみを広める仕事をしています。BIMとは,「ビルディング・インフォメーション・モデリング」の略で,建物を建てるときに必要となる設計図や完成イメージ図,壁や窓などの部材の情報,スケジュールやお金の情報まで,まとめて管理できるようにするしくみのことです。以前は線を引いて,二次元の図面を描いていましたが,BIMのしくみでは『マインクラフト』というゲームのように,柱や壁などの部品をブロックのように組み合わせて,コンピューター上で3Dの建築モデルのデータを作っていきます。
建築の専門家以外の人にも工事のプロセスや完成イメージを見せられるので,「できあがった建物がイメージと違った」ということがなくなりますし,工事がかなり進んでから計画が変更になるといったムダをなくせます。また,BIMで工事途中の状態をシミュレーションできれば,余裕をもって材料や人手を準備できて,工事にかかるお金を減らせます。時間がない中で建設に必要な材料を集めようとすると値段が高くなり,工事に必要な人手を集めるのにも苦労するのですが,そういうことがなくなり,削減したコストでよりよい提案ができます。
BIMのしくみを取り入れるために,新しいソフトやデジタル機器を試したり,ソフトの使い方について現場から問い合わせを受けたり,国内外さまざまな会議に出席することが仕事です。新しい技術でも,実際にソフトを扱う人にとっては,画面に出てくる文字は英語で,マニュアルもなくて使いづらいということもあります。実際に使ってみないとわからない問題点も多くあり,現場に行ってさまざまな意見を聞くことが大切です。技術はどんどん進化しているので,5年後,10年後に世の中がどうなっているのか,未来を見据えながら仕事を進めています。